チャイナマンスリーレポート

10月号

2007年10月1日 内藤証券中国部

中国交通建設(CCグループ)

―拡大するインフラ投資の恩恵を享受―
(1800 H株 内藤コード N1810 売買単位:1000株)

中国最大級の交通インフラ建設会社

同社は中国最大の交通インフラ建設会社。港湾・道路・橋梁などの建設事業が主力。設計のほか、浚渫工事、港湾機械の製造・販売も手がける。業界のリーダー的存在で、港湾・道路・橋梁の設計では中国最大手である。浚渫でも中国トップ、世界では第3位。東南アジア、中東、アフリカなど58ヵ国・地域で展開している。
上海B株市場に上場する上海振華港口機械(900947)は同社の子会社で港湾クレーン等の港湾機械で世界最大手、世界シェアは70%を超える。

国策会社の強みを発揮

同社の親会社である中国交通建設集団有限公司は、国有資産監督管理委員会(国資委)が100%出資する企業である。その国資委は中国のインフラ投資の計画・実行を担う立場にある。つまり、インフラ工事の推進役である国資委が100%出資している企業の子会社が中国交通建設である。このため、同社は中国のインフラ工事を極めて受注しやすい立場にあると言える。中国のインフラ投資が増大を続ける限り、同社の成長も止まらない。

07年上期業績は好調で、収益性も大きく向上

足元の業績は好調。07年中間決算において、24.3%増収、153.1%増益であった。部門別の売上高をみると、インフラ建設が前年比36.1%増の392.6億人民元、インフラ設計が同20.1%増の28.4億人民元、浚渫が同22.4%増の61.4億人民元、港湾機械が同12.9%増の102.1億人民元であり、売上高の66.9%を占める主力事業のインフラ建設が増収に大きく寄与した。
07年上期決算の特徴として、収益性が大きく向上し、これが大幅増益につながった点がある。売上高営業利益率は06年上期の5.3%から8.2%に向上した。特に、インフラ建設部門の売上高営業利益率が2.2%から4.3%と大幅に改善された。同部門の営業利益は金額ベースでも06年上期の6億2,400万人民元から07年上期の16億8,900万人民元と約2.7倍になった。原材料費や従業員の福利厚生費などの抑制、売掛金に対する貸倒引当金の減少といったことが寄与したもので、コスト管理の徹底や経営の効率化が奏功した。

受注は活況に沸き、豊富な受注残を抱える

受注も好調である。07年上期の部門別新規受注をみると、インフラ建設が前年比68.1%増の711.3億人民元、インフラ設計が前年比32.5%増の47.7億人民元、浚渫が同39.2%増の85.9億人民元、港湾機械が同32.0%増の164億人民元となった。中国の高速道路工事や港湾投資は減速しているが、代わって空港(深セン空港、北京空港、上海浦東国際空港)、地下鉄(広州地下鉄、天津第三地下鉄、武漢軽鉄道輸送)といった新事業分野での受注が急増しており、高成長の軌道に大きな変化はない。
注目されるのは、4つの事業で受注の伸びが揃って売上高の伸びを大きく上回っていることで、この結果、受注残が急増している。07年6月末の受注残は、インフラ建設で1,265億人民元、インフラ設計では94億人民元、浚渫では141億人民元、港湾機械で330億人民元となり、各部門とも07年上期における部門別売上高の2~3倍の受注残を抱えている。

中長期見通しも良好

足元では、高速道路、港湾へのインフラ投資が減速しているが、これは07年上期の11.5%という高過ぎる実質GDP成長率を受けて景気過熱を懸念した中央・地方の政府がインフラ投資に短期的なブレーキをかけているためだ。しかし、中国の高度経済成長は2010年にかけて続くと予想され、その高い成長ペースにあわせて、交通インフラへの投資も中長期的には早いピッチでの拡大が続くだろう。しかも、受注の大型化、経営規模の拡大、コスト抑制策の徹底、プロジェクト管理能力の向上、資材の集中調達などによって、同社の収益力の向上は今後も続く可能性が高い。このため、同社の業績は07年通年で90%前後の増益率を達成し、08-09年にかけ30~40%の増益率を維持するだろう。




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鞍鋼(アンガンスチール)

―業界再編の中核銘柄として中長期的な成長を期待―
(0347 H株 内藤コード N1390 売買単位:2000株)

業界再編の中核企業と期待される大手鉄鋼メーカー

遼寧省鞍山市を拠点とする中国の大手鉄鋼メーカー。主な製品として自動車用鋼板、船舶用厚板、鉄道用レール、油井管等がある。中国では鉄鋼メーカーが乱立しているため、政府は業界再編を進め、業界を代表する数社の巨大鉄鋼グループの育成を目指している。同社は再編の中核企業としての期待が高い。

07年上期の業績は好調

07年上半期業績は、32.0%増収、54.5%増益と好調だった。業績好調の要因としては、①販売数量の増加、②販売価格の回復、③コスト抑制の3点がある。
上半期の鋼材販売数量は前年同期比9.7%増の741万トン、このうち、自動車用鋼板、船舶用厚板、鉄道用レールなど7品目の売上高は同21%増の283万トンを記録し、販売数量に占める比率は38%に達した。企業の設備投資やインフラ投資の盛り上がりで鋼材需要が全般的に強い上に、国内需要が急拡大している自動車、世界市場で急速に台頭している造船業、急ピッチの整備が進められている鉄道インフラといった高成長分野の需要も取り込み、同社は躍進を続けている。
こうした販売数量の増加が続く中で、国内鋼材価格も持ち直している。その一方で、規模の拡大とコスト管理の奏功で07年中間決算での大幅増益につながった。また、今後も更なる事業の効率化や新しい市場の開拓によるシェア拡大を目指すことを同社は表明している。

業績の拡大基調が続く見通し

07年通期の純利益はアナリスト予想平均で前年比28%増の89億元が予想されており(ブルームバーグより)、07年下期の業績も好調を維持する見通しだ。先日、宝山鋼鉄が07年10~12月の鋼板の出荷価格を引き下げたが、アンガンスチールの増益基調に大きな変化はないと見る。宝山鋼鉄の新価格は06年10-12月実績を概ね上回っている上、価格設定そのものが同社の保守的な姿勢を示したものと思われる。宝山鋼鉄は欧米の信用収縮の影響を慎重に考慮し、やや過剰と思えるような、保守的な価格設定を行ったのだろう。
07年の国内需給は若干ながら改善する見通しで、08年もこうした情勢に大きな変化はないと見られる。アンガンスチールにおいても08年純利益はアナリスト予想平均で前年比20%増の98億人民元が予想されている(ブルームバーグより)。

09年の鋼材生産量は06年比44%増の2,000万トンへ

好調な企業業績を背景に中国企業の設備投資意欲は引き続き旺盛で、国・地方のインフラ投資も2010年にかけ高水準で推移する見通し。このため、中国の鋼材需要も高水準を維持しよう。加えて、急成長を続ける自動車・造船の需要を取り込み、同社の業績は中長期的に拡大傾向が続くと期待される。同社の鋼材生産量は06年の1,402万トンから09年には2,000万トンへ、44%拡大すると予想する。この間に業界再編に絡んだ親会社からの資産注入があれば、鋼材生産量はさらに大きく上振れする可能性もある。
また、高速鉄道用レールの増産投資を完了したのに続き、シームレス油井管の増産投資を推進している。油田開発の活発化を背景とした油井管需要の急増に対応を急いでいる。同社を取り巻く事業環境は良好といえよう。

低いバリュエーション

9月21日現在の07年予想PERは17.3倍である。中国経済の高成長を背景に、鋼材需要は高い伸びを続けており、同社業績は好調だ。しかも、業界再編が進められれば、同社は勝ち組として市場シェアを大きく拡大できる立場にある。同業他社の設備投資が抑えられる中で、同社の増産プロジェクトが認可されているのは、政府が同社を業界再編の中核企業とみなしているからだろう。こうしたことを考慮すれば、株式市場は今後、同社に対する評価を高めていく公算が大きく、利益成長とバリュエーションの向上という両面を通じて、同社株は上昇トレンドを辿る可能性が高い。




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ヤン州煤業(ヤンゾーコールマイニング)

―輸出の大幅減で小幅増益となった中間決算―
(1171 H株 内藤コードN0120 売買単位:2000株)

中国の石炭生産の最大手

同社は、中国の山東省など華東地域を中心に、石炭の採掘、選炭、精製、石炭鉄道輸送を手がける。親会社にヤン鉱集団有限公司(06年末時点、同社株式を52.9%保有する)を持つ。97年7月に設立され、98年4月に香港取引所にH株上場、ニューヨーク証券取引所にADR上場を果たした。現在は上海A株にも上場している。同社の主要顧客は、電力会社、鉄鋼会社である。現在、6ヵ所以上の炭鉱を所有し、石炭の年間生産量は1600万トン以上に達している。燃料用石炭と冶金用石炭の両方を生産しているが、主要製品は、低硫黄(硫黄分6%)の高級炭である。

小幅増益となった07年1-6月期中間決算

07年1-6月期の売上高は前年同期比9.5%増の70.2億人民元、税引き後純利益は同4.8%増の15.0億人民元となり、業界平均を下回った内容となった。小幅な増益にとどまった主な原因は石炭輸出の大幅な減少にある。
07年1-6月期の原炭生産量は1815万トンで前年同期比1.7%増、加工後の製品炭の生産量は1766万トンで同2.7%増加した。さらに販売量は1697万トンで同0.7%の微増にとどまった。販売先を国内と海外に分けてみると、国内販売量は同4.9%増に対し、輸出量は同59.7%の大幅な減少となった。販売金額でも、国内向けが26.3%の増加に対して、輸出は67.6%の減少である。特に主力製品のひとつである3号精炭の輸出量は同49.2%減少しただけでなく、価格が1トン当たり約50人民元低下し335.18人民元/トンとなった。
同社全体で見た場合、07年1-6月期の石炭販売価格は前年同期比12.9%上昇し390.10人民元/トン、特に国内販売価格が同20%程度上昇したが、輸出価格に関しては同20%程度の下落となった。輸出価格の下落の大きな要因は07年第1四半期の契約を06年度中に結んでいたことによる。

コスト費用の上昇が収益を圧迫

07年1-6月期の石炭製品の売上高は69.3億人民元で、前年同期比9.3%の増加であった。これに対し、全体のコストは37.1億人民元となり、同18.5%増と大きく膨らんだ。コスト増の主因は、従業員の賃金・社会保障費、環境対策費の大幅な増加にある。特に従業員の賃金・社会保障費は61.2%増となった。このため、売上高純利益率は06年上半期の22.4%から07年上半期で21.4%と1ポイント低下した。

投資案件の収益はまだ現れていない

同社の主な投資案件のうち、山西能化はすでに生産を開始したが、07年1-6月の石炭生産量は60万トン、販売量は57万トンにとどまったため、同社の売上や利益への寄与は小さく、石炭の正味販売金額の1.7%程度に過ぎない。また、10万トンのメタノールの生産開始は年末の予定である。ほかに、か(くさかんむりに河)沢能化の趙楼鉱、陝西楡林能化の楡樹湾鉱と60万トンのメタノール生産ラインは建設中で、生産開始が08-09年の予定である。
一方、同社は、07年8月24日に華電国際電力(1071.HK)、スウ城市城市資産経営会社と合弁で「華電スウ県発電有限公司」を設立することを発表した。同社の出資額は9億人民元で、出資比率は30%である。合弁会社は、スウ県発電所4期の発電機(出力100万KW)2基の建設、運営、管理を手がける。同社は、長期にわたって華電国際電力に石炭を供給してきており、合弁会社も同社からの石炭調達を優先する。さらに、同社は合弁会社の設立を通じて、華電国際電力と長期的な提携関係を築くことができる。

08-09年に安定成長期に入ると期待

同社の本業は回復過程にあることに加え、政府の輸出政策のマイナス影響が残っていること、投資案件が収穫時期に入っていないことなどから、短期的に同社の成長の原動力は物足りない。しかし、08-09年以降、投資案件の生産開始に伴い安定的な成長期に入り、中長期的な株価の上昇が見込めるだろう。




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張裕葡萄酒(ヤンタイチャンユー)

―格好のディフェンシブ銘柄―
(200869 深センB株 内藤コードN4690 売買単位:100株)

高成長の中国ワイン業界の恩恵を最も受ける企業

大手ワインメーカー。主力商品はブドウを原料とするワイン、ブランデー、スパークリングワイン、健康酒等。清朝時代に設立された煙台張裕醸酒が前身で老舗ブランドとして中国国内では高い知名度を誇る。同社は中・高級品ワインに強みを持っており、主要製品の年間生産能力は06年末時点で12万トンに達し、29の省・自治区・直轄市で販売されている。
中国では個人所得の上昇に伴い、ワインの消費が急速に伸びている。特に、高級品の消費が伸びており、同社の主力である高級ワインやブランデーの販売は好調を維持している。

高級ワインで不動の地位を築いている

同社は中国のワインメーカーの中でも中・高級ワインブランドのイメージを定着させている。その主力製品シリーズはシャトーワインとハイエンドブランド「Cebernet(解百納)」である。シャトーワインはそれぞれ海外の有名ワインメーカーとの合弁であり、独自ブランドの「Cebernet」は70年の歴史を持つ。同社は高級ワインシリーズを通じて高収益事業体制を確立している。07年上半期も主力製品の高級ワインの販売は更に強化され、売上高が会社全体の売上に占めるウェイトは、07年上半期において46%になり、06年より7ポイント上昇している。

2007年の上半期も安定した高成長を見せた

07年上半期の業績も好調である。1-6月期の売上高は前年同期比27.0%増の14.4億人民元、営業利益が同35.7%増の3.8億人民元、当期純利益も同35.3%増の2.73億人民元になっている。特に主力製品のシャトーワインの販売量が800トンで、前年同期比50%増であり、最もマージンの高い製品である高級ブランドの「Cebernet」の販売量も同50%増の9,000トンに拡大している。

2006年から大きな製品ライン調整を行った

同社は06年に提携相手の中国事業見直しをきっかけに大幅な製品ライン再構築を行った。これまで自社ブランドの「Cebernet」と、フランスのワインメーカー大手のカステルグループ(Castel)との合弁ブランドの張裕・カステルによる2つのブランドを中心に事業をおこなってきた。しかし、06年にカステルが中国事業の中心を合弁シャトーワインからワインの直接輸出に変更し、中国国内の代理店を別の中国企業に指定した。
同社はシャトーワイン事業の拡大を図るため、06年から他の海外大手ワインメーカーとの提携を深め、北京、遼寧、ニュージーランドで新しいシャトーワインの拠点を建設した。北京拠点のワインは従来の張裕・カステルよりやや高級クラスのブランドとして位置づけている。遼寧拠点のワインでは中国国内においてまだ先鋭的であるアイスワインを主力製品にしており、ニュージーランド拠点のワインは今後ゴルフ場を主な販売先とする予定である。北京及び遼寧拠点では07年に既にワインの生産を開始している。

カステルの戦略調整からの影響は当面限定的である

中国の輸入ワインのシェアは足元約7%弱に留まり、国産ワインとの競争は当面限定的と見られる。張裕も高級ワインセグメントで製品ラインの拡充を着実に進めている。ただし、中国ワイン市場に占める輸入ワインのシェアは近年高まる傾向にあり、カステルはこれまで張裕との合弁シャトーブランドを通じて、中国におけるブランド認知度も比較的高いことから、今後競合が強まるリスクには警戒が必要である。
しかし、中国本土での同社の高い競争力は簡単には揺るがないと見る。高級ワインを中心に今後も同社の高成長は続くと弊社では考えている。




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