チャイナマンスリーレポート

4月号

2008年4月7日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 3月の中国本土株式市場は中旬以降急落、その後は下値を模索する動きとなった。

 2月下旬から安値でのもみ合いが続いていた上海総合指数は10日以降、再度下落基調を強め終値ベースで13日には4000ポイントの大台割れ、17日には3900ポイント、18日には3700ポイントをそれぞれ割り込むなど、下げ足を早め20日にはザラ場で3516ポイントの安値を付けた。その後、反発に転じたが依然として不安定な動きが続いている。

 3月5日の全国人民代表大会開幕を控え、月初には政府による株価対策期待が株価の下支え材料となったが、その後は終始、インフレ=金融引き締めに対する警戒感が売り材料となった。特に10日に発表された2月の生産者物価指数が高水準だったことから、翌日発表予定の消費者物価指数に対する警戒感が強まり同日の上海総合指数は前日比で3.58%の大幅安。また、17日には中国人民銀行の周小川・行長が「金利も預金準備率も引き上げ余地がある」と発言したことが伝わり同様に3.59%の大幅下落となった。ただ、19日には前日に中国人民銀行が預金準備率の引き上げを発表したことで取り合えず悪材料出尽くし感から反発した。

 今後も、引き続き神経質な展開が予想される。今回の預金準備率引き上げで短期的には一段の引き締め懸念は後退するものと思われるが、①少なくとも年前半はインフレ率の高止まりが予想され、金融引き締めが続く、②非流通株の売却解禁やIPO実施後のロックアップ期間の終了などに伴う需給悪化懸念は払拭されていない、などが上値を抑える要因となろう。

 ただ、このところ株式投信の新規設定やQFIIの認可再開、投資信託の運用収益に対する課税の暫定免除など政府による株価対策とも考えられる措置が次々ととられている。また、株価の下落により一時の割高感も薄らいできた。買いのタイミングが近いと考える。(村上)

~香港市場から~

 3月の香港株式市場は時折り急落場面を交えつつ底値を模索する動きが続いた。

 本土株式市場同様に2月下旬から安値でのもみ合いが続いていた香港株式市場だが、月初から急落、3日、4日の2日間でハンセン指数は1211ポイント、5%の下落となった。前週末のニューヨーク株式市場の大幅下落が最大の要因だが、本土市場の下げも響いた。その後も、7日には-841ポイント、3.6%安、13日には-1121ポイント、4.8%安、17日は-1152ポイント、5.2%安、そして20日には-758ポイント、3.5%安と数日おきに大きな下げに見舞われた。もちろんこの間に上昇する日もあったが、数日間の上昇分を一日で帳消しにするといった動きの繰り返しとなった。

 これらの株価急落日に共通するのは、前日のニューヨーク市場が大幅な下げ、かつ当日の本土市場も下落という点だ。つまり、香港市場独自の要因と言うよりは外部要因に振り回されるかたちだ。世界的な信用収縮の嵐の中で、昨年大幅に上昇した香港市場は外国人投資家を中心に利食い売りあるいはキャッシュ化の対象となっているようだ。

 従って、株価の回復にはサブプライム問題が峠を越え、ニューヨーク市場が落ち着きを取り戻すことが不可欠。ただ、このところ原油、金などの商品市況が急落する一方で、 米国の株式ファンドに2週連続で資金が純流入するなど底流では新たな動きと思しき兆候も出てきている。楽観は禁物とはいえ、極端な悲観の揺り戻しがいつ起こっても不思議ではない時期に差し掛かりつつあると考える。折から、現在発表が進んでいる07年12月期決算は予想通り好調。好業績を素直に評価する段階に入りつつある。(村上)

~冷え込む投資マインド~

 上海総合指数が、3月13日に、昨年7月以来の4000ポイントを割り込み、ハンセン指数も軟調な展開を続けている。そのため、本土投資家の株式投資に対する意欲は後退している。中国人民銀行(中央銀行)が2月中旬から下旬にかけて50都市で実施したアンケート調査(有効回答数2万件)でも、そのことは鮮明となった。

 同アンケート調査によると、株式に対するリスク意識の高まりから、個人の株式への投資意欲は減少傾向だ。昨年第3四半期には44.3%であった株式や投資信託に投資意欲を持つ人の割合が、第4四半期では35.8%に低下し、今回の調査で27.6%まで下落した。わずか半年ほどの間に15%以上も下げたことになる。物価についても現在の物価水準は高すぎて受け入れ難いと49.2%の人が答えており、社会不安を抑えるため、物価上昇の抑制が急務となっている様子が窺える。一方で、51.4%の人が現在の預金金利の水準を適正と判断しており、調査以来最高の数字となった。さらに、総合的に判断して預金が有効な投資対象と答えた人は35.4%を占め、昨年第2四半期まで低下していた預金選好者の割合は上昇傾向にある。

 このように中国人の株式市場への投資熱は急速に冷え込んでしまった。個人投資家の売買動向が市場を左右するだけに、何かきっかけがないと相場の好転は難しいかもしれない。しかし、日本人をはじめとする海外投資家も中国人投資家と同様の投資スタイルでいいのだろうか。元々、中国株への投資は中国経済の将来性を見越した長期的なものだったはずだ。それが、昨年秋までの急激な上昇によって短期的な投資対象となってしまった。昨年夏ごろの水準まで戻ってしまった中国株を前に、本来の投資スタイルを思い出してみてはいかがだろう。

 多くの調査機関では北京オリンピック以後も高い経済成長が続くと予想している。また、個人消費も順調に拡大すると見込まれており、まだ中国の成長性に陰りが出たわけではない。長期的に見れば、中国経済とともに株式市場も更に成長していくと弊社では考えている。

 そこで、今回も07年本決算で好調な業績を発表した企業を紹介する。

 中国国際航空(0753)は07年本決算で14.2%の増収、57.3%の増益となった。配当予定案に関しては0.0684人民元の現金配当を発表した(権利落ち日は3月21日時点で未定)。 07年旅客事業での平均座席利用率(有償旅客数/座席数)は78.6%と前年比2.6ポイント上昇し、1㎞当りの運賃収入も前年比5.1%増の0.62人民元になった。売上高をみても、国内路線が前年比17.1%増となったほか、欧州、北米路線もそれぞれ25.1%増、32.1%増と、高い伸びを示し、同事業全体では16.2%増加した。

 一方で、営業コストの36%を占める燃料費は前年比9.4%増と、売上高の伸びを下回った。ジェット燃料価格の高騰や使用量の増加が燃料コスト上昇の要因であるが、その寄与度はそれぞれ2.4%、7.0%だった。原油高の影響は人民元高や政府による燃料価格の統制によって、ある程度抑えられた。また、外貨建て債務に関しては、その多くが米ドル、香港ドル、日本円建てとなっており、現在の人民元高は債務の圧縮に繋がっている。

 07年12月にはスター・アライアンスのメンバーとなるなど国際的な提携にも力を入れており、今後も航空需要の高まりとともに成長を続けていくだろう。売買単位は2000株、同社の株価は3月20日時点で6.00香港ドル。

 中興通訊(0763)は07年本決算で49.8%の増収、63.3%の増益、配当予定案として1株につき0.25人民元の現金配当と0.4株の株式分割を発表した(権利落ち日は4月24日予定)。

 主力の移動通信設備事業では売上高が前年比61.7%増となった。海外でCDMAとGSM方式、国内ではGSMとTD-SCDMA方式のシステム販売が好調で、特に海外での売上高は前年比94.8%増と高い伸びを示した。

 今後本格化する中国国内での第3世代携帯電話システムや海外市場での需要拡大が同社にとって追い風となろう。売買単位は200株、株価は3月20日時点で33.05香港ドル。

 広州富力地産(2777)の07年本決算は45.0%の増収、148.4%の増益となった。配当予定案に関しては0.25人民元の現金配当を発表(権利落ち日は4月10日予定)。

 同社は中間層をターゲットとした住宅建設や販売を手掛けるほか、商業用不動産の開発も行う。近年の所得向上による住宅需要の高まりを受けて、不動産開発事業は好調。07年の販売面積は前年比37%増加の140万6000平方メートル、金額にして43%増の144億6000万人民元を記録した。さらに、不動産価格の高騰に伴い1平方メートル当りの平均販売価格は前年比4.3%上昇し、1万287人民元となった。

 売買単位は400株、同社の株価は3月20日時点で16.48香港ドル。

 万科企業(200002)は07年本決算で98.3%の増収、110.8%の増益、配当予定案として10株につき1人民元の現金配当と6株の株式分割を発表した(権利落ち日は3月21日時点で未定)。

 07年の不動産販売面積は前年比90.1%増の613万7000平方メートル、成約額は同146.6%増の523億6000万人民元を記録し、分譲住宅の販売としては全国シェア2.1%を占める。また、08年の不動産販売状況でも、販売面積は1月で11.7%増、2月で51.9%増と、増加傾向に変化はない。中国政府による不動産市場抑制策や金融引き締めなど、不安要因もあるが、第11期全国人民代表大会(全人代)で温家宝首相が政治活動報告の中で述べているように、中低価格な中小型分譲住宅の供給を増加させる方向性も示されており、同社にとってはプラスとなるだろう。

 売買単位は100株、3月21日終値で同社の株価は、15.37香港ドル。

 招商局地産控股(200024)の07年本決算での売上高と純利益はそれぞれ前年比46.4%増、83.4%増となった。配当予定案は10株につき1人民元の現金配当と5株の株式分割を発表している(権利落ち日は3月21日時点で未定)。

 同社は深セン市蛇口工業園区で不動産開発や不動産賃貸、管理を手掛けるほか、北京や上海等、12都市で不動産開発事業も展開。07年の不動産販売は好調で、今回の大幅の増益となった。また、同社では08年も事業の効率化をはかる一方で、積極的な事業展開を計画しており、現在建設中や計画段階の案件等を含め、58のプロジェクト(合計543万7400平方メートル)を同時に行う予定である。

 売買単位は100株、同社の株価は3月21日時点で22.65香港ドル。

(有井)

~全人代で省エネ・環境保護政策が前面に~

 高度成長の中で産業の重化学工業化が進む中国は、エネルギー多消費型の経済構造になっている。また、所得向上に伴ってモータリゼーション時代にも入った。全国人民代表大会では、エネルギー資源の節約や環境保護に関する法律を整備し、省エネ・排出削減の責任制を強化することが強調され、国家エネルギー局を新設するとともに、国家環境保護総局を「部」(日本の省に相当)に格上げした。

「省エネルギー法」の改正・施行

 第11次5カ年計画では、「GDP 1万元当たりの、エネルギー消費量を05年レベルよりも20%削減」という数値目標が組み込まれた。しかし、06年のエネルギー消費量は前年比1.2%減、07年は3.27%減で、年間4%の削減目標は達成できていない。そこで政府は、08年から10年まで年間5%以上削減すると数値目標を上積みした。また、08年4月1日からは「省エネルギー法」が改正・施行される。

 改正点:①現行の省エネルギー法での対象は産業部門だが、民生・運輸分野も対象に含まれる。②省エネ製品の生産、使用に対する税制面での優遇、政府金融機関による省エネプロジェクトへの低利融資や財政支援など優遇措置を強化。③政府機関の率先行動が明確に促され、地方政府の業績考課には省エネ目標も組み込まれた。

今後の見通し

 中国政府がさらに省エネ・環境保護政策を強化・推進して行くことは疑いない。その結果、エネルギー集約型および環境への負荷が高い、発電・セメント・非鉄などのセクターではコスト負担が増加するだろう。ただ、政府がこれまで以上にプロジェクトの承認を厳格にし、時代遅れの設備の閉鎖を促すことで、業界再編が進み、M&Aの機会も増えると思われる。したがって、財政面と技術面に優れた大手は、長期的な恩恵を受ける見通し。     (佐藤)

注)第11次5カ年計画(06-10年)では、1兆3750億元の環境投資を行う予定(GDP比では1.35%に相当)。出所:国家統計局、国家環境保護部。


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鉄道関連業界

~インフラ関連投資の拡大で業績は飛躍期を迎える~

鉄道インフラの整備が急務に

 中国では経済成長や都市化の進展に伴い国内の輸送量が増加、つれて鉄道輸送が物流のボトルネックになりつつある。例えば、2006年末の中国国内の鉄道網総延長距離は7.7万kmだったが、同年の貨物輸送量は2.2兆トンキロで輸送密度は線路1km当たり2600万トンキロと世界平均の3倍にもなっている。複線化率(2005年末で34%)や電化率(同27%)が先進国と比較して依然として低水準にあることもその一因だ。また、この輸送密度の高さが低い定時率(ダイヤの乱れ)につながり、結果として全輸送量に占める鉄道輸送の比率は低下傾向が続いている。

 こうした状況を打開すべく中国政府は鉄道インフラの整備を本格化する見通しだ。「第11次5カ年計画」(2006~2010年)のなかで輸送能力不足を解消するため、①営業距離の拡大、②電化率、複線化率の引き上げ、③高速旅客輸送専用線の拡大、などを目指し、具体的な数値目標として、①鉄道路線を17,000km建設し、総延長を2010年に90,000km以上とする、②17,000kmのうち、7,000kmを旅客専用線とし、高速旅客輸送の営業距離を20,000km以上とする、③8,000kmを複線化し、複線化率を45%以上とする、④15,000kmを電化し、電化率を45%以上とする、などを掲げている。

鉄道インフラ投資が急拡大へ

 この「第11次5カ年計画」期間中の鉄道建設投資額は1.25兆元に達する計画で、これは「第10次5カ年計画」(2001~2005年)における予算である3,500億元の3.6倍に相当する規模となる。単純に年平均に直すと2,500億元という数字になるが、ちなみにここ数年間の投資額を見ると前期間中の2001年から2004年までは毎年500億元強、2005年は889億元、2006年が1,553億元、2007年には1,875億元の見込みで、「第11次5カ年計画」が始まった2006年から投資額は急増している。今後、この予算の消化を前提に考えれば投資額は3,000億元レベルまで跳ね上がる可能性大。

 なお、この1.25兆元の予算はあくまでも鉄道建設に対する予算であって鉄道車両や更新改造に関する投資金額は含まれていない。「第11次5カ年計画」ではこの他に約2,500億元の鉄道車両向け投資が予定されている。そしてこの投資計画に沿って2010年までに約2,000両の機関車、3,000両の客車、16万両の貨車が新規に製造されると予想される。ちなみに、「第10次5カ年計画」での鉄道車両投資額は950億元だったので規模的には2.6倍に拡大することになる。

高速旅客鉄道の建設が目玉に

 「第11次5カ年計画」のなかで特に注目されるのは、鉄道の高速化計画。鉄道の高速化はこれまで既存路線を中心に6回に渡って実施されており、それによって輸送量の増大をある程度カバーしてきたが、その効果も限界に近づいている。そのため今後は旅客専用の高速鉄道の建設が加速する見通し。そのなかで最も注目されるのは北京・上海間高速旅客鉄道プロジェクト。2007年末に始動したこのプロジェクトは営業距離1,318km、基本設計段階で最高時速350km、総予算は2,200億元、完成は2011~2013年の計画となっている。既に、今年1月には路線建設部分で第1弾の発注が行われ、国内4企業グループ(中国中鉄(0390)、中国鉄建(1186)、中国交通建設(1800)、中国水利水電建設集団公司)が受注を獲得した。今後、鉄道車両を含め順次発注がなされる予定だ。

 一方、こうした高速旅客鉄道の本格建設は、中国国内の鉄道関連産業の業績を押し上げるだけでなく、関連産業・企業の技術力の向上、コスト競争力の向上等を通じて国際競争力の強化に繋がる。つまり、関連業界は当面の国内でのビジネスの拡大が見込まれるだけでなく、将来的には海外市場への本格進出も夢ではなくなる。中国は外需主導の経済から内需主導経済への転換を進めているが、そのひとつの牽引役として今後の鉄道建設投資の本格化が期待されるところだ。

関連企業の業績は好調

 鉄道インフラ投資の拡大を受けて関連企業の業績は拡大期を迎えている。鉄道建設関連では、中国中鉄の07年通期の売上高と純利益はそれぞれ前期比30.0%増、同37.5%増、08年通期は同22.2%増、同80.2%増の予想。中国鉄建は07年通期が売上高、純利益でそれぞれ前期比14.9%増、同106.5%増、08年が同20.5%増、81.1%増の見通し。中国交通建設は07年通期で売上高、純利益がそれぞれ前期比39.9%増、同92.4%増、08年通期は同34.6%増、同47.4%増の予想。また、鉄道車両関連では、株洲南車(3898)の07年通期は売上高、純利益がそれぞれ前期比24.9%増、同16.9%増、08年は同38.2%増、同32.5%増と好調が続く見通しだ。(村上)

出所:中国統計年鑑、中国鉄道部資料より内藤証券作成


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神華能源(シェンホア・エナジー)

―生産能力の拡大と大規模な買収によって成長が加速―
(1088 香港H株 内藤コード N1080 売買単位:500株)

今後3年間で石炭生産量が4 割強増加する見込み

 中国最大の石炭会社。07 年の石炭生産量と販売量はそれぞれ前年比15.7%増の1億5800万トン、22.2%増の2億900万トン。同社の石炭販売量は上場企業として中国で第1位、世界でも第2位を誇る。昨年12月には、ハンセン指数採用銘柄にもなった。

現在、同社は6つの炭鉱(予想生産能力で合計7100 万トン)の建設を行っており、今後順次に操業が開始される予定。そのため、向こう3 年間は年平均約2000 万トンの生産能力の拡大が見込まれ、08~10 年における生産量はそれぞれ1 億7800 万トン、2 億1000 万トン、2 億2900 万トンになると見られる。

 また、07年の売上高で3割を占める発電事業においても事業規模の拡大が急ピッチで進んでいる。07年末時点で、同社は13ヵ所の石炭火力発電所を管理・運営しており、発電能力は1万5091MW(メガワット)、持分ベースの発電能力は9286MWとなった。07 年の発電量と電力販売量がそれぞれ前年比37.8%増の7974万MWh(メガワット時)、37.9%増の7435万MWh。同事業の売上高は前年同期比40.3%増と、石炭事業(同21.3%増)を大きく上回る高い伸びを示した。さらに、現在建設中の発電所が08~10 年に稼動開始する予定で、全ての発電所が稼動すれば発電能力は2 万2200MWに達し、06 年末時点の1 万1960MW よりも80%以上拡大する見込み。

潤沢な手元資金による大型買収へ

 同社は昨年10 月に上海A 株市場に新規上場し、公募増資によって650 億人民元以上の資金調達を行った。その資金は最新設備の建設費用や事業の運営資金に当てたが、300億人民元以上の現金が手元に残っているとみられる。同社はA株上場の際に資金用途として資産買収等にも使用すると発表しており、今後、国内外での資産買収を加速させる可能性が高い。

 また、親会社である神華集団有限責任公司(神華集団)から優先的に親会社の資産を買い受ける権利が同社に付与されている。神華集団は、複数の石炭会社を持ち、07年石炭生産量(神華能源を含まず)は合計で約7800万トンに上るが、既に各炭鉱の資産査定など売却に必要な手続きを行っており、親会社におけるグループ内の石炭や発電事業の再編を絡め、神華能源が08 年にもその大部分を買収すると予想される。

親会社から石炭液化事業の買収も

 さらに神華集団では石炭液化プロジェクトが進行中で、08年9月に第1期設備(年間生産能力が108万トン)の試験運転を完了させる予定である。試験運転が成功すれば、神華能源は同事業を親会社から買収する予定で、買収後には更に年間400 万トンの生産能力を持つ石炭液化設備の建設も計画しているもよう。WTIが100米ドルを超えるなど原油価格が高騰する今、石炭液化事業の収益性は高いと判断する。

石炭の08年契約価格は大幅な引き上げ

 昨年12月に、08年の石炭販売契約を電力会社と結んだが、販売量の7割を占める発電用石炭は1トン当り60~70人民元の大幅な価格引き上げとなったもよう。また、07年において国内販売量の6割前後を占める水路輸送石炭は、旧契約部分と新規契約部分があるが、08年契約ではそれぞれ前年比で19%、13%の値上げを実現している。さらに販売量の1割強を占める輸出分は、まだ価格交渉中であるが、07年の1トン当り398人民元から大幅に上昇し、100米ドル/トン以上になると見込まれている。

 なお、同社は3月16日に、07年本決算(国際会計基準)で26.0%の増収、16.7%の増益と公表。さらに4月14日権利落ちとして現金配当0.4976人民元(うち特別配当0.3176人民元)の配当予案を発表している。   (有井)


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広州広船国際(グァンズーシップヤード)

―ハンディサイズ船を主力とする華南地区の造船大手―
(0317 香港H株 内藤コード N1160 売買単位:2000株)

華南地区の造船大手

 華南地区の造船大手。国務院直轄の中央企業で中国2大造船グループのひとつである中国船舶工業集団公司(CSSC)の傘下にある。1994年に株式会社に改組された。広東省広州市の珠江河口に造船施設を持ち、ハンディサイズ形(凡そ5、6万DWT以下)のタンカーなどを製造する。主要事業の造船のほか、船舶補修、鋼構造工事、電機製造なども手がけている。

ハンディサイズ船を中心に好調な業績

 中国の造船業界は07年の新規受注量が前年比で132%増加するなど急成長を続けており、世界全体に占めるシェアも42%に達している。背景には世界的な船舶需要の拡大があり、同社もその追い風に乗り、業績が拡大中。直近の07年12月本決算(香港会計基準)は252%の大幅増益だった。同年の竣工量は国内7位の約63万DWTだが、主力のハンディサイズタンカーのシェアは、国内が60%以上、海外が14%と高い。

元高リスクをむしろメリットに、堅調な輸出の伸びが続く

 中長期的に見ると世界全体で船舶需要のピークは峠を越しつつあり、この先は鈍化していくといわれている。中国政府は15年までに国内の竣工量を07年比で16%増の2200万DWTにする計画で、輸出額も160億米ドル(同31%増)を目指すという。貿易量が世界的に拡大しているなか、中国は積極的に輸出を増やしていこうとしている。同社は2007年で十分な受注量を維持しているが、この先も受注は堅調を維持すると考える。受注契約の約7割が輸出向けで主に米ドル建てであることから、人民元高への対応が重要となるが、同社はその点、元高で逆に評価益となるように為替リスクをヘッジしている。07年本決算では約2億8000万元の評価益を計上し、大幅増益に貢献した。価格競争力についても海外の競合相手は主に日本、韓国勢であり、元高による輸出の減速は考えにくい。むしろ鋼材価格の高騰などを背景とした製造原価の上昇が問題となるが、CSSC傘下のメリットを活かした一括調達、生産効率の向上などに努め、造船部門の粗利益率は前年に比べ1.94ポイント上昇している。

船舶の大規模化、高付加価値化への対応が重要

 懸念材料として同社の強みとするハンディサイズ船の需要がこの先も中長期的に拡大し続けるかという点がある。船舶需要の波は元々大きい上に、最近は船舶の大規模化・高付加価値化が進んでおり、同社は地理的制約から6万DWTを超える大規模船舶の建造は困難だ。だが、ハンディサイズ船は世界中のほとんどの港湾に寄港できるほか、既存のシングルハルタンカーから新型タンカーへの切替需要から、ハンディサイズ船の需要はこの先も底堅いと考える。また、同社は15年までに半潜水船やRO-RO船など高付加価値製品の比率を2割以上まで引き上げる計画で、これが達成されれば長期的に安定した受注を獲得できるだろう。

数少ない上場造船企業として注目

 同社は、海外投資家が投資できる数少ない本土造船企業であるという特徴を持つ。このため、投資家が本土の造船業界全体への期待から投資をする場合、同社がその受け皿になる可能性が高い。政府が造船企業の株式会社化、上場を促進させていく方針を明らかにしているなか、CSSCという巨大造船グループ傘下で、A・H株重複上場している同社には、親会社からの資産注入・再編などの可能性もある。拠点とする広州市では、現在CSSCが大規模な造船基地(龍穴島プロジェクト)を建設中であり、同プロジェクトの動向も今後の注目点になろう。(畦田)


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深セン飛亜達(シンセンフィアタ)

―高級腕時計市場の拡大が成長を後押し―
(200026 深センB株 内藤コードN5760 売買単位:100株)

中国大手の時計製造・販売会社

 自社ブランド「飛亜達」(FIYTA)の腕時計を製造・販売するほか、時計販売チェーン「亨吉利世界名表中心」(亨吉利、ハーモニー・ワールド・ウォッチ・センター)を通じ、約40の海外有名ブランド製品を中国で販売。不動産賃貸事業も手がける。亨吉利の店舗数は2007年末時点で71店舗。自社ブランドは「中国鍾表之王」(本土の時計の王様)、「中国馳名商標」(本土の有名商標)など数々の称号を持つ。

高級時計市場の拡大が引き続き追い風に

 中国ではここ数年、急速な経済成長に伴う所得向上で富裕層が急増し、消費の高級化が進んでいる。高級時計に対する需要も年々増大し、輸入量は2005年以降、急激な伸びを示している。中国の時計市場の規模は現在300億~400億元で、うち70億~100億元を高級時計が占める。

中国はすでに世界第3位の奢侈品市場(シェア12%以上)であり、向こう10年で市場規模が260億米ドル(同29%前後)に達すると予想されている。一方で、中国の国民1人あたりの時計保有個数は2個未満と、先進国の水準をはるかに下回っていることから、高級時計市場の成長余地は依然として大きく、同市場の拡大が引き続き同社の追い風となろう。

堅実な店舗展開で収益力が向上

 同社は買収だけに頼るのではなく、着実に販売網を拡大する戦略を取っている。向こう2~3年もこの戦略に基づき、年間15-20店舗程度の出店ペースを維持すると予想される。スケールメリットに加え、販売方式の刷新や店舗管理の徹底化などにより、亨吉利の既存店舗の収益力は上昇傾向をたどっており、2007年には粗利益率が2005年の21.3%から23%近くにまで上昇する見通し。こうした堅実な店舗展開により、今後も海外ブランド製品の販売事業は成長を持続すると見込まれる。

自社ブランドのイメージ作りに成功、高い技術力が強み

 自社ブランド製品については、市場を細分化し、ターゲット(22~40歳、月収2000元、流行好きの顧客層)を明確に設定。①流行のデザインを取り入れた商品を次々と投入する、②さまざまな価格帯の商品をそろえると同時に安易な安売りをせずに一定の価格を維持する、③亨吉利で海外ブランド製品と一緒に販売する――ことなどで、中高級品というイメージ作りに成功している。

 また、親会社から航空機用精密機器の高い製造技術を継承しており、技術的な強みも製造事業を後押しするだろう。なお、2003年10月に打ち上げられた中国初の有人宇宙船「神舟5号」では、同社が開発した宇宙時計が使用された。

07年12月本決算も大幅増益見通し

 2007年6月中間決算(中国会計基準、未監査)は3事業がそろって好業績を収め、51.5%増収、104.8%増益を達成。

 同社は2007年12月本決算について、売上高の増加や収益力の改善、小売りチェーン事業の収益力の大幅な向上などにより、前年比で100~150%の増益になるとの見通しを発表している。

 世界レベルの技術力・デザイン力や独自の販売戦略など、同業他社と比べ競争力は高く、本土の奢侈品市場の成長とともに、2008年以降も業績拡大を続けるだろう。

リスク要因

 時計業界は競争が激化しており、販売網の確保なども難しくなってきている。主なリスク要因としては、①新規出店ペースの減速、②出店した大型店舗の売り上げ低迷、③自社ブランド製品の販売低迷、④経営規模の拡大にともなう資金圧力――などが挙げられる。(西脇)


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広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
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(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。