チャイナマンスリーレポート

8月号

2005年8月10日 内藤証券中国部

上海B株

人民元切り上げ前後で指数は乱高下

上海B株指数の月間最高値は、月初め1日の64.0ポイント。初旬、中旬は下落。特に15、18日は急落、21日には51.3ポイントの月間最安値をつけた。その後は、急速に回復、27日には戻り高値59.5ポイントをつけた。7月最終取引日の29日は58.7ポイントで引けている。

切り上げと同時にドルとのペッグを離れる

株価急落と急回復の要因は人民元の切り上げ。22日より、人民元相場は、これまでの実質的なドルとのペッグ関係を離れ、通貨バスケット制を参考にした管理フロート制に移行した。

人民元切り上げで全面高

ここ2年、ドルが減価する前にドル資産を処分したいという投資家たちによる売りが上海B株の株価を押し下げてきた。7月は、こうした動きが加速、一時“パニック売り状態”となり、指数は出来高をともなって急落した。注目すべき点は、こうした売りが、切り上げされる1週間前である15日から出たこと。中国における相場の“先見性”には今後とも十分関心を払う必要がある。切り上げ直後の22日、指数は7.1%上昇、その後29日までに14.3%上昇している。人民元切り上げにより、材料出尽くしとなった。そもそも人民元が切り上げられれば、ドルで表示される株価は上昇するはずである。市場には買い安心感が広がり、全面高の展開となっている。

非流通株の流通化問題は織り込みつつある

非流通株の流通化問題については、第二弾テスト企業が試案作成に入っている。すべてA株であるが、多くの銘柄で取引停止状態となっている。政府は短期間で解決したいのであろうが、一部企業については長期化する可能性もある。ただし、最終決定されるだろう大まかな姿は見えてきており、マーケットはこの問題を織り込みつつある。

GDP統計発表には反応せず

国内総生産(GDP)統計が20日に発表されたが、本土マーケットは反応せず。中間決算発表についてはまだ始まったばかり。業績が大きく変化する企業については事前に予想を発表しなければならないが、そうした発表もすでに出終わった。マーケットの事前の予想としては、“業績は悪くなりつつある、特に上海B株は悪い企業が多い”といった意見がコンセンサスであったが、“結果はそれほど悪くないのでは?”といった感じに変わりつつある。

不動産、繊維関連が上昇

6月30~7月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、6月中間期業績を大幅修正した江蘇新城不動産(900950)、上海三毛企業(900922)がそれぞれ20.3%、10.9%上昇、業績好調が続く上海錦江国際酒店発展(900934)が4.2%上昇した。優良銘柄に加え、不動産、繊維関連の一部が堅調であった。

業績悪化企業は急落

一方、6月中間決算で赤字転落見通しを発表した*ST東方通信(900941)、上海塩素アルカリ化工(900908)がそれぞれ▲30.9%、▲28.4%下落、業績悪化懸念のある上海タイヤ&ラバー(900909)が▲28.2%下落した。家電、自動車関連、素材などが安かった。上海B株指数は▲10.1%の下落。

強気を継続

国内投資家の多くはこれ以上の切り上げはないと考えている。しかし、筆者を含め多くの海外投資家は“人民元切り上げは始まったばかり”と考えている。今後、米中間で激しいやり取りがあるはず。それに伴い株価は上下にぶれそう。下げたらチャンス。(田代)

深センB株

上昇へ

深センB株指数は、初旬、中旬は下落。最安値は18日の199.3ポイント。ただし、下げ幅は上海B株指数と比べれば小さい。下旬は上昇、28日に月間最高値219.2ポイントをつけた。7月最終取引日の29日は218.7ポイントで引けている。

不動産が上昇

6月30~7月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、業績好調の万科企業(200002)、招商局地産控股(200024)がそれぞれ26.2%、14.3%上昇。前月の輸出関連の売りにつれ安となっていたものの、ファンダメンタルズはそれほど悪くないと再評価され、買い戻された中国国際コンテナ(200039)が11.5%上昇した。

業績悪化懸念のある企業は急落

一方、業績悪化懸念のあるST重慶建設摩托車(200054)が▲23.0%、大幅な減益見通しを発表した南山電力(200037)、業績悪化懸念のある湖北沙隆達(200553)が▲17.2%下落した。深センB株指数は1.0%上昇。

強気を継続

上海に同じ。(田代)

H株

下旬に急騰

7月前半のH株指数はやや軟調だった。8日に月間最安値の4,809.99ポイントをつけている。しかし、18~25日は6連騰。特に20日以降は急騰し、29日に月間最高値の5,263.41ポイントを付けている。

GDP発表が起爆剤、人民元切り上げが追い風に

7月前半のH株は、上場企業の業績見通しの悪さから売られた。マクロコントロールが浸透し、過剰投資と思われる分野で調整が行われるのではないかとの思惑が強かった。それを受けて、生産過剰の懸念が高まっていた鉄鋼などの素材関連株を中心に、全体的に軟調であった。しかし、国家統計局は20日、1-6月の国内総生産(GDP)が前年同期比9.5%増と発表。これまで売られていた銘柄に買いが膨らみ、株価は上昇基調に転換した。さらに21日の夜、中国人民銀行(中央銀行)が突然の人民元改革を発表するとともに、対米ドルの為替レートを2.1%引き上げた。さらなる切り上げへの期待感から、指数は一段高となった。

6月中間決算を意識した物色

6月30~7月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、外資系不動産大手と提携して事業拡大を図る北京首創置業(2868)が26.5%高となった。米系有力投資銀行の買い増しが明らかになったことも株価堅調の一因。また、原油価格の高止まり、国有資産監督管理委員会(国資委)による精製製品の値上げなどが買い材料となり、指数構成銘柄のなかでもウェートの大きい中国石油天然気(0857)は20.9%高。鉄鋼価格上昇による収益圧迫の影響が小さいといわれた東方電機(1072)は粗利益率の上昇が見込まれ、業績拡大への期待感から19.2%高となった。一方、中間決算の赤字見通しにより彩虹集団電子(0438)は▲26.0%となった。そのほか、4-6月の販売台数が当初の目標を2割以上も下回ったイ柴動力(2338)は▲18.5%、財テクの失敗が6月中間決算に大きな悪影響を与えると発表した深セン中航実業(0161)は▲12.2%となった。H株指数は8.3%高。

中立維持

2%の人民元切り上げによる株価への刺激効果はそれほど長くないと思われる。市場の関心はやはり上場企業の中間業績に集中する。優良銘柄重視。(陳)

レッドチップ株

大幅上昇

月間最安値は8日の1,604.71ポイント。その後は大幅上昇に転じ、15~20日にやや伸び悩む場面もあったものの、上昇トレンドは続き、月末の29日は月間最高値の1,777.1ポイントで引けた。

主力が指数をけん引、一部の中小型株はリストラを材料に急伸

指数構成銘柄のうち、とにかくウェートの高い大型株が大きく買われ、指数を押し上げた。主力の中国移動(香港)(0941)、中国海洋石油(0883)などが好調。そのほか、4-6月の売上好調から業績を上方修正するのではないかとの見方が広がったことで、聯想集団(0992)、駿威汽車(0203)も大幅反発した。また、一部の中小型株がリストラを材料に大きく買われた。

中堅不動産が好調

6月30~7月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、人民元切り上げで、好影響を受けるとされた内需系の華潤置地(1109)が31.0%高と目立った。筆頭株主による100%子会社化計画を発表した広東製革(1058)も27.4%高。同じ不動産関連の中国海外発展(0688)は好業績見通しを発表、25.0%高と大幅上昇。反面、本土での自動車販売・整備事業の買収対価として新株を発行した円通控股(1188)は▲45.2%となった。経営資源を中核業務に集中する計画を打ち出し、本土で物流企業を買収すると発表した招商迪辰(亜洲)(0632)だが、思わぬ理由で業績発表を延期したことなどで嫌気され、▲31.8%となった。株主割当増資を実施した華凌集団(0382)も▲29.4%。レッドチップ指数は7.8%高。

中立に据え置く

大型銘柄の動向に左右されやすい指数よりも、個別銘柄の動向に注目したい。材料は引き続き、業績見通しとリストラ。(陳)

その他香港株

上昇

ハンセン指数は上旬軟調だった。8日は月間最安値の13,964.47ポイントをつけ、7月で唯一14,000ポイントを割った営業日となった。ただ、その後は急反発した。特に12日以降は9連騰、過去最高記録(13連騰)に迫る勢いだった。26日は小幅安となったものの、翌日には反発し、月末の29日に月間最高値の14,880.98ポイントで引けた。

米国経済が堅調、買い安心感が広がる

月初めは、利上げやロンドンで発生した同時テロなどの不透明な要素で、手控えムードが広がっていた。しかし、テロによる悪影響が限定的だったこと、米国経済の堅調さを背景に、株価は好調を持続。その流れを受けて、世界同時株高となった。利上げ懸念がやわらぎ、不動産銘柄を物色する動きが活発化し、相場をけん引した。買い安心感が広がるにつれて、ハンセン指数も年初来高値を連日更新。高値圏に対する警戒感もあったが、人民元切り上げが追い風になり、相場を押し上げた。

優良銘柄が全面高

6月30~7月29日にかけて個別銘柄の株価動向をみると、黒字転換した泛海酒店(0292)は35.9%高。本土での事業拡大が明らかになった上海置地(1207)は24.4%高。米系大手投資銀行がレーティングを引き上げた香港交易所(0388)も20.1%高と好調。一方、本土での企業買収が計画通りに進んでいないことや、会社トップの株式放出などが嫌気された国中控股(0202)は▲56.9%。第三者割当増資を発表した中建電訊集団(0138)は▲44.8%。1-5月の売上が市場コンセンサスを下回ったとして、米系投資銀行にレーティングを引き下げられた国美電器控股(0493)も▲28.4%と軟調。ハンセン指数構成銘柄は全銘柄上昇。聯想集団などのレッドチップ系大型銘柄の上昇が目立ったほか、長江実業(0001)をはじめとする不動産株も買われた。主力物件の売れ行きが好調な信和置業(0083)も10.8%高。ハンセン指数は4.8%高。

強気維持

米国株との連動性が高まるなか、香港市場は連日のように高値更新を続けている。8月の焦点はやはり有力企業の決算発表。景気の堅調さに変わりはなく、9月にはディズニーランド開園のような大型イベントもある。(陳)

各市場のレイティングと参考銘柄 中国の動向(短期) 中国の動向(中期) 中国の動向(長期)

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