チャイナマンスリーレポート

6月号

2008年6月4日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 5月の中国本土株式市場は月初こそ強含みで始まり、その後は中旬まで一進一退の動きが続いたが、下旬にかけては下値を探る展開となった。

 4月23日の印紙税率引き下げを契機に急反発に転じた上海総合指数は5月5日には終値で3700ポイントを回復、6日にはザラ場で3786ポイントまで戻した。ただ、翌7日には前日比4%強下げ3500ポイント台に反落。その後は、3600ポイント前後で一進一退の動きが続いたが、20日には再び4%を超える急落となり3500ポイントを割り込むなど下値を探る展開となった。

 政府の一連の株価対策を好感し、前月下旬から戻り歩調に入っていたが、急速な戻りに対する警戒感に加え、引き続き金融引き締め懸念が消えないことや、四川大地震の被害拡大、原油相場の高騰などが足枷となった。12日に発生した四川大地震はマグニチュード(M)8.0と阪神大震災M7.3を上回る大規模なものだったが、株価は発生翌日の13日こそ2%弱の下げとなったものの、14日には大きく反発するなど当初の反応は比較的冷静だった。地震の発生で金融引き締めが緩和されるとの思惑のほか、復興需要を期待した買いが一部の業種に入ったためだ。ただ、その後、日が経つに連れ被害が拡大、実体経済への影響が懸念され始めたうえ、大規模な余震などによる二次災害に対する警戒感も高まり、株価の足を引っ張る形となった。加えて原油高による2大石油会社の業績悪化懸念の高まりも響いた。

 今後も当面は神経質な動きが予想されるものの、下値は限定的と考える。地震の影響を見極める必要はあるが、仮に被害が経済成長に影響を及ぼすまでになれば金融引き締め緩和の動きも期待される。地震による物価上昇も懸念されるが影響は限定的との見方もある。いずれにせよ現状の株価はPER(実績ベース)で25倍前後と割安水準にあることから中長期投資の観点で買い場との見方に変更はない。(村上)

~香港市場から~

 5月の香港株式市場は月初に急騰後、反落、その後中旬までもみ合いが続いたが、本土市場同様に下旬にかけては弱含みの動きとなった。

 ハンセン指数は5月2日に終値で26241ポイントと今年1月14日以来の26000ポイントを回復、5日にはザラ場で26387ポイントまで上昇した。ただ、7日には前日比2%強下げ26000ポイントを割り込んだ。その後は、上昇下降を繰り返しながらも25000ポイント台を維持したが、23日には25000ポイントを割り込むなど冴えない展開となった。

 香港株式市場は外国人投資家の比率も高く、海外市場、特に米国株式市場との連動性が強い。3月下旬からニューヨーク株式市場の上昇と歩調を合わせるように香港市場も上昇を続けてきたが、ニューヨーク市場が5月2日の13058ドルを高値にもみ合いに入ると同様に香港市場も頭打ちとなっている。

 3月下旬からの株価回復の大きな支えとなったニューヨーク市場の上昇が一服する一方で、本土市場の下落に影響されるかたちとなっている。本土の地震被害やインフレ懸念などマクロ要因だけでなく、個別銘柄でも原油高で収益悪化が懸念される2大石油会社や業界再編でマイナスの影響が予想される中国移動(00941)などの株価下落も響いている。

 短期的には引き続きニューヨーク市場の動向が最大のポイントとなろう。ニューヨーク市場は原油の高騰を背景としたスタグフレーション懸念が言われているが、現在税還付の時期に入っており今後、個人消費が上向く可能性も高い。となれば景気に対する安心感が再度広がり、株価反発につながろう。割高感の消えた香港市場も実質金利の低さや企業業績の好調さなどから再び見直される局面が到来しよう。(村上)

~好調な第1四半期決算を発表した企業~

 中国本土上場企業は3月に第1四半期の決算を行い、4月中にその内容を発表する。香港メインボード上場企業の場合、四半期ベースの決算発表を行う必要はないが、本土A株市場に重複上場している企業を中心に多数の企業が四半期ベースの決算発表を行っている。

 そこで、今回は弊社取扱銘柄のうち3月に第1四半期決算を行った香港メインボード上場企業から、前年同期の比較数字がない銘柄、長期売買停止銘柄や金融機関(銀行、保険)を除いた53銘柄を検索対象として、好調な決算内容を発表した企業を抽出した。その結果、赤字や減収または減益の企業が22社ある一方で、増収増益または増収黒字転換の企業が31社あった(下記の表参照)。香港メインボード市場で四半期ベースの決算を行うのはH株銘柄を中心とした大型企業であるため、今回の抽出でも各業界を代表する企業が多く名前を連ねており、中国企業全体を現している訳ではないが、08年も中国企業の滑り出しは比較的好調だと言える。

 もっとも、全体として08年第1四半期よりも07年本決算での増益率の方が高かったように感じるが、07年は好調な株式や不動産市場を受けた投資収益、また、会計基準の変更による含み益の増加によって、利益水準が押し上げられた傾向がある。株式や不動産市場が低迷している今の時期に好決算を発表できる企業が本来の意味で良い企業ではないか。今回の検索では08年第1四半期の増収増益率、EPS以外のファンダメンタルズを考慮していないため、必ずしも優良企業とは限らず、特殊な要因によって優良企業が抜け落ちている可能性もある。だが、08年第1四半期の決算内容は今後の企業動向を占う上で、重要な投資判断材料とすることができる。

なお、四半期ベースの決算発表は中国会計基準でのみの開示となっている企業が多く、通期や半期での決算発表の会計基準と異なる場合がある。そのため、一概に決算基準の異なる数字を比較し、進捗率等を判断することはできないので、注意する必要がある。(有井)

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~四川省で大規模地震が発生~

 5月12日午後2時28分(現地時間)、中国南西部・四川省を震源地として大規模な地震が発生した。地震の規模はマグニチュード(M)8.0と、阪神大震災のM7.3を上回り、上海や北京のほか、香港やタイでも揺れを観測した。地震による死者も、8万人を超えると見られ、その被害総額は5000億人民元以上との試算もある。今回は地震による被害状況や救援活動などが詳細に報道されており、時間を追う毎に報道される被災規模は拡大を続け、当初、「二級」としていた救援体制も「一級」に格上げされている。

 しかし、中国内陸部の地域だけに中国経済全体に対する直接的な影響は、それほど大きくないと考えられる。四川省と重慶市を合わせた域内のGDPは07年の統計で国内全体の5.8%程度、それぞれのGDP寄与度も0.60%、0.26%にとどまる。弊社取扱銘柄の中でも、四川省と重慶市を登記地としている企業は8社に過ぎない。また、中国の内陸部や農村部では保険加入率が低いため、保険業界への影響も軽微とみられる。もっとも成都や重慶市を中心に多くの外資系企業が進出しており、その被害状況を今後注意深く見ていく必要はある。

 今回の地震は、その直接的な影響以上に物価への影響が心配される。中国農業省の報告によれば、今回の地震によって農作物や養豚場等も深刻な被害を受けた。特に被害の大きかった四川省は1次産業で全国の7.4%(07年)を占め、豚肉に関しては10.4%(06年)が同省で生産されている。また、米などの穀物においても同省は中国の主要な供給地である。そのため、今後、供給不足による食品価格の上昇が懸念される。4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比プラス8.5%と、3ヶ月連続で8%台の高い伸びを示し、食品価格も前年同月比22.1%上昇しているだけに、更なる物価上昇は社会不安へと繋がる。さらに、国民の不満が政府に対する大規模な抗議行動へと発展しかねない。もしも食品価格の大幅な上昇が鮮明となれば、政府は金融引き締め策や物価統制政策の強化を打ち出す可能性が高い。そのときは、当然、株式市場も大きな影響を受けよう。

だが一方で、震災復興に向けた政府の支援策が期待される。開発の遅れている内陸部だけに、中央や地方政府は経済復興のために大規模な財政投資を実施する可能性が高く、震災後の株式市場でもセメント等の建材や交通インフラ建設などの銘柄に注目が集まっている。今後、政府と国民がともに震災復興に向かえば、驚異的なペースで経済を発展させてきた中国だけに力強い回復を見せるだろう。(有井)

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中国国際航空(エアチャイナ)

―燃油高のなか増益基調を堅持―
(00753 香港H株 内藤コード N0750 売買単位:2000株)

中国を代表する航空会社

 中国国際航空は中国のナショナル・フラッグ・キャリア。国際線、国内線ともに北京をハブ空港とする航空網を展開している。他の中国空運大手である中国東方航空(00670)、中国南方航空(01055)と比較して国際線の比率が高いことが特徴で、有効座席キロ(各飛行区間の提供座席数×区間距離の合計)に占める国際線の比率は43.4%。運航機体の総数は212機で国内外に271路線を運航している(07年6月末)。

 2004年のH株上場以来、黒字を継続しており航空大手3社のなかでは収益力の高さに定評がある。

リスクに対する抵抗力は強い

 中国航空業界のリーダーとして、同社は三大航空会社の中では最もリスクに対する抵抗力が強い。

 世界的に景気が減速しているうえ、チベット問題を巡り中国への国際的な批判が高まるなかで、暫くの間、中国の航空市場にとっては逆風が吹くこともありうる。オリンピックを前に、北京空港はこうした逆風を受けやすく、同空港を拠点とする同社も影響を受ける可能性は否定できない。

 会社側では世界経済の減速やチベット問題を受けた旅客需要の減速に対応し、輸送能力の増強計画を既に調整し始めている。08年の輸送能力の拡張計画で導入される予定の航空機7機については、航空機・乗務員をセットで他社にリースする予定だ。こうした措置で、同社は輸送能力の調整を柔軟に行うことができよう。しかも、ブランド力、質の高いサービスを考慮すれば、旅客需要の減速の影響は中国の三大航空会社の中で最も小さいと思われる。

08年1-3月期も大幅増益

 07年12月期の業績は前年比14.2%増収、純利益で同57.3%増益の好決算。国内線、国際線とも旅客需要の好調(総輸送人員数は34,841千人、同10.6%増)を背景に旅客キロは670億で、同11.1%増。また、有効座席キロは853億で7.3%増にとどまり、平均座席利用率は78.6%、同2.6%の改善となり増益に寄与した。燃油費の上昇等のコストアップ要因もあったが、人民元高による為替差益もあり大幅増益を達成した。

 今期に入っても好調は続いており、先ごろ発表された08年1-3月期業績は前年同期比21.8%増収、純利益で同146.8%の大幅増益となった。燃料価格は高騰したが、先物スワップヘッジを積極的に利用したため、ヘッジ差益があり、燃料コストの高騰をある程度相殺できたほか、多額の外貨建て債務を抱えていることから、人民元高ドル安で為替差益が9億3,400万元発生、大幅な増益につながった。

 5~8月の予約状況も好調で、旅客の有償座席利用率は80%に達しており、当面、旅客輸送量は高水準が続くものと見られる。

原油価格が低下すれば大きなメリットに

 08年に入って、原油価格は過去最高値を更新し続けており、年初来の平均価格は1バレル当たり100米ドルを上回っている。国内のジェット燃料価格は国際燃料価格を約15%下回っている。このため、国内のジェット燃料価格は近い将来引き上げられる可能性が高い。

 中国国際航空では08年のジェット燃料消費量を320万トンと予想している。その70%を国内で購入すると仮定すると、国内のジェット燃料価格が1トン当たり100元上昇すれば、同社の運航コストは2億2400万元押し上げられることになり、収益的に極めて重い負担となる。このため、ジェット燃料価格、つまりは原油価格の今後の動向は同社の収益に大きな影響を与える。

 原油先物市場では米ドル安を材料に原油が投機的に買い上げられてきた可能性がある。従って、米国で利下げが休止され、米ドル相場が大底を付けると、原油先物価格は本格的な調整局面を迎えることもありうる。原油先物相場が調整すれば、同社を始め空運業界にとって、大きな追い風が吹くことになろう。(村上)

玖龍紙業(ナインドラゴンズ)

―長期的な成長トレンドに変化なし―
(02689 内藤コードN2689 売買単位:1000株)

古紙系段ボール原紙で中国最大のメーカー

 古紙を主原料とする古紙系段ボール原紙のメーカーで、中国最大手。1995年に設立され、07年12月末の生産能力は535万トンに達しており、これを08年6月末までに775万トン、09年までに1,055万トンへ拡大の予定で、08年6月末には段ボール原紙の製造で世界最大手となる見込みである。川上のパルプ事業へ進出を進める一方で、高付加価値化を目指して製品の多様化を進め、総合製紙メーカーへの脱皮を目指している。

 食品、家庭用品から家電製品に至るまで、あらゆる生活物資、産業資材を運ぶのに段ボールは使用される。このため、中国の輸出拡大、国内経済の成長とともに、段ボール需要は急増している。そうした中で、段ボール業界では弊社を中心とした大手メーカーのほかは、中小企業が多く、大手のシェア拡大が続いている。

下期の採算は値上げ浸透で改善へ

 07年12月中間期業績は、売上高が前年比44.2%増の66.9億元と大きく伸びたものの、純利益は同11.4%増の10.6億元と伸び悩んだ。増益率が増収率を大きく下回ったのは、原材料コストの上昇と販売費の増加によるものだ。 ちなみに、段ボール原紙の平均販売価格は前年比10.1%上昇の3,320元/トンだったが、原材料コストは同14.7%上昇の2,536元/トンと製品価格を上回るコスト増となった。これは原材料コストの上昇と製品値上げの間にタイムラグが出たためだ。

 なお、段ボール原紙の販売数量は前年比30.6%増の207万トンに達しており、中国の段ボール原紙需要が依然として旺盛なことをうかがわせる。このうち、60%が国内需要向けで、残りの40%が輸出企業向けと直接の輸出分である。 一方、08年6月期下期の業績は上期に比べ改善する見通しである。08年1月、2月に製品値上げが実施されているうえ、07年8月以降に稼動を開始した生産設備が6ヵ月間フルに寄与するためだ。

価格転嫁能力は依然強い

 07年12月中間期では製品価格の値上げが原材料価格の上昇に追い付かず利益率の低下を招いたが、あくまでもこれは一時的な現象と考えている。それは、弊社が原材料コストの上昇を製品価格に転嫁できる価格転嫁能力は相変わらず強いとみているからだ。

 なぜならば、①中国ではダンボール原紙の供給が依然として不足していること、②川下の段ボール箱業界は中小企業ばかりで有力企業が育っていない一方、川上の段ボール原紙業界では弊社を中心とした大手メーカーがシェアを急速に拡大しており、強い価格交渉力を発揮しやすい、などのためである。ちなみに、段ボール箱業界でコスト増が問題となっている時でも、弊社は幅広い製品で値上げを実現してきた実績がある。

長期的な成長トレンドは変わらず

 中小の段ボール原紙メーカーは利益率が5%程度しかなく(弊社は15.8%、2007年12月末)、原材料コストの上昇が続くと予想されるなかでは、今後経営難に追い込まれていく可能性が高い。従って、段ボール原紙市場では大手メーカーの寡占化が一段と進むこととなろう。

 また、弊社は絶縁紙やコンデンサー用紙など利益率が30~35%という高付加価値製品の生産に合弁で進出し、2010年から売上高に計上する計画を打ち出す一方、川上のパルプ生産にも乗り出す計画を進めている。海外の大手製紙会社との戦略的な提携で、森林・パルプ事業に大々的に打って出る可能性もある。森林・パルプといった川上から高付加価値の紙製品までを一貫して手がける総合製紙会社への脱皮を着々と進めており、長期的な利益成長見通しに大きな変化はない。(村上)

紫金鉱業(ズージン・マイニング)

―本土市場上場も果たし、更なる成長へ―
(02899 香港H株 内藤コード N2880 売買単位:2000株)

国内金生産の大手

 同社は主力事業として金の探査、採掘、精製、販売を行う一方、銅、亜鉛、鉄やその他レアメタルも手掛ける。07年の金生産量(加工を含む)は52.3トン(以下t)と、国内生産量の2割程度を占め、金鉱石からの金生産でも24.8t(前年比19.5%増)と、国内シェア10.5%を誇る。07年末時点、172ヵ所、5000平方㎞以上の範囲で鉱物探査権を保持し、35ヵ所の採掘権を所有している。今年4月には上海A株市場への上場も果たした。

豊富な鉱物資源を保有

 同社は豊富な鉱物資源を有しており、07年末時点で、金の推定埋蔵量は03年末と比較して2.5倍以上の638tに、銅は約4倍の937万t、このほかにも亜鉛319万t、鉄1.68億tや多数のレアメタルを保有している。

 主力採掘鉱の一つである紫金山金鉱は量や質において世界レベルの金鉱であり、金の生産効率も高い。07年の生産量は15.9tに達し、同社の金鉱石による金生産の64%を占める。また、その他の金鉱は規模が小さいものの、合計で07年の生産量は8.9tに上る。銅に関しては、中国最大規模の新疆アセレ銅鉱の株式を51%保有しており、同鉱の07年生産量は2.8万tに達する。このほかにも、紫金山銅鉱や青海徳爾尼銅鉱などが銅カソードや銅精鉱を生産し、グループ全体での07年銅製品の生産量は前年比17.2%増の4.7万tとなった。さらに、亜鉛に関しても大規模な亜鉛鉱山を保有しており、全体での07年亜鉛製品(精鉱、塊の合計)の生産量は15.9万tと、前年比121.9%増加した。

金専業からの脱却

 同社が香港市場に上場した03年当時、売上高の95%以上を金関連(精鉱等を含む)が占め、ほぼ金専業であった。しかし、近年の銅や亜鉛等の生産拡大によって金関連の割合は低下している。07年の売上高を見ると、金関連(加工、精鉱を含む)は03年比で約9倍となったものの、その売上高構成比は60%まで低下した。逆に、カソードと精鉱を合計した銅製品の売上高構成比は16%、亜鉛製品は19%と、その割合を大幅に増やした。また、同社は08年の目標として金鉱石からの金生産量を前年比20%増の29.7tとする一方で、銅製品の生産量を金生産量の伸びを上回る前年比25%増の5.9万tまで引き上げる計画を立てており、金への依存度は更に低下する見込み。今後、金専業から金を中心とした総合非鉄メーカーへと変化することで、経営基盤は強化されよう。

国内外で積極的な企業買収を

 近年の世界的な資源獲得競争を受けて、同社も積極的な企業買収などを行っている。昨年前半にはロンドンAIM市場(新興市場)に上場するモンテリコや、タジキスタンで最大規模の金鉱会社を買収するなど、07年末時点でペルー、南アフリカ、ロシア、タジキスタン、モンゴル等、海外でも積極的に事業を展開している。

 しかし、一方で企業買収による急速な事業規模拡大のために財務内容が悪化し、03年末時点で60%以上あった自己資本比率も07年末時点では32%にまで落ち込んだ。そのため、同社は資金調達を目的として今年4月に上海A株市場に上場した。今回、14億株の増資を行ったことで、98億人民元(諸経費を除く)の資金を調達し、悪化していた財務内容は大幅に改善された。これによって、同社は更なる事業規模の拡大へと進むだろう。

昨年末の水準を上回る金価格

 今年3月に米国市場で1トロイオンス当り1000米ドルを超えるなど、昨年夏以降に急上昇した金価格は直近で軟調な展開となったが、投機資金の流入や実需の買いでその価格は昨年末の水準を上回って推移している。サブプライム問題や原油価格の高騰等の影響を受けて株式市場が世界的に不安定な中、金は運用資産の一つとして注目されている。さらに中国をはじめとする新興国の実需の買いも旺盛。当面、金価格の大幅な下落はなく、同社にとって堅調な金市況が追い風となろう。(有井)

イ柴動力(ウェイチャイ・パワー)

~事業再編を済ませ、新たな成長へ~
(02338 内藤コードN2338 売買単位1000株)

湘火炬を吸収合併して更なる成長へ

 昨年4月、同社は深センA株市場に上場していた「湘火炬汽車集団股フン有限公司」(湘火炬)を吸収合併し、本土A株市場への上場を果たした。また、今回の合併によって事業規模が大幅に拡大し、07年本決算での売上高は前年比約4倍に、純利益も約3倍となった。なお、合併を考慮しない場合でも、金融費用控除前の営業利益は前年比約2倍となっている。

 主力事業の大型ディーゼルエンジンでは07年販売実績が約24.5万台と、前年比68%増の高い伸びを示した。市場シェアも大型トラック(積載量14トン以上)向けエンジンで30%以上、5トン以上のホイールローダー(タイヤ付建設機械)向けエンジンでは80%以上を誇り、同社は大型ディーゼルエンジン市場での確固たる地位を築いている。また、大型トラック(完成車)の販売台数も約6万台に達した。

好調な08年1-3月期決算

 08年1-3月期決算(中国会計基準、未監査)も、売上高が91億3600万人民元(前年同期比32.3%増)、純利益で7億1100万人民元(180.3%増)と、好調だった。

 昨年から中国ではインフレ懸念を背景に金融引き締め政策が採られ、野放図な固定資産投資を抑制する動きも見られ、当面、この傾向に変化はないだろう。しかし、未発達な鉄道網や、開発の遅れている内陸部のインフラ網を整備するために、引き続き交通インフラへの投資は高水準を維持する可能性が高く、同社をはじめとする建設機械業界もその恩恵を受けよう。また、四川省を襲った震災でも、その復興に向けた取り組みの中で建設機械の需要は高まるだろう。(有井)

安徽海螺水泥(アンフイコンチセメント)

~A株増資によって、全国展開へ~
(00914 内藤コードN0060 売買単位2000株)

最新設備とコージェネレーションシステムの導入

 中国のセメントメーカーは上位10社の合計生産シェアが20%強に過ぎないなど、中小のメーカーが乱立し、老朽化した設備も多く存在する。07年、業界全体で年間生産能力約8000万トンの設備が最新鋭のものへと入れ替わったが、その導入率は6割にも満たず、時代遅れの設備が今も稼働している。そのため、政府は業界再編を促し、最新設備の導入をメーカーに迫っている。

 このような状況の中、同社は老朽化した設備を買収、廃棄する一方で、最新設備の導入を行い事業規模の拡大を図っている。さらに、コージェネレーションシステム(廃熱を利用した発電システム)の導入により、燃料コストの削減にも積極的に取り組んでいる。08年には同システムを利用して年間約38億kW時の電力を生産する予定で、130万トン以上の石炭消費を削減できる見通し。また、燃料コストの削減だけではなく、二酸化炭素の排出量削減にも繋がり、同社では300万トン以上の削減効果があるとしている。

A株増資によって、更なる設備の増強を

 同社は2億株に上るA株増資を5月に実施している。今回の増資によって110億人民元を上回る資金調達を行い、その資金は最新設備の導入等に使用される。湖北省、貴州省や広東省、さらに今回震災のあった四川省や重慶市などでも工場建設を予定している。広東省や貴州省など、同社が比較的弱かった南部への事業展開で更なる成長を遂げよう。また、四川省や重慶市での工場建設は、今後心配される同地域でのセメントの供給不足を回避し、震災復興を後押しするだろう。(有井)

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