中国面面観

中国のネット通販祭、日本最大の百貨店2年分を一日で稼ぐ

2013.12.05

■想像を絶する中国のネット通販祭

 最近の中国で特に注目されたものとして、11月11日のネット通販祭があげられる。11月11日は「1」が4つ続くので、中国の若者は冗談ながら「光棍節」、すなわち「ひとりぼっちの日」と呼んだりします。

 そして3年前から、ネット通販最大手の「タオバオ」がこの日を利用して、年内最大のバーゲンセールを行うようになりました。サイト内の店舗がこの日に「50%オフ」の割引セールを一斉に展開するのですが、「タオバオ」の店舗数はなんと900万にも及ぶので、想像を絶する規模となります。

 「彼氏や彼女がいないから、独身の日にいっぱい買い物して、自分を慰めてはどうですか?」。こんな発想から生まれたこの「ネット通販祭」ですが、今や「独身の日」とは関係なく、中国全土、いや、全世界で注目される一大イベントになったわけです。

■一日にして日本最大の百貨店2年分を稼ぐ

 昨年(2012年)の11月11日は、中国ネットショップ全体の売上高が191億元(約2900億円、1元=16円)もあったわけで、今年の11月11日は果たしてどこまで伸びるだろうと、皆がその結果を待っていました。

 そして今年の11月11日の深夜24時のイベント終了時に出た数字は、世間をさらに驚かせました。なんと1日の取引額は350億元(約5,600億円)超。まさに驚異的な売り上げを記録しました。

 日本の百貨店店舗別売上高ランキングをみると、2012年のトップは伊勢丹新宿本店で約2368億円。中国のネット通販祭はまさに一日にして、日本の最大百貨店の2年分を稼いだわけです。

 この祭に便乗して売り上げを伸ばしたのは中国企業だけではありません。ユニクロなどの日本企業も少なくありません。そのような日本企業のなかで、紙おむつメーカーが2.5億円、化粧品メーカーが1億円など、1日でこれほどの売上高を計上しました。

■ユニクロに学ぶ通販祭活用法

 急成長する中国のネット通販。ネット通販を活用して中国での売上高を伸ばしたい日本企業も増えるでしょう。しかし、「参加すれば売り上げが伸びる」というような安易な考えは大間違いです。

 まずは目的を明確にしなければなりません。「ネット通販祭」をただの安売りイベントではなく、新規顧客獲得を狙うチャンスとして捉え、いかに今後の展開を有利にするかの施策を考えるべきでしょう。

 また、イベント前からの情報収集も大事。「消費者はどのような商品に興味ありますか?」。「他社と一線を画す魅力的な商品を出せるか?たとえば日本の隠れた人気商品があるのではないか?」。こういった情報を積極的に集め、その日に向けての宣伝も怠ってはならない。

 ユニクロは「タオバオ」を運営するアリババ社のB2Cサイト「Tモール」に出店している。今回のイベントでの売上高は「Tモール」で6位の1.2億元、すなわち20億円近くを売り上げました。

 ユニクロは在庫処分のような売り方を一切せず、売れ筋のダウンジャケットなど最新商品をイベントに出品しました。そして、百数十名もの顧客対応スタッフを待機させ、それぞれの地域に強い宅配会社を使い分けして、宅配の届かない地域には、紛失の心配がないEMSで郵送する体制も整えました。この体制は年末までも続くそうです。

 急成長する中国のネット通販。それをうまく使えるかどうかは、中国市場をどれほど重視しているか、そしてどこまできちんと情報を収集できるか、最後にどこまで真剣に対応しているかにかかっているといえるでしょう。

(徐向東 株式会社中国市場戦略研究所http://www.cm-rc.com代表 )

【執筆者略歴】
 北京外国語大学講師を経て文部省奨学金で来日、日本で博士号取得後、一貫して日本企業向けの中国市場進出の調査やコンサルティングに従事。日経グループ企業の首席研究員、上海事務所総監、コンサルティング会社の代表取締役などを経て、2007年から株式会社中国市場戦略研究所(cm-rc.com) と上海CMRC代表。著書に「中国人に売る時代!巨大市場開拓の成功の法則」(日本経済新聞出版社2009)、「中国人にネットで売る~2つの“ネット”の正しい使い方、つくり方」(東洋経済新報社2011)などがある。

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