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7月号

2014年7月1日 内藤証券中国部

IPO再開に伴う需給悪化懸念が重石だが、景気回復が下支えに

本土市場
景気回復期待が下支え、下値は限定的

 6月の本土株式市場は前半こそ堅調な戻り局面となったものの、中旬以降は急反落。その後も下値圏での動きが続いた。

 5月終盤には回復基調にあった上海総合指数だが、月末には頭打ちとなり、6月初旬にかけて2000ポイント台前半でもみ合いの動きに。5月の製造業購買担当者指数(物流協会算出、PMI)が、3カ月連続の改善となり、景気減速への警戒感が和らいだことは好材料となったが、一方で新規株式公開(IPO)の認可が足元で加速、需給悪化懸念が払拭できず、上値の重い展開が続いた。

 ただ、9日夜に中国人民銀行(中央銀行)が一部金融機関の預金準備率引き下げを発表。金融当局の緩和スタンスが好感されたほか、10日に発表された5月の物価統計が前月に比べて上振れたことで需要不足への懸念が後退。さらに、13日発表のその他の経済指標も概ね事前予想通りの堅調な内容で景気悪化への警戒感が和らいだ、などから株価は上昇に転じ、16日には終値で2085.98ポイントと2100ポイント台に近付いた。

 もっとも、この日をピークにその後は急反落。17日からは3日続落し、20日にはザラ場で2010.53ポイントまで押し戻された。足元の株価上昇で利益確定の売りが活発化したほか、IPOが再開されたことで改めて株式需給の悪化が警戒されたため。さらに月末にかけても下値圏で方向感に乏しい動きが続いた。

 6月に入って発表された経済指標には改善の兆しが見られるものが増えており、内需の底打ちを示唆。4月以降に発動された内需下支え策が奏功したものだろう。一方、輸出についても昨年の水増し分の影響が一巡、欧米向けが牽引役となり回復基調が続く見通し。したがって、今後の景気は緩やかながらも拡大局面に入ってきそうだ。IPO再開に伴う需給悪化懸念が一巡すれば、株価もそれを織り込む形で徐々に上向きに転じよう。4月に発表された「互聯互通」(株式クロスボーダー投資)、5月発表の資本市場改革案なども折に触れ支援材料となろう。 (6/25 村上)

香港市場
海外環境は引き続き安定、資金流入期待も継続

 6月の香港株式市場は中旬まで高値圏で堅調な動きが続いたが、その後失速、下旬にかけては方向感に欠ける展開となった。

 5月中旬から回復局面が続いていたハンセン指数だが、6月に入ると初日の3日こそ上昇したものの、4日以降は3日続落。1日に発表された5月のPMIが好転、景気減速懸念が後退したことが初日の上昇につながったが、その後は欧州中央銀行(ECB)理事会や米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強いなか、利益確定の売りに押された。

 ただ、9日に発表された5月の本土の輸出統計が事前予想を上回ったことや、10日発表の物価統計が上振れたことで需要不足への懸念が後退。加えて中国人民銀行が一部金融機関の預金準備率引き下げを発表、などを好感し9日、10日と続伸、3日間の下落分を取り戻した。その後は高値警戒感からの利益確定売りが頭を押さえる一方で、ニューヨーク市場が高値更新を続けるなど良好な海外環境が下支えとなり、23000ポイント台前半の高値圏でのもみ合いが中旬まで続いた。

 しかし、下旬に入ると23日の大幅下落をきっかけに、ボックスを切り下げる動きに。本土の不動産不況や地方政府の債務問題などへの警戒感が強まったほか、ニューヨーク市場の反落なども足を引っ張った格好。

 海外環境については、イラクを中心とする中東情勢など一部地政学上の不安材料はあるが、経済・金融面では比較的安定した状況が続いている。また、一部で高値警戒感はあるもののニューヨーク市場中心に株式市場は世界的に堅調な動きを続けており、香港市場への資金流入が期待できる状況に変わりはない。本土景気も年後半に向けては緩やかながらも回復トレンドに乗る可能性が大きい。「互聯互通」、「資本市場改革」に対する短期・中期の期待もある。バリュエーション面での割安感も残ることから株価は堅調な推移が予想される。(6/25 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

特集:下期は政策動向に注目、株式クロスボーダー投資のスタートが追い風に

国内景気と相場環境は全体として改善傾向

 上期の中国株式市場を振り返ると、上海総合指数は昨年末の水準をなかなか上回れず低迷。直近ではA株IPO(新規公開)再開による需給悪化が重しになっている。ハンセン指数も長らく年初来でマイナスとなってきた。この原因として中国経済の減速が挙げられよう。5月までの統計内容をみる限り、貿易、工業、消費の不振が目立っており、上期のGDP成長率が政府目標を下回る可能性が強まってきた。

 ただ、中国は官民挙げた構造改革の最中であり、一定の減速は想定の範囲内。問題はハードランディングを回避できるかだが、足元では景気底入れのサインも出始めており、その可能性は高いだろう。中国リスクが低下したことで海外マネーが戻り始め、ハンセン指数は直近で2万3000ポイントを回復、昨年末の水準前後で推移している。国内景気と相場環境は全体として好転しており、下期も改善が続く可能性が高い。最終的に7.5%成長は達成可能だろう。

下期は新規マネー流入の期待も、政策動向に注目

 下期の投資テーマを展望すると、まず10月にスタートが予定されている上海・香港間の株式クロスボーダー投資が注目される。中国本土の個人投資家による香港株投資が解禁されれば、新規マネーの流入が見込まれ、香港市場の地合い好転に繋がろう。ちょうど秋口に四中全会、12月に中央経済工作会議が予定されており、政策動向が材料となりやすい。現在の5カ年計画は来年度で終了することから目標達成に向けた政策措置が強まり、それにつれて関連銘柄が物色される可能性がある。特に国有企業改革、環境保護、自由貿易区などのテーマは注目されるだろう。

 一方で下期はA株IPOが増加し、本土市場では需給不安が続く懸念も。また、10月からはAPECやG20の首脳会談、米国の中間選挙など、国際政治で重要イベントが続く。中国にとっては周辺国との関係改善が課題となるが、これに失敗すれば地政学的リスクが高まる可能性もあろう。( 6/24 畦田)

中国経済、上期の総括と下期の見通し 下期の注目ポイント

東江環保(ドンジャンエンバイロ)

00895〈N9240〉香港 株価チャート

広東省最大の産業廃棄物処理業者

 産業廃棄物の処理やリサイクルを行う民営企業。10年に香港のGEM市場からメインボードに市場変更し、12年には本土A株市場への上場も果たした。本拠地である広東省のほか、江蘇省、四川省などに産廃処理場を設け、産業廃棄物の運搬・収集・無害化・資源化を手がける。また、ゴミ埋立地でのメタン発酵ガス発電や外食産業からの食品廃棄物処理などにも参入。

昨年は大幅減益だったが、足元の業績には改善の兆し

 13.12期の業績は売上高が前年比4.0%増と小幅ながらも増収を確保したが、純利益は同21.9%減と大きく落ち込んだ。大幅減益の主因は新規プロジェクトの稼働開始による関連コストの増加やリサイクル品の価格低下による採算の悪化など。

 事業別では、主力の産業廃棄物リサイクル部門が市場拡大を受け、銅やスズなどのリサイクル品の出荷量が前年に比べ13.3%増。ただ、金属相場下落の影響で売上高は10.0億元、同6.9%増とやや伸び悩んだ。一方、産業廃棄物処理部門は需要増加や処理能力の増強から売上高が2.4億元、同21.5%増と全体の伸びをリード。逆に、環境工事の請負サービスは多くのプロジェクトが初期段階にあるため、売上高が同42.2%減となった。

 また、全体の粗利益率は30.5%にとどまり、前年に比べ6.4ポイント低下した。競争の激化により廃棄物資源の回収価格が上昇したことに加え、リサイクル品の出荷価格が値下がりしたためだ。さらに、企業買収に伴う人件費の増加や研究開発費が嵩んだこともあり、営業利益も同24.4%減となった。

 足元においてもリサイクル品の価格低下が続いているが、昨年投入した新規生産設備が今年に入りフル稼働しており、業績に回復の兆しが出ている。14.1-3月期の売上高は前年同期比10.7%増、純利益で同10.7%増と2ケタの増収増益。なお、会社側の見通しでは、コスト管理の強化や積極的な市場開拓等を通じて今1-6月期の純利益が前年同期比0~20%増になるとしている。

環境汚染の規制強化を契機に産廃処理が成長の牽引役へ

 司法当局は昨年半ば、環境汚染罪に関する新たな解釈を発表。これを契機に有害廃棄物の不法処分に対する刑事罰が一層厳格化された。現状は、ライセンスを持つ専門業者が無害化処理した危険廃棄物は全体のわずか3割程度にとどまっている模様だが、これを契機に有害廃棄物処理の需要は一段と高まっていく見通し。つれて、需要増加による既存設備の稼働率改善が予想されるほか、更なる市場規模の拡大も期待できよう。それゆえ、処理能力の増強に注力しており、今年は江門(年間処理能力20万トン)、嘉興(同6万トン)など複数の廃棄物処理施設が竣工・稼働する予定。加えて、今後も買収や処理場の増設などを通じて廃棄物処理事業の拡大を図る方針だ。これらを踏まえ、16年までに産業廃棄物の処理能力は現在の約40万トンから約130万トンまで拡大する見込み。このような投資拡大は短期的には利益面での圧迫要因となるが、長期的には産業廃棄物処理事業のスケールメリットをもたらし、競争力の強化に繋がろう。(高)

部門別売上構成比(13.12期) 業績推移

港華燃気(タウンガスチャイナ)

01083〈N9130〉香港 株価チャート

ホンコン・チャイナガスを親会社とするガス会社

 進出地域でのガス管設置を通じて都市ガスの販売を手掛ける。主な事業エリアは遼寧省等を含む東北地区、江蘇省や広東省等の華東・華南地区など。近年、成長性が高い中国内陸部での市場開拓にも注力。

 13.12期は前年比29.6%増収、純利益で同31.6%増益。売上高の約8割を占める都市ガス販売事業は同32.5%増収、セグメント利益で同38.8%増益と全体の業績を牽引。都市ガス販売量が53億?、同11.8%増となったほか、平均販売価格も上昇した。また、ガス管敷設事業も新規顧客獲得件数が同19.2%増と引き続き堅調で、同19.8%増収、セグメント利益で同15.7%増益と好調。

環境保護意識の高まりに伴いガス需要は増加へ

 当局は深刻化する大気汚染対策の一環として天然ガスの利用拡大を促すと同時に安定供給にも力を注いでいる。昨年、ミャンマーと結ぶ天然ガスパイプラインが稼働を開始したほか、今年はロシアとの間で天然ガスの長期供給契約を結んだ。こうしたなか、同社は昨年、合計14件のガスプロジェクトを獲得、今年に入っても6件のプロジェクトを新たに取得した。5年後には、これらの新規事業によるガスの年間販売量が約21億?に達する見通し。さらに、今後も買収を通じてガス普及率の低い内陸地域を中心に事業の拡大を図る方針だ。環境保全と都市化の進展に伴うガス需要拡大が同社の成長を支えよう。(高)

恒大地産集団(エバーグランデ)

03333〈N3333〉株価チャート

広州を本拠とする大手不動産デベロッパー

 中高級物件の住宅開発に強みを持つ一方、商業施設やホテルなどの運営も行う。昨年末時点で広州、北京、上海等、国内147都市において291件のプロジェクトを手掛け、保有開発用地は1億5100万㎡に上る。

 13.12期は売上高が前年比43.5%増、純利益で同37.5%増。主力の不動産開発事業が同45.2%増収、営業利益で同52.2%増益と好調だった。予約販売に関しても堅調に推移しており、成約額は同8.8%増の1004億元となった。また、人件費が高騰するなど、コストも全体的に増加したが、増収効果によって吸収。粗利益率は29.5%と、前年に比べて1.6ポイント上昇した。

今期に入っても予約販売は好調

 1-5月の予約販売状況は、成約額が前年同期比64.4%増の562.1億元と二桁の伸び。今期販売目標1100億元に対する進捗率で5割を上回った。面積に関しても同57.5%増の822.6万㎡。足元、国内の不動産業界を取り巻く環境は厳しい状況にあるが、同社は堅調だ。

 一方、ネームバリューの向上にも注力。10年に買収した地元のプロサッカークラブを豊富な資金力を用いて短期間のうちに強化し、昨年度、国内リーグ3連覇を達成するとともにアジア地域で頂点に立つまでに育て上げた。国内不動産業界では知名度のある大手を中心に市場シェアの拡大が続いているだけに同クラブの活躍は大きなプラスとなろう。(有井)

重慶農村商業銀行(CQRCバンク)

03618〈N3618〉香港 株価チャート

重慶市を主な地盤とする商業銀行

 内陸部最大の都市である重慶市を中心に江蘇省、四川省、雲南省などで銀行業務を展開。かつて農民の互助金融組織であった農村信用合作社を再編し、08年に農村商業銀行として設立された。昨年末時点で1770カ所の営業拠点を構え、本拠地の重慶では最大規模の店舗網を誇る。

 14.1-3月期の業績は純利益で前年同期比13.5%増と二桁の伸び。貸付残高が前期末比4.8%増加したことに加え、純金利マージンも前年同期に比べ0.08ポイント拡大したことで資金利益は同17.0%増。また、手数料や仲介料などによる役務取引等利益も同5.3%増となった。一方で、中核的自己資本比率は10.96%、前期末に比べ0.89ポイント悪化。ただ、不良債権比率が0.69%、同0.11ポイント低下するなど、財務内容は依然として健全だ。

中小企業向け融資の強化で更なる成長へ

 現在、中国では景気減速に対する懸念が強まっている。しかし、内陸部は開発余地も大きく、全国平均を上回る高い経済成長が続く見通し。特に、重慶は内陸部における唯一の直轄市ということで政策による恩恵も期待できよう。

 このような中、同行は近年、中小の優良企業に対する貸付けを強化している。実際、昨年末時点で法人向け融資に占める中小企業の割合は約8割に上った。中小企業への融資はリスク管理が難しいが、直近の決算を見る限り十分にコントロール出来ているようだ。内陸部における中小企業の発展に伴って、同行は今後も高成長を続けよう。(有井)

中信証券(シティックセキュリティーズ)

06030〈N6030〉香港 株価チャート

証券最大手、大幅な増収増益が続く

 国務院系コングロマリット「中国中信集団(CITIC)」に属する証券最大手。委託売買、ディーリング、引受、資産管理など幅広い業務を手掛ける。総資産、営業収益、投資銀行業務の手数料などで国内トップ(13年)。

 13.12期の営業収益は前年比55.1%増、純利益も同23.8%増と、大幅な増収増益を達成した。投信運用会社の連結化や仏証券大手「CLSA」の完全子会社化を通じた規模拡大に加え、株式市場全体の商い回復も追い風。委託売買、ディーリング、資産管理の部門で営業収益が大きく伸びた。今1-3月期も好業績を継続。特に、昨年不振だった投資銀行部門で本土A株IPO(新規公開)の再開に伴い手数料収入が回復した。

投資銀行部門が成長をけん引

 政府主導で進む資本市場改革が業界全体にとって追い風となる見通し。既に、優先株や地方債の発行、海外との資本取引拡大などの分野で成果が出ている。また、今年10月には上海・香港間における「互聯互通」(株式クロスボーダー投資)の開始も見込まれる。

 こうしたなか、同社は投資銀行や資産管理業務に強く、法人需要を幅広く取り込むことが出来よう。また、海外では昨年買収したCLSAとのシナジー効果に期待。既に、香港市場でのIPOなどで実績を挙げており、両社の統合が一段と進めば海外業務の拡大に繋がる。投資銀行部門が牽引することで中長期的に安定した成長を遂げよう。(畦田)

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