チャイナマンスリーレポート

8月号

2006年7月26日 内藤証券中国部

本土株

中国本土株の動き(短期) 中国本土株の動き(長期)

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急落後の戻りは弱い

本土株を代表する指数である上海総合指数の動き(6月20日~7月20日)をみると、6月中旬をボトムに反転、上昇を続けた。しかし、7月13日に急落、その後小さなリバウンドがあったが、戻りは弱い。B株指数の動きを上海総合指数と比べれば、7月5日の動きに大きな違いがある。特に深センB株の弱さが目立つ。


IPOは市場に対して需給悪化ではなく活性化をもたらした

6月上旬の急落は、4月以降急ピッチで上げたことの反動と中国銀行をはじめとしたファイナンスラッシュを市場が警戒したことなどが要因。6月中旬以降7月上旬にかけての上昇要因は、下げ過ぎに対する反動である。需給悪化懸念については、中国銀行などのIPOがうまくさばけていくのを投資家が確認するにつれ後退した。IPOの成功は、IPO玉の売買が活発になることで、資金が市場全体に行き渡り、市場を活気付かせた。ファイナンスのないB株が直近の高値を更新できないのに対して、A株が高値を抜けられたのは、こうしたことが要因であろう。


経済過熱へのサプライズ

一方、7月13日の急落要因は、(1)追加的な金融引締策が打ち出されるのではないかとの警戒感が広がったこと、(2)IPOの加速による需給悪化懸念の再燃などである。
第2四半期のGDP統計の正式発表は当初20日に予定されていたが、13日付「証券時報」で、観測記事として、第2四半期の成長率は10.9%、6月の消費者物価指数(CPI)は1.5%上昇、6月の固定資産投資が35%増と発表されてしまった。同日政府は、発表日を18日に繰り上げることを決めたが、内容を否定したり、リークしたことを非難しなかったため、市場では大きなサプライズとなった。つまり、経済過熱が続いていることへの警戒感が高まった。
また、資金調達規模が140億元を超える大秦鉄路股フン有限公司を含め、7つの新規公開(IPO)が14~26日の間に予定されていた。中国工商銀行のA、H株同時上場や、中国石油天然気のA株上場計画が予想よりも早くなりそうだといった報道もあって、需給悪化懸念が再び台頭した。


7月5日、中国銀行上場

なお、7月5日の上海総合指数の上昇率がB株指数と比べて高いのは、時価総額の大きな中国銀行が新規上場し、同日指数採用銘柄となったため。同銘柄は公募価格を23%上回って引けたため、指数は大幅に押し上げられた。



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セクターでは不動産が回復

過去一ヵ月間(6月20日~7月20日)の株価動向をみると、上海B株では、米国からの大口受注を発表した上海振華港口機械が26.8%高、非流通株流通化に絡む資産再編に関する期待から東方通信が19.1%高と買われた。一方、上期業績が大幅減益になるだろうと発表した上海海立集団は▲15.1%、上期業績が赤字となるだろうと発表した上海開開実業は▲11.6%であった。
深センB株では、赤字決算見通しを発表したもののリストラ期待が高まった*ST深セン中国自転車が29.4%高、親会社から一部債務免除を受けられると発表した*ST海南珠江控股が16.8%高と買われた。一方、銀行から債務不履行を訴えられている承徳帝賢針紡は▲20.0%、大幅減益見通しを発表した武漢ボイラーは▲15.1%であった。
そのほかでは、両市場とも、不動産関連株が好調であった。


内需関連に注目

先月と投資スタンスは変わらない。A株市場では今後大型ファイナンスが続く。政府の政策発動、業者の営業努力など市場拡大に向けた取り組みがなされるであろう。第十一次五ヵ年計画は今年始まったばかり。投資拡大はまだまだ続く。経済過熱についてはマクロコントロールを主体に金融政策を織り交ぜ、うまく処理できると予想している。人民元切り上げ期待による資金流入圧力も依然として強い。引き続き、万科企業、招商局、金橋、陸家嘴などの内需銘柄に注目したい。(田代)


香港株

大幅反発

6月20日~7月20日にかけての香港株式市場は大きく反発した。ハンセン指数は5.5%上昇。6月30日は年初来2番目の上げ幅を記録するなど、7月10日にかけて急騰。7月11日~18日は調整したものの、20日は1万6,472.6ポイントまで回復した。
H株指数は11.5%上昇。6月20日~7月7日にかけて10連騰した後、上値の重い展開となった。7月13日~18日は4日続落。ただし、20日は6,778.1ポイントに回復している。
レッドチップ指数は11.9%上昇。6月20日~7月12日は4回の小幅安があったものの、上昇トレンドを維持。7月13日~18日の調整を経て、20日は2,362.0ポイントで引けている。


米国の金融政策に振り回される

6月20日までの急落を経て、香港株式相場は自律反発となった。しかし、景気減速リスクとインフレ警戒との間で板ばさみ状態となった米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融政策の方向性を明示できず、次第に市場には先行きに対する不透明感が増していき、取引は閑散、売買代金が200億HKドル前後に低迷していった。


利上げ休止期待が高まる

米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月29日、0.25%の追加利上げを決定。その後発表された声明文をみて、「景気減速への配慮から利上げ休止も遠くない」との見方が広がった。それを好感し、幅広い銘柄が買われた。6月30日の売買代金は400億HKドル台に回復した。


地政学リスクや金融引き締めを嫌気

その後、北朝鮮のミサイル発射事件や中東情勢の緊迫化を背景に、地政学リスクへの警戒感が高まった。原油先物価格が高値を更新するなども嫌気され、株式相場は不安定な展開となった。また、日銀のゼロ金利解除や中国人民銀行(中央銀行)の利上げ観測もネガティブ材料となり、売買代金は再び細り、活気を欠いた相場展開となった。


堅調な企業業績とバーナンキ発言を好感

ただし、7月19日、一部の米国企業の好調な決算発表が好感され、アジア市場でも投資マインドは好転。また、バーナンキ・FRB議長が議会証言で、米景気の現状について「予想された減速は続いている」と述べた。利上げ休止観測が広がり、20日の香港株式相場は大きく反発した。


中国移動がハンセン指数をけん引

ハンセン指数構成銘柄では、信和置業(0083)が15.2%高。6月下旬に複数の証券会社がレーティングを引き下げていたが、自社株買いの実施や投資ファンドによる株式取得が株価を押し上げた。また、時価総額の大きい中国移動(0941)が13.6%高と指数をけん引。訴訟に勝ち、多額の賠償金を受け取れると見られる新世界発展(0017)も12.4%高。一方、下落銘柄は2つ。外資による買収・非公開化期待が後退した電訊盈科(0008)は▲3.8%、業績見通しの良くない徳昌電機(0179)は▲2.7%。


H株では広州広船国際の上昇が目立つ

H株では、大幅増益の可能性があるとみられた広州広船国際(0317)が59.8%高。資産注入や外資農機大手との資本提携がうわさされた第一トラクター(0038)は42.6%高。自動車生産の新規参入者である比亜迪(1211)は37.2%高。自動車部門が堅調であるようだ。一方、大手銀行が持株比率を大幅に引き下げたと報じられた東風汽車集団(0489)は▲3.5%。6月中間が減益見通しの中興通訊(0763)は▲0.6%。そのほか、競争が厳しいとされる聯華超市(0980)は▲0.6%。


レッドチップでは、悦達控股が急騰

レッドチップでは、悦達控股(0629)が96.6%高と急騰。業績好転や雲南省で鉱山採掘権を取得したことが好感された模様。昨年は非公開化計画が否決されたものの、計画が再度提出される可能性が意識された広東製革(1058)も51.4%高。米系大手証券会社による買い増しが報道された中国(香港)石油(0135)は46.1%高。反面、業績改善が見込めず、TCL多媒体(1070)は▲10.4%。組織再編計画を発表した香港建設(0190)は▲7.2%。業績見通しが不透明とされる円通控股(1188)は▲5.3%。


8月のFOMCがカギ

インフレ懸念や世界的な金融引き締めを背景に、流動性が縮小している。香港市場の売買代金は年初来の低水準。8月8日に開かれるFOMC前後には、ボラタイルな相場展開になる可能性もある。中東情勢、原油相場、米株式相場など、外部要因に影響されやすい状態が続こう。


金融セクターが堅調か

匯豊控股(0005)の決算発表を7月末に控えて、好決算への市場の期待は高まりつつある。QDII(適格本土機関投資家)業務関連で、中国銀行(3988)、東亜銀行(0023)、中銀香港(2388)に注目。保険料収入が堅調な保険セクターでは、利上げで最も恩恵を受ける平安保険(2318)に注目。中国光大控股(0165)は、傘下の光大証券の大幅増益やA株上場計画が好材料。光大銀行の資本再編にも期待。


ハンセン指数構成銘柄の見直しにも注目

8月のハンセン指数構成銘柄の見直し作業で、最大で5つのH株がハンセン指数に組み組まれる可能性がある。最有力候補は中国建設銀行(0939)。各業界の代表銘柄である中海発展(1138)、鞍鋼新軋鋼(0347)、華能国際電力(0902)、江蘇高速道路(0177)、中興通訊(0763)、ヤン州煤業(1171)などにもチャンスがありそう。


不動産セクターは有力業者が有利

政策リスクはほぼ出尽くし。直近の規制対象は外資。その主な投資先は商業物件。実需のある住宅市場は、政府が目指す価格安定が消費意欲を支えよう。中国海外発展(0688)などの有力業者に引き続き注目したい。


通信関連は業績好調組を重視

携帯電話料金の改革が検討されている模様だ。今までは電話をかける側と受ける側の双方向課金。固定網と同じの片方課金になれば、移動通信業者が固定網業者に支払う料金はなくなる。新規契約件数が低迷している中国電信(0728)にとって厳しいそうだが、中国移動(0941)は市場シェアの拡大チャンスもあろう。市場拡大は有力な端末メーカーにとっても朗報だ。受注先の業績が非常に好調である富士康国際(2038)は、大手から新規契約を取れるかどうか、市場の関心を集めそう。


自動車販売は減速へ

自動車販売は上期が好調だが、下期は減速の見通し。乗用車の値下げ競争も予想される。主な収益源である広州本田の主力商品に強力なライバルが多く、駿威汽車(0203)の業績に過剰な期待はできないであろう。一方、新車種の多い東風汽車集団(0489)は比較的有利とみられる。本土業務を増強する部品メーカーの北泰創業(2339)にも注目。


素材関連はボラタイルな動きを予想

金や銅などの金属相場は不安定な動き。関連銘柄の動向には注意が必要。石炭価格は当面、下ぶれの可能性もあるが、需給バランスが大きく崩れることはなさそう。最大手である神華能源(1088)に引き続き注目。


産業政策動向、M&Aなどにも注目

中国政府が半導体産業振興策や環境保護政策を検討中。税制優遇などが予想され、具体的な措置が明らかになれば、関連銘柄にはポジティブである。中国光大国際(0257)に引き続き注目。そのほか、家電量販店大手の国美電器控股(0493)が中国永楽電器銷售有限公司を買収する可能性が浮上している。M&Aや資本再編などにも注目。(陳)




トピックス銘柄(万科企業)の株価(データ:ブルームバーグ社より)


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