チャイナマンスリーレポート

7月号

2005年7月11日 内藤証券中国部

上海B株

下落

月初め、指数は急落、2日には月ベースでの最安値63.67ポイントをつけている。しかし、そこから急反転、9日には最高値70.10ポイントに達している。中旬にかけて下落、下旬にかけて若干戻したものの、月末には急落。30日は65.30ポイントで引けている。

非流通株の流通化問題が大詰めへ

政府は必死になって資本市場改革に取り組んでいる。非流通株の流通化問題では、第一弾の改革試験を経て、5月31日、第二弾に関する改革試験企業の選定に関する通知が発表された。第二弾では、国有資産監督管理委員会が直接管理する国有企業(中央企業)、地方政府に属する国有企業(地方国有企業)、民営企業、中小企業セクターなどいろいろなタイプの上場企業が選ばれており、問題解決案では、株式の譲渡、現金の支払いに加え、株式消却やワラントの付与などいろいろな手法が採用されるとみられる。また、(1)大株主が市場で流通株を購入することを認める、(2)非流通株株主が流通株株主に対価を支払うために発生する株式譲渡について、一時的に印紙税の徴収を免除する、(3)非流通株株主の持ち株比率最低ラインを定めるなど、試験はより投資家の利益に配慮したものとなっている。

株価下落への危機感から異例の記者会見

27日、中国証券監督管理委員会の尚福林・主席は、国務院の要請を受け、非流通株の流通化問題で緊急の記者会見を行った。今後、試験的段階を長引かせず、改革試験企業の第三弾を選ぶ考えもないことを明らかにするとともに、経験を総括し、規則を改善したうえで、全面的に「股権分置」問題の改革を推進すると説明。比較的短期間で、同問題の改革を基本的に完了させると強調した。行政が投資家に向けて、こうした会見を実況中継で行うことは極めて異例であり、政府がいかに現状の株価下落に対して危機感を持っているかがうかがえる。

資本市場改革が進展

資本市場改革としては、そのほか、(1)流通株の消却を認める「上市公司回購社会公衆股フン管理弁法(試行)」の意見を募集、(2)投信会社による証券ファンド投資を認める通知を発表、(3)中国人民銀行は、申銀万国証券と華安証券に資金貸付を実施、(4)個人投資家が上場企業から受け取る配当について、個人所得税の税率を実質半分にするなど多くの改革策が出されている。

投資家心理は改善せず

にもかかわらず、市場はなかなか反転しない。1,000ポイントを割るといろいろな形での政策が発表されるであろうとの思惑から、この水準が抵抗線として投資家から強く意識されてはいるが、一方で、先安感は依然根強く、底抜けの不安が払拭できない。投資家たちは、株価が上昇すれば、政府による株式放出が増えるため、長期的に上値は非常に重いと感じている。市場の外には多額の資金がある。投資家の信頼を回復させることができるようなさらに一歩進んだ投資家に有利な政策の発動が期待される。

今度こそ、抑制へ

マクロ面では、1-5月の都市部固定資産投資額が26.4%増と依然として高止まりしている。しかし、6月より、中央の指示により、地方政府は、それぞれ独自の不動産投資抑制策を打ち出している。今回の政策は、短期売買を厳しく制限する趣旨である。今度こそ、固定資産投資は落ち着きを取り戻すはずである。

リストラ銘柄が上昇

5月31日~6月30日にかけての個別銘柄の株価動向を見ると、親会社による救済策が打ち出された上海三九科技発展(900907、20.2%)、長期に渡り不振の続く農機分野から全面撤退することを決めた中泰凱馬(900953、12.5%)、グループ企業から金融支援を受けることになった*ST上海永世データテクノロジー(900904、11.2%)などが上昇した。一方、原油価格上昇が燃料価格上昇に繋がるとの懸念から海南航空(900945、▲15.3%)、ファンダメンタルズ面では大きく売り込まれる材料が見当たらないものの、大口投資家からまとまった売りが出たのではないかと思われる上海友誼集団(900923、▲12.0%)や上海広電電子(900901、▲11.0%)などが売られた。上海B株指数は▲2.8%下落している。

強気に据え置く

政府は、いよいよ非流通株の流通化問題解決に向けて、最終処理を開始した。資本市場改革に対する姿勢について、株式市場救済の意思について、政府は今まで以上にはっきりとしたメッセージを投資家たちに送り始めている。しかしこうしたメッセージに対して、投資家たちの反応はいまひとつ。反応はするが、わずかな利益が乗ればそれで、すぐに売ってしまう。長期的に株式市場は上昇するのだといった確信を抱く投資家がもっと増えない限り、トレンドは転換できない。そのために政府は何をすべきか。政府と投資家との戦いはまだまだ続く。投資スタンスは以前の通り。あくまでも長期の買い、ハイリスクハイリターンである。買い下がる覚悟が必要。(田代)

深センB株

下落

上海B株と同様。

中核銘柄である中国国際コンテナが大幅安

5月31日~6月30日にかけての個別銘柄の株価動向を見ると、モニター、フラットテレビ事業の再編を発表した京東方科技(200725、22.4%)、1年間下げ続けた後の反動と、足元の自動車関連統計に明るさがみられたことなどから常州ディーゼルエンジン(200570、13.3%)や江鈴自動車(200550、4.8%)が買われた。一方、輸出関連に対する見通しの悪化、上場廃止報道などから大口投資家からまとまった売りが出たと見られる中国国際コンテナ(200039、▲27.6%)、中間決算が赤字計上見通しであることを明らかにしたST広東盛潤(200030、▲16.7%)、中間決算見通しを下方修正した深セン賽格(200058、▲13.7%)などが売られた。深センB株指数は▲6.2%下落している。

強気に据え置く

上海B株参照。(田代)

H株

堅調

2~8日に4連騰するなど、月初めのH株指数は堅調であった。4,700ポイントを回復した後、狭いレンジでのもみ合いが続いたが、17日以降は再び上昇に向かい、22日には4,800ポイントの大台を回復した。その後も堅調に推移し、月末の30日は4,861.87ポイントで引けている。月間最安値は2日の4,540.06ポイント、最高値は28日の4,896.23ポイントであった。

大型IPOに明暗

6月の注目材料は大型国有企業3社のIPOであった。月間の調達金額は過去最高となっただけに、需給悪化懸念が強まった。実際、3社の間で明暗は分かれた。15日上場の神華能源(1088)はまずまずの結果であったが、30日上場の中国遠洋控股(1919)は人気薄。上場初日、IPO価格を10%下回って引けた。一方、23日上場の交通銀行(3328)は大人気。大量の応募資金が一時凍結されるため、市場金利への影響も見られたほどだ。しかし、欧米を中心とした人民元為替レートの早期改革を求める動きが活発化。人民元切り上げ観測が台頭し、投機資金が香港に流入。金利上昇圧力を和らげた。豊富な資金を背景に、H株全体のパフォーマンスは先月に比べて大きく改善された。また、下旬は原油先物価格が過去最高値を再三更新したことから、中国石油天然気(0857)が15.58%高など、石油関連株が大幅上昇し、相場をけん引した。

業績動向に敏感に反応

5月31~6月30日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、上昇率首位に立ったのは吉林化学工業(0368)だった。業績見通しがよくないものの、親会社の中国石油天然気が同社を100%子会社にするとのうわさが流れて、株価は27.33%上昇した。6月中間決算で大幅増益の見通しを発表していた広州薬業(0874)は22.34%高。一方、大型投資を発表していた浙江玻璃(0739)は、財務リスクや景気後退による業績悪化などが嫌気され、▲9.05%となった。マクロコントロールの影響で、不動産プロジェクトの着工が遅れると発表した北京首創置業(2868)は▲8.38%。上期の販売が市場コンセンサスを下回ったイ柴動力(2338)は▲6.88%。H株指数は5.85%高。

中立維持

経済成長率の鈍化が予想される中、今後の業績見通しについて、強気になれない。欧米が人民元改革に一層のプレッシャーをかける公算が高い。一方、中国は、外圧に屈する形での切り上げは実行しにくい。株式需給面では意味のある予想が困難な状態。様子見である。(陳)

レッドチップ株

前半はもみ合い、後半上昇

レッドチップ指数は、月半ばまで1600ポイントの抵抗線に抑えられ、狭いレンジでのもみ合いが目立った。16日に月間最安値の1584.57ポイントを付けた後、17日に反発局面に入り、28日には月間最高値の1659.34ポイントで引けた。月末の30日は1648.4ポイントだった。

中堅銘柄が物色対象に

先月は中国移動(香港)(0941)のような大型株がけん引役となったが、今月は様子が一変。「二線股」と呼ばれる中堅銘柄が物色され、相場を押し上げた。こうした銘柄の多くは、財務体質の改善や事業再編などのリストラ策を打ち出していることが特徴といえる。それを背景に、業績の改善や配当に対する期待感が高まった。また、香港市場への資金流入もあり、相場全体は嵩上げされた。

リストラ組が買われた

5月31日~6月30日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、経営戦略の見直し、財務リスクの低減、配当の早期再開を目指すと報じられた東方キン源(1208)は19.61%と上昇率1位となった。ホテル事業から撤退し、経営資源をスマートカード関連業務に集中させると報道された北京発展(香港)(0154)は12.50%高。複数の不動産物件をREIT(不動産投資信託証券)に組み入れて上場させることを検討している越秀投資(0123)は11.67%高。一方、銀建国際(0171)は月末に、主要株主の中国信達資産管理公司を含む国有企業が中央政府の会計検査で、「規則違反に関わる資金が多額に上っていることが発覚した」と報道され、32.65%下がった。ただし、同社は29日に自社株買いを実施していたことを発表。本土で格安で不良債権を買収する商談を進めていることが明らかとなり、30日には一時30.12%反発する場面もあった。一方、業績見通しの悪い方正数碼(0618)と減資を発表した広南集団(1203)はそれぞれ▲15.00%、▲13.11%。レッドチップ指数は3.20%高。

中立に据え置く

欧米投資家の動向が不透明。短期的にはボラティリティが高くなる可能性がある。(陳)

その他香港株

月末に高値更新

ハンセン指数は20日までは、1万4,000ポイント付近にある抵抗線に抑えられ、小幅変動となった。2日には月間最安値の1万3,814.58ポイントを付けている。17日からは反発。同日以降6連騰、1万4,000ポイントを突破。その後28日には2001年3月以来となる1万4,287.44ポイントまで上昇した。30日は1万4,201.06ポイントで引けている。

資金流入が活発化

月初め、金利上昇に打ち止め感が出るとの意見も一部で聞かれたが、それ以外、目新しい買い材料は見当たらなかった。国有企業3社による大型IPOを控え、市場は手控えムードが蔓延した。しかし、23日上場の交通銀行の公募が大盛況に終わり、そのことが市場全体に明るさをもたらした。海外からの資金流入が活発となり、地鉄公司(0066)が月末に上場来最高値を塗り替えるなど、ハンセン指数構成銘柄の大半が買われた。

ディフェンシブ銘柄に資金流入、不動産銘柄も復調

5月31日~6月30日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、6月6日付でハンセン指数構成銘柄に選ばれた新世界発展(0017)は17.18%高と上昇率トップ。ただし、月末に日系証券会社が好材料出尽くしとして、レーティングを引き下げている。経営資源を中核業務に集中することが好感され、華潤創業(0291)は12.15%高。金利上昇を織り込み、長江実業(0001)や恒基地産(0012)などの大型不動産が大きく買われ、相場全体を押し上げた。反面、不動産事業を切り離して上場すると報じられた聯想集団(0992)が▲7.07%、米系有力投資銀行が業績予想を引き下げた徳昌電機(0179)は▲2.05%と軟調だった。ハンセン指数は2.41%高。

強気維持

短期資金の動向が相場雰囲気に影響するものの、消費は引き続き好調を維持している。9月のディズニーランド開園も近づいており、関連銘柄は一段高が期待される。(陳)

各市場のレイティングと参考銘柄 中国の動向(短期) 中国の動向(中期) 中国の動向(長期)

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