チャイナマンスリーレポート

10月号

2005年10月11日 内藤証券中国部

本土株

月後半急落したものの、下げ止まる

9月の本土株相場は、前半堅調、後半急落といった展開となった。本土株を代表する株価指数である上海総合指数の動きを見ると、8月31日~9月3日、13~14日と2段階で上昇、その後は高値付近でのもみ合いとなり、19日には月間最高値となる1,220.63ポイントを付けた。その後は4日連続の下げ、1営業日を挟み、27日も急落、28日には月間最安値となる1,131.77ポイントで引けている。翌日の29日は急落分を戻す急騰、30日は小動きとなり、月末は1,155.61ポイントで引けている。9月の上海総合指数は▲0.6%の下落。上海B株、深センB株とも上下の動きは同様。ただし、上昇時の上昇幅が若干大きく、下落時の下落幅が若干小さかったため、上海B株は+4%の上昇、深センB株は+1.9%の上昇となっている(後半図参照)。

上海総合指数の動向(週足)
上海総合指数の動向(週足)
上海総合指数の動向(日足)
上海総合指数の動向(日足)

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市場活性化策進む

月前半から中旬にかけての上昇は、(1)非流通株の流通化改革がいよいよ本格実施段階に入ったこと、(2)中国証券監督管理委員会(CSRC)が、業者、銀行などに直接働きかけるなど、積極的にファンド育成を進めていること、(3)中国人民銀行(中央銀行)の周小川・行長が市場参加者構造の健全化を図るべきだといった趣旨の発言をしたことなど。

政府は国有資産流出を懸念か?

一方その後の急落は、(1)招商銀行、中国石油化工(0386)など国有大型企業の非流通株の流通化改革について、国有資産の安売りにつながらないよう中央政府は流通株株主に対する補償を最小限にするのではないかといった見方が市場に広がったこと、(2)これまで期待先行で買われてきたST関連銘柄について、必ずしもそれらの銘柄が非流通株の流通化改革の対象企業に選ばれるわけではないこと、実施されたとしてもその時期はそれほど早くないのではないかと考える冷静な投資家が増えたこと、(3)国慶節休場(10月3日~7日)を前にひとまず利益確定売りや換金売りをする投資家が増えたことなどが要因である。

CSRCによる証券市場改革は今後も続く

その後、月末に戻しているが、「証券投資者保護基金管理弁法」の発表に加え、CSRCが、A、B株やA、H株を同時上場している企業の非流通株の流通化改革について、「改革の条件が整った」との見解を示したなどが要因である。

上海はイベント重視、深センは投機的

両B株銘柄の上昇トップテン、下落ワーストテンは以下の通り。上海B株では、大口受注のあった上海振華港口機械(900947)、リストラが進行する上海物資貿易(900927)、業績好調、経営陣の質の高さが意識されつつある上海金橋輸出加工区開発(900911)などが上昇。深センB株では、リストラが完了した重慶建設摩托車(2000054)、3連続ストップ高の後3連続ストップ安となるなど投機的な動きをした低位株の代表である*ST深センベネルックス(200041)、*ST深セン中国自転車(200017)などが上昇した。上海よりも深センの値動きが激しく、取引は投機的である。

株価

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投資判断は強気

CSRCの立場は投資家の代弁者。一方、国務院の中には国有資産の流出を懸念する部門、企業へのコントロール力の低下を懸念する部門もある。地方政府は資金が欲しい。企業は地方政府から支援が欲しい。非流通株の流通問題について、複雑な権利構造の中で、紆余曲折があるだろう。

上昇トレンド維持

とはいえ、自由化、国際化、市場化の流れは不可逆的なものである。非流通株の流通とその結果進むであろう企業リストラによって株価は上昇トレンドを描くといったこれまで考えてきたシナリオに変化はない。
統計的な分析を行った結果、上昇時には低位株、下落時には値がさ株が有利であるといった結果が得られた。短期的には低位株を物色対象としたい。ここにあげた銘柄(低位株)に加え、先月号で取り上げたA、B同時上場銘柄で、8月にA株が急騰した銘柄などに注目。ただし、低位株は上昇時には大きな上昇率となるが下落時には大きく下がるといった特徴を持つ。ロスカット水準を決めた上で、慎重に投資すべきである。(田代)

株価

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香港株

前半は軟調、下旬に上昇

9月の香港市場は上昇トレンドを維持。月初めは高くその後は弱含み。中旬までの主要3指数の動きはほぼ同じ。20日以降、レッドチップは急騰、ハンセンは堅調、H株は低調な動き。ただし、H株も月末には急騰している(チャート参照)。

前半は強弱材料が拮抗

月初めは、原油先物価格の高騰、米国金利の動向などが引き続き弱気材料として意識された。米中首脳会談が近づいていることや、米中繊維協議の難航などを背景に、中国が人民元の上昇を容認するのではないかといったポジティブな材料もあったものの、全体として狭いレンジでもみ合った。


資金流入、「国慶節」を意識

20日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続するとの観測が台頭し、結果も利上げ(0.25%)となった。そのため中旬の相場はいったん軟化した。

不動産販売は好調維持

しかし下旬に入ると、様相が一変した。27日、香港政府が今年度最初の公有地競売を行ったが、事前には好結果が期待され、主要関連銘柄は軒並み上昇した。また、米国では大型ハリケーンにより大きな被害が出たが、主要国が石油価格安定政策を打ち出したことで、原油価格はむしろ低下した。これは株価市場を下支えした。

中国建設銀行IPOを控え事前に資金が流入か?

CSRCは非流通株の流通化改革について、H株の株主に対する対価の支払いはないと表明していたが、一部の海外株主が「不公平」として集団訴訟を起こすことが懸念され、下旬もH株の動きは比較的軟調であった。しかし、月末を控え、A、H株を同時に上場している企業も「改革の条件が整った」とCSRC関係者が表明したと報じられた。それを受けて、29日のH株市場は主要銘柄が軒並み買われて、大幅に反発した。一部では、「対価の支払いもあり得る」、「連休中にも人民元切り上げの発表があり得る」といったうわさも広がった模様。また、国慶節連休中、本土観光客が大量に香港へ流入するといった予想もあり、恩恵を受けそうな消費関連銘柄を物色する動きも活発化した。また、中国建設銀行の新規株式公開(IPO)を間近に控え、事前に大量の資金が市場に流入すると予想され、月末の香港市場は大きく賑わった。

大型優良株が指数を牽引

ハンセン指数採用銘柄では、香港市場で時価総額2位の中国移動(香港)(0941)が13.1%高、聯想集団(0992)が17.2%高となった。前者は、本土市場での優位性が増しており、好感された。後者は、IBMのPC(パソコン)部門の買収により、ネガティブな影響が大きいと予想されていたものの、今後はむしろ相乗効果が期待できるのではないかとの意見が外資系の大手投資銀行から出始めている。いずれもレッドチップ指数構成銘柄でもあり、両銘柄の指数全体に占めるウェイトは大きい。不動産銘柄は明暗が分かれた。九龍倉集団(0004)、長江実業(0001)などは業績好調、買われたが、国泰航空(0293)、裕元工業(集団)(0551)などはコスト高が懸念され、株価は軟調となった。

レッドチップは本土系不動産が好調

超大型銘柄を除いたレッドチップでは、積極的な資産リストラで収益力の向上を狙う戦略が外資系の大手投資銀行に評価された北京控股(0392)が28.0%高となった。不動産関連銘柄は、本土での販売が好調、総じて買われた。中国海外発展(0688)は業績見通しが良く、財務体質も評価され、21.7%高。粗利益率の上昇が見込まれると報じられた華潤置地(1109)も中旬以降に大きく上昇し、17.3%高となった。一方、親会社による株式非公開化計画が否決された広東製革(1058)は▲29.5%。6月中間業績がさえなかった銘柄が全般的に売られ、販売不振が懸念された華晨中国汽車(1114)は▲15.2%となった。

H株は素材・不動産が好調

H株については、コモディティー(生活必需品)価格の堅調さや当局の政策動向が意識され、とりわけ素材系銘柄と不動産関連銘柄の大幅上昇が目立った。国際市場での金価格上昇を背景に、紫金鉱業(2899)は33.8%高。江西銅業(0358)などの素材関連銘柄のほか、原油価格の高騰で中国石油化工(0386)、中国石油天然気(0857)などの大型株が指数をけん引した。そのほか、7月21日の人民元切り上げは不充分との見方から、再度の切り上げが期待され、不動産が買われた。復地(集団)(2337)と宝業集団(2355)はともに19.6%高。一方、6月中間業績がさえなく、有名ファンドによる売りが多く出た北人印刷機械(0187)は▲13.9%。3月以降大幅に上昇した東方電機(1072)は9月に入り、調整が続き、▲11.0%となった。大手格付会社のレーティング引き下げを受けた比亜迪(1211)は月末に反発したものの、▲10.5%となった。

低位株上昇

その他香港株では、上昇相場に乗り、低位株の一部が買われた。オンラインゲームのライセンスを取得すると発表した日本亜太事業(0603)は86%高。中間決算で黒字転換を達成したE-KONG(0524)は69.4%高。資本リストラが好感された金沢超分子(2362)は64.2%高となった。一方、6~8月にかけて急騰した泛海酒店(0292)だが、急落、▲82.2%となった。うわさされていたマカオへの投資案件の内容が明らかになっていないほか、香港証券監督管理当局が同銘柄の取引に関して調査に乗り出すとの噂も流れた。業績見通しが悪く、当面の資産再編も計画通りに行かなかった泰徳陽光(0307)は▲58.0%。6月中間業績が赤字転落となった徳林国際(1126)も▲37.2%。

当面は軟調か?

短期的には、人民元切り上げは考えにくいとの見方が大半を占めるようだ。しかし、年末に向けて複数の大型ファイナンスが予定されており、大量の資金流入が予想される。H株については、政策しだい。ただし、第3四半期の業績見通しには注目すべき。また、米国市場の動向にも要注意。(陳)

各市場のレイティングと参考銘柄 中国の動向(短期) 中国の動向(中長期)

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