チャイナマンスリーレポート

2月号

2008年2月5日 内藤証券中国部

~本土市場から~

1月の本土株市場は前半と後半で大きく変わった。
昨年12月後半から上昇に転じた上海総合指数は1月11日のザラ場で5500ポイントを上回り、また、深セン総合指数は10日に昨年のザラ場高値を更新し、15日のザラ場では1584.396ポイントまで上昇した。
しかし、米国のリセッション(景気後退)が中国の輸出や経済全体に及ぼす影響を投資家は意識し始め、中国本土株は、1月16日以降、大幅な下落となった。昨年末からの下落率を計算すると、NYダウ工業株30種が22日終値時点で9.8%、上海総合指数が13.3%と直近では中国株の方が大きく下げているが、昨年末からの動きを見ると同程度だといえる。

 米国のサブプライム問題に端を発した一連の問題は、昨年後半から、一部市場関係者の中では意識されており、また、中国経済への影響も議論されていた。米国のリセッションが中国経済にまったく影響を与えないはずはなく、予想された範囲内であるにもかかわらず、短期間にこれほど大きく株価が下落したのは、投資家心理によるところが大きい。この冷え込んだ投資家心理を短期間で好転させるには政府による株価対策が不可欠だろう。しかし、安易な株価対策は内需主導型の経済体系へと向かう機会を奪うことにもなりかねず、短期的な回復にとどまる可能性があり、注意が必要だ。

もっとも、昨年5月末のキャピタルゲイン課税導入観測時の調整が1カ月程度で済んだことや、今年8月には北京オリンピックが控えていることなどを考えると現在の冷え込んだ投資家心理も春までには回復するだろう。今回の調整には時間が必要であるが、内需主導型経済に転換する過渡期と見るべきだ。

~香港市場から~

 1月の香港株市場は大幅な下落となった。ハンセン指数は、直近の下値支持線であった26000ポイントを1月15日に割り込み、さらに強い支持線と見られていた200日移動平均線も21日には下回った。22日終値で21757.63ポイントを付け、昨年末からの下落率は2割を超え、短期間で株価は大きく下げた。

今回の下げの主因は米国株式の下落であるが、21-22日の大幅下落は中国銀行(3988)にもその原因がある。21日に香港の英字紙で「同行がサブプライム問題に絡んで巨額損失を計上する」と報じられたが、事実関係について正式なコメントを発表しなかった。そのため、市場に混乱が広がり、大幅な下げとなった。同行が巨額損失を否定する正式なコメントを発表したのは23日になってからであり、対応の遅れが目立つ。

 中国銀行は07年9月末時点でサブプライム関連証券に約79億米ドル投資しており、当然、今回のような報道を予想していたはずで、同日中に何らかのコメントを発表すべきであった。このように、中国企業は市場との対話姿勢が欠けており、それが今回の香港市場の大幅な下落に繋がったのではないか。

  現状では、海外市場を尻目に香港市場が単独で上昇するのは難しく、相場が本格的な反転に向うには海外市場の上昇や「港股直通車」の実施等が必要だろう。

~07年の経済統計発表、GDPは5期連続2ケタ増~

1月24日、07年の国内総生産(GDP)をはじめ主要な経済統計が中国国家統計局から発表された。サブプライム問題による世界的な株価下落の中で発表された統計数字は中国経済の好調さを示すものであったが、景気の過熱や物価の上昇など、問題点もあらわした。

GDPは5期連続の2ケタ増

 注目の国内総生産(GDP)は実質成長率で前年比11.4%増と5期連続で10%を超え、名目GDP額も24兆6619億人民元に達したが、GDP額でドイツを上回ることはできず、世界第3位の経済大国となるのは08年に持ち越されたもようだ。また、固定資産投資額は前年比24.8%増の13兆7239億人民元と高い数字であった。さらに、貿易では輸出額が25.7%増の1兆2180億米ドルとなり、貿易黒字は2622億米ドルと前年に比べ847億米ドル増加した。

 一方で、社会消費品小売総額は16.8%増と年々増加傾向にあるものの、固定資産投資や貿易黒字の伸びと比較すれば依然として低く、中国の高い経済成長を牽引しているのは固定資産投資と輸出だといえる。

米国のリセッションが中国に及ぼす影響

 今回の経済統計でも明らかになったように、輸出が中国の経済成長を支えている。そのため、中国にとって香港と並ぶ輸出先である米国のリセッションは中国の経済成長率を低下させる。ちなみに、米国の貿易統計(通関ベース、名目、原数値)によると、07年10月の貿易赤字額は753億米ドル、そのうち対中国が259億米ドル、対日本が80億米ドルとなっており、対中貿易赤字額は対日貿易赤字額の約3倍の水準で、赤字額全体の34.4%を占めている。

 さらに輸出の鈍化は、単に輸出分の成長率を押し下げるだけではなく、固定資産投資額にも影響を及ぼす。現在、中国では固定資産投資の高い伸びによって、一部の産業で過剰設備の発生が問題となっている。過剰設備から生産された製品は国内だけでは消費し切れず、今までは輸出に向けられていた。しかし、海外へのはけ口を失った製品が国内で在庫として積み上がれば、企業の設備投資意欲を減退させ、更に経済を悪化させる。

国内消費を刺激する政策

米国のリセッションの影響を完全に取り除くことは、世界経済の中に組み込まれた国では不可能だろう。欧州や日本はその影響を直接受け、景気後退が懸念される。しかし、中国は13億以上の人口があるゆえに国内に潜在的な市場を持っており、国内市場が活性化できれば海外市場の影響を軽減できる。

 そのためには、遅れている社会保障制度の整備や、食品価格の上昇を中心とする消費者物価(07年のCPIは前年比4.8%上昇)の抑制、などが必要である。また、07年で都市部住民の1人当り可処分所得が1万3786人民元であるのに対し、農村部の1人当り純収入は4140人民元にすぎず、農村部の所得向上も急務だ。

 これらのことは中国政府も認識しており、金融引き締め、労働契約法の改正や最低賃金の導入などで投資から消費へと経済構造の改革を進めている。今後、一時的に経済成長率等が鈍化しても変化の時期と見るべきだろう。

~相次いで発表される企業の好業績見通し~

 中国は12月に本決算を行う企業が多く、4カ月以内に決算発表を行わなければいけない。そのため、実際に決算内容が発表されるのは3月から4月後半になる。しかし、大幅に業績が変化する企業は予め見通しを発表する。07年の決算に関しても、年初から業績見通しを出している企業が多数ある。その中から、今回、いくつかを紹介する。

大幅増益見通しを発表する銀行業界

 国有銀行をはじめ、多くの銀行が増益見通しを発表している。中国工商銀行(1398)は、各業務とも好調であり、特に手数料収入が大幅に増加して、07年本決算で60%以上の増益となる見通しを発表した。また、中国建設銀行(0939)は約48%の増益見通しで、同行も金利収入だけでなく、手数料収入の増加が好調な業績につながった。交通銀行(3328)も各業務が好調で60%以上の増益となる見通し。さらに、招商銀行(3968)も大幅な増益見通しを発表しており、07年本決算で純利益が約110%増加するとしている。資産規模の拡大、手数料収入の大幅な増加や実効税率の低下などをその要因として挙げている。

銀行以外にも好業績見通し企業は多数ある

 中国遠洋控股(1919)は、筆頭株主から買収予定の貨物輸送子会社4社を連結対象にしたとの仮定のもとで、07年の純利益が121.7億人民元以上になると発表していたが、下期の海運市況が好調だったことや、買収する4社の運営管理が良好だったことなどで、同予想額を更に50%上回る見通しを発表した。

  内モンゴル伊泰石炭(900948)は、一部炭鉱で技術刷新によって生産量が増えるとともに石炭需要の高まりから価格の上昇や販売量の増加が起きたこと、また、100%子会社だった「内蒙古伊泰京粤酸刺溝砿業有限責任公司」の出資持分を一部譲渡したことで売却益が発生したこと、などで07年本決算では純利益が100%以上増加する見通し。

  広深鉄路(0525)は、買収した広東省広州市と楽昌市坪石間の鉄道事業が連結対象となり、資産規模が拡大して07年本決算で約100%の増益となる見通しを発表した。

  安徽海螺水泥(0914)は、業界全体で老朽施設の閉鎖が進み、セメントとクリンカーの販売量増加や価格上昇によって、07年本決算で純利益が50%以上増加すると発表した。

  江鈴自動車(200550)は、07年の自動車販売台数が前年比12%増の9万5059台に達し、07年本決算では10.46%の増収、18.97%の増益となり、EPSは18.97%増の0.87人民元との決算速報(未監査)を発表した。

  中海発展(1138)も業績速報(未監査)を発表しており、07年本決算で売上高が前年比34.87%増の125.4億人民元、純利益が同65.45%増の46.5億人民元、EPSが同64.71%増の1.4人民元としている。

 これらの銘柄以外にも、大幅な増益見通しや業績速報を発表している企業は多数ある。海外市場の影響を受けて、軟調な展開が続いている中国株だが、中長期的な視点に立てば、今の時期は好業績銘柄の良い買い場となろう。

石油業界

~原油価格の上昇が業界に及ぼす影響~

原油高で石油製品は採算割れ

 中国では原油価格は概ね海外市場に連動しているが、ガソリンや軽油といった石油製品の価格は政府が統制しており、国際価格を大きく下回る。そのため、直近の原油価格の高騰を受けて石油会社の精製部門は軒並み大幅な赤字に陥っている。

  中国石油化工(0386)、中国石油天然気(0857)の精製部門は採算割れの操業を余儀なくされ、石油製品を生産すればするほど精製部門の赤字は拡大した。このため、各社とも石油製品の生産調整を行った。ガソリン生産量は07年9月以降、前年同月比5%弱の低い伸びにとどまり、中国国内では石油製品不足が表面化しガソリンスタンドに長蛇の列ができた。


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値上げでも精製部門の赤字は解消せず

 中国政府は石油製品の生産を促すために、07年11月にガソリン価格等を約10%引き上げたが、採算割れの状態を解消できていない。また、高い消費者物価指数に警戒感が強まる中では、政府による追加値上げも期待できない。だが、石油製品不足による国民の不満を受けて、中国石油化工、中国石油天然気と政府が交渉した結果、政府に譲歩する形で2社は石油製品の生産拡大と緊急輸入に動き出した。

原油の探査・生産を専門とする中国海洋石油

 石油精製部門が依然として赤字操業を余儀なくされていることで、石油製品でアジア最大手の中国石油化工は収益的に苦しい状況になるだろう。中国石油天然気は原油の探査・生産部門が収益の柱ではあるが石油精製部門を抱えており、同部門が収益拡大の足枷となる可能性がある。

  一方で、中国海洋石油(0883)は原油の探査・生産を専業としており、直近の原油価格高騰の恩恵を受けるだろう。足元の07年中間決算は12.7%減収、10.6%減益と低調だったが、原油・天然ガスの販売量は増えており、原油価格の上昇が同社の業績を大きく押し上げると予想する。

鉄鋼業界

~環境問題による老朽施設の閉鎖が、業界再編を促す~

需要の回復を迎える鉄鋼業界

 中国国内の鉄鋼需要は依然として強く、鋼材価格の上昇も目立ってきた。国内鋼材総合価格指数は07年11月末に118.99ポイントとなり、06年末の105.15ポイントに比べ13.2%上昇した。

  主要顧客である建設業界と不動産業界の急速な成長が鉄鋼需要を支えている。1-10月の不動産投資実行額は1.92兆人民元と前年同期比31.4%増の高い伸びを示した。工業化や都市化が進む中国では鉄鋼の消費量が今後更に増加すると見込まれ、鉄鋼価格も堅調に推移するだろう。


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鋼材に対する輸出政策は引き締め傾向に

 一方で、中国政府は鋼材の輸出拡大に消極的である。鉄鋼産業はエネルギー多消費型産業であり、環境汚染も激しい。特に小規模の施設や老朽化の進んだ施設では環境対策も十分ではなく、環境破壊が問題となっている。第11次5カ年計画に定めた省エネ・環境目標の実現のためにも、環境基準を満たさない企業の淘汰が今後進められていくと見られている。政府は欧米との貿易摩擦解消のためだけではなく、業界再編や鉄鋼製品の高付加価値化を促す上でも、輸出の拡大に歯止めをかけたい。

  そのため、商務部は07年4月に80余りの鋼材品目に関して輸出付加価値税の還付を廃止し、5月には輸出許可証制にした。さらに、財務部は07年6月から80品目の鋼材輸出に関して5-10%の輸出関税の徴収を実施している。


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業界再編を促す中央の政策

 国務院が07年4月に開催した会議の中で、中国国家発展改革委員会の馬凱・主任は今後5年間で製鉄能力を3986万トン、製鋼能力を4167万トン削減すると発表し、07年にそれぞれ2255万トン、2423万トン削減する目標を示した。また、05年7月に発表された「鉄鋼産業発展政策」では、鉄鋼メーカー上位10社の国内生産シェアを10年までに50%、20年までに70%へと高める目標を掲げており、大手を中心とした業界再編の流れは今後更に加速するだろう。

鉄鋼の輸出政策は一部の企業収益に影響

 鉄鋼メーカーの業績は明暗が分かれている。鞍鋼(0347)の07年中間決算は32.0%増収、54.5%増益と好調であったが、第3四半期決算(中国会計基準、未監査)では原材料価格の上昇を受けて17.5%の減益となった。しかし、上期が好調であったため、1-9月決算(中国会計基準、未監査)は25.2%の増益を維持している。また、馬鞍山鋼鉄(0323)の07年中間決算は28.6%増収、1.9%増益であった。1-9月決算(中国会計基準、未監査)でも売上高が前年同期比33.0%増加したものの、輸出関税の増加や老朽化した設備の廃棄に伴う特別損失を計上したために、5.5%の減益となった。2社とも第3四半期の業績は思わしくないが、鋼材価格の上昇とともに収益力は改善するだろう。また、今後の業界再編で中心的な役割を果たすと予想する。

  一方、重慶鋼鉄(1053)は07年中間決算で純利益が前年同期比825.6%増の2.63億人民元となった。1-9月決算(中国会計基準、未監査)でも純利益が前年同期比149.6%増の4.05億人民元と大幅な増益を維持している。輸出比率が低いため輸出関税等の影響が限定的であり、主力製品の付加価値の高い中厚鋼板が利益を大きく押し上げた。


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華潤電力控股(チャイナリソーシズ・パワー)

―高い成長性と収益力を誇る電力業界の優良企業―
(0836 香港レッドチップ株 内藤コード N0830 売買単位:2000株)

高い成長性と収益性を誇る電力会社

 中国経済をリードする広東省、江蘇省、浙江省などで事業を展開し、07年6月末時点で21ヵ所の発電所を保有している。高い成長性が同社の特徴であり、発電能力は04年末の2949MW(メガワット)から07年6月末には8741MWと約3倍になった。また、収益力も高く、07年上期の売上高純利益率は21.3%を記録し、香港上場5社の中でトップ。炭鉱事業も有し、燃料となる石炭から発電までを一貫して行う事業の形態に強みを持ち、高い成長性と収益性を兼ね備えた、中国の電力会社を代表する優良企業。

好調な企業業績と発電能力の拡大

 市場コンセンサスでは07年本決算を、売上高で166.4億香港ドル、純利益で33.0億香港ドルと予想している(ブルームバーグより)。同社も07年通期での卸電力量が前年比68.6%増の5131万MW時と発表しており、今後発表される07年本決算では市場コンセンサスを上回るだろう。

  また、中国政府は老朽化した小規模の発電設備を閉鎖し、大規模化を進める政策を打ち出しており、同社もその流れに沿って、老朽化した小規模発電所を買収し、その小規模の発電ユニットを閉鎖する一方で新たな発電ユニットの建設許可を政府に申請している。この活発な発電所の建設や買収によって、07年末時点での同社の発電能力は前年末比5割増の12313MWに達した。今後、08年から09年にかけても年平均20%以上の発電能力の増加が続くと弊社では予想する。

石炭価格の上昇や金利上昇に相対的に強い

 同社は電力業界の中で石炭価格の上昇に対する抵抗力が相対的に強い。発電所の稼働率が高く、発電効率も高いため、07年上期において単位当りの石炭消費量は前年同期比で4%減少し、1KW(キロワット)時当り334gであった。そのため、石炭価格が上昇しているにも関わらず、単位当りの燃料コストは前年同期比0.6%低下して1MW時当り167人民元となった。今後も、発電効率の上昇等によって石炭価格高騰の影響は軽微にとどまるだろう。

  また、現在、中国政府は金融引き締め政策を採っており、今後も利上げが予想されるが、金利上昇が収益に及ぼすマイナス影響も同社は比較的小さい。07年6月末時点での自己資本比率が38.5%であり、大唐国際発電(0991)の25.8%や華電国際電力(1071)の22.7%などと比較して高い水準を保っている。

炭鉱会社の買収にも積極的

 昨年10月に、「江蘇天能」を徐州市国有資産監督管理委員会(徐州市国資委)から買収すると同社は発表した。江蘇天能は石炭採掘のほかにも、火力発電所の保有や発電所の建設も行う。採掘可能な石炭埋蔵量は合計1億7990万トンで、06年の石炭生産量は235万トン、07年上期は130万トンだった。買収価格は6.1億人民元と妥当な金額であったと考えられる。ただ、10月上旬に内モンゴル自治区で48億香港ドルの炭鉱事業への投資を発表しており、その案件に比べると、かなり小規模といえる。しかし、今回の石炭事業への投資を行ったことで、石炭の調達や価格上昇の影響が低減されることを考えると、投資の意味は大きい。

  また、江蘇天能は発電プラントも5ヵ所に出資しており、持分ベースでの発電能力は121MWある。さらに、総発電能力で600MWの発電所建設も計画されており、今後、同社の発電能力に加わる予定。これら以外にも、江蘇天能には熟練の炭鉱労働者が多く、炭鉱と発電所の垂直統合と運営に実力を発揮することが期待できる。

今後も、同社は石炭価格の高騰によるコスト上昇圧力を抑えつつ、老朽化した発電所を買収し閉鎖することで大型発電所の建設許可を得る戦略を続けるだろう。政策に沿った経営戦略を採ることで、成長を謳歌するものと期待する。


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哈爾濱動力設備(ハルビンパワー)

―新規受注の増加と利益率の向上―
(1133 香港H株 内藤コードN1350 売買単位:2000株)

好調な業績

 同社は火力・水力発電設備、その関連機器を生産するほか、コンサルティング業務も手掛ける。07年上期の業績は売上高が前年同期比2.3%増、純利益が73.0%増と好調だった。増益の主な理由は利益率の大幅改善であり、07年上期において売上高純利益率が5.1%に達し、06年上期の3.0%から2.1ポイント上昇している。また、完成設備の引渡しが下期により集中するため、07年本決算での増収率は上期を上回ると見込まれる。

新規受注の増加は2008年以降の業績成長をもたらす

 07年上期での新規受注は大幅に増加した。新規受注高は前年同期比73%増の221億人民元となり、そのうち火力発電設備が8割を占めた。その背景として、①海外市場の開拓に注力したことで海外での受注が大幅に増加、②中国国内では小規模火力発電設備の淘汰による代替需要の発生、などが挙げられる。

  特に、海外の発電設備市場では欧州企業と競合するが、対ユーロで人民元安の傾向が続いており、中国製火力・水力発電設備は欧州メーカーの同種の製品より割安であるため、海外での受注が増加している。07年上期での売上高に占める輸出比率は11.7%だが、さらに高まっていくだろう。

原子力発電設備は今後の成長ドライバーに

 また、同社は原子力発電設備分野での投資も強化している。07年上期に10億人民元の増資を行い、既に4-5億人民元を原子力発電設備プロジェクトに投資した。08年には更に4-5億人民元を投資する見込みである。中国はクリーン発電設備の投入を加速しており、政府計画によると、06-10年において原子力発電設備市場は年平均12.8%の成長が見込まれ、11-15年における成長率も約14%になる可能性がある。20年の国内原子力発電設備市場が1800億人民元になる見通しで、同社は電力転換ユニットにおいて競争力が相対的に強く国内シェアが33%、核反応蒸気発生ユニットで同5%のシェアを有している。

技術進歩による業績向上

 近年、同社は日本や欧州のメーカーからの技術導入を行い、材料の使用効率を高める技術革新を進めており、現在単位当たりの材料消耗比率を下げる技術が既に概ね確立されたと見られ、今後、高い生産効率が同社の業績を押し上げるだろう。

利益率圧迫要因もあるが、全体的に高まる傾向

 さらに、同社のコストに占める特殊鋼及び鋼材部品の割合は約7割であり、鋼材価格の上昇はリスク要因である。しかし、特殊鋼は現段階では輸入依存度が高いが、今後国内品に徐々に切り替えることによって利益率の改善が図られるだろう。一方で、現在、百万KW級の発電設備の生産についてまだ経験が不足しているために同事業での利益率は相対的に低く、大型発電設備事業の拡大によって短期的には利益率が圧迫される可能性がある。ただし、主力事業の合理化が進むと見込まれ、同社全体としての利益率は08年以降も07年の水準かそれ以上を維持するだろう。



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中国電力国際発展(チャイナパワー)

―買収と資産注入で電力事業を一層拡大へ―
(2380 香港レッドチップ株 内藤コードN2381 売買単位:1000株)

中国大手電力会社

 同社は、中国の5大電力グループのひとつである「中国電力投資集団公司(CPI)」の傘下企業。04年3月に香港で設立され、同年10月に香港市場に上場した。主な事業内容は中国本土における発電所の建設・運営。07年6月末時点で、運転中の石炭火力発電所4ヶ所を保有しているほか、上海電力(上海A株上場)の25%の株式を保有する。また、親会社が保有する発電所の受託管理も行う。

好調な電力事業

 中国経済の持続的な高成長により、電力需要ならびに電力使用量が急速に増加している。中国経済と電力需要の急成長に恵まれ、同社の売上高は06年本決算で前年比19.3%増の52億人民元に達し、07年本決算でも市場コンセンサスで17%増の61億人民元(ブルームバーグより)と高い予想がなされている。

広州電力の25%株式取得で広東省に本格展開

 07年12月30日、同社は、「広州発展集団有限公司(広州発展)」との間で、広州発展の100%子会社である「広州電力企業集団有限公司(広州電力)」の出資持分25%を7.5億人民元で取得する基本契約の合意を発表した。広州電力の主要業務は、広州地区での発電プロジェクトへの投資や電力の生産・販売、熱・電力供給の管理。06年12月末時点の純資産(監査済み)は25億8200万人民元だった。この広州電力の株式取得により、同社は中国で経済発展の著しい地域のひとつである広州市の電力市場に本格的に進出することになる。

期待される水力発電資産の注入

 07年9月の上期業績報告会では、同社の経営陣は初めて、水力発電に強い興味を持つことを示した。これは、石炭価格の高止まりを受け、石炭による火力発電よりも、水力発電の魅力が高まっているからである。これを受け、同社は、親会社のCPIから水力発電の資産注入を受けるとの見方が浮上した。現在、水力発電資産の有力候補としては、「黄河上ユウ水電開発有限責任公司(黄河上ユウ水電)」と「湖南五凌水電開発有限責任公司(湖南五凌水電)」の2社が挙げられている。黄河上ユウ水電は99年に設立され、運転中の発電所を7ヶ所、発電能力5200MWを擁しており、中国の西北地域における発電能力シェアは12%に達している。また、建設中の2ヶ所の水力発電所(合計発電能力3820MW)は09-10年に運転開始の予定である。CPIは黄河上ユウ水電の87%の株式を保有している。

 一方、湖南五凌水電は、94年に設立され、03年にCPIの傘下に入った。現在、運転中の水力発電所7ヶ所(発電能力3000MW)を持っており、中国の中部地域を中心に電力を供給する。建設中の発電所は、約5ヶ所で合計発電能力は3000MWに上る。CPIは、湖南五凌水電の60%の株式を保有している。

  CPIより水力発電の資産注入が実現されれば、同社の中部・西北部での電力事業が一層強化されるだけでなく、石炭価格の動向に左右されにくい水力発電事業の増加で同社の業績安定化にも寄与する。

リスク要因は石炭価格の上昇

 同社の業績にとって大きなリスク要因のひとつは、火力発電の燃料となる石炭価格の動向である。輸送費用の上昇、石炭企業に対する付加価値税の導入などにより、08年以降も石炭価格は高止まる可能性が高い。同社は電力の卸売価格の引き上げで対応すると見られるが、中国政府は電力料金等の価格統制政策を打ち出しているため、当面は電力料金の引き上げは難しい。また、石炭価格の上昇への対策の一環として、07年12月9日に、同社は「河南平頂山煤業(集団)有限責任公司(平頂山煤業)」と戦略的パートナーシップ契約を結んだ。主な内容は、2社の間の中長期的な石炭取引、石炭輸送ベルトの建設、炭鉱の開発などである。これにより、今後、平頂山煤業から安定的な石炭供給を受けることができ、石炭価格の変動リスクが軽減することができると見られる。


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