チャイナマンスリーレポート

11月号

2007年11月1日 内藤証券中国部

玖龍紙業(ナインドラゴンズ)

―需要急拡大が続く段ボール業界で世界トップを目指す―
(2689 香港メインボード 内藤コード N2689 売買単位:1000株)

中国大手段ボールメーカー

 同社は95年に設立された古紙を主原料とする民営の大手段ボール原紙メーカー。珠江デルタ、長江デルタを中心に事業を展開しており、07年6月末時点で、生産能力は年間450万トンに達する。
 家庭用品をはじめ、あらゆるものを運ぶために段ボールは使用され、最近の輸出拡大や国内経済の成長とともに、中国では段ボール需要が急増している。一方、中国国内の段ボール業界は中小零細企業が多く、今後、環境に対する規制強化で中小企業は競争から脱落していく可能性が高い。その中で同社は業界大手として再編の中心的な存在となるだろう。

07年6月本決算は増収増益

 07年6月本決算で、24.5%増収、45.7%増益を達成した。積極的な設備投資が奏功し、主力の段ボールの販売量が前年比18.4%増の327万トンと大きく伸びたことが増収に寄与した。その他に、無漂白パルプも33.3%増の9万トンとなった。また、07年1月に11号機、16号機、17号機が稼動し、生産能力が順調に拡大した上、旺盛な段ボール需要を背景に平均設備稼働率が94.6%の高水準を維持している。量産効果で、近年、採算性が向上し、売上高純利益率が06年6月本決算の17.4%から07年6月期の20.4%に上昇したことにより、大幅な増益となった。

全国展開を推進し、世界トップを目指す

 現在、同社は中国経済の先進地域である珠江デルタと長江デルタを事業活動の地盤とし、両地域における段ボールの製造・販売で支配的な地位を確立している。しかし、段ボール事業は地域密着型であるため、地域的な広がりをみせながら成長を加速させている中国経済の需要をフルに取り込んでいくためには、全国展開が不可欠となっている。
 そこで、今後の成長加速が予想される中西部の重慶市と北部の天津市にそれぞれ第3生産拠点、第4生産拠点を設ける計画を進めており、これにより、同社の営業網は中国全土をカバーできる見通しだ。
 重慶では240万平方メートルの土地を確保し、第1期分として年産80万トンの生産能力で08年半ばから工場が稼動する予定である。天津でも240万平方メートルの土地を確保した。第1期分として年産80万トンの能力で09年6月から工場が稼動する予定であり、今後、需要動向等を見ながら、同拠点の生産能力を段階的に引き上げ、最終的には年産400万トンにする計画を発表している。

 重慶、天津の両地域は大規模工場が少なく、ほとんどが年産5万トン未満の零細工場であり、最近の環境問題に関する中国政府の規制強化に対応できない可能性が高い。このため、珠江デルタ、長江デルタの両地域と同じく、積極かつ果敢な生産能力の拡大で、市場シェアを迅速に奪い、支配的な地位を確立することが可能だろう。この結果、同社は今後も続く中国の高度経済成長の恩恵をフル享受することになる見通しだ。
 また、同社は生産能力を08年には775万トン、09年には1015万トンに引き上げる計画を立てており、世界トップの段ボールメーカーとなることを目指している。

市場では同社株の再評価が続く見通し

 10月18日の終値ベースで、同社の08年6月期予想PERは31.0倍であり、高い水準にある。しかし、上述したように、中国の段ボール需要をフルに取り込んで、同社は今後も高い利益成長を続ける可能性が高い。実際、04年本決算と07年本決算を比較した場合、売上高で271%の増加、純利益で612%の増加と高い成長を続けてきた。ちなみに、市場予想平均で08年6月期の純利益は前年比52.0%増の30.4億人民元、09年6月期は同35.2%増の41.1億人民元と予想されている(ブルームバーグより)。弊社では、今後もこうした高い利益成長のペースが変わらず、30倍台の予想PERは正当化されると考えており、同社に期待している。




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天津港(テンシンポート)

―環渤海湾経済圏の発展で恩恵を受ける―
(3382 レッドチップ株 内藤コード N3382 売買単位:2000株)

中国の港湾運営大手

 同社は天津港で最大規模のコンテナ埠頭を運営。天津発展(0882)の埠頭業務のスピンオフ再編により設立され、06年5月、香港市場に上場した。親会社の天津発展は同社の株を62.8%保有している。同社自身も傘下に100%子会社である「天津港コンテナ埠頭有限公司」(TCT)と「天津港第二港埠有限公司」(第二港埠)、40%出資の「天津港聯盟国際コンテナ埠頭有限公司」(聯盟国際)と「天津港欧亜国際コンテナ埠頭有限公司」(欧亜国際)を持つ。07年上期の天津港における同社のコンテナ取扱シェアは40.3%。
 天津港は北京と天津の大都市圏と環渤海湾経済圏の接点に位置し、首都北京の海上への玄関口であり、中国北部と西北部地域にとって最寄りの港湾である。年間貨物取扱量ランキングでは、06年、中国で第4位、世界では第6位になる。コンテナ取扱量としては中国第6位。中国政府の第11次5カ年計画では、天津を中心とした濱海新区が中国の経済成長の第三極とされており、天津港が華北地域の国際運輸センターと物流センターと位置づけられている。このような中央政府の政策に恵まれている天津港では、今後、一層の貨物取扱量の増加が見込まれる。

07年6月中間決算

 同社の07年6月中間決算の売上高は前年同期比17.5%増の5.7億香港ドル、税引後利益は同42.2%減(06年のIPOによる利息収入の影響を除外すると10.7%増)の1.2億香港ドルとなった。EPSは0.066香港ドル。同期のコンテナ取扱量は、07年前半の対外貿易の増加や天津港の貨物取扱量の増加などにより、前年同期比15.3%増の135万TEUとなり、1TEU当りの平均単価も285香港ドルと06年に比べ6.9%上昇した。

拡大するコンテナ取扱能力

 同社は、現在、2社の100%子会社を通じて天津港に5つのコンテナバース(年間コンテナ取扱能力192万TEU)と7つのばら積み貨物バースを保有している。子会社別では、TCTが4つのコンテナバース(年間取扱能力160万TEU)を、第二港埠は1つのコンテナバース(同32万TEU)と7つのばら積みバース(同1800万トン)を保有し、天津港で唯一の穀物バースも持っている。
 また、同社は07年7月26日に聯盟国際の株式40%を取得した。聯盟国際は、天津港の北港池A区間に4つのバースを保有しており、年間コンテナ取扱能力が170万TEUに達している。

 欧亜国際も北港池B区間に建設中の埠頭(年間コンテナ取扱能力180万TEU)を保有しており、08年末から09年初めにかけて稼働開始の予定である。同埠頭は、A区間の埠頭に隣接しているため、稼働後の実際のコンテナ取扱量は09年にも100万TEUとなり、業績に大きく貢献すると予想されている。

 さらに、同社では天津港の成長を考え、2010年までにグループ全体としての年間コンテナ取扱能力を、06年通期のコンテナ取扱量249万TEUの2.4倍にあたる600万TEUまで引き上げる計画を立てている。

堅調なばら積み貨物事業

 07年中間決算で売上高に対するばら積み貨物取扱事業の割合は31%であった。同期のばら積み貨物取扱量は前年同期に比べ20%減の650万トンとなったが、取扱単価が1トン当り27.7香港ドルと27.6%上昇し、売上自体は179万香港ドルと3.3%増加した。取扱量減少の要因は、大豆の輸入減少による大幅な穀物取扱量の減少と石炭取扱事業からの撤退による。07年中間期の穀物取扱量は前年同期比51.9%減の60万トンだった。
 一方、06年8月に鉄鋼流通センターを天津港では始めて設立し、地元鉄鋼流通業者と提携したことにより、07年中間期の鉄鋼取扱量が前年同期比137%増の440万トンとなった。同社では鉄鋼取扱需要の増加を見込み、鉄鋼取扱能力増強のために2000万香港ドルの資金を投入する計画を立てている。弊社でも、鉄鋼取扱事業を中心にばら積み貨物事業も堅調に推移すると見ている。




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中国海外発展(チャイナオーバーシーズランド)

―不動産市況の上昇と豊富な開発用地で中長期見通し好調―
(0688 香港メインボード 内藤コードN5450 売買単位:2000株)

全国展開で急成長する中国トップクラスの不動産会社

 本土でトップクラスの不動産開発会社。不動産の開発・賃貸のほか、オフィスビルの建築や土木工事、インフラ投資、電力供給などの事業も行っているが、07年上期売上高の87.0%を本土の不動産開発事業が占めた。優れた資金調達力を武器に、開発用地の取得と全国展開を積極的に進めており、中長期的にも高成長を維持することが期待される。

07年上期純利益は前年比60.2%増と好調

 07年上期32.2%の増収、60.2%の増益を達成した。中国本土の不動産開発事業の売上高は前年同期比38.5%増の41.4億香港ドル、同事業の営業利益は同73.0%増の13億香港ドルに達し、営業利益の73.0%を稼ぎ出した。不動産の販売単価が06年上期の5,454香港ドル/㎡から8,116香港ドル/㎡に48.8%も上昇したことが大きく寄与した。また、販売契約面積も92.8万㎡で過去最高を記録し、うち本土は21.1%増の92.5万㎡だった。

07年下期には高採算のマカオプロジェクトが寄与へ

 07年下期業績も好調に推移する見込み。会社側では下期に完成するプロジェクトが相次ぐと見ており、07年通年の売り出し物件は延べ床面積で210万㎡、完成物件は250万㎡以上を見込んでいる。
 中でも、注目されているのがマカオの「La Cite’」プロジェクトだ。高採算物件のため、収益寄与が極めて大きいとみられており、下期に15億香港ドルの利益寄与を見込むアナリストも少なくない。このため、07年下期の純利益は急増する見通しで、通年の純利益はアナリスト予想平均で前年比54.1%増と予想されている(ブルームバーグより)。

開発用地は豊富で取得コストも妥当な水準

 不動産市況の上昇が続く中で、同社は積極的な開発用地の取得を進めている。07年1-7月には366万㎡を90.8億香港ドルで取得した。取得コストは2,483香港ドル/㎡と計算され、当該地域の完成済みプロジェクトの平均販売価格の25%未満に止まり、極めて妥当な価格での用地取得といえるだろう。また、07年7月末の開発用地は1,860万㎡と豊富であり、これらの用地だけでも10年までの事業展開に不安はない。しかも、開発用地の地域別構成比は珠江デルタ25.9%、長江デルタ27.6%、渤海湾・北東部22.3%、中国西部23.1%、香港・マカオ1.1%で、中国の先進地域から高成長軌道に乗り始めた地域までを幅広くカバーしている。事業を全国展開したことで、地域経済の好調・不調の波を受けにくい事業体制が整ったといえよう。

資金調達も順調

 政府の不動産融資に対する締め付けが厳しくなりつつあるが、親会社などに対する新株引受権の発行で、同社の資金調達は順調だ。昨年、発行した36億香港ドルのワラントは、33億香港ドルが行使された。07年8月にも約77億香港ドルのワラントを発行したが、同社株が順調に上昇していることもあり、権利行使される可能性は高い。この資金を元に、同社は財務体質の改善と積極的な用地開発の取得を両立させる計画である。

政府による不動産市場引き締め策の影響は一時的

 現在、中国政府は不動産に対する引き締め策を継続しており、9月下旬も政府は2件目の住宅取得に対し、住宅ローンの適用金利を通常の1.1倍に、頭金を従来の30%から40%に引き上げた。しかし、政府が抑制しているのは投機的な不動産売買で、現在の不動産市場を牽引しているのは住宅の一次取得者(初めての住宅購入層)であるため、政府の不動産抑制策は限定的な効果に止まっている。
 中国本土では所得水準の向上による中産階級の急増や農村から都市部への人口移動が住宅需要の拡大を支えている。政府の不動産引き締め政策が投機の抑制を狙ったものである限り、中国の不動産市場への影響は一時的なもので終わるだろう。
 その一方で、不動産融資に対する締め付けは着実に中小業者の資金調達を困難にして業界再編を促し、同社のような大手のシェア拡大を後押しすることになるだろう。




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深セン高速道路(シンセンエクスプレスウェイ)

―一層の成長を目指す―
(0548 香港H株 内藤コードN3150 売買単位:2000株)

深センの高速道路に手がける大手

 深セン市を中心に中国広東省の有料道路および高速道路の運営を手がける。1996年に深セン高速道路開発公司、深広恵高速公路開発公司、広東道橋開発公司の統合により設立された。97年3月に香港取引所に上場、01年12月には上海証券取引所にA株上場を果たした。国有企業の深セン市投資管理公司の傘下にある深セン国際(0152)が筆頭株主となっている。
 06年末時点で、深セン市に7本、広東省(深セン市を除く)に4本、その他の地域に3本の有料道路を擁しており、総延長距離は持分換算で約210㎞になる。その他に、約160㎞が建設中。深セン市の7本の道路は、梅観高速公路、機荷高速公路の東区間・西区間の主要3道路に加え、塩排高速公路、塩ハ高速公路、水官高速公路、水官延長区間公路である。
 これらの道路は、深センの空港、港湾、コンテナ・ターミナル、工業開発区などを結ぶ重要な幹線道路となっている。同社は、深セン市における高速道路事業の優先建設権と経営権を持つという大きな優位性をもっており、最近では、深セン市商業銀行と提携してETC(高速道路料金自動収受システム)事業に携わっている。

好調な有料道路事業

 07年中間期の売上高は前年同期比50.9%増の5.2億人民元、税引後利益は同18.8%増の3.2億人民元となった。EPSは0.146人民元。
 深セン市、東莞市、広東省の07年上期のGDP成長率はそれぞれ13.2%、17.5%、14.3%と全国平均を上回り、深セン市の港湾貨物の取扱量は前年同期比15.5%増の約9300万トン、コンテナ取扱量は同13.8%増の950万TEUと高い伸びを示している。そのため、周辺の陸運需要も大きく伸び、同社もその影響を大いに受けた。機荷西高速、塩ハ高速はそれぞれ前年同期比で19.5%、18.9%売上高が増加した。

新規道路の完成で更なる成長を目指す

 建設中の南光高速と清連高速は、当初計画通り、それぞれ08年前半、同年末に開通する見通しである。この2本の高速道路の開通は、同社の企業価値をさらに高めることになる。このことは、同社の資本が他社より大きな増分収益をもたらすこと、すなわち新規投資の高い成長性と効率性を示している。

 一方、同社は、06年4月に深セン外環高速道路の建設権を獲得した。工事は08年に着手され、2012年に開通する予定である。将来的に、この高速道路は同社の収入源の柱のひとつとなろう。ただし、同高速の一部の区間は、既存の機荷高速とほぼ平行しているため、完成・開通に伴い、機荷高速の一部の通行量が同高速にシフトする可能性がある。しかし、機荷高速の通行量が飽和状況になりつつあることから、シフトによるインパクトは小さいと見られる。なお、深セン外環高速と機荷高速の通行量は、それぞれ2013年、2015年に飽和状態になると見込まれている。

分離型ワラント債の発行

 07年9月27日に、同社は中国本土での分離型ワラント債の発行に関する追加公告を発表した。06年9月に同社は15億人民元の分離型ワラント債の発行を発表したが、その後、同社のA株の株価の堅調を受け、希薄化の影響を軽減するためワラントの発行数を108百万枚に引き下げるなど発行条件を変更した。同分離型ワラントに関しては10月12日に発行が完了し、同資金を南光高速の建設資金に当てる旨の発表があった。

 今後も、深セン市を中心とした地域の高い経済成長と内陸部の経済発展により、陸上輸送の需要は大いに拡大するだろう。それと同時に、同社も一層成長していくと弊社では考えている。




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