中国面面観

「中国面面観」は中国の様子をお届けするコンテンツです。当社発行のメールマガジンで連載している内容を、お客様のご要望によりホームページでもお届けします。

実際の中国を見に行こう!

2018.6.18

 ここ1年くらいだろうか、大手企業や金融機関の中国視察が急に増えてきた。ただ、以前とは異なり、目的地は首都の北京や金融都市の上海から、新興IT企業のメッカといわれる深圳にシフトしている。ネット大手のテンセント、通信機器メーカーの華為技術、ドローン最大手のDJIなどが軒を並べる都市だ。

 深圳には中国の秋葉原と言われる最大の電子街があり、すべての電子部品が少量発注でも手に入れることができる。「パソコンどころか、スマホですら、一人で一から部品を集めて作ることができる」と言われるほどだ。

 だから、一旗揚げようとする小規模資本の企業家がビジネスを立ち上げることができるわけで、シェア・オフィス(※)を見学に行けば、大きな夢を持った若い企業家の頑張る姿も見ることができる。それをしっかり踏まえておけば、視察に行って面白くないわけがない。

複数の利用者が同じスペースを共有するオフィス。それぞれ違った夢を持って集まった若者たちが、共同のビジネスを始めたりする効果もある。

 ところが最近、そうした視察団に対する悪い評判が現地で流れ始めた。いわゆる日本人の「4つのL」というものだ。ルック(見る、Look)、リッスン(聞く、Listen)、ラーン(学ぶ、Learn)、リーブ(去る、Leave)の略である。

 現地企業やオフィスにアポを入れて、ミーティングを行い、根掘り葉掘り質問するだけして、「ありがとう」と去っていく。なんのビジネスにもつながらない。受け入れたほうは、貴重な時間をつぶされるだけの慈善活動になってしまう。

 一度や二度なら「中日友好」とでも言えるのだろうが、さすがに三度目以降はお断りすることになるそうだ。ちなみに、この言葉の発祥地は深圳ではなく、米シリコンバレーだといわれている。

 とは言え、“やはり百聞は一見に如かず”というのも事実だ。深圳のITや電子街はとても魅力的なうえ、最近も雨後の筍のように、あちこちで開設されている無人コンビニ、ネットで注文すると30分以内に届けてくれる生鮮食品スーパー、シェアリング自転車ならぬシェアリング電気自動車など、わざわざアポをとらなくても、日本ではまだほとんど見ることができないニュービジネスをいくらでも間近に見ることができる。

 そこで提案である。「そろそろ中国をもう一度見に行きませんか?」。

 日本の大手企業や金融機関の人たちは、海外出張に行くとどうしても「誰か・それなりの企業の人々」と会いたがる。名刺交換して、帰国後の報告書を書かなければならないからだ。

 でも、このコラムをご覧の個人投資家の皆様には、そんな必要はない。肌感覚で中国の変化を感じ取って、電子街やコンビニ、スーパーにどんな商品が並べられているかを確かめるだけでも、かなりの収穫があるはずだ。

 もう一歩、踏み込んで申し上げると、日本企業・日本株にとっても、結局のところ中国での動向が将来を左右するといわれる。繰り返しになるが、日本の大企業が「4L」と呼ばれても、中国出張を増やしているのは決して理由がないわけではないのである。

(吉永東峰 株式会社ニーズキャピタルデザイン代表取締役)


【執筆者略歴】

1998年法政大学経済学部卒業。同年コカコーラに入社、資金財務、経営企画に従事。

2001年ネットチャイナ(現、新華ファイナンス)入社、中国金融情報サービスの企画とマーケティングを統括。

2003年青山学院大学MBA in Financeを取得。

2006年EuromoneyグループISI Emerging Markets日本支社長。

2007年11月スパークス・アセット・マネジメントの中国プロジェクトに参画、QFIIをはじめQDIIのマーケティング、中国ファンドの運用企画などに携わる。

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