チャイナマンスリーレポート

5月号

2008年5月2日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 4月の中国本土株式市場は月初こそ強含みで始まったものの、その後再度下落トレンドに入り、底値を模索する動きが続いたが、月末にかけては反発に転じた。

 3月中旬以降下落基調が続いていた上海総合指数は1日の3329ポイントを下値に一旦反発、8日には3612ポイントまで戻した。しかし、その後は数日おきに急落場面を繰り返しながら再び下落トレンドを強め、22日にはザラ場で2990ポイントの安値を付けるなどまさに政策催促相場の様相を呈した。ただ、さすがに3000ポイント割れには押し目買いが入り反発に転じ、その後も当局の一連の株価対策を好感し堅調な動きとなった。

 前月半ばから急落を続けていた反動もあり初旬こそ押し目買いの動きが見られたが、その後は終始、インフレ=金融引き締めに対する警戒感が売り材料となった。16日には1-3月のGDP、3月のCPIなど重要指標が発表されたが、内容的には引き締め懸念を一段と高めるものであった。同日に中国人民銀行は預金準備率の0.5%引き上げを発表したが悪材料出尽くしとはならず、金融引き締めへの警戒感は一段と高まった。21日には中国証券監督管理委員会(CSRC)が売却可能となった「売却条件付流通株」について、大口取引システムでの売却を柱とする通達を発表したが、とりあえずの市場の反応は冷静だった。ただ、その後23日に印紙税率の引き下げが発表されると市場はこれら一連の対策を好感し、戻りを試す動きとなった。

 今後も引き続き神経質な展開ながら、徐々に下値を切り上げる展開を予想。金融引き締めに対する警戒感と需給悪化懸念という2大悪材料は依然残るものの、①これまでの株価下落で相当程度折込済み、②現状のPERは実績ベースで37倍程度と過去平均を下回ってきた、③CSRCの今回の措置あるいは印紙税の引き下げは当局が株式市場に対する配慮を示したものとして意義は大きい、などが背景。(村上)

~香港市場から~

 4月の香港株式市場は月初に急騰後、もみ合いが続いたが月末にかけて再び回復基調を強める展開となった。

 3月18日にザラ場で20572ポイントの安値を付けたハンセン指数だが、月末にかけ反発、4月に入ってからは上昇基調を強め、7日には24000ポイントを回復した。その後、同水準でのもみ合いとなったが、下旬にかけて再度上値を追うかたちとなり、23日には25000ポイントに乗せた。

 香港市場は外国人投資家の比率も高く、海外市場、とくに米国株式市場との連動性が強いが、今回の株価回復も多分にそうした特性によるところが大きい。ちなみに、ニューヨーク・ダウ平均は3月17日にザラ場で11756ドルの安値を付け4月1日には12654ドルまで上昇、その後17日までもみ合ったが18日には12849ドルまで回復している。一方、3月の下落局面では本土市場の影響も大きかったが、4月に入ってからは悪影響がやや薄らいだようだ。

 従って、今後の株価見通しのカギはやはり米国市場の動向。その米国市場は、サブプライム問題に対するFRBの一連の対策や大手金融機関が1-3月期決算を何とか乗り切ったと見られること等で投資家心理が一時の総悲観状態から楽観方向に振れつつあると見られる。加えて、4-6月は税金の還付時期で一時的とはいえ個人消費が上向く期待もある。とすれば株価は夏場にかけて堅調な動きが予想される。

一方、香港独自の材料としては現在発表がピークを迎えている07年12月期決算が予想通り好調なことと株価の下落で一時の割高感がなくなりつつある点。米国市場が好転し、本土市場が下げ止まるなど外部環境に落ち着きが出てくるとすれば、いよいよ好業績を評価する局面が訪れよう。(村上)

~銘柄選択が必要な時期へ~

 上海総合指数が4月22日のザラ場で3000ポイントを割り込むなど、軟調な展開を続けている本土市場に比べ、香港市場は3月後半から比較的堅調な動きとなっている。この傾向は重複上場するH株でも見られるが、なぜこのような違いが起きているのだろうか。市場ごとに異なる株式の流通量、割高に買われていたA株や海外動向に影響されやすい香港市場というだけでなく、いまだに本土市場の投資家は市場マインドに添った動きしかせず、個別企業ごとの投資判断をしていないからだろう。

 逆に、香港市場では市場マインド以上に個別の材料を基準にしており、今発表が相次いでいる好調な企業業績を受けて市場全体が堅調な動きを示している。だが、全ての銘柄が上昇している訳ではなく、個別銘柄で大きな差が出ている。市場コンセンサスを上回った業績を発表した銘柄は大きく上昇し、一方で、下回った企業は下落している。今までのように、中国株であれば上昇する時期から、銘柄選択が必要な時期へと変わりつつある。また、単に業績が良いだけではなく、その内容自体も問われ始めている。

 そこで、今回も07年本決算で好調な業績を発表した企業からいくつかを紹介する。数字だけではなく、今回は決算内容も少し詳しく見ることにした。

 中国匯源果汁(1886)の07年本決算は28.6%の増収、188.9%の増益となった。配当予定案に関しては0.109人民元の現金配当を発表(権利落ち日は5月7日の予定)。

 同社は民営のフルーツ、野菜ジュースメーカー。「匯源」ブランドの果汁100%ジュース等を主力としており、中国本土のほか、米国、フィリピン、シンガポール、タイなどへも輸出する。嗜好の多様化に伴って中国では果汁飲料の市場が急速に拡大しており、その中で、同社は100%ジュースの市場シェアで40%以上を占める。07年の販売量は前年比18.8%増、平均販売単価も7.5%上昇した。今後も高いブランド力を背景に、高成長が続くと予想される。

 なお、売買単位は500株、同社の株価は4月23日時点で5.71香港ドル。

 蒙牛乳業(2319)の07年本決算での売上高と純利益はそれぞれ前年比31.2%増、28.7%増となった。配当予定案は0.1315人民元の現金配当を発表した(権利落ち予定日は5月21日)。

 「蒙牛」ブランドとして、UHT(超高温殺菌)牛乳、ヨーグルト、アイスクリームや粉ミルクなど、乳製品全般を手掛ける。07年12月時点で、22カ所の生産拠点を持ち、年間生産能力は478万トンに上る。ACニールセンの調査結果によれば、液体ミルク(乳飲料、ヨーグルトを含む)の市場シェアは4割を超え、中国最大手。また、近年、ブランド力向上への取り組みも積極的で、ウォルト・ディズニー、米プロバスケット協会(NBA)やスターバックスなどと提携して、広告宣伝を行っている。さらに、同社はシンガポール、フィリピンやマレーシアなどの海外でも事業を展開しており、乳製品企業での世界トップ15社の中に名前を連ねることを目指している。

 なお、売買単位は1000株、同社の株価は4月23日時点で23.65香港ドル。

 南方航空(1055)は07年本決算を17.9%の増収、895.2%の増益とし、10株につき5株の株式分割予定も発表した(4月23日時点で権利落ち日は未定)。

 05年から続く対米ドルでの人民元高、特に昨年からの上昇幅の拡大によって07年の為替差益は28億人民元と、前年に比べ13億人民元増となった。事業の効率化に関しても、旅客事業での平均座席利用率(有償旅客数/座席数)が74.5%と前年比2.8ポイント上昇し、1km当りの運賃収入も0.61人民元で前年比1.7%増になった。旅客輸送量でも前年比17.5%増の817億人㎞と、高い伸びを示した。また、原油高騰に対しては、昨年11月に燃油サーチャージ(付加運賃)が国内線で2割上昇した一方で、ジェット燃料コストは13.1%増にとどまった。営業費用全体で見ても、広告宣伝費や機体リース料は上昇しているが、前年比15.5%の増加に収まった。そのため、営業利益は前年比151%増の16億人民元と、大幅に増加した。

 08年も対米ドルでの人民元高による為替差益の発生が予想され、燃料コストの上昇もサーチャージの上昇によってある程度は吸収できるだろう。昨年11月に、エールフランスやKLMオランダ航空等が組織するスカイチームアライアンスに加盟し、世界162カ国・地域の都市と繋がった同社は今後更なる発展を遂げよう。

 なお、同社は08年1-3月期決算(中国会計基準、未監査)を07年本決算と同時に発表した。売上高が前年同期比20.4%増の143億人民元、純利益で7億9600万人民元の黒字転換となっている。同社の売買単位は2000株、4月23日時点での株価は5.08香港ドル。

 中信銀行(0998)の07年本決算は純利益で前年比115.7%増の83億人民元、EPSが91.7%増の0.23人民元となった。配当予定案は0.0535人民元の現金配当(権利落ち日は5月8日予定)。

 同行は東部地域を中心に事業展開する商業銀行。07年末時点での総資産は1兆111億人民元(前年比43.1%増)、預金と貸付の残高はそれぞれ7872億人民元(27.3%増)、5780億人民元(24.8%増)。

 07年増益の要因としては、前年比58.9%増の262億人民元となった純金利収益の影響が大きい。貸付残高が増加しただけでなく、利ザヤも前年比0.42ポイント上昇し、2.95%となったことで、純金利収益率(純金利収益/平均運用資産)は0.5ポイント上昇の3.12%まで拡大した。一方、非金利収益は前年比で2割程度の増加にとどまるが、ディーリング部門の損失を手数料収益の増加で補っている。手数料収益だけを見れば、前年比174%増と高い伸びを示した。また、同行の07年末時点での不良債権比率は1.47%(06年末時点で2.50%)と、大幅に改善した。さらに、BIS規制による自己資本比率が15.3%(5.9ポイント上昇)、ROAも0.97%(0.38ポイント上昇)と、財務内容の大幅な向上が見られた。同行は08年の預金と貸付残高目標をそれぞれ9050億人民元、6750億人民元とするなど、今後も高い成長が見込まれる。

 なお、売買単位は1000株、同社の株価は4月23日時点で5.19香港ドル。

(有井)

~08年世界経済の成長率はプラス3.7%に~

 4月9日、国際通貨基金(IMF)は世界経済の08年成長率見通しをプラス3.7%と発表した。今年1月に発表された経済見通しよりも0.4%ポイント下方修正されており、07年の成長率を1.2%ポイント下回る。一般的に、世界経済の成長率がプラス3%を切ると世界的な不況になったと見られ、今回のIMFによるプラス3.7%という数字は世界不況の一歩手前といったところだろうか。特に今回の経済見通しで大きく下方修正されたのは米国であった。08年の米国経済見通しは今年1月時点でのプラス1.5%からプラス0.5%へと、わずか3カ月で大幅な修正となり、緩やかな景気後退を迎えるとIMFでは見ている。また、25%の確率で08-09年の世界経済成長率はプラス3%以下に落ち込む可能性があり、最大のリスク要因として、サブプライム問題による金融システム全体でのバランスシートの毀損、それに伴う本格的な信用収縮の発生を懸念している。

 一方で、アジア経済に関しても、依然として底堅いものの、試練の年になるだろうと述べ、昨年話題になった米国とのデカップリング(非連動性)論も明確に否定している。過去15年間の米国からアジアへの波及効果を分析すると、米国経済が1%ポイント減速すればアジアの新興国では平均して0.25-0.5%ポイントの減速をもたらす。近年の国際貿易等での強い繋がりを考えると影響度は更に拡大しており、ここに心理的な効果も加わるとしている。そのため、アジア発展途上国の08年経済見通しは1月時点のプラス8.6%からプラス8.2%に、中国経済の見通しもプラス10%からプラス9.3%へと、それぞれ下方修正された。さらに、アジア全域において食品やエネルギー価格等の上昇によるインフレ圧力が高まっており、各国の政策当局は、成長率の低下懸念に注意を払いつつ物価の安定も考慮した金融や財政政策での難しい舵取りが必要だとしている。

 だが、世界経済と比較すると中国やインドなどのアジア発展途上国では高い経済成長を維持する見通しである。引き続きアジアの成長が世界経済の成長率を押し上げる構図に変化はない。輸出の低迷や金融不安による下方修正リスクが存在するものの、中南米、ロシア、中東などへの輸出の増加や内需の拡大による上方修正への期待もある。また、IMFもアジアの金融市場は全体として十分に機能しており、信用収縮の影響は少なく、むしろ、米ドルとの金利差が拡がっていることから、債券市場等は拡大傾向にあり、アジアの長期見通しに対する投資家心理は依然、強気であるとしている。

(有井)

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高配当利回り銘柄をスクリーニング

~今からでも間に合う07年本決算配当金~

 香港市場では07年12月期の決算発表がピークを迎えている。4月22日現在で弊社取扱の12月本決算銘柄337社のうち既に289社が決算発表を終えたが、実績は前年比20%増収、同32%増益と好調。つれて、株主還元として増配に踏み切る企業も増加している。

 ところで、日本企業の場合は通常、配当、分割等の権利確定日は決算月の月末となっており、権利落ち日はその3営業日前となっている。その日以降に株式を購入してもこれらの権利は得られない。

 しかし、香港市場上場企業の場合、権利確定日は決算月の月末ではなく、決算発表後に明らかにされる。多くの場合、決算発表とともに配当予案という形で配当金、権利落ち日が示され、それを株主総会が承認することになる。

 つまり、決算月を過ぎた現在でも配当・分割等の権利付き株式が購入できることになる。そこで、今回は5月以降に権利落ち日が来る銘柄で配当利回りが比較的高く、07年12月期決算が増益という条件で40銘柄をリストアップした。その結果、利回りで5%台が5銘柄、4%台が2銘柄、3%台が9銘柄、2%台が17銘柄、1%台が7銘柄となった。

 もちろん、配当利回りが高くても株価が大きく下落すれば意味が無いわけだが、現状の香港市場は割高感が薄れていることから、その恐れも小さいものとみられる。

 ただ、ひとつ留意すべき点は、香港市場上場銘柄の場合は可能性が小さいが、配当予案が変更・否決されるケースが有りうることだ。投資の際にはその後の配当関係の情報を丹念にチェックする必要がある。 

(村上)

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出所:Bloomberg よりデータ取得、内藤証券作成

注1:香港市場の12月本決算銘柄から5月以降に権利落ちし、かつ07年12月期純利益が増益の企業を抽出

注2:配当利回りは期末配当金/株価で算出,1USD=7.794HKD、1人民元=1.114HKD

注3:増益率は07年12月期純利益の前年比

注4:SCMP集団は現在売買停止中、株価は2月26日

招商銀行(チャイナ・マーチャンツ・バンク)

―高い成長性と財務内容の優位性を誇る―
(3968 香港H株 内藤コード N3968 売買単位:500株)

わずか20年で中国本土第6位の銀行に

 1987年に深セン経済特区に設立された商業銀行。同行は中国の経済成長とともに、急激な成長を遂げた。07年末時点で、総資産は1兆3106億人民元(前年末比40.3%増)と、中国本土銀行の中で第6位、また、預金と貸付の残高もそれぞれ9435億人民元(21.9%増)、6732億人民元(19.0%増)を誇る。昨年11月にはニューヨーク支店の開設申請が米連邦準備理事会(FRB)に承認されるなど、今後は海外での事業展開も期待される。

好調な07年本決算

 3月18日に公表された同行の07年本決算は好調な企業業績を示すものであった。純利益が前年比124.4%増の152億人民元、EPSで96.2%増の1.04人民元。また、配当予定案は0.28人民元(4月23日時点で権利落ち日は未定)を発表した。

 大幅増益の要因としては、貸付残高や利ザヤの拡大に伴う純金利収益の増加の影響が大きい。07年通期での平均運用資産は1兆896億人民元(前年比37.7%増)、平均利回りで4.73%(前年比0.43ポイント上昇)となった。特に、貸付業務では平均利回りが5.80%と、前年比0.69ポイント上昇した。一方で、平均調達負債も1兆13億人民元(29.1%増)と、大幅に増加したものの、調達コストは平均で1.77%(0.16ポイント上昇)にとどまった。その結果、利ザヤが前年比0.27ポイント上昇して2.96%となり、純金利収益率(純金利収益/平均運用資産)も0.39ポイント上昇の3.11%まで拡大した。また、全体に占める収益構成比としては少ないが、株式市場関連、保険代理事業やクレジットカード事業などの手数料収入も前年比156.1%増と大幅に増加した。

不良債権比率は1%台

 さらに財務内容も良好で、07年末の不良債権比率は1.54%と、前年比0.58ポイント改善している。輸送、倉庫業向けと個人クレジットカード向けで不良債権比率は若干上昇しているが、それ以外はいずれも低下。ROAやROEもそれぞれ1.36%(0.55ポイント上昇)、24.8%(8.0ポイント上昇)と、大幅に上昇している。また、最近の急激な資産増加のため、自己資本比率が若干悪化しているものの、BIS基準での自己資本比率は10.7%(前年比0.7ポイントの低下)を維持し、健全な状態にある。

 ただ、貸付業務において不動産会社向け融資や個人向け住宅ローンの残高が大きく伸びており、今後、政府の不動産市場や金融市場に対する規制が強化された場合には業務拡大での障害や不良債権の増加へと繋がる可能性もあり、注意は必要だ。

今後の見通し

 現在、中国は金融引き締め傾向にあり、今後、資金調達コストの上昇が懸念される。しかし、実質マイナス金利の現状では預金者の短期商品への志向が予想され、また、同行の預金全体に占める普通預金等の割合が07年末時点で57%と高いため、調達コストの上昇圧力は比較的小さい。逆に、個人や中小企業向けの貸付を強化していることで、利ザヤの拡大が考えられる。さらに、同行では08年に貸付残高が7500億人民元に達すると見込むなど、今後も業務拡大による高い成長を続けるだろう。なお、4月10日に、08年1-3月期(中国会計基準、未監査)で純利益が前年同期比150%以上増加との見通しを同行は発表した。

 4月23日時点での同行の株価は30.95香港ドル、07年本決算をもとにした実績PERは26.7倍と、他行よりも高いが、業績での高い成長性や財務内容の優位性を考慮すれば、決して割高ではない。そのため、今後も株式市場で他行を上回る高いパフォーマンスを示す可能性が十分にある。

(有井)


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中煤能源(チャイナ・コール・エナジー)

―石炭価格上昇のメリットをフルに享受へ―
(1898 香港H株 内藤コードN1898 売買単位:1000株)

中国第2位の炭鉱会社

 中国第2位の炭鉱会社。発電用の燃料として使われる一般炭と鉄鋼の生産過程で使用されるコークスの2種類の石炭を生産する。中国の中央部に位置する山西省と陝西省、沿岸部の江蘇省に鉱山を持ち、07年の石炭生産量は推定7,250万トンで、最大手である中国神華能源の同1億5,800万トンに次ぎ中国第2位の規模を誇る。販売数量のうち、10%が輸出向けで90%が国内向け。国内向け販売のうち、83%が長期契約に基づいたもの。

石炭価格は中長期的な上昇トレンドに

 石炭価格は中長期的に上昇トレンドを維持する見通し。これは、①鉄道輸送能力の不足、②中小炭鉱の閉鎖と石炭業界の再編、③アジア地域の石炭価格の上昇、などが予想されるため。

  • 鉄道輸送能力の不足
    中国の主要な産炭地と需要地域を結ぶ鉄道の輸送能力の増加は08年に年間6,000万トンに止まる見込み。07年の石炭需要量は推定25億トンで、08年には27億~27.25億トン、(+2億~+2.25億トン)へ増加する見込みのため、鉄道輸送能力が不足する可能性は高く、石炭価格の上昇を後押しする公算大。中国の主要な産炭地と需要地域を結ぶ鉄道の輸送能力の増加は08年に年間6,000万トンに止まる見込み。07年の石炭需要量は推定25億トンで、08年には27億~27.25億トン、(+2億~+2.25億トン)へ増加する見込みのため、鉄道輸送能力が不足する可能性は高く、石炭価格の上昇を後押しする公算大。
  • 中小炭鉱の閉鎖と業界再編
    中国国家炭鉱安全局によれば、政府は07年末時点で11,555ヵ所、生産能力にして年産2億5,000万トンに相当する中小炭鉱を閉鎖した。そして2010年までにさらに3,000~4,000ヵ所を閉鎖、その生産能力を年産10億トンから7億トンに減らすことを目指している。また、第11次5カ年計画によれば、中国政府は2010年までに年産1億トン以上の炭鉱会社を6~8社、5,000万トン以上の炭鉱会社を8~10社の体制にするなど業界の集約を進める計画。これは炭鉱会社のユーザーに対する価格交渉力を高め、石炭価格の上昇トレンドを支援することになろう。
  • アジア地域の石炭価格の上昇
    アジア地域の石炭価格も上昇トレンドを辿るとみられる。これは中国の石炭輸出が急減している上、アジア太平洋地域で第2位の石炭輸出国オーストラリアで港湾の石炭処理能力が不足し、輸出を急速には増やせないため。アジア太平洋地域で最大の石炭輸出国であるインドネシアでも09年には大型火力発電所の稼動で国内需要が急増し、輸出の伸び悩みが予想されること、石炭輸出第4位のベトナムでも国内の発電用需要の増加で輸出を07年の3,200万トンから08年には2,000万トンへ削減する予定など、アジア各国で発電用の石炭需要が急増していることも、アジアの石炭価格を押し上げ、中国の石炭価格の上昇を支えることになろう。
価格上昇と数量増のメリットをフルに享受へ

 07年12月期業績は前年比20.5%増収、同89.8%増益の好決算。主力の一般炭、コークスの販売数量増に加えて、販売単価の上昇が寄与した。08年12月期についても数量増、価格上昇が見込まれ大幅増収益が続く見通し。

 石炭1トン当たりの生産コストは中煤能源が244元、神華能源が136元、エン州煤業が243元であり、香港に上場する炭鉱会社3社の中で最も生産コストが高い。しかし、このことは石炭価格が上昇した場合の限界利益の増加率が最大となることを意味し、価格上昇による業績変化率は最も大きい。

 今後数年にわたり、新炭鉱の操業入りと既存炭鉱の拡張で、生産能力も年間1,500万トンずつ増加する見通し。会社側の計画では2010年に生産能力は年1億2,600万トンに達するとしている。中長期的にも価格上昇と数量増のメリットをフルに享受しよう。

(村上)


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中国交通建設(CCグループ)

―最もバランスの取れた交通インフラの雄―
(1800 香港H株 内藤コード N1810 売買単位:1000株)

港湾関連を主力とする交通インフラの雄

 本土の交通インフラ大手。中央企業の中国交通建設集団有限公司の旗艦上場企業で、主要事業は◇港湾、道路・橋梁などの交通インフラ、◇インフラ設計、◇浚渫、◇港湾機械(コンテナクレーン)――など。インフラでは港湾関連が国内で圧倒的なシェアを持つほか、最近は高速鉄道などにも進出している。傘下に道路・橋梁建設の路橋集団国際建設股フン有限公司(上海A株)、港湾機械で世界最大手の上海振華港口機械(集団)股フン有限公司(上海A、B株)という2つの上場企業を持つ。

インフラ建設ブームを追い風に好業績を達成

 中国では中央主導で鉄道、道路、空港、港湾などの交通インフラが各地で続々と建設されている。このインフラ建設ブームを追い風に、同社の07年本決算は31.09%増収、88.56%増益の好業績を記録した。うち主力のインフラ建設は3割以上の増収で、営業利益も前年の2倍以上と大きく成長。得意とする港湾関連に加え、新規参入した鉄道建設に注力。ハルビン-大連間の高速鉄道建設で約208億元分を受注するなど、新規契約額は61.2%増の1696.52億元に達し、期末の受注残も69.6%増の1741.57億元と十分な量を持つ。世界2位の能力を有する浚渫、港湾機械なども好調な需要を背景に好業績を納めた。

注目される粗利益率水準

 ただ、全体の粗利益率は10.3%と前年並みの水準にとどまった。鉄鋼、セメントなど原材料価格が上昇するなか、外注費の増加なども加わりコスト圧力は拡大の傾向。主力のインフラ建設は向上したものの、その他の部門は低下した。同社は08年に全体で0.8ポイントの粗利益率向上を見込んでおり、その実現にむけた対策を打っている。長期契約の比率を極力高めることで価格リスクを抑えるほか、コスト管理の強化、規模の拡大に加え、利益率の高い分野への傾斜を進めている。

 主力のインフラ建設では下請けに発注し建設するだけというモデルから脱却し、BT(建設・譲渡)、BOT(BT業務に運営が加わる)方式の比率引き上げに努めている。

高速鉄道の建設に進出

 国内の交通インフラ需要は中央主導の大型インフラプロジェクトに加え、都市化にともない都市交通インフラの更なる整備が叫ばれるなど、この先も「実需」は底堅いといえる。同社は利益率の低い道路・橋梁に代わり、収益性が高い鉄道建設を成長分野に位置づけ、特に高速鉄道に的を絞って参入した。ただ鉄道建設は同じインフラ大手の中国中鉄(0390)、中国鉄建(1186)と激しく競合する分野でもある。実績・技術・ノウハウなどが競合2社に見劣りすることは否めないほか、発注元の鉄道部との繋がりも2社ほど強くない。同分野の競争力向上が今後のカギとなろう。

最もバランスの取れたインフラ大手として注目

 鉄道建設に参入したことで同社はインフラ建設を幅広く網羅した。ここで着目すべきなのは、同社が参入障壁の高い港湾関連で圧倒的なシェアを持っているという点だ。港湾インフラは国内のほか、新興国を中心に海外の需要も拡大している。さらに浚渫、港湾機械製造も業績に大きく寄与しており、建設・製造という両輪を抱える同社は、競合他社よりバランスの取れた収益体制を確立しているといえ、これが最大の強みだと考えられる。

 このほか、同社は海外市場に積極的に打って出ようとしている。07年中間期で売上比率は2割に満たないものの、発展余地は大きく、中長期的な成長エンジンになる可能性がある。

(畦田)

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広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。