チャイナマンスリーレポート

5月号

2007年5月1日 内藤証券中国部

~本土市場から~

中国本土市場は、2月27日の下落以後、日本や米国市場よりもいちはやく以前の水準に戻った。
上海総合指数、上海A株指数は、3月21には終値ベースで急落前の水準を上回り、その後も大きな調整を見せずに上昇した。4月20日時点で、上海総合指数は3584.204ポイントとなった。
また、上海B株指数も、4月10日に急落前の水準を終値ベースで越えた。4月20日時点で、上海B株指数は、201.296ポイントで年初来高値水準にいる。
深セン市場は、上海市場よりも回復が早く、3月13日時点で、深セン総合指数は2月26日の終値を上回ってきた。上海同様、深センも大きな調整をすることなく、順調に上昇しており、4月20日時点で、深セン総合指数は1003.874ポイントとなっている。
深センB株指数は、深セン総合指数に比べると回復の速度は遅かったが、4月6日時点で、急落前の水準を終値ベースで上回ってきた。4月20日時点で、558.707ポイントとなっている。
日経平均が3月以降現時点(4月20日時点)まで、一度も18,000円を超えずに低迷していることやNYダウの終値が4月16日になってやっと2月26日の終値を越えてきたことからすると、中国本土市場の力強さが改めて分かる。
この間、中国政府や中国人民銀行(中央銀行)が追加の金融引き締めを行っていないわけではない。4月5日には今年3回目の預金準備率の引き上げを発表しており、売りオペも実施している。しかし、過剰な金融引き締めでないことから株式市場は好感した。
本土市場の特性として、一方方向に動き易いという特性があるため、現在の上昇がいつまで続くか分からないが、今後、短期的には時間的または値段的調整が入る可能性はある。しかし、中長期的には強気に見ている。

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~香港市場から~

香港市場は、比較的NYダウと同じような動きを見せることが多い。中国本土市場のような規制がないため、香港市場は海外市場、特にNY市場の影響を受け易い。特に、2月末の円高進行以来ハンセン指数はNYダウとよく連動していた。このことは、NYダウがハンセン指数に連動しているのではなく、ハンセン指数がNYダウに連動しているためだ。
円高が進行した3月5日まで、NYダウと連動するように香港市場は下落した。この期間に、いわゆる円キャリートレードの一部解消による影響があったと考えている。
円高が一服し、市場は落ち着きを取り戻した。本土市場ほど堅調な動きではないものの、何度かの調整を乗り越えて上昇してきた。ハンセンH株指数は4月10日に、ハンセンレッドチップ指数は4月16日に、終値ベースで急落前の水準を上回ってきた。4月20日時点で、ハンセン指数は20566.59ポイント、ハンセンH株指数は10179.87ポイント、ハンセンレッドチップ指数は3549.95ポイントとなっている。
好調な決算や2007年1-3月期の好調な業績見通しを発表する企業が多く、それに支えられた形で株価は上昇した。また、本土市場の大幅な上昇もH株等の上昇を促がす形となった。
4月19日にはGDP(1-3月)の発表があり、GDP成長率は前年同期比11.1%増と好調な数字が発表された。また、2007年1-3月の固定資産投資額が前年同期比23.7%増と依然として高いため、中国政府の金融政策に注意する必要はあるが、過剰な金融引き締めはないと弊社では見る。
今後、米国株式市場の動向や為替動向にも注意を払う必要があり、短期的な調整の可能性も否定できないが、中国企業の好調な業績を受けて株式市場は堅調に推移すると考えている。

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~2006年本決算からの好決算銘柄~

4月は多くの企業が決算発表を行った。好調な商品市況の影響を受けた非鉄金属、石油関連企業の好決算や活況な不動産市況の影響から不動産企業の好業績が目に付く。また、景気拡大に伴い銀行融資が伸びており、銀行も良い決算を発表している。
今回、直近で決算発表をした企業の中から、業績の良かった企業をいくつか取り上げる。
まず、香港市場では、国美電器控股(0493)、大唐国際発電(0991)、 中国人寿保険(2628)、 中国アルミ(2600)の4銘柄を取り上げ、上海市場からは大衆交通集団(900903)を、深セン市場からは万科企業(200002)と長安汽車(200625)を取り上げる。
どの銘柄も、4月20日時点で、配当等の権利は落ちていない。

国美電器控股(0493)は、2006年本決算において37%の増収、64%の増益と、0.036香港ドルの現金配当案を発表した。権利落ち日は5月15日。
中国経済の成長とともに所得は向上しており、電化製品の販売が好調に伸びている。デジタル家電や携帯電話等の普及率も今後更に伸びていくと予想される。
また、同社は積極的なチェーン店拡大戦略を進めており、昨年は業界第2位の永楽電器(上場廃止)をTOB(公開買付け)により子会社化することで、過当競争からの脱出を目指した。積極的な事業展開により、今後も業績の拡大傾向が続くと予想する。
なお、同社の株価は4月20日終値で、12.38HKドル。

大唐国際発電(0991)は、2006年本決算で、38%の増収、18%の増益となり、配当予案に関しては、1株につき0.234元の現金配当と10株につき10株の株式分割を発表しているが、権利落ち日は4月20日時点では未定。
石炭単価は高止まっているが、内モンゴル自治区の石炭会社に出資するなどの燃料コスト削減に取組んでいる。また、2007年1-3月の発電量(連結ベース)が前年同期比38%増となり、卸電力量も前年同期比38%増となったと発表した。今後も中国の旺盛な電力需要が続き、同社の業績は堅調に推移すると予想している。
なお、同社の株価は4月20日終値で、9.28HKドル。

中国人寿保険(2628)は、2006年本決算で、49%の増収、114%の増益となった。また、配当に関しては1株につき0.14元の現金配当を予定しているが、権利落ち日は未定。
3月に農民向け生命保険商品の試験販売の認可を受けた。都市部を中心に事業拡大を進めてきたが、今後は、農村部まで拡げることで更なる拡大が見込める。
また、中国建設銀行と包括的業務提携契約を結ぶなど銀行との提携にも力を入れており、今後さらに事業拡大していくと見る。
なお、同社の株価は4月20日終値で、24.85HKドル。

中国アルミ(2600)は、2006年本決算で、63%の増収、67%の増益となった。配当ならびに権利落ち日は4月20日時点で未定。
同社は、2006年8月からアルミナの価格を4度引き下げており、ピーク時の価格を57%下回っていた。しかし、2月に1トン当り2,400元から3,600元へと50%値上げし、さらに3月にも1トン当り3,900元への引き上げを発表した。今後も好調な商品市況を予想し、注目している。
なお、同社の株価は4月20日終値で、8.86HKドル。

大衆交通集団(900903)は、2006年本決算において、13%の増収、7%の増益になったと発表した。配当予案に関しては、10株につき3株の株式分割を発表しているが、権利落ち日は4月20日時点で未定。
また、大衆交通集団は、現在同社が投資目的で保有している株式を業績や自社の事業方針により一部売却する可能性を示し、株式投資に充当する方針を明らかにした。その後、国泰君安証券と国泰君安投資の2社の持ち株比率を引き上げると発表。今後、弊社では資金の有効活用が図られ、業態が変化していく可能性があると予想する。
なお、同社の株価は4月20日終値で、1.213米ドル。

万科企業(200002)は、2006年本決算において、69%の増収と59%の増益、10株につき1.5元の現金配当と10株につき5株の株式分割の予案を発表した。権利落ち日は、4月20日時点で未定。
万科企業は、珠江デルタ地区、長江デルタ地区、環渤海地区を重点に事業展開しており、大幅な増益となった。また、2007年の新規着工面積と竣工面積は、それぞれ700万平方メートルと600万平方メートルを目指すほか、1000万平方メートルの土地取得の考えも表明している。 同社は、決算発表後に2007年1-3月期の業績見通しを発表した。同期間の好調な予約販売を受けて前年同期比50~60%の純利益増の見通しを発表した。今後も、万科企業の好調な業績が続くと予想する。
なお、同社の株価は4月20日終値で、17.46HKドル。

長安汽車(200625)は、2006年本決算で、33%の増収、173%の増益となり、10株につき0.6元の現金配当と10株につき2株の株式分割の予案を発表。4月20日時点では、権利落ち日は未定。
同社の株価は4月20日終値で、7.81HKドル。

以上の銘柄の配当案は株主総会で正式決定されるまでは予定案であり、今後変更される場合がありますのでご注意ください。

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~中国の通信事情~

中国の携帯電話加入者数は、2006年末で約4.6億人と世界最大の携帯電話市場に発展したが、普及率は35%程度にとどまる。
現在中国では、第2世代(2G)、第2.5世代(2.5G)での携帯電話サービスを2社が提供している。中国移動(0941)がGSM/GPRS方式でのサービスを、中国聯通(0762)がCDMA/GSM方式のサービスを行っている。
日本では、すでにW-CDMA(FOMA)方式やCDMA2000方式による第3世代(3G)の携帯電話サービスが開始されているが、中国政府はどの通信会社にも3Gネットワークのライセンス供与を行っていない。

3Gの3つの方式

中国には、3Gの方式として3つの方式がある。1つは、GSM方式から発展したW-CDMA方式、日本ではNTT DOCOMOがFOMAとしてサービスを行っている。次に、日本ではauが使用しているCDMA2000 1x方式でCDMA方式から発展した。最後に、中国が「独自開発」した方式でTD-SCDMA方式がある。同方式は、大唐集団の子会社、大唐電信科技産業集団が中心となって開発し、中国政府の強力な後押しを受けている。


TD-SCDMA方式の行方

中国政府が通信会社に3Gのライセンス供与を遅らせている理由にTD-SCDMA方式の存在がある。
TD-SCDMA方式には技術面での不安がある。そのため、政府は同方式の商業化にメドがつくまで3Gのライセンス供与を遅らせた。同方式には中国政府の多額の開発資金が投入されている。また、国外企業に払う高額なライセンス料を抑えたいとの思惑や現在携帯端末を含め外資系企業がほとんどを占めている市場シェアを中国企業が奪い返してほしいとの思惑もある。

現在、3Gのライセンス供与は行われていないが、2006年より4都市(現在は10都市)で中国移動、中国網通(0906)、中国電信(0728)がTD-SCDMA方式の試験運用を実施している。固定電話事業会社も携帯電話事業参入に意欲を見せているが、同方式に積極的ではない。同方式の試験運用の中心となっているのが中国移動である。同社は2007年から2009年までの設備投資額を年間1,000億元弱の計画と発表しており、2006年の設備投資額から比べると約20%の増加となる。
また、中国移動は3月に260億元程度の規模とされるTD-SCDMAネットワーク建設の入札を行った。中国移動の王建宙董事長兼主席執行官は、8都市でのTD-SCDMAのネットワーク建設が10月末にも完成する見通しを明言している。
このことは、他の方式に技術面等で劣勢なTD-SCDMA方式を試験運用という形で先行させて、商業化を成功させようとする政府の意図が見える。


業界再編

現在、中国聯通は全く異なる方式のCDMA方式とGSM方式の2つの方式でサービス提供している。そのため、中国移動に業績面で大きく引き離され、また経営自体も非効率なものとなっている。そのことが通信業界再編の噂を生む。また、中国電信と中国網通の固定電話会社も携帯電話サービス参入に意欲を見せており、そのことが通信業界再編の観測を強くしている。固定電話事業会社は3Gのネットワーク構築に中国聯通の設備を使い設備投資費を抑えようと考えている。
CDMA2000方式は2GのCDMA方式を使えば、安価な設備投資でネットワーク構築でき、W-CDMA方式はGSMの発展させた形である。中国国有資産管理委員会及び情報産業部の高官が、業界再編についてそれぞれ肯定的と否定的の違った見解を表明しているが、今後、業界の再編が起こる可能性は高いと予想する。

中国政府は北京オリンピックまでに3Gのサービスの開始を明言しているため、今後3Gに対する設備投資が活発化すると考えられる。弊社では中興通訊(ZTE)(0763)、西安海天天線科技(8227)等の設備投資関連に注目しており、また、近い将来に業界再編により通信事業会社の利益向上があると見ている。


5月の主な予定

広告審査済

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