チャイナマンスリーレポート

2月号

2005年2月10日 内藤証券中国部

日本製紙メーカーの中国進出から見る中国製紙産業

日本大手製紙メーカーが次々と中国へ進出

日本の製紙メーカーが積極的に中国への進出を果たし、生産拠点の拡充を図っている。日本製紙グループは浙江省で板紙生産をはじめた。製品は段ボールに使われる「中シン」部分。家電などに使われる高級段ボール紙向けである。別案件として承徳帝賢(200160、深B)と共同出資で印刷・新聞紙の生産を計画中。ただし、先方の資金繰り問題で計画は大幅に遅れそうである。一方、王子製紙は単独で、日本企業の中国進出としては最大規模の2,200億円を投入して江蘇省南通に年間120万トンのアート紙生産工場を建設する計画。パルプの自社生産にこだわり、巨額の投資を行う。

供給不足が続く

日本の製紙大手が中国での生産に名乗りを上げたのは、日本国内の需要の低迷、中国の紙需要の急速な拡大が背景にある。GDPと紙消費量の相関関係から、1人当たりのGDPが1,000元上昇すれば、紙消費量は2.76キログラム増加するといわれている。2008年の北京オリンピックを経て上海万博が開催される翌年の2011年までには、紙の総需要は7,000万トン、内アート紙は1,700万トンに達すると推定される。但し、国内メーカーは国内資源量や資金力から推測すると、最大でも1,200万トン程度しか供給できないと予想されている(チンミン紙業の資料より)。中国では供給不足状況が続くだろう。

中国製紙市場での競争は始まったばかり

中国国内の製紙メーカーでは山東チンミン紙業(200488、深B)が最大手。インドネシア企業との合弁企業である江蘇金東APPはアート紙生産で国内最大。同社は王子製紙の中国事業展開において最も意識されるライバル社でもある。需要の大きいアート紙の生産に一極集中するといった戦略は両社とも同じ。品質の差はほとんどなく、コスト競争力が勝負の鍵を握っている。現在、1トン当たりの生産コストは、王子製紙より江蘇金東が約50ドル安い。江蘇金東APPと対抗するために王子製紙は紙パルプの自社生産に踏み切り、トータルコストを抑えて価格競争力を高めようとしている。紙パルプの生産には巨大な設備が必要なため、1トン当たりの生産コストは700ドル程度かかる。山東チンミン製紙は株式市場を通じて資金調達を行い、生産能力の拡大を進めている。しかし、山東チンミン紙業を始め中国系メーカーは限られた資金をなるべく紙の生産拡大に投下し、パルプはほとんど外部から購入している。王子製紙の投資額は2,200億円と巨額であるものの、パルプの自社生産によってアート紙価格をライバル社より30-50ドル安く抑えることができる。今後これらの企業が中心となって投資を拡大させることによって、中国製紙市場の成長は続くと考えられる。(許)

北人印刷(0187、HK)

中国印刷メーカー最大手

同社は中国印刷メーカー最大手、業界唯一の上場企業である。国内で「北人」ブランドは圧倒的な強みを持っており、主力製品である平板印刷機の販売台数は国内市場シェアの6割を占める。国内では競合他社はまったく見当たらないといっても良い。全国60ヵ所の販売拠点、100ヵ所の部品販売専門店を持ち、販売ネットワークは充実している。

高級印刷機分野へシフト、今後はさらなる成長へ

これまで中国の高級印刷機市場はハイデルベルク、ローランといったドイツメーカーや小森などの日本メーカーによってほぼ独占されていた。また、毎年海外から購入される高級機の総額は80億米ドルにも及んでいる。一方、同社はこれまで中級クラスの印刷機の生産を中心に事業拡大を進めてきたが、人的資源、研究開発のノウハウなどの蓄積が進み、ようやく高級印刷機分野へ進出できる条件が備わってきた。高い価格競争力、充実したアフターサービスネットワークを武器に、今後国内高級印刷機市場でもシェア獲得が期待できよう。

輸出のウェイトが上昇へ

同社のもう一つの成長ポイントは、4%に過ぎない海外輸出部門の拡大である。国内では、飽和状態に近い一部の中級印刷機の輸出を拡大させる方針。ロシア、ベトナム、タイ、ルーマニアなどが主要輸出先である。今後、海外輸出比率は全売上高の10%程度まで拡大させる意向。業績への寄与が一段と高まるものと思われる。

出遅れ感が強い

04年1-9月期は13.8%増収。イベントへの出展にかかわる宣伝費や経済特別区への工場移転に伴う費用が嵩み、純利益は7.7%増にとどまった。通期では3.3%増益が予想される。来期も販売好調が持続、単価の高い印刷機の構成比が上昇することによって、05年は13.0%増収、10.9%増益を予想。

中長期的に株価の上昇余地が大きい

株主資本比率が60%強と財務安定性は高く、配当利回りは3.14%と高い。来期予想PERは10倍の水準。過去数ヶ月の株価トレンドを見ても、出遅れ感が強い。投資スタンスはポジティブとしたい。(許)

業績動向  (単位:百万元)
  売上高 伸び率 営業利益 伸び率 純利益 伸び率 配当(元)
2001年 700 - 49 - 28 - 0.120
2002年 939 34.2% 104 111.2% 73 156.6% 0.100
2003年 1,015 8.1% 120 15.2% 96 31.8% 0.080
2004年(推) 1,135 11.8% 123 2.4% 99 3.3% -
2005年(予) 1,282 13.0% 144 17.2% 110 10.9% -

(香港会計基準)

内モンゴル伊泰石炭(上海B株、900948)

内モンゴル最大の総合石炭会社

内モンゴル自治区政府直轄の5,000万トンクラス重点石炭企業。傘下には11個の炭鉱を所有しており、石炭年間生産量は03年614.5万トン(前年比+39.3%)。販売地域別では華北・華南市場の売上高は全体の7割を占めている。

3つの鉄道建設プロジェクトを通じて、輸送能力を増強

同社の石炭輸送手段は主に鉄道が中心。主要な運搬ルートは西営子石炭集積所―ジュンガル-大同-秦皇島港。輸送能力の不足、同業他社と鉄道使用割当分の競争などにより、輸送ネットワークの拡大は今後発展の最優先課題となる。現在3つの鉄道プロジェクトが立ち上がっている。(1)准東鉄道の電気化改造。年間輸送能力は現行の600万トンから2008年に3,100万トンに拡大する見通し。(2)呼和鉄道(ジュンガル-フホホト)の建設。同鉄道は国家プロジェクト「西電東送」の中核基地である託克託県を通過する予定。託克託県における発電所の設備容量は2010年に現行の5倍規模の1,000万キロワットに拡大する見通しから市場の需要は大きい。(3)ジュンガル-大同の直通鉄道の大東鉄道の建設。現在ジュンガル-大同間では、中国最大の石炭会社神華集団と共用しているため、毎年の鉄道使用割当分が全体の20%に過ぎず、最大の輸送ボトルネックとなっている。同鉄道の完工により、輸送量は5,000万トンまでに大きく拡大することができる。同計画は現在審査中。

今後の石炭需要は依然として旺盛

石炭は中国の最重要なエネルギーであり、エネルギー消費総量の6割以上を占めている。近年内需拡大により、石炭多消費産業である電力、鉄鋼、建設工業の急成長に伴い、石炭消費は急速に伸びている。建設ラッシュで作られた発電所、製鉄所が今後相次ぎ稼動すると見込まれ、石炭需要の拡大はしばらく続くと思われる。

販売量の増加、価格の強含みにより2桁業績成長を見込む

2004年1-9月期は石炭需要の急拡大により59.0%増収、244.8%増益の好業績を達成した。通期では42.9%増収、258.6%増益を見込む。今年会社側は生産量、販売量をそれぞれ前年計画比35.5%、26.6%増と計画。また石炭価格も前年より16%高の400元/トンという平均価格で取引されることから、今年の業績は2桁の高成長を予測。中長期における事業成長のポテンシャルの高さ、今の株価水準の割安感から、株価の上昇余地は大きいと思われる。(劉)

業績動向  (単位:百万元)
  売上高 伸び率 営業利益 伸び率 純利益 伸び率 配当(元)
2001年 1,147 - 39 - 33 - 0.05
2002年 1,400 22.0% 83 110.2% 68 107.3% 0.11
2003年 1,679 19.9% 106 28.3% 73 6.1% 0.12
2004年(推) 2,400 42.9% 390 266.7% 260 258.6% -
2005年(予) 3,500 45.8% 470 20.5% 310 19.2% -

(中国会計基準)

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