チャイナマンスリーレポート

12月号

2006年11月30日 内藤証券中国部

本土大手銀行株は買いか

本土銀行は上場ラッシュ

急成長する中国経済を象徴するかのように、中国本土の大手銀行が次々と香港証券取引所に上場している。2005年6月23日の交通銀行(3328)を皮切りに、資産規模トップ6行のうち中国農業銀行を除く5行が相次ぎH株上場を果たしている。また、資本再編中の中信銀行、中国光大銀行などの中堅銀行も香港での上場を計画しているようだ

公募はいずれも高倍率

国有企業としてのバックグランドを持つだけに、業績悪化懸念があり、IPOの規模が大きいだけに需給悪化懸念もあったので、IPOの成功を危ぶむ市場関係者も少なくなかった。しかし、5行のIPOは、いずれも高い公募倍率を記録、価格は上限で決定された。改めて人気の高さが浮き彫りにされた。


上場後、株価は上昇トレンドへ

また、上場後の株価動向をみると、交通銀行が188.0%上昇など、同期間のH株指数を大幅上回るパフォーマンスを示しており、相場上昇のけん引役となっている。とりわけ、この2カ月で本土大手銀行株は全面高となっており、市場の注目を集めている。9月22日上場の招商銀行(3968)は79.9%上昇したほか、上場して1カ月未満の中国工商銀行の株価も33.2%上昇している。

中国工商銀行上場後の株価推移

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高度経済成長による恩恵

最近の本土銀行株が急騰した背景には、少なくとも4つの要因が考えられる。まず第1に中国経済の高度成長がもたらす恩恵を最大限に享受できること。政府機関は今年も来年も10%前後の経済成長を見込んでいるが、銀行業界はそれ以上の発展を遂げることができよう。実際2000年から2005年にかけての本土金融機関の人民元建て預金残高の伸び率は18.3%、貸出額は14.4%増と成長率を超える伸び率となった。大手銀行は資産総額、貸出総額、預金総額などの面で圧倒的に優位である。金融改革が進むなか、H株の上場が企業統治能力の向上につながり、大規模な事業ネットワークをいかせる大手銀行は競争上さらに優位となろう。とりわけ、中央政府は経済のけん引役を投資から消費にシフトさせようとしているため、今後リテール事業の高成長が期待される。


人民元高の加速期待

第2に、人民元高は内需系銘柄の中核である不動産や銀行株にとって絶好の支持材料となっている。実際、今年の8月15日以降、人民元対米ドルの為替レートは上昇傾向にあり、11月に入っても昨年7月の切り上げ後の高値を連日更新している。米国は貿易不均衡の是正を強く求めている。足元でも貿易黒字、外貨準備高は急増しており、もはや人民元高を加速させざるをえない状況となっている。


明るい業績見通し

第3に、本土の主要企業が増益基調にあり、不良債権発生率は低く、企業の借入意欲も強い。国家統計局の発表によると、一定規模以上の工業企業(すべての国有工業企業と年間売上高が500万元以上の非国有工業企業)の2006年1-10月期の利益は、前年同期比30.1%増となった。一方、経済過熱の懸念は減退しつつある。中国本土企業の資金調達の大部分が大手銀行からの借入に頼っており、その好業績は銀行の好決算を予感させるとの見方も多い。

税制改革による増益効果の期待

第4に、税制改革による増益効果が期待される。WTO加盟後、間もなく5年が過ぎようとしている。今年12月には、金融サービス市場の全面開放が約束されている。一方、外資誘致のためにさまざまな税制優遇策を見直す機運も高まっている。本土企業に課している名目法人税率が33%に対し、中外合弁企業や外資企業は15%。こうした内外企業の税格差は、段階的に修正されるであろうことから、実質税率の高い大手銀行は、税率の引き下げによるメリットを得られそうである。

短期的には株価は割高

ただ、税率引き下げの可能性はあるものの、安定的な財政収入を確保したい財政部などは具体的なスケジュールを発表していない。最近の株価急騰は好業績期待による株価上昇の先取りをしている状態である。実績PERと予想PERをみると、国際優良株の匯豊控股(0005)だけではなく、H株指数と比べても割高感は強いといえよう。

中長期投資の中核

しかし、本土系銀行株が中長期投資の中核であることに変わりはない。11月16日、中国政府は「外資銀行管理条例」を発表、一定の条件を満たした外資系銀行に対し、「一部もしくは全面的な」外貨及び人民元建て業務を認めた。発効は12月11日の予定。金融改革へのポジティブな影響が期待され、銀行株の株価上昇にもつながった。したがって、上記4つの要因を中長期的なポジティブ材料としてとらえ、当面は招商銀行と交通銀行の株価調整リスクを回避しつつ、中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行を継続的に保有することを提案したい。また、本土系銀行との関わりが深い中信国際金融(0183)、工銀亜洲(0349)、中国光大控股(0165)などにも注目したい。(陳)


B株の投資戦略

以下の表はB株企業の1~9月期業績をまとめたものである。(1)純粋B株企業の非流通株流通化が進展した場合有望な銘柄を赤で(純粋B株)、(2)A、B統合に向けた動きが出始めた場合有望な銘柄を青で(上海B株は株価倍率が2倍以上、深センB株は1.8倍以上)、(3)業績が好調な銘柄を金色で(二桁増益か黒字転換)、(4)相対株価で見て有望な銘柄を黄色で(チャート分析)示す。B株市場については、あくまで政策相場を想定している。どのタイミングで政府が政策を発動するのか、噂が流れるのか予測できない以上、上にあげたカテゴリーの中からひとつを選ぶのではなく、いくつかのカテゴリーから複数の株式を選び、リスクを分散させて投資することを勧める。(田代)


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