チャイナマンスリーレポート

8月号

2007年8月1日 内藤証券中国部

中国遠洋控股(コスコホールディングス)

―資産注入、王者再起―
(1919 H株 内藤コード N1910 売買単位:500株)

中国最大のコンテナ海運会社

同社は中国最大のコンテナ海運会社。コンテナ輸送事業のほか、ターミナル事業、コンテナのリース事業、物流事業を手がける。同社のコンテナ輸送事業およびその関連事業は100%子会社の中遠集装箱運輸(中遠集運)を通じ展開。中遠集運は06年末で139隻の船舶、総輸送能力40万TEUを有し、中国第1位、世界第5位の規模を誇る。世界40カ国・地域の120以上の寄港地、74の国際航路、17の中国沿海航路、52の珠江デルタ・長江航路を持つ。
また、子会社である中遠太平洋を通じ、ターミナル事業、コンテナのリース事業等も展開している。06年末までに中遠太平洋は全世界で24ヶ所のターミナルに投資しており、06年の年間貨物取扱量は3279万TEUと世界第5位。さらに、子会社の中遠物流を通じて、物流事業も行っている。

中核事業はコンテナ輸送事業

コンテナ輸送とその関連事業は同社の中核事業であり、06年の売上構成比で8割弱を占め、同事業の売上高は前年比5.6%増の400億人民元となった。
06年の同社のコンテナ取扱量は511万TEUで前年比12.7%増加した。航路としては太平洋、アジア-欧州、アジア(豪州を含む)、中国などが中心となっている。また、同事業内での売上高構成比では太平洋が33%、アジア-欧州が24%を占め、取扱量もそれぞれ前年比10%増、21%増と高い伸びを示している。世界経済が安定しており、さらに中国が世界の工場としての役割が一層強化され、米国、EUへの輸出の依存と高い伸びがその背景にある。
また、同社は今後2-3年の間に26隻で合計16万TEU以上のコンテナ船を建造・リースする予定であり、輸送能力の増強に力を入れている。

運賃の変動は最大のリスク要因

03-05年、好調な世界経済によるコンテナ輸送需要の急増を受け、太平洋航路およびアジア-欧州航路の運賃が大幅に上昇した。しかし、05年末の海運業界の大型再編や06年の新型船投入等で、06年の運賃はやや低下した。今後3年間について、輸送力の増加が安定すること、海運業界の再編を経て運賃安定協定組織の力が強化され運賃の変動リスクが低下することなどにより、運賃は安定してくると見られる。同社の07-09年の運賃は前年比1%-3%上昇すると予想される。
しかし、09年以降、06年までに発注した船舶が引き渡されるため、コンテナ輸送の需給が逆転する公算が大きく、運賃の低下が心配される。海運業界は景気動向に左右される業種で、運賃の変動は同社にとって最大のリスク要因である。

中遠集団の重要な子会社

同社の親会社である中遠集団は、中国国有資産管理委員会が管轄する大型国有企業グループで、世界第2位の総合海運会社である。06年末現在、中遠集団は、各種船舶715隻を有しており、コンテナ船のほか、穀物、鉱石、石炭、鋼材、木材、原油などの海上輸送サービスを提供している。集団の傘下に上場企業5社を有しているが、中遠集団は同社を上場子会社の中で中心的な存在と見ている。今後、コンテナ船以外の船舶資産が中国遠洋に注入される可能性がある。




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イ柴動力(ウェイチャイ・パワー)

―資本再編を通じて業務体制を強化―
(2338 H株 内藤コード N2338 売買単位:1000株)

中国の主力ディーゼルエンジンメーカー

同社はディーゼルエンジン及び同部品の製造を手掛ける企業であり、特に高速・大型ディーゼルエンジンでの競争力が高い。積載量15トン以上の大型自動車部門では中国第2位。
06年本決算におけるディーゼルエンジン販売台数は前年比27.8%増の14.6万台、うち大型トラック向けが同26.8%増の8.0万台、建設機械向けが同30.2%増の5.9万台となった。

陜西重型汽車の増資引き受けを発表

07年6月12日に、傘下の大型車メーカーである陜西重型汽車(陜西重汽)の増資引き受けを発表した。
陜西重汽は湘火炬(A株上場)と陜西自動車集団がそれぞれ51%、49%出資して設立した完成車メーカー。中国では第4位の大型車メーカーで、積載量15トン以上の大型トラック市場に強い。07年4月、イ柴動力は湘火炬を吸収合併し、陜西重汽に51%出資する筆頭株主となった。現在、陜西重汽の資本金は8.9億人民元であるが、増資後は約2倍の17.1億人民元に拡大し、同社と陜西自動車集団の出資比率には変更がない予定。

高成長を続ける陜西重汽

大型化が進む中国のトラック市場は、業界全体に大きなビジネスチャンスを迎えている。特に、陜西重汽の07年1-5月の生産、販売台数の伸びはそれぞれ81.5%、84.3%増となっており、業界最大手である中国重型汽車の同65.3%、60.7%増を上回る成長を見せている。
陜西重汽にとって最大の問題は生産能力の不足であるが、この問題は今回の増資によって今後解決されるだろう。ディーゼルエンジンにおける同社の優位性と、ギアボックスを製造する陜西ファーストギアリング社(同社傘下企業)の優位性を生かし、グループの完成車事業は更に拡大すると予想される。

WP10/12生産ラインへの大型投資

主力製品のエンジンにおいては「WP10/12」生産ラインの新規導入が取締役会で承認された。近年、中国では自動車の排気規制が厳しくなっており、07年7月1日からユーロⅢ基準が適応され、ユーロⅡ対応の新車種投入が禁止される。また、08年からは全国でユーロⅡ基準の大型自動車の販売も禁止される予定。「WP10/12」はユーロⅢ対応ではあるが、ユーロⅣ対応にグレードアップも可能なクリーンディーゼルエンジンであり、新ラインの投入は業界での優位性を維持することとなる。

非コア事業子会社を売却

現在、同社はコア事業と関連の薄い資産の売却も進めている。
6月に金属器具、機械などを生産する天津鴻本など7社を7323万人民元でMAT北京に売却し、金属器具・自動車部品を生産する大連鴻源を2796万人民元でMAT Autoに売却すると発表した。売却資産は非コア事業であり、うち5社は06年本決算において純損失を計上している。売却資金は今後経営資金としてコア事業に投入される予定。
また、中速ディーゼルエンジン事業をグループ会社の山東巨力(A株上場)に譲渡した。このことにより、同社はディーゼルエンジン事業で自動車・建設機械向け高速ディーゼルエンジンの開発、生産、販売に集中できる体制を整えた。




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東方電機(ドンファンエレクマシナリー)

―国内外からの注文が大幅増加―
(1072 H株 内藤コードN1360 売買単位:2000株)

資本再編で主力事業が拡大

水力・火力発電設備メーカー。同社は07年5月17日に大幅な再編を発表して注目を浴びた。今回の資本再編で、親会社である東方電気集団公司(東方電気集団)から東方ボイラー(A株上場)、東方スチームタービンを完全買収する予定。これによって同社の07年の売上高構成比は、発電機が24%、発電所ボイラーが37%、スチームタービンが27%、風力発電設備が11%、原子力発電設備が1%となる見込み。主な発電設備を自社で生産できる体制を築いた。

グループの国内新規受注が前年同期比170%増

07年の受注は、好調であった06年の水準をさらに上回っている。07年1-5月期において東方電気集団グループ(同社及び買収予定の主力グループ会社2社を含む)の国内新規受注が前年同期比170%増の225億人民元となっている。東方電機が新規に獲得した国内受注は130億人民元であり、年内の新規受注規模は保守的に見ても200億人民元を上回ると予想される。
さらに06年以前の受注で今期以降に繰越になった受注残は560億人民元ある。07年に既に獲得した新規受注と合わせると、09年までの仕事量を確保したと見られ、当面の間、景気循環の影響による業績低迷の可能性は小さい。

海外市場での取り組みも国内他社より先行

同社は上海電気、ハルピン動力など他の中国発電機メーカーより海外市場における認知度が高い。特に、東南アジア市場では同社のシェアは前述2社の合計よりも高い。
1-4月における同社の海外からの新規受注は32億人民元となっており、06年通年での海外からの受注総額約6億人民元を上回っている。同社の海外受注の大部分はインドからであるが、今後インドからの受注が急速に拡大する可能性が高い。現在、中国の総発電能力が6.22億KW、一人当りで0.45KWと先進国と比べてまだ低レベルであるが、インドの総発電能力は1.4億KWと中国よりも低い。今後5-10年間はインドも発電能力の拡大を急ぐ時期になるだろう。

主力事業の分野が広く、国内シェアも高い

同社は中国唯一の火力、水力、原子力、風力、天然ガスの5種類の発電設備が生産できる企業である。中国の第11回5ヵ年計画では、エネルギーの利用効率及び環境保護促進のために、現在主力になっている石炭火力発電以外の水力、原子力、風力発電に重点的をおいて促進する方針である。同社は火力発電用のボイラー、蒸気タービンでは国内シェアが約30%である他、水力発電設備では国内シェアが23%と2位、風力発電設備も同10.5%の3位である。また、中国唯一の100万KWの原子力発電機と1000MW原子力発電所用蒸気タービンを生産できる企業であり、同分野では国内シェアが100%である。

当面内外の需要が好調

同社は当面需要が強い市場環境に恵まれると見られる。中国国内は工業化の真只中にあり、当面電力需要は堅調である。インド及び東南アジアの経済発展には電力不足がボトルネックとなっており、また、欧米も発電機器の設備更新ラッシュに入るため、海外需要も旺盛と見られる。ただ、今後のリスク要因として、人民元の切上げ、国内の引き締め策の強化及び海外の政治要因による受注取り消しなどが考えられる。




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天津創業環保(テンシンキャピタルエンバイロメント)

―環境保護事業が高成長―
(1065 H株 内藤コードN2760 売買単位:2000株)

環境関連の大手企業

天津市を本拠地とする環境関連の大手企業。主力事業は汚水処理を含む環境保護サービス、汚水処理場の建設・管理。そのほか、有料道路料金所の運営なども手がける。

環境保護を追い風に高成長へ

中国では1人当りの水資源が世界平均の4分の1程度に過ぎない。しかも急速な経済成長に伴う水不足が深刻化しており、河川の水質汚濁も広がっている。中国建設省は06年8月、第11次5カ年計画(06~10年)期間中に、給水、汚水処理などに対する費用が全国で官民合わせて1兆人民元(約15兆円)を超えるとの見通しを発表した。
環境保護を追い風に、同社は天津市を中心に水関連事業を全国各地に展開している。同市で4つの汚水処理場を運営しているほかに、沿海部から内陸部(浙江省、江蘇省、貴州省、雲南省、安徽省、湖北省等)にかけても、汚水処理事業などに取り組んでいる。

生産チェ-ンの構築で生産能力拡大

06年に雲南省曲靖市で汚水処理を手がける合弁会社を通じて、合弁パートナーから同市の汚水処理・給水事業の一部を買収し、初めて給水事業に参入した。これによって、同社は汚水処理事業の設計、建設、運営、コンサルティングから、再生水の生産・販売および、環境保護設備の製造まで行う水関連事業の生産チェーンを整え、06年、水関連事業の1日当り生産能力は261万5000トンに達した。

2006年の業績

12月本決算は32.66%増収、10.59%減益。06年に入り、曲靖、阜陽、洪湖、宝応、杭州、貴陽など各地の設備が完成し、稼動している。これに加え、既存の汚水処理場の設備拡大や高性能化も完了し、処理能力は高まった。このため、06年の汚水処理量が181.43%増の4億4502万トンに達したほか、再生水は前年比60.2%増の181万立方メートル、水道水の販売量は3158万立方メートルとなり、増収となった。
しかし、規模の拡大に伴うコスト増により、減益となった。具体的には、大型プロジェクトの竣工が06年に集中したため、減価償却費が増加し、維持費も大きく増えた。そのほか、借入金の増加で支払い利息も増加した。

2007年の展望

07年1-3月期決算では、87.69%増収、229.85%増益(中国会計基準、未監査)となった。今期、同社は安定的な利益を保つため、汚水処理事業を強化し、需要旺盛な天津地区における汚水処理業者選定入札の落札を目指している。ただ、現在、天津市で実施されている汚水処理料金は1.93人民元/トン。これは中国建設省が計画している0.80人民元/トンを大幅に超えるため、今後、天津市の汚水処理料金は下がる可能性がある。
そのため、同社は他の地域で大きな設備投資を必要としない小規模な公共事業に力を入れている。また、粗利益率の高い水道水や再生水の供給規模拡大によって、水関連事業の収益性をさらに向上させる見通し。不安定要因もあるが、中国では環境保護に対する意識が高まり、同銘柄が注目されている。




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