チャイナマンスリーレポート

11月号

2005年11月10日 内藤証券中国部

本土株

中国本土株の動き(中期)

中国本土株の動き(短期)

拡大 上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

下落

中国本土株を代表する指数である上海総合指数でみれば、国慶節明けの10月10日は▲1.4%急落したが、その後持ち直し、12日は月間最高値となる1,162ポイントを付けた。しかし、その後は低迷、24日以降下げ足を早めている。月間最安値は28日の1,081ポイント、月末は1,093ポイントで引けている。


深センB株の下げが大きい

上海B株、深センB株についても上げ下げの状況は同様。ただし、上海総合指数よりも上海B株、上海B株よりも深センB株の下げ幅が大きい。


五中全会ではサプライズなし

8~11日にかけて、五中全会が開催された。第11次5カ年計画(2006~2010年)についての建議が採択され、2010年に1人あたりGDPを2000年の2倍とする目標を表明した。しかし、市場ではほとんど材料視されなかった。

第3四半期の成長率発表も悪材料かと思われたが市場は反応せず

20日発表された1-9月のGDP成長率は9.4%と市場コンセンサスである9%弱を超えた。また、国家発改委の馬凱主任は、中国共産党中央党校所管新聞のインタビューに応じ、①今後数ヵ月は新たな引き締め策を打ち出さない考えであること、②固定資産投資の抑制を強調、企業への土地供給や銀行貸付のコントロールを持続することなどを明らかにした。経済過熱が完全に治まったとは言えず、むしろ悪材料かと思われたが、市場は反応せず。


会社法、証券法の改正案の可決にも市場の反応は限定的

「会社法」、「証券法」の改正案が27日に全人代常務委員会で可決され、2006年1月1日付で施行されることが明らかになった。会社形態や設立条件などの面で大幅な規制緩和が講じられ、上場企業の監督管理体制の強化や罰則の明確化などの内容が盛り込まれた。金融機関の兼業経営に対するハードルを引き下げるといった内容も見られ、銀行資金が間接的に資本市場へ流入しやすくなるだろうと見られる。また、こうした法制度の改善は、長期的な視点から見れば、資本市場の発展に繋がることから、株式市場にとって好材料であるとみられたが、市場の反応は限定的であった。


対価の水準が市場の期待を下回る

10月も市場の注目を集めたのは非流通株の解消であった。10月に発表された各社の改革案を見る限り、市場が期待したほどの内容ではなかった。特に上海地場系証券会社に関しては業績が悪いところが多く、市場はその分大幅な対価を予想していたが、結果はそうではなかった。


A、B同時発行企業の解消案が出されたが、いずれもB株株主に対する対価支払いはなし

A、B同時発行企業の中で、まず、上海永久自転車(900915)、万科企業(200002)が非流通株の解消案を発表したが、B株株主への対価支払いはなかった。その後、京東方科技(200725)と上海海立集団(900910)も改革案を発表したが、こちらもB株株主に対する対価支払いはなかった。これがB株の下落がA株に比べ、大きかった要因であろう。


IPO再開を懸念

今年中には非流通株の解消にめどが立ち、来年早々にもIPOが再開されるのではないかといった見通しが市場に広がりつつある。市場全体に需給悪化懸念が台頭しつつある。


業績発表はネガティブサプライズ

10月は、1~9月期の業績発表が相次いだが、鉄鋼、石油化学、家電などの業種では業績悪化傾向がよりはっきりしてきた。赤字企業も目立ち、全体を通じていえば、ネガティブサプライズとなった。

ファンドも解約が増える

一方、多くのファンドも1~9月期の決算を発表したが、株式投資のウエートが高いファンドの多くが大量の解約に遭っていたことが明らかとなった。インデックス・ファンドだけでもネットベースの解約数が52億口に上っている。機関投資家の売りが指数構成銘柄である優良株下落の主要因であろう。

業績好調銘柄が素直に買われる

ここ1ヵ月間の銘柄別の動きを見ると、上海B株では2社、深センB株では4社が辛うじて上昇した。上海B株では、第3四半期の業績がよく、その割には7月後半以降株価がさえなかった内モンゴル伊泰石炭(900948)、今期純利益倍増以上の見通しを発表した江蘇新城不動産(900950)の2社、深センでは、今期黒字転換見通しを発表した*ST深セン中国自転車(200017)、第3四半期の業績が好調であった合肥美菱電器(200521)などの4社が上昇した

今期の見通しが悪い企業、これまで上昇率の高かった銘柄が売られる

一方、下げが大きかった銘柄は、上海B株では、競争激化から大幅減益見通しを発表した上海ディーゼルエンジン(900920)など、業績不振企業、中でも7月後半以降、非流通株の解消によりメリットを受けるであろうといわれ、急騰してきた銘柄。深センB株では、今期利益が50%以上の減益となることを発表した長安汽車(200625)、今期も赤字が避けられないとの見通しを発表した*ST深センベネルックス(200041)など業績不振企業の下げが厳しい。

ベスト5、ワースト5
リストラ情報に注目

統計を見る限り、上海を中心に不動産価格の下落がはっきりとしてきた。一方で、人民元再切り上げを見越した外貨流入はとまらない。思い切った金融引き締め政策を打ち出していないため、資金供給は潤沢である。しかし、企業業績は鈍化傾向、非流通株の解消に関しては期待感が薄れつつある。さらにIPO再開による需給悪化さえ心配されつつある。ポジティブな材料としては、政府が引き続き資本市場改革を力強く推し進めていること。下げた時点では、政策発動があるとの見通しに変わりはない。業績不振企業にとって、11月はリストラ実行の最後のチャンス。リストラ関連情報に注目。(田代)


香港株

主要指数は軒並み下落

10月の香港株式相場は、主要3指数が軒並み大幅に下落した。「国慶節」明けの3日、ハンセン指数は月間最高値の15,394ポイントをつけた後、5日、6日は急落し、あっさりと節目となる15,000ポイントの大台を割った。その後は、小さな反発はあったものの、中旬以降はズルズルと下げ、28日には約3ヶ月ぶりの安値である14,215ポイントで大引けした。月末の31日は14,386ポイントとやや反発したものの、1ヶ月で▲6.8%となった。H株指数とレッドチップ指数もほぼ同じ動きとなり、それぞれ、▲8.7%、▲9.6%だった。


金利上昇が長期化するとの懸念が強まり、投資家心理は冷え込んだ

複数の地区の連銀トップがインフレに対する警戒感を明らかにしたため、米国の利上げが当初の予想よりも長期化するとの観測が広がった。それにともない、ドル高も生じたため、米国への資金移動が意識された。ドル連動制を採っている香港では、金利水準が米国に追随するため、金利上昇が支柱産業の不動産に副作用をもたらすことを懸念する投資家も少なくない。


大型IPOが投資スタンスの慎重化を誘う

27日に四大国有商業銀行の一角を占める中国建設銀行(0939)の新規上場が控えていた。今年の資本市場で世界最大規模の資金調達になるため、大きな注目を集めた。ロードショー直後の投資家の反応は高かったが、値決め、上場と進むにつれて、投資家の関心はやや冷めていったようである。上場後二日間は辛うじて公募価格で大引けしたもの、2日目のざら場では公募価格を割り込む場面が長かった。IPOの際に凍結された大量の応募資金が解凍され、市場への刺激効果も期待されたが、投資家による現金での応募はそれほど多くないとの指摘もあった。


「国慶節」連休での消費拡大も期待はずれ

月初めは本土が「国慶節」連休のため、これまで以上の観光客が香港に流入することが期待された。とりわけ、9月にディズニーランドが開園したため、香港では小売、ホテルなどの関連業界が大きな恩恵を受けると思われた。しかし、実際の本土客流入は予想を大きく下回った。大混雑が予想されるこの時期の旅行を嫌う顧客が増えたようである。また、鳥インフルエンザに対する懸念も相場の重石となった。


主力株が下げを主導

9月30日から10月31日にかけての動きをみると、ハンセン指数採用銘柄では上昇銘柄は、業績先行きに対する見通しが改善された聯想集団(0992)が1.3%高であったが、上昇銘柄は同社だけであった。公益株と銀行株の下げ幅は比較的に小幅にとどまった。指数の足を引っ張ったのは、自動車、海運、不動産など。複数の欧米系大手投資銀行からレーティング引き上げを受けた駿威汽車(0203)だが、結局▲17.7%と不振が続いた。本土輸出の伸び鈍化予想などから中遠太平洋(1199)も▲15.9%。金利に敏感な不動産関連では、九龍倉集団(0004)が▲12.6%など、代表的な銘柄が大きく下落。また、先月大きく上昇した中国移動(香港)(0941)が▲9.2%と反落。時価総額が大きいため、ハンセン指数とレッドチップ指数を押し下げた。H株でも中国石油天然気(0857)が▲9.2%など、大型主力株が軟調。


業績見通しのよい銘柄は買われる

一方、相場全体が冷え込むなか、中訊軟件(0299)が6.4%高、保興投資控股(0263)が28.4%高など、業績見通しのよい銘柄は逆行高。前者は海外需要が大きく、業績の堅調さを買われた。後者も業績の改善が中間決算で明らかとなり、株価は大きく上昇した。
また、注目の非流通株の解消で、A、H同時上場銘柄で第1号となった鞍鋼新軋鋼(0347)が改革案を発表した。非流通株がA株市場で流通する対価として、非流通株株主である鞍山鋼鉄集団公司が、保有株とワラントを流通A株株主に支払うことを決めた。改革案はA株市場に関連する非流通株と流通株の対話によって決められるため、H株株主は今回の改革に参画することはなく、対価を得ることはできない。売り圧力が増すのではないかとの懸念もあったが、改革案が発表された後は、むしろ株価は反発、そのため、同銘柄は▲3.4%にとどまった。


当面は調整が続くか?

有力な買い材料が少なく、相場は調整局面が続くであろう。香港最大の不動産投資信託(REIT)「リンクリート」(領匯房地産投資信託基金)が11月に上場する予定。大量の資金凍結による副作用も懸念されている。(陳)


表.各市場と参考銘柄
市場 参考銘柄
上海B株 上海錦江国際酒店発展(900934) 上海錦江国際実業投資(900914)
深センB株 山東チンミン紙業(200488) ロータイ紡織(200726)
H株 広深鉄路(0525) 中国石油天然気(0857)
広州薬業(0874) イ柴動力(2338)
魏橋紡織(2698)  
レッドチップ株 招商局国際(0144) 王朝酒業(0828)
中遠太平洋(1199)  
その他香港株 合和公路基建(0737) 地鉄公司(0066)
蒙牛乳業(2319) 太平洋航運(2343)
新奥燃気(2688) 北泰創業(2339)

今回入れ替えた銘柄
中国株の動向(短期)

中国株の動向(中期)

中国株の動向(長期)

拡大 上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的とした上記日時における弊社の意見です。政治、経済、為替などのリスクを十分にご理解頂き、投資に関する最終決定は、お客様ご自身でなさるようにお願い致します。また、弊社が信頼出来ると考える情報源から得た各種データなどに基づいてこの資料は作成されていますが、その情報の正確性および完全性について弊社が保証するものではありません。加えて、この資料に掲載された弊社の意見ならびに予測は、予告なしに変更することがありますのでご注意下さい。

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。