中国面面観

「中国面面観」は中国の様子をお届けするコンテンツです。弊社発行のメールマガジンで連載している内容を、お客様のご要望によりホームページでもお届けします。

LCCで格安中国旅行のすすめ

2017.07.14

 日本人の友人を連れて、長らく行く機会がなかった北京の紫禁城(故宮)を観光した。北京観光では定番の行き先だが、入ってみて驚いた。日本人を含む外国人観光客の姿が、数年前に比べて明らかに減っていたのだ。なかでも日本人は、ほとんど見かけなかった。その昔は日本人の団体が席巻していたのだが。

 統計を見ると、確かに日本人の中国観光入国者数は、ピークだった07年の延べ397万人から、15年には同249万人に落ち込んでいる。観光客の落ち込みは、日中関係の悪化や中国の大気汚染に対する懸念などが原因だ。

 そこで、最近疑問に思っていったことが、あらためて腑に落ちた。それは、中国の存在感が日増しに高まっているにもかかわらず、中国に関する良質の情報が正比例で増えていない原因だ。経済規模が昔に比べ数倍になった一方で、訪中者数が大幅に減っているのだから、当然のことだったのだ。

 われわれのところにも、プロの投資家とされるファンドマネジャーのような人たちから、「実際はどうなの」、「現地の情報が欲しい」という要望が日々絶えない状況だ。

 ただ、行って見ないことには、どうしても分からないことが世の中には多い。特に、本稿をご覧のような「外国株投資や日本株投資のために中国のことも知っておきたい」という人たちは、「久しぶりに中国旅行でも」と腰を上げていただく時期に入ってきたのではないかと思う。そこで今回は、LCC(格安航空会社)を使った中国旅行を読者の皆様にお勧めしたい。

 中国関連のLCCに、春秋航空ジャパンという航空会社がある。日本と中国各地の大都市を結ぶ路線で就航。10年秋の就航時に評判になった茨木/上海便から路線は増え続け、今では成田空港からは天津、重慶、武漢、ハルビン行きの便があり、関西空港からは洛陽、西安に向かう便、中部国際からは銀川、合肥などへの直行便(一部は上海などを経由)がある。

 LCCなので値段が安いのは当然(値段がどのくらい安いかはご自分で調べていただくとして)だが、目的地が地方大都市となっていることは特筆に値する。日系大手の航空会社を利用すると、上海や北京に到着してから乗り換えが必要となる都市に、ダイレクトに向かうことができるのだ。

 中国の地方大都市は、(投資家ならば)行っておいたほうが良い。例えば、景気の体感温度だと、重慶や武漢が北京や上海に比べて熱を帯びているのに対し、ハルビンの冷え込みは想像を上回ることが鮮明に感じ取れる(17年上半期時点)。何も目抜き通りや観光地に行かなくても地下鉄に乗るだけで、肌感覚で察することができるから不思議だ。

 飛行機に乗るだけでも貴重な経験ができる。そうした地方大都市のフライトだと、初めての日本旅行に向かう地方の団体客がほとんどで、日本人はほぼ乗っていない。搭乗待合所から「気分はもう中国地方都市」となる。

 不思議なのは、中国から出発する際には押し合いへし合いして先を争う人々が、日本からの帰国便の搭乗口ではおとなしく列を作っていることだ。「日本で何があったのだろう」と考えさせられたりする。

 春秋ジャパンについてもう一言。登記上は日本の航空会社であり、乗務員の方々もほとんどが日本人だ。そのためか、中国系航空会社ではよく見かけられる修学旅行のような機内での大騒ぎも比較的少ない。

 地方都市はホテルも食費も安い。旅行での満足度は、期待感に対して結果が上振れるかどうかにかかっている。LCCを利用した中国地方都市の旅行では、そもそもの投入金額が低いため、結果がそこから下振れる可能性は低い。それが何らかの投資アイデアや判断に結び付くのであれば、「まずハズレはない」と思う。

(吉永東峰株式会社ニーズキャピタルデザイン代表取締役)

【執筆者略歴】
1998年法政大学経済学部卒業。同年コカコーラに入社、資金財務、経営企画に従事。2001年ネットチャイナ(現、新華ファイナンス)入社、中国金融情報サービスの企画とマーケティングを統括。2003年青山学院大学MBA in Financeを取得。2006年EuromoneyグループISI Emerging Markets日本支社長。2007年11月スパークス・アセット・マネジメントの中国プロジェクトに参画、QFIIをはじめQDIIのマーケティング、中国ファンドの運用企画などに携わる。

中国面面観(バックナンバー)

2017.06.15
普通の中国人の所得って?
2017.05.19
中国人のバランス感覚を信じよう
2017.04.17
中国は自転車大国に戻れるか
2017.03.13
酉年を迎え、16年の問題点を振り返る
2017.03.13
観光業よ、おまえもか
2017.02.15
企業主導で道路事情に変化を!
2016.12.28
日本人出張者の目から見た「中国あるある」
2016.11.16
上海ディズニーランドは今こそ行くべきか
2016.11.16
中国だけが極端か?
2016.08.22
個人情報のない国
2016.06.14
中国の医療不信
2016.04.27
中国の将来像はどこにあるのか
2015.12.30
中国式クリスマス
2015.11.27
寒い中国需要に映える熱い国慶節消費
2015.10.22
2015年最後の大型連休
2015.09.24
北戴河会議の今むかし
2015.07.31
五星紅旗はためくフランスのワイナリー
2015.07.31
青春御礼 --大学受験の日々--
2015.07.31
個人投資家5Gの参戦 --国運に賭ける若者たち--
2015.07.31
時勢造英雄 --話題の80後、90後CEOの顔ぶれ--
2015.04.07
老後の年金は大丈夫か --中国版年金制度崩壊問題--
2015.04.07
羊年春節の紅包合戦 --中国のモバイル決済市場の躍進になるか--
2015.02.13
大人気の家政婦「月嫂」「育児嫂」が急増中--中国の子育て事情--
2015.02.13
持ち家を買わない時代が来るか --「90後」世代の複雑な心理--
2014.12.19
急成長する中国の映画産業 --SNSが活躍--
2014.12.19
激励橙(げきれいオレンジ) --新型農業と“不屈の起業家精神”の邂逅--
2014.10.02
八〇後、九〇後も顔負け、「中国おば様」は新興勢力
2014.10.02
粉糸経済(Fans Economy)~不完全さを受け止めてくれるのは愛だけ~
2014.08.11
~中国に最初のゴルフ場ができて30年~
2014.07.17
~英語をめぐる受験論争~
2014.06.17
~変化を見せる清明節のお墓参り~
2014.05.22
~スタートラインで負けられない――中国の教育事情~
2014.04.08
~「中国転居マップ」とビッグデータ~
2014.03.12
~“吊絲”――台頭する中国の新しい消費パワー――~
2014.02.19
~「養老地産」--高齢化する中国の新しいビジネスモデル~
2013.12.30
~中国のコカ・コーラ、不思議な言葉が続々と~
2013.12.05
~中国のネット通販祭、日本最大の百貨店2年分を一日で稼ぐ~
2013.11.11
~「三中全会」と中国の試練~
2013.09.30
~“リコノミクス”はチャンスをもたらすか?~
2013.09.10
~烏龍指~
2013.08.06
~中南海「懐仁堂」での勉強会~
2013.07.05
~699万人~
2013.06.04
~中国銘茶『明前龍井茶』の異変~
2013.03.25
~中国は「くたばれGDP」の段階に突入するのか?~
2013.03.25
~全人代と新年度~
2013.02.19
~春運~
2013.01.23
~中国的酒席の作法~
2012.12.14
~「豪腕総理」の誕生で中国の都市化が加速するのか?~
2012.11.21
~「人民元の国際化、オフショア市場の流動性が焦点に」~
2012.10.16
~「大転換点に差し掛かっている中国」~
2012.10.16
~「30年の歳月」~
2012.09.21
~「盂蘭節」~
2012.08.06
~ロンドン五輪と「メイド・イン・チャイナ」~
2012.07.04
~人民元物語~
2012.06.05
~都市への人口流入と住宅問題~
2012.05.02
~ダブルスタンダード中国、悩みがまた一つ~
2012.05.02
~旧暦の話~
2012.03.28
~富裕層間の古くて新しいコレクション「茅台酒」~
2012.02.29
~中国の大学入試~春の陣~
2012.01.19
~漢字って面白い!~
2012.01.19
~世界を席巻する中国人の贅沢品消費~

以前のコンテンツ(中国街角ウォッチ)バックナンバー

中国街角ウォッチの連載は第58回を持ちまして終了とさせていただきました。

2011.12.28
第58回
2011.11.24
第57回
2011.10.26
第56回
2011.09.28
第55回
2011.09.01
第54回
2011.07.27
第53回
2011.06.29
第52回
2011.05.23
第51回
2011.04.26
第50回
2011.03.30
第49回
2011.03.02
第48回
2011.01.26
第47回
2010.12.27
第46回
2010.11.24
第45回
2010.10.27
第44回
2010.09.27
第43回
2010.08.24
第42回
2010.07.28
第41回
2010.06.25
第40回
2010.05.27
第39回
2010.04.23
第38回
2010.04.06
第37回
2010.02.24
第36回
2010.01.25
第35回
2009.12.29
第34回
2009.12.01
第33回
2009.10.26
第32回
2009.10.08
第31回
2009.08.26
第30回
2009.08.10
第29回
2009.06.30
第28回
2009.06.01
第27回
2009.04.22
第26回
2009.03.23
第25回

第24回以前については中国株メールマガジンのバックナンバーでご覧いただけます。

その他のコンテンツ

2014.08.11
人民元から目が離せない「―中国為替レート市場化への展望―」 インターンシップ生 曽悦心
2014.07.17
あのころ・そのとき「~アナがない?!~」 はらだおさむ氏
2014.05.22
あのころ・そのとき「~天保上知令のことなど~」 はらだおさむ氏
2014.02.19
あのころ・そのとき「~ネジをかむ~」 はらだおさむ氏
2013.12.30
あのころ・そのとき「~春の海~」 はらだおさむ氏
2013.12.05
あのころ・そのとき「~砲弾と包丁~」 はらだおさむ氏
2013.11.11
あのころ・そのとき「~セブンか、エイトか~」 はらだおさむ氏
2013.09.30
あのころ・そのとき「~ルビコンの川~」 はらだおさむ氏
2013.09.10
あのころ・そのとき「~鬼城~」 はらだおさむ氏
2013.07.05
あのころ・そのとき「~ならぬことは、ならぬ~」 はらだおさむ氏
2013.06.04
あのころ・そのとき「~虚(むな)しい?中国~」 はらだおさむ氏
2013.02.19
あのころ・そのとき「~青空がみえない街~」 はらだおさむ氏
2013.01.23
あのころ・そのとき「~冬来たりなば…~」 はらだおさむ氏
2012.12.14
あのころ・そのとき「~莫言効応(莫言効果)~」 はらだおさむ氏
2012.11.21
あのころ・そのとき「~傷ついた鳩~」 はらだおさむ氏
2012.09.21
あのころ・そのとき「~一夜漬けのおはなし~」 はらだおさむ氏
2012.08.06
あのころ・そのとき「~ニホンメシヤ・事始め ~」 はらだおさむ氏
2012.07.04
あのころ・そのとき「~風が招(よ)ぶ~」 はらだおさむ氏
2012.06.05
あのころ・そのとき「~“あのころ”のこと~」 はらだおさむ氏
2012.03.28
あのころ・そのとき「~みずのわ放送局~」 はらだおさむ氏
2012.02.29
あのころ・そのとき「~シャンハイ・・・~」 はらだおさむ氏
2011.12.28
あのころ・そのとき「~城市とシティと・・・~」 はらだおさむ氏
2011.11.24
あのころ・そのとき「~老百姓(ラオパイシン) 老朋友(ラオポンヨウ)~」 はらだおさむ氏
2011.10.26
あのころ・そのとき「~瀧が涸れて来ている!~」 はらだおさむ氏
2011.09.28
~中秋節の「月餅」商戦~今年はエコ化?~ 李粹蓉氏
2011.09.01
中国住宅ローン事情~借金嫌いの中国人が住宅ローンに走ったわけ~ 董氷氏
2011.07.27
あのころ・そのとき「~くにのかたち~」 はらだおさむ氏
2011.06.29
あのころ・そのとき「~後発の強み~」 はらだおさむ氏
2011.05.23
あのころ・そのとき「~危機常在~」 はらだおさむ氏
2011.03.30
あのころ・そのとき「~再会の食卓・・・~」 はらだおさむ氏
2011.03.02
あのころ・そのとき「~ケンカのあとで・・・~」 はらだおさむ氏
2011.01.26
あのころ・そのとき「~こよひ しぐれか~」 はらだおさむ氏
2010.12.27
あのころ・そのとき「~もうケンカはすみましたか~」 はらだおさむ氏
2010.11.24
あのころ・そのとき「~青い空と赤レンガの壁~」 はらだおさむ氏
2010.10.26
あのころ・そのとき「~「飛躍」のみちのかたわらで・・・~」 はらだおさむ氏
2010.07.28
あのころ・そのとき「~いつか来た道だろうか…~」 はらだおさむ氏
2010.06.25
あのころ・そのとき「~開幕で、金(きん)~」 はらだおさむ氏
2010.01.25
あのころ・そのとき「~序の舞の…~」 はらだおさむ氏
2009.12.29
あのころ・そのとき「上海万博のことなど」 はらだおさむ氏
中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。