チャイナマンスリーレポート

9月号

2007年9月1日 内藤証券中国部

~本土市場から~

世界中にサブプライムローン問題による逆風が吹く中、8月の上海総合指数は堅調な動きだった。7月5日の直近安値(終値ベース)から8月20現在まで、ほとんど調整を入れることなく、35.6%上昇し、4904.855ポイントとなった。また、7月中旬には50億株前後まで低下していた売買高も7月後半からは100億株前後まで回復した。

現在、中国株市場にある株価高騰に対する警戒感は外資による陰謀だとする噂がある。外資系企業が高値警戒感を誇張することで相場の下落を誘発し、中国企業を安く買い叩こうとしているという主張だ。また、北京五輪までは政府が相場の暴落を防ぐだろうといった主張もある。

これらの主張には根拠がなく、信用する訳にはいかない。しかし、財政に余裕のない政府は、今後、国有株の一部売却資金によって、増加していく社会保障費やインフラの建設費等を賄う必要がある。また、株価の暴落は経済の失速を意味し、社会不安を引き起す可能性もある。

そのため、政府は株価の高騰も暴落も回避したいだろう。また、売買の9割以上を占める個人投資家の噂を完全に無視することも出来ない。外国人投資家は政策や中国の個人投資家の噂にも十分注意しながら売買する必要がある。


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~香港市場から~

8月、香港市場は海外市場の動きに大きく左右された。

8月9日に、欧州でサブプライムローン問題が表面化し、同日のNYダウは前日比387.18ドル、2.83%の大幅下落となった。翌10日の香港市場もハンセン指数が前日比で646.65ポイント、2.88%の下落となった。その後も海外市場と同様に下落を続け、ハンセン指数は17日にザラ場で20000ポイントを割込む水準まで下げた。
以前から米国の住宅市場に関する懸念が出ていたが、今回、それが欧州市場で表面化した。この問題で世界中の株価が下がり、香港市場も例外ではなかった。売買の7割程度を機関投資家が占める香港市場は外国資金に対する規制もなく、ヘッジファンドが多く存在するため、世界的な信用収縮の流れを直接受けた。
今後、この問題は世界的に長期化する可能性があり、香港市場だけではなく、欧州や米国の株価動向にも十分な注意を払う必要がある。また、本土からの資金流入も一時的に止まる可能性もある。

しかし、中国本土の豊富な流動性に変化が見られた訳ではなく、また、A株とH株の価格差も拡大傾向にある。さらに、20日、国家外匯管理局は天津市濱海新区で個人による香港上場証券への直接投資を試験導入することを発表した。保有外貨で投資できるほか、人民元を外貨に交換して投資することも認められ、限度額もない。まだ試験導入の段階だが、今後拡大していくだろう。
これらのことにより、香港市場に対する見直しが再度起きる可能性がある。前回、本土から香港市場への資金流入が起きたとき、低位株が最初に動いた。だが、その時、低位株投資を行った個人投資家の多くは損をした。そのため、今度は信用不安のない業績の良い銘柄から買われるだろう。 中国に対する最後の巨大市場としての魅力、夢は今回のサブプライムローン問題では終わらない。

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~サブプライム問題を跳ね返す大国~

8月は世界中の金融市場がサブプライムローン問題に揺れた。8月9日、欧州で大手銀行のBNPパリバがサブプライムローン(信用力の低い個人向け高金利型住宅ローン)を組入れたファンドの解約停止を突如発表したことにより、この問題は表面化した。
以前から、この問題は指摘されており、今年2月末の世界的な株価下落の際にも原因の一つとして挙げられていた。
現在では、あらゆるものが担保として評価され、金融工学を利用して証券化されている。その一つにサブプライムローンを証券化した金融商品がある。06年末でサブプライムローン残高は1兆米ドル以上になると見られる。その大部分は証券化され、多くの金融機関、事業法人、ヘッジファンド等が購入している。そのため、どこで損失が表面化するか分らない。不安を抱えた投資家は損失の穴埋めのために、資産の売却を急ぎ、資金調達に走った。
今回の世界的な株価下落は、投資家の不安による信用収縮が原因と考えられる。以前に世界的な会計不信を起こす引き金となったエンロン事件やロングタームキャピタル事件と本質的には同じ構造ではないだろうか。

サブプライム問題が落とす影

このサブプライムローン問題は中国にも無関係ではなかった。
中国銀行(3988)は、本土のメディアにこの問題をめぐって38億5000万人民元の損失が発生すると報じられた。06年の中国銀行の米ドル資産が5908億人民元あり、そのうち300億人民元程度がサブプライムローン関連商品に投資していると推測され、07年の損失額は38億5000万人民元に上るだろうというものだった。これに対して同行は強く否定しており、さらに朱民副行長も個人的な見解として数百万米ドル程度の損失にとどまると発言している。
中国銀行以外でも、招商銀行(3968)等もサブプライムローン問題に絡んで損失が発生していると一部のメディアが報じ、それを各金融機関が否定する騒ぎになっている。
また、香港の短期金融市場にも影響が出ている。翌日物HIBOR(香港ドル短期金利)が4%後半で推移しており、高止まりしている。この背景としては、万一の時の解約資金を手当てするためにヘッジファンドが資金調達を急いだためだ。
いずれサブプライムローン問題は収束するだろうが、この問題が長引けば中国も無傷ではいられないだろう。特に、米国市場と連動しやすい香港市場は調整が長引く可能性がある。また、中国の最大の輸出先でh5>比較的影響の少ない中国

しかし、中国の本土株市場は欧州や日本の株式市場とは違い、米国市場の直接的な影響を受けにくい市場であることは間違いないであろう。それは今回の上海総合指数とNYダウや日経平均株価の動きを比べてみても分かる。売買の9割程度を個人投資家が占め、中国本土以外からの資金流入を規制している本土株市場の特徴がここに現れている。
また、中国経済に関しても現段階では輸出の動向は経済成長率を左右する大きな要因ではあるが、中国政府の推し進める内需主導型経済に移行できれば、輸出の鈍化もそれほど大きな影響を与えない。逆に、輸出の鈍化が各企業の目を国内市場に向けるきっかけとなり、中国経済を内需主導型経済へと後押しするかもしれない。そのとき、巨大市場としての中国が今以上に注目を集めるだろう。
現在の国際社会において、他の国にまったく影響されない国や市場はないが、中国は比較的影響されにくい国の一つだろう。資産の効率的配分、リスク軽減の観点から中国市場が注目される理由がここにある。

好業績銘柄に注目

さらに、今、中国企業は決算発表シーズンを迎えており、好業績な企業の株を買う良い機会ではないか。
中国本土上場企業はすべてが6月に中間決算をおこない、8月末までに決算を発表しなければいけない。また、香港市場に上場の企業はすべてではないが6月中間決算銘柄が多く、メインボード市場の場合9月末までに、GEM(Growth Enterprise Market)市場の場合8月15日までに決算発表をおこなわなければいけない。8月20日現在、まだ決算発表をおこなっていない企業も多いが、決算発表を済ませた企業の中からいくつかを紹介したいと思う。

招商銀行(3968)

は07年中間決算で120.4%の大幅増益、EPSを82.6%増の0.42人民元と発表した。
8月に深セン市でプライベートバンキングセンターを設置し、保有金融資産1000万人民元(約1億6000万円)以上の顧客を対象にサービスを開始した。クレジットカード業務や保険等の代理販売業務も好調。
今回、一部メディアにサブプライムローン問題で損失が発生したと報じられた。しかし、同行は04年にサブプライムローン関連商品に投資したが、06年8月に売却済みであり、関連商品の保有残高はないと否定している。
なお、同社の株価は8月20日終値で、27.0香港ドル。

紫金鉱業(2899)

は07年中間決算で69.0%の増収、81.5%の増益、EPSを80.0%増の0.09人民元と発表した。
今年4月にモンテリコ(英国)を買収し、6月にはタジキスタン共和国で最大規模の金鉱会社の買収を発表するなど、積極的に海外進出をおこなっている。世界的な資源獲得競争の中で商品市況は堅調に推移し、同社も順調に業績を拡大させるだろう。
なお、同社の株価は8月20日終値で、5.18香港ドル。

中国移動(0941)

07年中間決算で21.6%の増収、25.7%の増益、EPSを25.0%増の1.9人民元と発表した。また、一株につき0.922香港ドル(うち特別配当0.085香港ドル)の現金配当予案も発表している。権利落ち日は9月3日予定。
7月末時点で、同社の携帯電話加入者数は前月比559万6000人増加の3億3797万4000人となった。同社は第3世代携帯電話(3G)規格のTD-SCDMA方式を試験導入しており、3G規格で優位に立つ。今後、他の通信事業会社との差を広げ、独走する可能性もある。
なお、同社の株価は8月20日終値で87.85香港ドル。

~テクニカルチャート~

今回は通常のローソク足によるチャートからテクニカルなチャートに変更してみた。
日本の伝統的なチャートである一目均衡表と正規分布による確率論から生まれたボリンジャーバンドを掲載した。なお、今回作成した一目均衡表は指数であるため、転換線等の計算には終値を用いている。また、ボリンジャーバンドの標準偏差の計算には直近25日間の終値を用いた。
中国株はテクニカルな指標では説明できない動きをすることがよくあり、これだけで売買をすることは危険だ。しかし、チャートやテクニカル指標は市場参加者の心理を読み解こうとするものである故に、中国株に対しても参考になると思う。






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9月の主な予定

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