中国街角ウォッチ

中国街角ウォッチ(第27回)

海外資本の中国への直接投資は、リーマンショックを契機に減少が続いてい るようで、中国の地方、開発区では国内企業の誘致に重点を移しているよう にみられた。しかし、その一方で相変わらず中国の地方政府は工業開発区へ の外資誘致名目で、大型の訪日団を派遣し続けている。いわば年中行事の定 番にもなっている日本詣でが今年も激しく行われているのは、効果の点から 考えると異常であり、異様である。

訪日団メンバーは省長、市長を初めとする行政トップを団長に、役所の幹部 と職員スタッフで構成され、大概はサクラの季節や紅葉の季節を狙ってやっ てくるのが通例になっている。サクラの季節、4月などは、昔からのお付き合 いがある都内の有名ホテルなどで一日に何組かの中国セミナーが開かれてい る。省や直轄市、主要都市の代表団は多いもので100人を超え、トップは一流 ホテルに、普通のスタッフは街中のシティーホテルに投宿する決りになって いる。

中小の地方都市は地方の有力企業を従えてやって来る。省や直轄市、主要都 市の財政状況は豊かであろうが、中小都市になると上からの予算管理が厳し いこともあるのだろう、イベントも比較的控えめになったりする傾向がみら れるが、不足分は民間資本をスポンサーにして補うようである。

こうしたセミナーはまず主催者の訪日団団長の挨拶から始まり、協賛団体、 後援団体である日本側の機関・協会の代表者が歓迎の意を述べ、次にお定ま りのDVD放映による当該地域の発展と変化など投資環境が紹介される。すでに 進出した日本企業の現地社長がそこがいかに素晴らしいかというPR的な講演 をし、バイキング式の懇親会で終了する。財政的にゆとりのある省や市では アトラクションとして中国の芸能人などを呼び、集会そのものを華やかに盛 り上げるという手法も流行した。

この過程で毎回気になるのは「わが地域にはフォーブス発表の世界ビッグ10 0企業のうち、○○社が進出している」という定番の団長挨拶である。そんな 立派な企業が出揃っているのなら、日本まで来ての誘致活動なんて不要では ないのかという気にさせられるのだ。さらにセミナーの内容が一方的であり すぎるために余りに押し付けがましく、客観性に乏しく、勢い地元現場の真 実を反映せず、現実からかけ離れた紹介になってしまっていることである。 すなわち投資環境をあたかもこの世の天国であるかのような紹介になってし まっていることである。

この4月、サクラの開花は必ずしも予想通りではなかったが、セミナー開催 場所は最低でも大阪、東京の2か所で行われ、地域によっては名古屋や福岡、 札幌などでも開催されることもあり、サクラ前線まで計算に入れている感じ である。また年々派手になっていくセミナー内容と誘致実績成果とは必ずし も比例関係にはない。集客を頼まれる日本の受入団体も集客人数と中国側が 受入団体に支払う手数料とは無関係ではなく、集客人数の多寡が即実績とな り、誘致成功率などほとんど問題にされないのが特徴である。このへんが中 国的といえば言えなくもない。こうした誘致代表団が地元に帰って報告する のは何件誘致したかではなく、セミナー会場に何人集まったかということな のである。

わたしはこうした中国の地方政府の動きを牽制して、大都市でのセミナーを やめて日本の地方都市で開催した方が効率は良いはずだと進言しているのだ が、彼らの目的が集客人数一本だとしたら、私の提案は的外れなのだ。さら に彼らが地方での開催に消極的なのは、団員の訪日目的が富士山であり、温 泉であり、買い物であるとすれば、これこそ余計なお世話ということなのだ ろう。

この4月に東京、大阪で開催された某市の誘致セミナーへの集客協力要請は いつものやり方と変っていたが、人数、企業規模、役職まで具体的に要求さ れた。この時期、国民の血税を使って外遊をするのだから、さらに形は整え たいということなのだろう。特に懇親会は立席のバイキングでなく、テーブ ルの固定席で事前に正式な招待状が用意され、座席には名札を配するという 念の入れようであった。

だが、午前の部、説明会後のランチは通常通りであったが、その後に予定さ れた午後の日程、企業間交流の時間には中国側関係者はすっかり消えうせて しまった。受入機関の友人によれば彼らは買い物の時間がないからと、一斉 に街に飛び出してしまったということだった。夜の部は懇親会と言わずに晩 餐会と称し、正式な料理が用意されたが、人数制限をしたところに幾分なり とも予算節約の精神が芽生えたのだろうか。晩餐会は恙無く終わり、比較的 早いお開きではあったが、晩餐会後に団長ほか幹部の皆さんはバスでそのま ま箱根の温泉に移動の予定だったとか。残された一般の団員は三々五々ホテ ルに戻って行ったのだが、本当にこんなことでいいのだろうか?

中国の行政区代表としての大義名分はこれで果たせるのかも知れないが、 受け入れる日本側団体にも毎回空しさの残るこうした活動は、そろそろ反省 時期が来たのではないかと思う昨今である。

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