中国街角ウォッチ

中国街角ウォッチ(第56回)

2011.10.26

 中国の不動産価格はやっと落ち着いてきたようにも感じられるが、これまではひたらする右肩上がりで、大都市では庶民の手が届かないレベルまで値上がりしてしまった。中国というのはもともと投資対象が少ない国で、株式か不動産というのが一般であったのだが、株式は安定性に欠けることもあり、金持ちがこぞって不動産を投資対象にした結果だった。この間、投機対象としては美術品やニンニクなどもあったのだが、少なくともニンニクは今年になってから暴落、貯め込んでいたニンニクが腐って大損したということも話題になったものだ。

 不動産の値上がりは地域格差こそあったものの、この十数年で数十倍の価格になっている。日本的な観点から中国経済を見るなら不動産はバブル状態かもしれないが、我々の立場で騒ぎ立てるものでもない気はする。株式も2006年初めから2007年10月の間に5倍以上に急騰したのだから、この時期はバブルであろう。

 中国の富豪が何をもとに金儲けをして駆け上ったのかという質問はよく受ける。フォーブスの発表ではあまり目立たないが、先日開かれた学会での配布資料によれば10人中7人が不動産業者であった。私の周囲の関係者で富豪と言われる人の多くも、また不動産がらみの人物だったような気がする。

 一時は中国の大都市及びその周辺都市に行くたびに不動産を紹介され、去年の倍になったというような話を何度となく聞かされたものである。華南地区では何回も現物を見せられ、購入を勧められたのだが、家屋の内部をきめ細かく見ると内装工事が雑で価格との不釣合いを感じたものだった。庶民ベースでも政府で働いた人は、安く払い下げられた公舎を高く転売して資金を手に入れ、様々な不動産に手を出した結果、これまでのところ多くの人が尋常でない金を手にしたようだ。

 さて、そんな状況の中では不動産高騰で儲けたのは共産党員が中心であったのだから、政治や政策を牛耳るそんな人たちが弾けるバブルなど夢想だにするはずはなく、中国にバブルは存在しないということにもなるのである。現実には「住むための家」でなく「転売して儲けるための家」であり、それを複数棟も抱える連中はたくさんいた。

 上海の浦東空港を下りて車で浦西に向かう車中で毎度目にするのは林立する立派な高層ビルに電気の灯らない空き家が目立つことである。これは浦西の市街地に入っても同様で、高架橋道路を走る車の中から見る高層ビルは多くが無人であり、それが不動産の値上がりを待つ特権階級の方々の仕業だと思うと何とも情けない思いに駆られたものである。

 「中国経済周報」によれば北京の地価は合計すると130兆元で、米国の2010年のGDP、14.5兆ドルを人民元換算すると95兆元となり、「北京の地価で米国のGDPを買ってもお釣りが来る」と皮肉交じりのコメントを寄せている。思い起こせば日本でも同じようなことを言われた時代があった。

 さすがの中国政府もこうした状況を看過できず、矢継ぎ早に金融引き締めを繰り返し、このところ不動産価格そのものは沈静化を見ている。中国経済がソフトランディングの形で終わってくれるのなら、それはそれで喜ばしいことなのだが。

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