中国街角ウォッチ

中国街角ウォッチ(第40回)

2010.6.25

 中国で初の万博はその準備段階から様々な憶測が飛びかっていたが、上海の街角には「世博」への協力を呼びかける大垂れ幕が翻り、政府の力の入れようが尋常でないことを感じさせたものである。先々週浦東空港経由リニアモーターにのり万博会場を訪れたのだが、このリニアが浦東地区の龍陽路駅で終わってしまうのは何とも不可解で、毎度のことながら不信感を覚えるのは私だけだろうか。如何に実験線とは言え、最高時速430キロの7分程度の乗車というのは何となく物足りない気分である。今回乗車したときは最高時速も300キロであったために更に騙されたような後味の悪さを感じたが、そもそもリニアモーターと言うのは中国語では磁浮列車と訳すのだからレールから浮かせて走ってもらいたい。このときは「磁石で浮かした」という感覚は全くなく、レールの上を走っている普通の特急列車と何一つ変わりない乗り心地でしかなかった。リニアを浦東止まりにしてしまった裏には飛行機の乗降客を一旦浦東地区内に留め、足止めをさせることにより龍陽路付近を発展させて周辺地価をつり上げようという誰かの魂胆が見え見えのような気がする。

 万博会場はこれまで浦東から車で浦西に向かうとき渡る2003年完成の盧浦大橋から望めた浦西側の川べりに見えた旧工場跡地だと聞かされていたが、今回行って見ると会場は黄浦江を跨いでその両岸、浦東浦西にそれぞれ作られていた。これもまた浦東地区の発展を狙ったものであり、参観者にとっては誠に面倒な動線である。龍陽駅から貸切バスで直接万博会場に向かったのだが、先ずは浦東地区内の会場であり、巨大な中国館もそこに聳えていた。バスを降りてから万博会場の入り口まで20分近く歩き、入り口にたどり着いてから現地ガイドの案内で海外客専用のゲートで不必要と思われるほど厳しく不愉快なボデーチェックの後、やっとの入場であった。入り口でのボデーチェックは人間をもののように乱暴に扱う作業に等しく毎度のことながら腹立たしく感じたものである。

 さて、ガイドから会場内の地理の説明を受けてからそれぞれに会場内に散ったのだが、目標を決めなければ方向も定まらず、とにかく中国館に向かった。しかし、中国館は行列がすごく待ち時間も長いと聞いたので、とりあえず行列の少ないオーストラリア館の行列に仲間入り。少しずつ進む行列の中でじっとこらえながら2時間ほどで入館に。行列することに慣れた中国人の中での行列はこれも心理的な闘いで、背後から追い越しを狙って徐々に迫ってくる連中を牽制しながらの移動はそれだけで疲労の種となった。館内は意外に閑散としており、壁上にあるパネル展示に目をやりながら移動するうちにいつの間にやら出口に到着。

 当初の説明では会場にはレストランも数多くあるということだったが、実際にはどこを覗いても空席はなく、やっと見つけたカウンターだけが空いたレストランに腰を下ろしたのだが大学生協の食堂並の雰囲気で、そこで食した中華料理は油ぎらぎらの普通の家庭料理なのに値段は市価の倍ちかい高額な定食。その後、スターバックスとミスタードーナツを見つけて何となく落ち着いた気分でコーヒーだけ飲み、近くの万博グッズを販売するショップに入り、公式キャラクター・海宝(ハイバオ)君の各種商品を眺めるだけ眺めて店を出て、向かった先は黄浦江両岸を繋ぐ船着場である。我々の目指す日本産業館のパビリオンは浦西地区にあるので、取り敢えずは対岸に行かなければならない。巨大な中国館脇から小雨の中を早足で歩くこと25分、乗り込んだ船は直線距離では3分足らずの対岸にあるのだが、斜め方向に走らせて10分ほどかかったのは、両岸にある万博会場を水上から見せようという企みなのだろう、浦西側の専用埠頭からスポンサー経由予め優先入場を依頼しておいた日本産業館まで歩き、副儀典長なる肩書きの日本人の方に簡単な説明を受けた後、メイン展示の帝人グループ、テルモ、大塚製薬、ユニ・チャーム、日本郵政グループ、トステム、INAX、キッコーマンなどを一巡。副儀典長のお話では入場者数は一時的に減少して1日30万人ほどだったが、ここに来て50万人ベースに回復しており、パビリオンによっては行列の待ち時間も長くなって来たという話。平均では4時間程度になっているようだが、人気トップのサウジアラビア館では8時間待ちのときもあるようで、このパビリオンの建設費は10億元(約136億円)以上を費やし、6000平方米の展示面積なのだというから時代の勢いを感じる。当初懸念した参観者の混乱は心配したほどではないが、身障者など車椅子での参観者はエントランスを別にして、待ち時間を短くするようにしたら最近車椅子による参観者が急増したというのはまさにお笑いである。それにしても中国には富裕層が多いというのはキッコーマンの運営する料亭「紫」 には3000元(1元=14円として1人42,000円)のコース(飲物代は別)しか用意していないのに連日満員の盛況を誇っているというから驚く。更に日本人スタッフから日本産業館には万博閉幕後はパビリオンを買い取りたいという中国人客からの話が来ているという話を聞いた。

 確かに中国の発展振りを誇る大規模な万博には違いないが、会場で行列しているのは殆どが中国人で外国から参観者は極めてマイナーだという印象であった。台湾・香港からのグループ参観者は時々見かけたが、それにしても最終的には中国民族の偉大なる祭典ということなのだろう。

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