チャイナマンスリーレポート

3月号

2008年3月5日 内藤証券中国部

~本土市場から~

2月の本土株市場は安値圏でのもみ合いに終始した。

1月中旬から下落基調が続いていた上海総合指数は2月1日にはザラ場で4195.75ポイントと約半年ぶりに4200ポイントを割り込んだ。引き続き米国の景気後退が中国の輸出に悪影響を及ぼすとの懸念が払拭できないうえ、雪害による景気へのダメージや金融引き締めへの警戒感が背景となった。

週明けの4日は同指数で8.1%高の急反発。株安要因のひとつであった大寒波が緩んできたほか、5ヵ月ぶりに新規の投資信託2本が認可され、政府による株価対策に対する期待が高まり、幅広い銘柄に買い注文が入った。

一方、旧正月の休み明け後の市場は4500ポイントを中心として日替わりで上げ下げを繰り返す方向感の定まらない展開が続いた。下げ局面では値ごろ感や株価対策期待からの買いが入るものの、上値は根強い金融引き締め観測や非流通株改革、IPO、大型増資などに伴う需給悪化懸念が頭を抑えるかたちとなった。

 今後も、短期的には神経質な値動きが予想される。中長期的なファンダメンタルズに変化はないものの、今回の大寒波の影響でインフレが加速、つれて一段の金融引き締め、結果として成長率鈍化というシナリオが拭いきれず上値を抑える要因となるうえ、これまでロックアップされていた大量のA株が売買解禁のピークを迎えていることも需給面ではマイナス材料。

 ただ、2月には久しぶりに株式投信の募集が再開されるなど政府による株価対策への期待が高まっていることも事実。3月5日に開幕する第11期全国人民代表大会で何らかの株価刺激材料が出る可能性もあるだけに要注目。

~香港市場から~

 2月の香港株市場は本土市場同様に安値圏でのもみ合いとなった。

 米国株式市場の上昇に加え、雪害の影響により本土の金融引き締めが緩和されるとの見方が浮上し、ハンセン指数は月初の2日間で1576ポイント、6.7%の上昇となり25000ポイントを回復、200日移動平均線を上回った。

 しかし、その後の2日間で1562ポイント、6.2%の反落となり、再度23000ポイント半ばへ下落した。米国株式市場の急反落が主因だが、旧正月の休みを控え利益確定の売りや手仕舞い売りが幅広く出た。

 旧正月明け後は11日こそ続落となったものの、その後は4日連続の上昇。米国株式市場がモノライン救済案、小売売り上げなどを好感して上昇したことがプラスとなった。さらに、香港独自の要因として、不安視されていた東亜銀行(0023)の決算が予想の範囲内に収まったことも買い安心感を誘った。ただ、その後は米国、日本ほかアジア株式市場を横目に見ながら一進一退の展開が続いている。

 当面の香港市場だが引き続き明確な方向感に欠ける展開となりそうだ。香港市場独自の材料に乏しいなか、引き続き米国を中心とする海外株式市場の動きと中国本土の景気観測に左右されることになりそうだ。

 ただ、これから4月にかけて本格化する07年12月期本決算の発表で好業績が改めて確認されれば再度上昇トレンド入りのきっかけとなる可能性もある。しばらくは、下値を固めながらのもみ合い、その後は決算発表を見ながら次第に戻りを試す展開が予想される。

~続々と好業績見通しを発表する中国企業~

 上海、深センの両取引所に上場している約1600の企業のうち900社以上が07年12月本決算について業績見通しを発表した。そのうち約8割に当る700社以上が大幅な増益や黒字転換の予想をしており、06年以上に好調となっている。そこで、今回も香港市場上場企業を含めて、それらのいくつかを紹介する。

好決算見通しを発表した企業

 平安保険(2318)は、投資収益の拡大、保険業務の安定成長や証券子会社の増益を受けて、07年12月本決算(中国会計基準)で純利益が前年比100%以上との見通しを発表した。また、同社はベルギー大手金融グループのフォルティス・グループに約18億ユーロ出資するなど、海外での運用も積極的に行っている。売買単位は500株、2月22日終値で56.70香港ドル。

 中国聯通(0762)は、06年7月に発行した転換社債が権利行使されたことや、中国本土子会社の利益を再投資したことに伴う税還付等の影響で、07年12月本決算(香港会計基準)で100%以上の増益見通し。また、今後本格的にサービスの始まる第三世代(3G)携帯電話に絡んで中国の通信業界には再編の噂が絶えず、同社の動きが株式市場で引き続き注目を集めるだろう。売買単位は2000株、2月22日終値で18.26香港ドル。

 中興通訊(0763)は、エチオピア電気通信公社から総額4億7800万米ドルのGSMネットワーク工事を受注するなど、海外事業の拡大を受け、07年本決算(中国会計基準)で純利益が前年比50-70%増加すると見通しを発表。市場では、3G携帯電話サービスにおける設備投資関連銘柄としても注目されている。売買単位は200株、2月22日終値で47.60香港ドル。

 広州広船国際(0317)は、ドックの改良に伴う造船能力の向上等で造船事業の利益率が大幅に上昇したことや、資金調達の改善による財務内容の強化などによって、07年本決算(中国会計基準)での純利益が前年比200%以上増加する見通し。売買単位は2000株、2月22日終値で32.75香港ドル。

 海南航空(900945)は、対米ドルで人民元高が続いていることや航空需要の堅調な伸びを受けて、07年12月本決算(中国会計基準)で約200%の増益となる見通しを発表した。中国の巨額な貿易黒字を背景とした人民元高、特に対米ドルでの人民元高は今後も続き、航空業界にとってはプラスに作用するだろう。売買単位は100株、2月22日終値で1.121米ドル。

 康佳集団(200016)は、カラーテレビ事業で高級品の販売が増加したことやコスト削減効果によって、07年12月本決算見通しを純利益で前年比50-100%になると発表。国民所得の向上によって高級品の販売は着実に伸びており、また、8月に開催が予定されている北京オリンピックはカラーテレビ事業に大きなビジネスチャンスをもたらすだろう。売買単位は100株、2月22日終値で5.14香港ドル。

 無錫威孚高科技(200581)は、07年12月本決算(中国会計基準)で150%の増益になると業績見通しの上方修正を行った。昨年10月に同期の業績を50-100%の増益見通しと発表していたが、ドイツのロバート・ボッシュ社との合弁会社が排ガス基準「EURO3」対応の製品を市場に投入したことで同合弁会社の赤字幅が縮小したことや、大型エンジンに使用される燃料噴射ポンプ等の自社製品の販売量が増加していることで、今回の大幅な上方修正になったと同社ではしている。売買単位は100株、2月22日終値で10.85香港ドル。

 広東高速道路(200429)は、07年12月本決算見通しで純利益が50-100%増加すると発表。珠江デルタの経済成長に伴い、仏開高速公路、京珠高速公路・広珠東区間、広恵高速公路、広肇高速公路などの傘下有料道路の通行料収入が増加していることを要因として挙げている。売買単位は100株、2月22日の終値で6.23香港ドル。

12月中間決算で好業績を発表した企業

 思捷環球控股(0330) 「ESPRIT」ブランドを中心にカジュアル衣料のデザイン、製造、卸売から小売まで手掛ける同社は、07年12月中間決算で27.0%の増収、37.2%の増益を発表した。ユーロ高の影響もあり、全体の売上高の8割以上を占める欧州での販売が好調となっている。また、フランス等での卸売や小売事業の強化によって同社の市場シェア拡大も見込まれる。今後も良質な商品を提供することによって、高い成長が続くだろう。

 売買単位は100株、2月22日終値で97.05香港ドル。なお、同社は0.95香港ドルの配当予案(権利落ち日3月25日)を発表している。

 恒隆地産(0101)  恒隆集団(0010)の中核企業で、グループの不動産事業を実質的に運営する同社は、07年中間決算で297.4%の増収、218.1%の増益を発表。また、親会社の恒隆集団も決算発表を済ませており、272.3%の増収、76.3%の増益。

 売買単位はともに1000株、2月22日終値で恒隆地産が28.95香港ドル、恒隆集団は36.10香港ドル。なお、両社は、共に3月28日権利落ちで配当予案を発表しており、恒隆地産が0.15香港ドル、恒隆集団は0.165香港ドルとしている。

 今後本格化する決算発表では、今回紹介した企業以外にも多数の企業が好業績を発表する見込みである。だが、中国株を取り巻く相場環境は昨年のように良好なものではない。昨年後半からの物価上昇には歯止めが掛かっておらず、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.1%上昇し、約11年ぶりの高い水準となった。さらに、中国中南部を襲った記録的な寒波の影響で2月以降のCPIも高い数字が予想される。また、金融機関の貸出残高(外貨建てを含む)も08年1月末で前年同月末比17.5%増加している。そのため、国家発展改革委員会の李朴民スポークスマンが語るように、寒波によって中国政府がマクロ経済調整を変更することはなく、金融引き締めは継続されよう。

 しかし、世界経済に占める中国の割合が増加するとともに、中国株の存在は今後も拡大していくだろう。中長期的に見れば、今の時期は好業績銘柄に対する投資の好機といえるのではないか。短期的な売買を繰り返すのではなく、長期的な投資を心がけていただきたい。

~07年の特許国際出願件数は世界第7位~

 2月に世界知的所有権機構(WIPO)が発表した07年の特許国際出願件数では、米国、日本、ドイツの上位国に変化はなかったが、中国の躍進も目に付いた。

 中国のWIPOへの特許国際出願件数は、03年には1295件と加盟国の中で第14位に過ぎず、米国の4%にも満たない水準だった。それが、僅か4年の間に出願件数が5456件の第7位まで上昇した。この間の伸び率は年平均で40%以上と、上位15カ国の中ではもっとも高い伸びを示した。「和諧社会」の建設に向け、技術開発に力を入れる中国政府や企業の動きが鮮明となっている。

 また、個別企業で見ても、通信設備最大手の華為技術が06年の第13位から第4位となった。同社の出願件数は1365件と前年比で790件増加し、07年上位50社の中では増加件数が最も多かった。

 しかし、中国企業は上位50社の中に華為技術1社しか入っておらず、米国企業の19社や日本の13社から大きく遅れている。また、07年の上位500社が発表になっていないため、06年の上位500社を見ても、華為技術(13位)、中興通訊(0763、92位)の2社しかランクインしていない。今後、本格的に開始される第3世代携帯電話サービスでTD-SCDMA方式を支える2社がランク入りしているのは、中国企業の通信分野での成長や国際化を暗示しているが、株式時価総額で上位に多数の企業が名前を連ねる中国にすればやや物足りない。

 急激に増加している中国の出願件数と同様に、今後、多くの中国企業のランク入りが期待される。


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ハンセン指数との感応度が高い銘柄

 今回は、株式市場全体との感応度を示すベータ値(ベンチマークをハンセン指数とする)が高い銘柄の一覧表を以下に作成した。

 ベータ値は個別証券の収益が証券市場全体(ベンチマーク)の動きに対して、どの程度敏感に反応して変動するかを示す指数である。例えば、ある銘柄のベータ値が1.2ということは、市場全体が10%上昇するとその銘柄は12%上昇し、逆に全体が10%下落すれば、その銘柄は12%下落することを意味する。ベータ値はあくまで過去の指数や株価の動きをもとに計算しているため、将来における株価の動きを保証するものではないが、株価分析をする上では基本的な数値である。

 しかし、過去の株価データだけに頼った売買は大きなリスクを伴うため、ベータ値の計算には比較的長めの期間を用いた。また、現時点において07年本決算で増収増益予想というファンダメンタルな要素も加味した。市場コンセンサスのため実際に発表される決算内容は必ずしも増収増益になるとは限らないが、今後本格化する07年の決算発表で好業績が期待される銘柄に絞った。

 現在、株式市場全体に調整色が漂っているが、今後の回復局面で戻り歩調が良い銘柄を選んで市場全体(ベンチマーク)以上の収益を目指していただきたい。


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中国中鉄(チャイナレールウェイ)

―中国の鉄道・地下鉄建設の最大手―
(0390 香港H株 内藤コード N0390 売買単位:1000株)

中国大手の総合建設業者

 中国・アジアにおいて鉄道、道路、橋梁、トンネルなどの設計・建設およびその関連事業のほか、中国本土での不動産開発も手掛ける。中国での鉄道設計・建設の最大手として長年にわたって本土の鉄道網整備を牽引しており、本土鉄道網の総延長の67%に当る約5万㎞の建設・改良を同社が行った。また、07年フォーチュン・グローバル500にもランクインし、07年中間期での売上高と純利益はそれぞれ前年同期比20%増の725億人民元、33%増の6.4億人民元。

鉄道建設のリーディング・カンパニー

 中国では、輸送量の増加に伴い鉄道輸送が物流のボトルネックとなりつつある。06年に、本土鉄道網の総延長約7.7万㎞に対し、貨物輸送量は約2.2兆トン㎞で、貨物取扱密度は1㎞当たり約2900万トンだった。05年の統計で見ると、中国本土の鉄道貨物取扱量は世界の約24%を占めるが、その路線距離は同6%に過ぎず、明らかに過密状態にある。

 この状況を緩和するため、中国政府は、2010年までに鉄道網の総延長を9万㎞に延ばすなど鉄道網の拡張と高速化を計画。06-10年の5年間で鉄道網整備に1.5兆人民元の予算を組んでおり、これは01-05年間の3倍に当たる規模。政府の鉄道網整備計画に加え、設計者、プロジェクト・マネージャーや現場職人等の幅広い人材、豊富な建設経験、鉄道建設業への高い参入障壁などから、同社は鉄道建設業界におけるリーディング・カンパニーの地位を今後も確保し続けると見られる。

都市化の進展で受け地下鉄建設需要が堅調

 地下鉄建設においても中国最大手で30%強(建設距離ベース)のシェアを握っている同社は、中国の都市化の恩恵を大いに受ける。中国の都市化率(全人口に占める都市部住民の割合)は1980年の20%から、2003年に40%と僅か20年間で20ポイントも上昇した。ちなみに、同様の上昇幅を達成するのにイギリスで120年、米国でも40年の時間が掛かった。中国の都市化は今後さらに進み、2010年に50%、2020年には57%に上昇すると予想されている。これにより、2020年まで都市部人口が年平均1100万人増えると見込まれる。都市化の進展ならびに大型都市の誕生は、地下鉄路線の拡張につながる。地下鉄の路線距離は2007年末時点の8都市で708㎞から、2010年には15都市で1700㎞に拡大すると予想されている。ブランド力や経験豊富な人材・ノウハウを持つ同社は、今後も地下鉄建設を主導していこう。

不動産開発事業で新しい収益源を獲得

 同社は不動産事業に参入して10年弱の浅い歴史しかないが、現在、中国本土で第11位(土地保有高ベース)の不動産開発業者にまでなった。既存の鉄道・地下鉄建設を通じて、低コストでの土地取得、土地開発・ビル建設のノウハウ、地方政府との良好な関係などをベースに、強い競争力を備えた。同社は中長期的に業界トップを目指しており、今後、業容の更なる拡大が見込まれ、2007-09年には同事業の営業利益は年平均で60%増と予想する。

リスク要因

 同社の主なリスク要因として、ひとつに顧客集中度の高さがある。同社の最大の顧客は鉄道省であり、売上高のうち鉄道省の割合は30-40%、鉄道事業だけで見ると売上高の90%以上を占める。そのため、鉄道建設において価格交渉力が弱い。もうひとつは、不動産開発と鉱山開発事業の高い変動性である。しかし、この2つの事業は同社の経営リスクと業績のボラティリティを高めているが、新たな成長力の源泉にもなるだろう。


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中海発展(チャイナシッピングデベロップ)

―輸送量の増加と安定した運賃で高成長を持続―
(1138 香港H株 内藤コードN2960 売買単位:2000株)

中国の大手海運会社

 中国沿海部、遠洋、長江における海上貨物輸送を中心に、貸船業、船舶管理、船舶技術コンサルティングなどの事業を展開。06年末時点で、182隻の船舶を保有しており、総積載量は約700万トン。原油・石油製品と石炭の輸送が大部分を占め、06年の売上高ベースで、それぞれ55%、36%となっている。

 同社は1月4日に07年本決算速報で、国内での輸送量の増加や運賃の上昇等によって前年比34.9%の増収、65.5%の増益と公表した。また、EPSは1.40人民元。なお、速報値は未監査のため、今後決算内容は若干変更される場合がある。

08年のバルク貨物運賃は40%値上げ

 2月13日に、同社は中国沿海部のバルク貨物輸送について08年度の数量輸送契約の締結が全て完了と発表した。契約輸送量が合計8940万トンで07年度の契約よりも6.9%増加、平均運賃は前年度比約40%の大幅な上昇となった。07年の堅調な海外海運市況を受け業界全体では運賃が上昇していたにも関わらず、同社の07年国内石炭輸送の運賃は業界平均を大きく下回っていた。このことが08年度運賃の大幅な値上げに繋がった。沿海部でのバルク貨物輸送の運賃収入は同社の輸送収入全体の約44%(07年)を占め、今回の契約によって沿海部での08年のバルク輸送収入は前年比約40%増加する見通し。

輸送量の増加が今後の成長を牽引

 同社の中長期的な成長は、輸送量の増加に牽引される。2007-10年の中国の原油輸入量は年平均で10%強の増加が続くと予測されている。同社は、中国の原油輸送の主要な担い手として、原油の輸入増加メリットを大いに受けることになろう。2008-10年に同社の海外関連の原油輸送量は年平均で30%程度伸びると予想される。また、国内における石炭輸送量については、大口顧客の増加により、2007-10年に年平均で10%以上増加すると見込まれる。

 さらに、2010年以降、同社は輸入鉄鉱石の輸送に参入する予定で、1月22日に子会社の「中海発展(香港)航運有限公司」(中海発展香港)を通じて「上海浦遠船舶有限公司」(上海浦遠船舶)との間で輸入鉄鉱石の輸送を取り扱う新会社の設立について調印した。出資比率は中海発展香港が51%、上海浦遠船舶が49%になる。

 一方で、同社の輸送能力については、2009-10年に、油送船の新船が大量に受け渡される予定で、これに伴い輸送力は09-10年に年平均で約30%増となり、増え続ける輸送量に十分対応できる体制が整う。

運賃は安定的に推移する見通し

 運賃面で見ると、同社の07年の売上高の6割を占める国内輸送事業の運賃は安定している。ここ数年の国内石炭輸送の運賃上昇の傾向から、国内輸送事業の割合は09年に売上高の66%まで上昇すると見られる。国内輸送事業の増加は運賃収入全体の安定に寄与することになる。また、国内石炭輸送事業の利益率は各事業の中で最も高いことから、同社全体の利益率も向上することになろう。

 一方、同社における主なリスク要因として、燃料油価格の上昇と原油輸送をはじめとする海外輸送運賃の下落が挙げられる。原油高を背景とした燃料油の価格高騰は今後も避けられない。しかし、輸送運賃に関しては、昨年末から下げ続けていたバルティック・ダーティー・タンカー・インデックス(ダーティー・タンカーとは重油等の輸送向けタンカー)が横ばいとなり、バルティック・ドライ・インデックスも1月後半から反発しているため、今後の大幅な下落はないと予想する。安定した運賃の推移等によって、同社の業績も好調を維持するだろう。


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株洲南車(ジュージョウCSR)

―鉄道インフラの投資ブームに恵まれる国策企業―
(3898 香港H株 内藤コードN3898 売買単位:1000株)

鉄道車両用車載電装システムのトップ企業

 中国での鉄道車両用車載電装システムのトップ企業。鉄道車両用整流器、補助電源供給・制御システム、列車運行安全装置、大型保線機械の電気制御システムなどが主力製品。パワー半導体デバイス、センサーなど電気部品分野も手がける。主な顧客は中国鉄道部とその下の地方鉄路局(鉄道事業の監督・管理部門)や、鉄道車両メーカーなど。

2007年6月中間 売上高
(百万元)
構成比
(%)
伸び率
(%)
寄与率
(%)
鉄道車両用車載電装システム 613.9 85.4 16.0 100.1
整流器・補助電源供給・制御システム 444.8 61.9 67.5 211.3
列車運行安全装置 110.1 15.3 -38.8 -82.3
大型保線機械の電気制御システム 59.0 8.2 -29.3 -28.9
電気部品 104.8 14.6 -0.1 -0.1
パワー半導体デバイス 56.4 7.8 13.9 8.1
センサーなどの関連部品 27.3 3.8 -7.8 -2.7
その他 21.1 2.9 -18.2 -5.5
合計 718.7 100.0 13.4 100.0

出所:2007年6月中間決算報告書より


国策企業として市場シェアが圧倒的に大きい

 国内の鉄道事業は中央政府主導であるため、鉄道設備メーカーにとっては出荷製品の信頼性と安全性が強く求められているほか、大口ユーザーである鉄道事業の監督・管理部門との関係も極めて重要である。同社は国策会社として、政府から鉄道関連設備を優先的に受注できるほか、実質筆頭株主である中国南方機車車輌工業集団公司向けの製品供給もほぼ独占的なシェアを持つ。

主要製品 市場シェア
鉄道車両用車載電装システム  
鉄道車両用整流器 40%
補助電源供給・制御システム 69%
列車運行安全装置 63%
大型保線機械の電気制御システム 100%
電気部品  
パワー半導体デバイス 51%
センサーなどの関連部品 --

シェアは機関車の新車市場(2005年)で、都市軌道交通システムは含まない。

出所:株州南車の目論見書より

鉄道インフラの投資ブームに恵まれる見込み

 第11次5カ年計画(2006~2010年)期間中に、鉄道網の拡張や高速化を計画しており、新たに建設される鉄道は1万7000㌔、鉄道総延長を9万㌔に伸ばす予定。この目標に沿って、2010年までに約2000輌の機関車、3000輌の客車、16万輌の貨車に対する新規需要があると予想。当局の2006~2010年の新車購入予算は2500億元に上り、第10次5カ 年計画(2001~2005年)期間中の950億元を大きく上回っている。第11次5カ年計画期間に新車購入への投資は年平均約30%の伸び率で増えると見込まれる。同社の提供する電気システム製品は中国鉄道全体で使用されており、シェアも7割ほどに達しているため、こうした鉄道インフラ投資ブームの恩恵を最も受けると思われる。

高成長が続く見通し

 2007年6月中間決算は売上高が13.37%増収、純利益は5.12%増益となった。高速電車用車載電装設備などを生産するために、一部の部品が輸入品を利用したことはコスト増につながり、増益率はやや鈍化した。

 これに対し、同社は技術改良などによるコストダウンを目指し、親会社などからの部品メーカーの買収や、海外からの鉄道輸送設備技術の導入などの方策を講じている。2007年通期の業績については、高速列車(時速200~300㌔)向けの車載電装システムの受注増などによって、引き続き2ケタの増収増益を維持すると予想。なお、先端技術の導入と自主開発能力の強化のほか、生産拠点の拡大・高度化を積極的に進めており、2008年もさらなる成長が期待される。とりわけ、卓越した技術力により、高出力のAC(交流)機関車で市場シェアが拡大を続けると見込まれるほか、地下鉄向けの電気けん引・制御システム事業も需要拡大から急成長する見通しで、今後の業績の伸びに大きく寄与すると予想。


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