中国面面観

2015年最後の大型連休

2015.10.22

 9月末から10月初めにかけて仕事とプライベートの用事で香港と中国本土に行ってきました。中国の国慶節連休の真っ只中でした。中国国内では「国内游」(国内旅行)や「出境游」(海外旅行)、日本などでは「爆買い」で賑わっていた間、香港は少々侘しいものでした。筆者が目の当たりにした東京、中国本土、香港のそれぞれの光景とは――。

■過去最長の国慶節連休■

 今年の国慶節(建国記念日)の法定休日は10月1~7日の7日間、中秋節(旧暦8月15日)のほうは9月26日と27日なので、28~30日に3日間休みを取れば、12日間の大型連休となり、中秋節・国慶節機関の休日としては過去最長です。

中国の国慶節はもはや中国だけが祝う行事ではなくなりました。いまや中国人観光客=「爆買い」というイメージから、一部の海外でも中国と同様、あるいはそれ以上に国慶節を喜んでいるかもしれません。

■東京、中国本土の賑わい■

 9月最後の週末、東京は銀座。この日本屈指の繁華街に、筆者はいました。銀座はよく出歩くお気に入りの場所ですが、今回はいつもと少し違います。香港から来た親族(女性)にお供にしたのです。

 欧州にもよく出かける彼女は、日本にも何度か来たことがあるのですが、買い物はほとんどしませんでした。しかし、今回はずいぶんと円安になったので、買い物に行きたいと言い出したのです。欧米では服のサイズが自分に合わず、日本のサイズの方が合っていることも、動機の一つだそうです。

 さらに、彼女を喜ばせたのは、免税手続きの時です。欧州では付加価値税(VAT)の還付を受ける場合、買い物した店に加え、空港でも手続きをしたうえで、クレジットカードでの返金、あるいは現金などでの払い戻しを受けることになっています。しかし、銀座のデパートで買い物した時は、すぐに免税カウンターで現金を受けたし、ドラッグストアでは税抜き金額を支払うだけで済みました。彼女は現金で受け取った税還付分をすぐに別の買い物に使いました。

 ところ変わって、10月最初の週末、香港から約300キロ離れた中国本土の故郷に行ってきました。通常は車で片道4~5時間のところですが、今回は往復いずれも約8~9時間かかりました。途中の街にハリーポッターのテーマパークがあり、それを目当てに行く人が多いそうです。

 筆者が日本から来たこともあって、親戚との会話も自ずと日本に触れました。昨年結婚した若夫婦ですが、新婚旅行先を当初は日本にしようと思っていましたが、ビザ取得には銀行預金の残高証明額10万元(約160万円)が必要だったので断念しました。しかし、現在は3万元に引き下げられたので、近いうちにぜひ日本に行きたいそうです。

■香港―「爆買い」ブームの中の孤独■

 東京や中国本土の賑わいを横目に、国慶節連休中の香港はやや寂しい感があります。国慶節の10月1日の夜にビクトリア・ハーバーに打ち上げられた華やかな花火がなければ、中国本土が国慶節連休だったことを忘れるところでした。

 九龍半島の尖沙咀や旺角、香港島の中環(セントラル)や銅鑼湾(コーズウェイベイ)などの繁華街では、観光客は少なくないものの、かつての混雑ぶりではありませんでした。店頭に観光客が長蛇の列を作っていた欧州系のブランドショップも、今はすんなりと店に入ることができました。

■連休中の海外旅行者数は約2割増■

 国慶節連休における日本、本土、香港のそれぞれ異なる様子は、データからも裏付けられています。

 百度(バイドゥ)グループが運営する旅行検索サイト「qunar.com (チュナール・ドットコム、NASDAQ:QUNR)による国慶節連休の旅行動向レポートによると、北京、上海、広州などの大都市では、海外旅行の予約者数が前年同期に比べ約2割増加し、特にフランス、スイス、アメリカ、ギリシャなど、欧米行きの伸び率が目立つとのことです。また、北京、上海、深センなどから済州島、ソウル、バンコク、パタヤ、バリ島へ向かうのも人気でして、平時より約40%増加しました。 

 中国の国家旅游局が10月7日付で発表したところによると、日本、韓国、タイなど近隣諸国への海外旅行が爆発的に増加し、アメリカ、ロシア、フランス、イタリアなど長距離旅行も大幅に増えたそうです。

 韓国の統計によると、訪韓中国人観光客は30%増。日本領事機関のデータによると、広州で9月に発給した訪日ビザは前年同月比で40%増加しました。その一方で、10月1~6日に中国本土から香港への旅行した人の数は延べ100万1000人で、前年同期比3.26%増にとどまりました。

■宴の後――半額の旅費で「賞楓」■

 国慶節連休の終了にともない、2015年の法定祝日もこれですべてが終わりました。次の3連休は2016年1月1~3日の正月休み、7連休は2月7~13日の旧正月連休になります。つまり、これから正月休みまでがシーズンオフの期間になります。

 10月中旬に入り、中国本土では海外旅行代金が大幅に安くになっています。あくまで一例ですが、ある旅行代理店の「大阪・京都6日間自由旅行」は連休中に8,000元以上だったのが、10月末~11月初めの出発だと約半額、ソウル4日間も連休中の2,000元から4,000元台になっています。

 この時期のシーズンオフ期間は、休みを比較的取りやすい人にとってはむしろ絶好の旅行の機会でもあります。旅行代金が安いだけでなく、見どころ満載なのです。中国でも今の時期の観光キーワードは「賞楓」、すなわち「紅葉狩り」です。日本や韓国は紅葉に恵まれ、シーズンオフの期間でも中国人観光客を惹きつける観光資源があります。しかし、亜熱帯にある香港はもう少しの辛抱が必要かもしれません。香港人の筆者にとってはやや寂しい気持ちですが。

(李粹蓉株式会社ニーズキャピタルデザイン/主席研究員)

【執筆者略歴】
1988年京都大学経済学部卒業。1990年野村総合研究所に入社、2004年野村證券に転籍、同金融経済研究所経済調査部シニアエコノミスト、2006年野村資本市場研究所主任研究員、2007年野村アセットマネージメント総合企画室シニアマネジャー。野村グループでは約18年間勤務、その間エコノミストとして、統計データから経済構造、政治、社会など幅広い角度から、中国経済および中国金融資本市場を鋭く調査・分析。中国の金融・経済情勢に精通。平成13年度国際金融情報センター「中国研究会」(財務省委嘱)委員。

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