チャイナマンスリーレポート

6月号

2005年6月10日 内藤証券中国部

上海B株

下落

上海B株指数は、大型連休開けの9日、5.05%安と急落して始まった。10日、若干戻し、71.57ポイントで引けたが、そこが月間最高値。しばらく70ポイント大台近辺でもみあったものの、23日から急落、27日月間最安値の66.82ポイントを付けた。31日は67.19ポイントで引けた。

非流通株の売出問題を解決するための試点(テスト)が始まる

2日、中国証券監督管理委員会(CSRC)は、「関于上市公司股権分置改革試点有関問題的通知」を発表、中国本土の上場企業の株式が流通株と非流通株に分かれている問題を解決するためのテストを開始した。

4社が第一弾として選ばれる

9日、テスト企業として、深センA株の1. 河北金牛能源(000937.SZ)、上海A株の2 .上海紫江企業集団(600210.SS)、3. 三一重工(600031.SS)、4. 清華同方(600100.SS)の4社が選ばれた。

既存株主への対価について

まず、保有株を流通化させたい非流通株の株主は、既存の流通株株主に対して対価を支払わなければならない。具体案は以下の通り。

  1. 河北金牛能源 保有株10株につき同社株2.5株を支払う
  2. 上海紫江企業集団 保有株10株につき同社株3株を支払う
  3. 三一重工 保有株10株につき同社株3.5株、現金8元を支払う
  4. 清華同方 無償増資を通じて取得した新株を用い、実質的に、保有株10株につき新株10株を支払う

非流通株の流通が認められた後、非流通株株主は流通が認められた日から少なくとも12カ月以内は、市場での取引や譲渡を行うことができない。また、発行済み株数の5%以上の株式を保有する非流通株株主は、その期間が終了した後、証券取引所を通じて売却することができる株式は発行済み株式数に対して、12カ月以内は5%を超えることができない、24カ月以内は10%を超えることができない。

この流通化案は株主総会の決議が必要であり、株主総会に出席した全株主の3分の2以上の同意、さらに参加した流通株株主の3分の2以上の同意が必要である(ただし、個別の条件は、これを上回るものになっている)。

発表後、軒並みストップ高を記録

流通株株主に対して圧倒的に有利な条件である。具体案が発表され、一時取引停止となっていたがそれが解除されると、4社の株価は軒並みストップ高まで買われた。ただし、その後は落ち着きを取り戻した。

マクロコントロール強化へ

12日、建設部、国家発展改革委員会(発改委)、財政部など7つの政府部門は連名で、「関于做好穏定住房价格工作的意見」(住宅価格の安定化作業に関する意見)を発表した。投機売買による不動産価格の急騰を抑制するため、2005年6月1日から、購入2年未満の住宅を売却する際、売却価格に応じて営業税を徴収するなどの対応策が打ち出された。また、12日、中国人民銀行の高官は、マクロコントロールするため、現段階では政府による行政的手段が必要と発言、市場心理を悪化させている。17日、国家統計局は、4月の消費者物価指数が前年同月比で1.8%上昇したと発表した。前月比では▲0.3%ポイント。1-4月の伸び率は2.6%となった。伸び率鈍化を受け、追加利上げ観測はやや後退した。一方、19日、国家統計局の最新統計によると、1-4月の都市部の固定資産投資額は、前年同期比25.7%増、不動産開発投資は25.9%増であった。固定資産投資は1-3月の25.3%増と比べ、高まっている。不動産開発投資の伸び率は依然高水準にあり、マクロコントロールが強化されるとの見通しが強まっている。

繊維政策で先進国と激しいやり取り

商務部は20日、紡織製品74種の輸出関税率を6月1日付で引き上げると発表した。欧米諸国との貿易摩擦回避に向け、政府が譲歩した形。その後、30日、財政部は148項の紡織製品のうち、計81項の紡織製品について、6月1日から輸出関税の徴収を取り消すと発表、前出の政策は一瞬にして「朝令暮改」となった。欧州連合(EU)が2種類の中国の紡織製品(Tシャツと亜麻糸)について、輸入制限を実施する方針を表明したことが直接の要因。中国側は強い不満を表明、突然の方針転換となった。中国が自主的に取り組んだ輸出関税率の引き上げを米国やEUが重視せず、依然として輸入制限に動くようであれば、それに応じて中国は自らの政策を調整する必要があると説明したほか、輸出関税と欧米の輸入制限による「二重の圧力」を中国企業に加えることはできないと強調した。今回の措置を受け、国内株式市場では、売られていた繊維関連株が反発している。個別産業への影響はともかく、経済全体に対しては欧米諸国との貿易摩擦激化に繋がることから、ネガティブサプライズとなっている。

短期債券の発行解禁へ

25日、中国人民銀行は「短期融資券管理弁法」および関連政策を発表、中国本土の非金融系企業が短期債券を発行することが認められた。インターバンク債券市場において、一定要件を満たした企業が適格機関投資家向けに発行する。この発表を受けて、上海振華港口機械(900947.SS)、中国国際航空(0753.HK)、華能国際電力(0902.HK)など5社が短期債券を発行すると発表している。企業の資金調達に関して選択肢が広がることで企業経営が安定する。株式市場全体に対してはポジティブサプライズと受け止めてよいだろう。

繊維、不動産などが売られる

4月29日~5月31日にかけての個別銘柄の株価動向を見ると、傘下のアパレル関連業務をすべて切り離し、経営を不動産、印刷、製紙、貿易などに集中させると発表した上海茉織華(900955、5.9%)、百聯集団との資産スワップを計画している上海物資貿易(900927、3.7%)、2005年1-3月期業績が増益であると発表、A株市場で通信設備関連銘柄が買われたことを受けて上海郵電通信設備(900930、1.8%)が上昇した。一方、紡織関連政策の発表で、関連銘柄が乱高下している。上海二紡機(900902、▲22.3%)、2005年1-3月期で減益を発表した華電能源(900937、▲19.6%)、華源凱馬(900953、▲18.6%)が下落した。上海B株指数は▲10.7%下落した。このほか、不動産関連も売られた。

強気に据え置く

A株市場は8年ぶりの安値をつけている。歴史に残るような高成長、3期連続の大幅増収増益を織り込まず、下げ続ける相場は明らかに異常である。ファンダメンタルズ以外の要素で下がっているだけに、いつ底打ちするかの判断は難しいが、売られすぎの状態である以上、強気でかまわない。ただし、“長期投資として”であるが。エマージングマーケットである以上、株価の乱高下は“宿命”である。(田代、姜)

深センB株

下落

上海B株と同様。

不動産株が売られる

4月29日~5月31日にかけての個別銘柄の株価動向を見ると、江鈴汽車集団と合弁で設立した江西江鈴控股の生産基地が近く稼動すると発表した長安汽車(200625、8.2%)、債務リストラの一環として、収入に対する返済額の割合を示す返済比率を3%に決め、金融関連負債の整理を進めると発表した*ST深セン中国自転車(200017、8.0%)、2005年1-3月期業績が増収増益となったことを発表した深セン国際企業(200056、7.0%)などが上昇した。一方、不動産新政策の発表を受け業績悪化懸念の広がった万科企業(200002、▲19.8%)、10株につき3株の割合で株主割当増資を行う計画を明らかにした麗珠医薬(200513、▲18.5%)、2005年1-3月期業績が赤字転落であったST中魯遠洋漁業(200992.SZ、▲17.6%)が下落した。深センB株指数は▲8.2%の下落。

強気に据え置く

上海B株参照。(田代、姜)

H株

軟調

H株指数は月初めにいったん上昇、9日に月間最高値となる4,772.31ポイントを付けたものの、その後は6営業日連続で下落した。目立った反発もなく、26日には月間最安値の4501.61ポイントを記録、その後も軟調に推移、月末の31日は4,593.03ポイントで引けた。

人民元切上げ期待は後退へ

月初めには、人民元切り上げの時期について具体的な期日が噂され、一部でホットマネーの流入がみられた。しかし、切り上げが決定されたとのニュースが流れ、その直後に誤報であることが分かると、急速に期待感が後退し始めた。さらに温家宝首相が「人民元相場制度改革は主権に基づくもの」と発言するなど、政府高官が外圧による人民元切り上げの可能性を再三否定したことを受け、相場は急速に冷え込み、H株指数は急落した。月末にはやや回復したものの、主要3指数の中では最も弱かった。ただ、中国石油天然気(0857)が6.42%高、中国電信(0728)が3.81%高など、業績見通しが明るいとされる独占的企業の株価は好調で、相場のさらなる下落を防いでいる。

個別銘柄では業績重視が鮮明に

4月29日~5月31日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、1‐3月期業績が66%増益となった浙江展望(8273)や、同じく44%増益の鄭州燃気(8099)はそれぞれ25.6%高、11.8%高と上昇した。そのほか、4月の車量通行量が大幅に増加したことや、政府が高速道路企業から徴収する営業税率を引き下げたことなどが好感され、四川高速道路(0107)が9.4%高となった。一方、1‐3月期業績が赤字拡大となった上海復旦張江生物医薬(8231)が▲36.0%、赤字転落の浙江永隆実業(8211)が▲33.3%など、業績不振組は急落した。広東科龍電器(0921)は、監査法人が限定付適正意見を出し、トップに関する不祥事報道などが嫌われ、▲22.0%と売られた。また、3‐4月にかけて大きく買われた慶鈴自動車(1122)は▲18.2%と反落。H株指数は▲1.4%下落した。

中立を継続

有力な手掛かりが少なく、6月中に交通銀行など大型国有企業3社のIPOも控えている。最大で640億HKドルが調達される予定で、月間資金調達額で言えば過去最高になる。H株のみならず、香港市場全体に一定のプレッシャーがかかるであろう。(陳)

レッドチップ株

前半の急落を月末の急騰でカバー

レッドチップ指数は月初めにいったん1,600ポイントの大台を試すような動きを示し、10日には月間最高値の1,597.96ポイントをつけた。しかし、その後は急落し、17日に月間最安値の1,516.52ポイントを記録した。それから26日にかけてもみ合った後3連騰で急回復し、31日に月間最高値を迫る1,597.26ポイントで引けた。

大型優良株の一部が相場をけん引

H株同様、一時大きく売られたものの、月末に3連騰して、大きく回復した。主要3指数の中では同指数の回復力が最も大きかった。しかし、それは全体的な上昇ではなく、一部の大型株が牽引した結果である。本土の携帯電話市場において過当競争が落ち着く方向に向かっているとのレポートが某証券会社から出され、ブランド戦略で比較的優位に立つ中国移動(香港)(0941)に連日買い注文が集まった。同社の直近の通話料収入は多くの地域で他社を大きく上回っていると報じられている。業績見通しの良さが好感され、株価は1ヶ月で5.4%上昇した。時価総額が香港市場で第2位を占めるだけに、同社の株高は指数全体を大きく押し上げた。

軟調

4月29日~5月31日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、ミン信集団(0222)は、華能国際電力(0902)の国有株を取得したことが好感され、9.1%高。中国光大控股(0165)は、業績回復期待から8.9%高となった。粤海投資(0270)は、MSCIインデックスに選定されるなど、地元証券会社からの積極的な買いによって、8.4%高となった。反面、清算申立が提出され、裁判所の審理を控えている保興投資控股(0263)は▲24.8%下落した。華凌集団(0382)は有償増資計画が嫌われ、▲24.7%と大きく下がった。業績の先行きが不透明と指摘されたTCL多媒体(1070)もさえず、▲13.6%下落した。レッドチップ指数は2.2%上昇。

中立を継続

有力な支持材料が少なく、短期的には上値は重いと思われる。(陳)

その他香港株

小幅下落

ハンセン指数は月初めにいったん1万4,000ポイントの大台を回復し、9日には月間最高値の1万4,085.09ポイントを記録した。ただ、その後は下落トレンドに転じ、25日には月間最安値の1万3,562.06ポイントを付けた。ただ、26日~31日かけて4連騰で1万3867.07ポイントまで回復した。

金利見通しに不透明感、ディフェンシブな銘柄が選好される

軟調の理由は、まず金利見通しの不透明感である。人民元切り上げ期待の後退、香港金融管理局がドルペッグ制に修正を加えたことなどから、資金が急速に流出し、インターバンク市場での金利上昇が懸念材料となった。銀行・不動産セクターでは主要銘柄が下落し、相場の地合いが軟化した。ただ、月末に米国の経済指標の良さが好感され、ハンセン指数はやや回復した。こうした情況のなか、資金はディフェンシブな公益株などに流れやすかった。深セン市の地下鉄プロジェクトに入札成功した地鉄公司(0066)は複数の有力証券会社の買い推奨を受け、15.7%高となっている。

目新しい材料が少なく、焦点は業績見通しに

4月29日~5月31日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、資本再編報道を再三否定してきたにもかかわらず、傘下の不動産物件の整理を目指して会計基準の変更を計画していることが買い材料になったほか、客室稼働率が上昇している泛海酒店(0292)は76.6%高と暴騰した。筆頭株主が株式の全面買収を進めることから、恒基中国(0246)も56.6%高。1‐3月期が大幅増益であることを発表したミスター康(0322)は、複数の証券会社がレーティングを引き上げたこともあり、25%高となった。反面、一連の資本再編活動を行ってきた保華建業(0577)、上海で大型汚水処理施設買収の決着が付かない国中控股(0202)はいずれも業績見通しが不透明で、▲23.0%、▲22.1%の下落となった。ハンセン指数は▲0.30%下落した。

強気に据え置く

6月には大型IPOを控えているほか、金利上昇、石油価格の不安定などの懸念材料があるものの、優良株の多くはやはり底堅いだろう。香港の消費はこれからも堅調に推移すると見られる。米国経済の見通しも悲観論がやや後退しており、投資家心理は改善しつつある。(陳)

各市場のレイティングと参考銘柄 中国の動向(短期) 拡大

上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的とした上記日時における弊社の意見です。政治、経済、為替などのリスクを十分にご理解頂き、投資に関する最終決定は、お客様ご自身でなさるようにお願い致します。また、弊社が信頼出来ると考える情報源から得た各種データなどに基づいてこの資料は作成されていますが、その情報の正確性および完全性について弊社が保証するものではありません。加えて、この資料に掲載された弊社の意見ならびに予測は、予告なしに変更することがありますのでご注意下さい。

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。