チャイナマンスリーレポート

5月号

2005年5月19日 内藤証券中国部

上海B株

下落

上海B株指数は、月初め上昇し、8日には月間最高値83.24ポイント(終値ベース)を付けたものの、その後は下落に転じ、29日には月間最安値75.26ポイントで引けている。

機関投資家による資金流入への期待が高まる

1日、中国証券監督管理委員会(CSRC)が各地方の証券監督管理部門、両取引所の責任者を集め、緊急会議を開いたことが確認されると、市場救済策が打ち出されるとのうわさが流れ、買いが先行した。また、4月8日、上海証券取引所、深セン証券取引所が、統一株価指数「滬深300指数」の公表を始めた。両市場から300銘柄を選別して作られる同指数は、時価総額ベースで全体の6割を占める。基準日は2004年12月31日、同日を1,000ポイントとする。A株市場全体の動きを反映する指数が導入されたことにより、A株市場での機関投資家による売買が活発になるとの期待感が広がった。

銀行による株式投資への期待が高まる

また、今年2月に発表された「商業銀行設立基金管理公司試点管理弁法」(商業銀行による投信会社設立についての試験的管理弁法)によって、条件を満たす商業銀行が投資信託会社を設立することが認められたが、中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)、CSRCは7日に連名で、中国工商銀行、中国建設銀行、交通銀行が投資信託会社を設立することを試験的に認めると発表した。保険資金の流入に続き、銀行による株式市場への参入が次々と始まるとの期待感が高まった。

具体策が続かず、失望売りが広がる

13日、CSRCの関係者は、長期的に株式市場が抱えている「股権分置」(流通株、非流通株)問題について、試験的措置を実施する環境が整っているとの認識を示した。政府が積極的な態度を示したことが好感されたほか、問題を解決する上で、一般投資家の権利を保護することが強調され、市場関係者の間に安心感が広がった。本土市場は一時的に大きく反発したが、その後、具体策が発表されず、また、市場で期待されていた救済策も発表されなかったため、失望売りが徐々に広がった。また、15日、宝山鋼鉄股フン有限公司が、A株市場で50億株の大型増資を行うと発表した。需給悪化懸念の高まりから、下げが加速した。

経済過熱が収まらず、マクロコントロール強化懸念が広がる

20日、国家統計局は1-3月期の国内総生産(GDP)などマクロ経済指標を発表した。同期のGDPは9.5%増と、市場コンセンサスを大きく上回った。固定資産投資額は22.8%増と、依然として経済過熱状態が続いていることが明らかとなり、マクロコントロールが今後さらに強まるとの見方が広がった。

決算発表で株価は乱高下

3月31日~4月29日にかけての個別銘柄の株価動向を見ると、2004年本決算で黒字転換、2005年1-3月期決算で大幅増益を発表した*ST大化集団大連化工(900951、+22.9%)、2004年本決算で大幅増益を発表した上海錦江国際酒店発展(900934、+17.0%)。2004年本決算で大幅増益、2005年1-3月期決算も好調だった上海海立集団(900910、12.0%)が上昇した。一方、2004年本決算で赤字転落を発表した上海三九科技発展(900907、▲33.2%)、電力不足、需要減少、販売価格の下落などの影響で、2005年1-3月期決算で赤字発表した華新セメント(900933、▲28.8%)。2004年本決算が減益となり、2005年1-9月期決算で赤字計上となるとの見通しを発表した上工申貝(900924、▲28.3%)が下落した。上海B株指数は▲2.5%の下落。

「強気」に据え置く

指数は下落したが、業績好調銘柄の多くは上昇している。政策が少しずつであるが具体的になっており、底入れは近いであろう。(田代、姜)

深センB株

下落

上海B株とほぼ同じ動き。月間最高値は8日の273.18ポイント(終値ベース)。月間最安値は25日の247.27ポイント。29日は251.32ポイントで引けている。

決算発表で株価は乱高下

3月31日~4月29日にかけての個別銘柄の株価動向を見ると、外資企業が筆頭株主となり、事業再編の可能性が出ていることが好感され、また、2005年6月中間決算の大幅増益見通しを発表した深セン物業発展(200011、+18.3%)、大幅増益の2005年1-3月期決算を発表し、2005年6月中間決算も大幅増益見通しの万科企業(200002、15.8%)、大幅増益の2004年本決算を発表し、2005年6月中間決算も大幅増益見通しの杭州スチームタービン(200771、+14.8%)が上昇した。一方、2004年12月本決算が減益となり、2005年6月中間決算が赤字となる見込みの京東方科技(200725、▲31.0%)、2004年12月本決算で1億9,000万元前後の赤字を計上する見通しを発表したが、法定期限の4月30日までに2004年12月本決算と2005年1-3月期決算を発表できなかった安徽古井貢酒(200596.SZ、▲29.9%)、2004年12月本決算が赤字となり、2年連続の赤字計上となったため、5月9日から上場廃止のリスクが高い「*ST」銘柄に指定されると発表したST深セン中国自転車(200017.SZ、▲29.6%)が下落した。深センB株指数は▲2.5%の下落。

「強気」に据え置く

深センB株は、上海B株と比べれば、株価は強い。人民元切り上げ圧力が再び高まっているが、ゴールデンウィーク明けもこうした状態が続くならば、深センB株の方が取り組みやすい。そうでなければ、上海B株に期待したい。(田代、姜)

H株

大幅下落

H株指数は、8日に月間最高値の4,891.78ポイントを付けたが、その後急落、18日に月間最安値の4,572.35ポイントをつけた。その後反発したものの、反発力は弱く、29日には4,657.7ポイントで引けている。

経済過熱がおさまらないことから引き締め策発動を警戒

月初は、有力な株価材料に乏しく、やや方向感を欠いた展開となった。中旬になると、米国株が急落、投資家心理は冷え込んだ。また、1-3月期のGDP伸び率が9.5%に上り、政府がさらなる引き締めに乗り出すのではないかとの懸念が強まった。そのほか、中国石油化工(0386)、中国石油天然気(0857)、中国電信(0728)などの大型主力株が3%以上下げたことも地合いを軟化させた。

資産リストラ関連銘柄が買われる

3月31日~4月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、前月10%以上上昇した慶鈴自動車(1122)が、好配当を発表したほか、いすゞ自動車が資本提携の拡大を打診していることなどから、31.7%上昇。複数の不安材料が指摘されるものの、足元の業績が好調な上に、資産リストラに関する思惑も広がったことから、広州薬業(0874)と哈爾濱動力設備(1133)はいずれも23.1%上昇した。反面、04年12月本決算で赤字転落となった広東科龍電気(0921)は、監査法人が業績について疑念を示したことも加わり、▲30.6%。原油価格の高騰を受け、1-3月期は4割以上の減益となった吉林化学工業(0368)は▲23.1%。有力外資機関も同社のレイティングを引き下げている。そのほか、04年12月本決算が市場コンセンサスを大きく下回った中国人民財産保険(2328)は▲19.2%。H株指数は▲2.8%。

「中立」に据え置く

米連邦準備理事会(FRB)による利上げが継続する一方で、米国景気への先行き不安感も残る。対米輸出への依存度が高い中国にとって、米国経済の影響は大きい。一方で、素材、不動産などの産業における投資過熱は続いており、今後抑制されることは必至であろう。人民元切り上げ期待による資金流入があるものの、不安材料も多く、当面は様子見である。(陳)

レッドチップ株

中旬急落したがその後回復

レッドチップ指数は、月前半、緩やかな上昇トレンドを描き、13日には月間最高値の1,573.87ポイントをつけた。その後は18日にかけて急落、18日には月間最安値の1,481.99ポイントを記録した。ただ、19~26日は6連騰で急回復。月末の29日は1,562.22ポイント。

大型主力株の業績が堅調

本土では不動産バブル抑制など、マクロコントロールが強化されつつある。レッドチップ株の大半は下落し、全体的には必ずしもよい動きとは言えない。上海置業(1207)が▲20.9%など、本土の不動産関連銘柄が大きく売られた。駿威汽車(0203)や華晨中国自動車(1114)など、自動車関連銘柄は依然として軟調。業績の悪いTCL多媒体(1070)なども大きく売られた。こうした情況のなか、相場を押し上げたのはやはり大型移動通信株だった。ウェートが圧倒的大きい中国移動(香港)(0941)と中国聯通(0762)はいずれも業績の拡大が好感され、4~5%台の上昇率を見せた。

材料難

3月31日~4月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、業績が市場コンセンサスに到達し、卸電価格の上昇も好感された華潤電力控股(0836)は17.7%上昇。赤字幅が縮小縮小しているほか、新しい商業衛星の打ち上げに成功した亜太衛星(1045)が7.7%上昇。一方、04年12月本決算で赤字転落した首長科技(0521)は▲30.0%。黒字転換を達成したものの、積極的な事業拡大志向から無配とした中信資源控股(1205)は、期待外れから▲25.9%。当面の業績は悪くないものの、本土での発電、高速道路事業の参入に力を入れていることから、大型投資が中央政府による引締政策に影響されるのではないかと懸念された香港建設(0190)は▲18.0%。レッドチップ指数は2.2%上昇。

「中立」に据え置く

業績発表、資産リストラなどの材料はほぼ出尽くしており、残りは人民元切り上げ期待だけか。有力な手掛かりが少ない局面で、相場は持合が続くのではないかと思われる。(陳)

その他香港株

回復

月前半のハンセン指数は、若干の足踏みを見せながらも上昇トレンドにあったが、その後は急落した。月間最安値は18日の1万3,355.23ポイント。ただ、その後は6日続伸などで1万3,900ポイントの大台を回復し、28日の1万3,909.42ポイントが月間最高値となった。

人民元切上げ期待再燃で資金流入、不動産株を中心に回復

月初から、原油先物価格や米国の金利動向などに敏感に反応しながらも徐々に回復してきたハンセン指数であるが、中旬には米国株の急落を受けて、他のアジア主要市場とともに急落し、13~18日にかけて444.39ポイントも下落した。その後米国株が回復に向かったことで、相場の地合いも好転した。米国を中心に、中国に対する人民元切上げ要求が強まる中、資金が再び香港に流入した。大手不動産業者の販売も堅調、主力の不動産株を中心に、指数は月後半6連騰するなど、急ピッチで回復した。

優良株は依然として堅調

3月31日~4月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、業績が堅調なほか、事業拡大が評価された長江基建集団(1038)は9.8%上昇した。販売が好調なほか、新たな市場開拓にも期待できるとして、有力外資機関がレイティングを引き上げた思捷環球控股(0330)は8.9%上昇。大手米系証券会社が業績見通しの良さから目標価格を引き上げたことで、長江実業(0001)は6.1%上昇した。一方、パソコン(PC)関連業務の粗利益率が低く、市場競争が厳しさを増しているとして、各社から投資判断を引き下げられている聯想集団(0992)は▲8.5%。1-3月期の業績が好調であるにもかかわらず、本土業務の収益力が落ちている上海実業(0363)は▲3.3%。製品の粗利益率が下がるなか、新たな収益源の創出が遅れていることから、徳昌電機(0179)は▲1.4%。ハンセン指数は2.9%上昇。

「強気」に据え置く

米国の市場動向など複数の外部要因に大きく左右される香港市場だが、ファンダメンタルズは依然として堅調なようだ。市場の目は今後、個別銘柄の選別に厳しくなるものの、主要企業の業績見通しは必ずしも悪くない。人民元切り上げがなかったとしても、相場はあまり調整されず、値固めが進むと予想。(陳)

各市場のレイティングと参考銘柄 中国株の動向(短期) 中国株の動向(中期)

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