チャイナマンスリーレポート

7月号

2008年7月1日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 6月の中国本土株式市場は中旬以降急落、その後は下値を模索する展開が続いた。

 5月下旬から安値圏でのもみ合いが続いていた上海総合指数は10日に前日比257ポイント、7.7%の急落、終値で3072ポイントと年初来安値を更新した。その後も下落基調が続き終値ベースで12日には2957ポイントと昨年3月16日以来の3000ポイントの大台割れ、さらに翌13日には2900ポイント、週が明けて17日には2800ポイントを割り込むなど下げ足を早め20日にはザラ場で2695ポイントの安値を付けた。4月24日の印紙税引き下げ後の戻り分を完全に吐き出した格好だ。

 10日の急落の直接的な背景は、①7日に発表された預金準備率の大幅引き上げ(6月15日、25日実施でそれぞれ0.5%、計1%の引き上げ)、②原油価格の急騰、の2つである。預金準備率の引き上げについては予想されていたが、四川大地震からそれほど時間が経っていないというタイミングの問題とこれまで0.5%ずつ引き上げられてきたものが一気に1%となった引き上げ幅の問題の2点において全く市場の予想外であったといえる。しかも、12日に発表を控えた消費者物価指数は上昇率鈍化が予想されていたなかでの引き上げであり、市場にとっては不意打ちにも等しいものであった。加えて、原油価格の急騰はインフレ懸念を一段と強めるとともに、2大石油会社の業績不安をさらに煽るかたちとなった。その後、石油製品価格の引き上げなどプラス材料が出たものの反応は限定的だった。

 最近の株価下落で上海総合指数のPER(実績ベース)は22倍前後と過去平均と比べて割安感が強まっており、株価水準的には底値圏にあると考えられる。ただ、市場心理は再び弱気に傾いており買い意欲に乏しい状態が続いていることも事実だ。株価が回復に向かうためには、短期的には政府当局による追加株価刺激策の発動、中期的にはインフレのピークアウトに伴う石油・石化、電力企業等の業績改善が必要条件となろう。(村上)

~香港市場から~

 6月の香港株式市場は本土市場同様に中旬に急落後、下値を探る動きとなった。

 5月下旬から弱含みのもみ合いが続いていた香港株式市場だが、本土株式市場同様に10日には前日比1026ポイント、4.2%の急落となり、終値で23375ポイントと約2カ月ぶりに24000ポイントを割り込んだ。中国本土での預金準備率引き上げを受け本土株式市場が急落したうえ、前週末の米国株式市場が原油価格の高騰から大幅に下落したことが背景となった。その後も、下げ止まらない本土株式市場やベトナムの金融不安などが嫌気され続落、13日には今年3月31日以来、2ヵ月半ぶりの23000ポイント割れとなった。16日には米国株式市場の急反発などを支えに23000ポイント台を回復したものの、中国本土の金融引き締め懸念、米景気に対する先行き不安、原油価格の上昇など弱気材料は払拭されず以降は安値圏での推移が続いた。

 香港株式市場は外国人投資家の比率も高く、海外市場、特に米国株式市場との連動性が強い。5月下旬から米国株式市場が下げ始めると香港市場も同様に弱含みに転じ、さらに中旬から下旬にかけては米国市場が年初来安値に接近するに連れ、下値を模索する動きとなった。ただ、年初来安値を付けた3月のようにパニック的な売りが出ている様子はなく、売買代金が減少するなかでの下落となっている。

 香港市場独自の材料に乏しいことから引き続き外部環境、特に米国の景気・金融情勢、原油価格動向、中国本土のインフレならびに金融情勢等を睨みながらの展開となろう。堅調な企業業績、割高感の消えた株価水準、マイナスの実質金利などのプラス材料はあるものの、市場のセンチメントが好転するまでは神経質な動きが続こう。(村上)

~まだ中国株は割高なのか~

 6月12日、上海総合指数は終値で3000ポイントを割り込んだ。昨年10月の高値と比較すれば、実に5割以上の下落となった。今年4月には印紙税引き下げによる株価対策が発表されたものの、その後、追加的な政策は発表されず、本土株は軟調な展開となっていた。そこに、中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率の大幅な引き上げ(合計1.0%)を発表した。最近では、消費者物価指数(CPI)公表後に、預金準備率を0.5%引き上げることが慣例となりつつあったが、一向に収まらない物価上昇を背景に今回金融引き締めを強化した。5月のCPIは前年同月比プラス7.7%と、前月よりも上昇率は低下したが、政府の目標とするプラス4.8%以内には遠く及ばない。政府の最優先課題が物価の抑制である以上、金融引き締めは継続されよう。

 では、今後も金融引き締めによって株価は下落を続けるのだろうか。それを判断する材料としてAH価格差を見たい。AH価格差とは、本土と香港市場に重複上場をしている企業の株価差を指す。本土市場には外国資本に対する規制があるため、両市場間で裁定が働かず、近年は本土の豊富な資金流動性等を背景に、H株よりもA株の方が高く買われている。昨年11月にA株上場した中国石油天然気(00857)も上場初日の終値を比較した場合、A株はH株に比べて2.5倍以上高く買われていた。

 しかし、最近はA株よりもH株の方が高く買われている銘柄が出ている。昨年、このような現象はほとんど見受けられなかった。確かに、今でも低位株を中心に高倍率(A/H価格差が大きい)銘柄は多数ある。だが、優良銘柄を中心に低倍率の銘柄も存在する。このことは、本土投資家が自国株式に対して悲観的になり過ぎている現われではないか。一般的に本土株式市場は個人の比率が高く、全体的な相場動向に流されやすい。そのため、優良株も一様に売られてしまう。一方、香港市場は機関投資家の比率が高く、企業収益や将来性などファンダメンタルズをベースに投資を行うことが多い。本土投資家が需給要因等から売却した銘柄の中に、海外機関投資家の目から見れば、将来性や収益性から判断して十分に投資妙味のある株式が出てきているのではないか。個別銘柄のA/H価格差縮小や逆転、さらには、A/H価格差の小さいものに業界最大手などの優良企業が多いことも、一部の銘柄に割安感が出てきたためだろう。

これからも、金融引き締めによる中国株の波乱は続くかもしれない。だが、企業の将来性や収益性を見据えた場合、中国株の割高感は解消されつつあるように思う。単なる需給悪化や目先の不安材料に惑わされるのではなく、中長期的な視点に立った投資を行うべき時ではないだろうか。(有井)

~各種チャート~

 今回は、消費者物価指数を中心に4種類のチャートを載せた。最初のチャートは消費者物価指数を項目ごとに一部抜粋した。食品価格もピークアウトした感はあるが、今後の動向にも注意する必要がある。また、最後に載せた米国の住宅指数は直接的には中国株と関係がない。ただし、香港株は米国株式の影響を受けやすく、米国経済も重要な投資材料となる。特に、米国の住宅指数はサブプライム問題を見る上で、欠かせない指数である。

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます


拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます


拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます


拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

百麗国際(ベル・インターナショナル)

―スポーツウェア小売事業への展開で高成長持続へ―
(01880 香港 内藤コード N1880 売買単位:1000株)

女性用靴のリーディングカンパニー

 中国本土で女性用靴製造販売を主力とする民営企業。Belle、Staccato、Teenmix、Tata、Fato、JipiJapa の6つの自社ブランドを有するほか、Joy & PeaceとBataの2つのライセンス使用を認められたブランドを持っている。中国行業企業信息発布中心(CIIIC)の発表によると、単独ブランドの販売額について、Belleは10年連続で中国の女性用靴ブランドのトップであり、また、Teenmixが4位、Staccatoが8位,Tataが10位となっている。同社の靴事業の販売拠点は直営店だけでも、本土30の省・自治区・直轄市の150都市に広がり、販売店舗数は3,700店舗を超えている。

 主力市場は平均単価が60~100米ドルの中級セグメント(Belle、Tata、Teenmix、Sendaなど)、同100~200米ドルの中・高級セグメント(Joy & Peace、Staccato、Millie’sなど)、同200~300米ドルの高級国際ブランドセグメント(Geox、Clarks、Caterpillarなど)である。この3つのセグメントは中国の消費高度化に伴って最も成長ポテンシャルが高い分野とされている。

靴販売業界の再編をリード

 07年5月に香港市場上場を実現して以来、靴業界で大型M&Aを繰り返してきた。07年8月に4,800万米ドルでFilaの中国本土、香港、マカオにおける商標権及びその他関連資産を買収し、同10月には6億香港ドルで香港女性靴ブランドMillie’sを買収した。その直後の同11月に約16億人民元で江蘇省の大手靴製造・販売企業の森達(Senda)の子会社5社を買収している。また、この2月に香港の大手靴販売業者のMirabellを約17億香港ドルで買収することを発表している。同社はこれまでM&Aを通じて先述の3つのセグメントにおいて、大部分のブランドを傘下に納めており、この3セグメントでは圧倒的な地位を構築している。また、男性用靴では、同社はSendaブランドの買収を通じてClarksの中国における代理販売の60%のシェアを獲得し、また、今後Geoxと中国における独占代理契約を結ぶ予定。

スポーツウェア小売事業の拡大に期待

 スポーツシューズ・ウェアの販売も同社の主力事業の一つであると同時に今後の期待分野。現在同社が販売しているスポーツウェアのブランドはNike、AdidasのトップブランドからReebok、PUMA、Kappa、Mizuno、Converse、李寧などの中堅ブランドに及んでいる。同社はNikeとAdidas の中国における最大の代理販売業者で、中国での販売シェアは25~30%に上る。所得の上昇に加え今年のオリンピック開催によって、中国人のスポーツ参加意識が高まると予想され、スポーツ関連用品業界も好況期を迎えることになろう。スポーツウェア事業の粗利益率は相対的に低いものの、同事業の成長は会社業績全体の拡大に貢献しよう。

販売増とコスト管理の徹底で好業績を持続

 07年12期の業績は、売上高が前期比87.1%増の116.7億人民元、純利益が同102.7%増の19.8億人民元となるなど高成長を続けている。同社は06年からスポーツウェアの小売事業を手掛けているが、同事業の粗利益率は35.6%と靴事業の粗利益率(63.8%)より低い。スポーツウェアの小売事業による粗利益が全社の粗利益に占める割合で06年の38%から47%に上昇した結果、07.12期の粗利益率は前期比5.5ポイント低下し、50.6%にとどまった。個別事業ベースで見ると、靴事業の粗利益率が前期比0.8ポイント上昇した一方で、スポーツウェア小売事業の粗利益率は同0.2ポイント低下している。

 同社全体で見た場合、効率化によるコスト削減も順調に進んでいる。在庫回転率は07年において22.8日減の121.8日になり、平均代金回収日数も同2日減の34.9日に縮まった。販売費及び一般管理費の伸び率が売上高の伸び率を下回るなどコスト管理も着実に向上している。同社は今後の人件費の上昇圧力を低賃金地域における雇用拡大で緩和する計画だ。

 07年において、同社の既存店ベースの売上高は20%増加しているが、その主な理由は販売数量の拡大と平均販売価格の上昇による。08年も既存店ベースの売上高成長率は20%の水準を維持できると見込まれ、高い成長が続く見通し。(村上)

聯想集団(レノボグループ)

―グローバル企業に急変貌、中国を中心とした新興国市場の拡大が成長を牽引―
(00992 内藤コードN2950 売買単位: 2000株)

中国最大、世界第4位のパソコンメーカー

 中国最大、世界第4位のパソコンメーカー。聯想(Lenovo)ブランドのパソコンを製造・販売している。05年にIBMの不採算部門であったパソコン事業を買収し、世界の上位に躍り出た。08年3月期の売上高は163.5億ドル、純利益は4.8億ドルで、IBM買収前と比較すると、売上高で6倍弱、純利益で3.4倍になり、文字通り中国のローカル企業からグローバル企業に脱皮した。

 IBMのノートパソコンの有名ブランド「シンクパッド」を手中に収めたことで、新興国市場の開拓が加速。08年3月期の世界市場シェアはノートパソコンで7.8%、デスクトップパソコンで7.7%。地域別売上高構成比は北米・中南米27.6%、欧州・中東・アフリカ22.0%、アジア太平洋(大中華圏を除く)12.9%、大中華圏(中国本土、香港、シンガポール、台湾)37.5%で、大中華圏の販売ウェイトが高い。また、製品別売上高構成比はノートパソコン57.6%、デスクトップパソコン41.0%、その他1.4%である。

ノートパソコンが収益拡大をけん引

 08年3月本決算の売上高は前年比17%増、営業利益は同209%増、純利益は同201%増と好業績を達成。08年3月期の業界全体のパソコン出荷台数は前年比16%増だったが、レノボの出荷台数はこれを大きく上回る22%増を記録。粗利益率は07年3月期の13.5%から08年3月期の15.0%に上昇した。売上高営業利益率も07年3月期の1.2%から08年3月期は3.1%へ上昇し、採算性の大幅な改善がみられた。これは好採算のノートパソコンの売上高構成比が高まったことに加え、効率的なサプライチェーンマネジメントなどが寄与したものだ。

 ノートパソコンについては、08年3月期の出荷台数が前年比36%増と大幅な伸びをみせ、売上高構成比で07年3月期の55%から58%に拡大し、市場シェアは世界で7.8%、中国国内で31%に達した。先行きについても品揃えの充実を背景にノートパソコンをリード役として成長モメンタムを維持する見通しだ。最上級機種のシンクパッドX300から中級のニッチマーケットを対象としたアイデアパッドシリーズまで、レノボはあらゆる事業機会を捉えようと、製品ラインの多様化を積極的に進めている。加えて、ノートパソコンの持つモバイル性を考えれば、ますますパソコンユーザーの間で人気が高まる可能性が強く、ノートパソコン部門が中長期的な成長の牽引役となろう。

 なお、今年1月に同社は赤字部門であった携帯電話事業の全出資持分を筆頭株主の傘下企業などに売却すると発表した。これによって、本業であるパソコン事業に経営資源を集中できる体制が整う。

中国中心に新興国市場への展開で成長余力は大きい

 レノボの地域別売上高構成は大中華圏、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋地域を合計すると72.4%に達しており、サブプライムローン問題などで景気停滞に苦しむ米国市場の構成比は、世界上位のパソコンメーカーの中で相対的に低い。したがって、米国を本拠地とするヒューレットパッカードやデルなどに比べて地域性で優位に立っているといえよう。

 なかでも売上高の37%、営業利益の88%を占める中国市場はレノボにとって収益の柱であるとともに、利益率が最も高い市場だ。加えて、今後の中国でのパソコン需要の伸びは世界平均を上回ると予想され、将来性も十分に高い。さらに、欧州、中東やアフリカなど海外市場についても、底堅い回復を続けており、特にアフリカは潜在的に有望な市場だ。また、最近、ポーランドに工場を設けたことで、中欧・東欧市場に対する供給体制が強化され、市場開拓に集中できるようになった。中欧・東欧市場でシェア拡大を図るため、同社では同じ新興国である中国で成功したビジネスモデルを持ち込み、市場開拓に万全を期す体制を整えている。(村上)

江西銅業(ジャンシーコパー)

―中国国内の銅需要と銅価格の上昇に支えられる―
(00358 香港H株 内藤コード N3690 売買単位:1000株)

中国大手の銅事業会社

 中国大手の銅生産会社。銅の採鉱、選鉱、精錬、加工、販売を手がけるほか、副産品である金や銀などの貴金属、硫酸の生産、リサイクル事業にも取り組む。中国最大級の露天掘り銅鉱山2カ所と銅精錬工場などを所有。07年末時点で銅の推定埋蔵量は912万トン、金と銀はそれぞれ260トン、7379トン保有し、年間生産能力では電気銅70万トン、銅加工品37万トン、硫酸200万トン。一方、電気銅や銅ワイヤロッドの生産に必要な銅精鉱や粗銅などを、自社グループや筆頭株主以外の国内外からも調達する。

 同社株式は香港市場のほかに上海A株でも上場しており、現在では米国市場でADR(米国預託証券)も売買されている。

07年の増収減益から08年1-3月期は増収増益に

 07年の売上高は前年比67.9%増の412.8億人民元、純利益は同12.6%減の41.5億人民元と、増収減益になった。主要製品の価格上昇や、新工場稼動による電気銅の生産拡大、銅加工品や硫酸の生産販売量の増加などのプラス要因があった一方で、原料コストの大幅な上昇や、精錬加工費の低下、資源税の増加などが大きく響き、減益となった。

 だが、08年1-3月期(中国会計基準、未監査)は世界的な商品市況の高騰を背景とした製品価格の上昇により、売上高は前年同期比49.3%増の118.9億人民元、純利益で同46.4%増の12.6億人民元と、大幅な増収増益に転じている。

硫酸事業の利益で銅の精錬・加工事業の減益分を相殺

 07年の銅精錬・加工事業では、コストの上昇に加え、精錬加工費の下落も響き、粗利益率は06年の28.5%から14.4%に低下した。また、主な銅加工品である銅ワイヤロッドの加工費は1100-1500人民元/トンで、1トン当りの利益にすれば600-800人民元あるが、代金回収期間は約3カ月のため、財務費用が膨らみ、目先の利益圧迫要因となる。

 一方、硫酸の製造コストは260-300人民元/トンで、硫酸価格は07年の約600元から足元で約1600人民元/トンに上昇しており、硫酸事業の黒字が銅精錬・加工事業の利益減を補う形になっている。

依然として大きい中国の銅需要

 中国では政府による金融引き締め策に加え、経済成長の減速が予想されている中、銅消費量の伸びも今後鈍化する可能性がある。しかし、電力や船舶業等の強い銅需要、四川大地震に伴う復興需要、農村部での家電製品の普及政策などが下支えすることで、今後も中国における銅需要は高水準で推移していこう。

銅などの価格は高止まりの見通し

 銅、金、銀、硫酸などの価格は、これまでの急激な上昇を経て、今後大きく上昇する余地は少なくなっているものの、高止まりの可能性が大きいと考えられる。

 その背景としては、まず近年の世界的な規模で繰り広げられている鉱山会社の合併・買収がある。鉱山会社が巨大化していく中で、鉱物資源は少数の鉱山メジャーによって寡占化が進みつつあり、鉱物資源に対する鉱山メジャーの価格交渉力が強くなっている。これは長期にわたって銅などの鉱物資源の価格を支える要因となる。さらに、欧米各国の中央銀行が金融危機回避のために多量の通貨を市場に供給しており、世界的にみて通貨は過剰流動性が高い状況にあり、早急に解消される見込みも立っていない。そのため、金、銀などの商品相場は08年も底堅く推移する可能性が大きい。また、硫酸は、肥料、繊維や薬品などの製造に用いられ、近年の穀物価格の高騰や新興国の経済発展を受けて需要は今後も拡大していくと予想され、価格も堅調に推移すると見込まれる。

資源確保を目指す08年の経営戦略

 同社は08年に鉱物資源の探査と開発を基本的戦略目標として打ち出し、多くの拡大計画を予定している。例えば、①国内の鉱山生産能力の拡大、②海外の銅鉱プロジェクト開発の強化、③国内既存鉱山周辺の探査・開発の強化、などである。これによって、08年の生産量は、電気銅約70万トン、金15トン、銀400トン、硫酸210万トン、銅加工品45万トンと、好調な業績が予想される。(高)

華潤置地(チャイナリソーシズランド)

~筆頭株主の事業再編で、全国展開へ~
(01109 香港レッドチップ 内藤コード N1070 売買単位:2000株)

大手不動産会社

 国有企業の中国華潤総公司が、香港登記の華潤(集団)有限公司などを通じて実質支配する不動産会社。成都、北京を中心に上海、武漢、合肥等で不動産開発や販売を行っている。また、昨年、筆頭株主から建築や付帯工事を手掛ける企業を買収し、同社グループで一貫したサービスを提供できるようになった。

 さらに、同社は不動産賃貸や管理事業も展開しており、商業ビル、オフィスビルといった賃貸不動産からの家賃収入が収益面での安定性に寄与。そのため、不動産セクターの中では投資リスクが相対的に低いと言える。

四川大地震の影響は比較的軽微にとどまる

 大地震の発生した四川省成都は同社にとって重要な開発地域の一つである。同地域は「成都翡翠城」、「成都鳳凰城」や「成都24城」等の大型プロジェクトを抱え、07年の販売額(契約ベース)で全体の4割以上を占める。それ故に、四川大地震の発生とともに株価は下落した。だが、過剰反応だと考えられる。確かに、地震を契機に四川省での不動産取引や高級住宅の建設は大きな影響を受けよう。被災者の救済と道路、橋梁やガス、水道といったインフラの再建が優先されるからだ。

 しかし、四川大地震の影響を考慮しても、同社の収益が大きく下方修正される可能性は少ない。筆頭株主からの資産買収によって、07年末時点、同社は長沙、無錫、大連など、16都市で不動産開発を行っており、成都の比重は低下傾向にある。また、北京、上海等では平均販売価格が市場予想を上回っており、こうした地域での好調な不動産販売が成都での事業の遅れを吸収するだろう。

 さらに、中長期的な視点で考えると、四川大地震は人々の安全性に対する意識を高め、旧式な住宅から有力な不動産開発会社が建設する耐震性能の高い新しい住宅へと建て替え、住み替えが加速されよう。

事業再編が同社にとって追い風となる

 6月に、同社は筆頭株主から6ケ所の不動産と家具製造販売を手がける企業を買収すると発表した。北京、武漢のほか、新たな開発地域として遼寧省瀋陽市でも40万㎡以上の土地を取得する予定。筆頭株主の事業再編に伴い、今後も同様の措置が取られる可能性が高く、同社の成長を後押しするだろう。

金融引き締めも影響は限定的、業界再編を促す

 一方、中国本土ではインフレ抑制のために金融引き締めが強化されており、不動産会社の資金調達はますます難しくなっている。だが、同社は政府系企業であるため、資金調達の面で比較的優位な立場にある。例えば、有利子負債利子率は06年の5.7%から金融引き締めが強化され始めた07年に、むしろ5.3%へと低下している。同社は低コストによる有利な資金調達を武器に、持続的な成長を確保する上で必要な開発用地の獲得を積極的に行っている。さらに、同社をはじめとする大手が資金調達に窮した中小の不動産会社を吸収することで、業界再編は進み、大手不動産企業にプラスとなろう。

 ただ、中国人民銀行(中央銀行)が物価抑制を優先し、金融引き締めを大幅に強化した場合、株式市場では不動産株が敬遠される可能性もある。しかし、同社は開発地域を広げることで地域的なリスクの低減を図るとともに、比較的財務内容も安定していることから、今後も業績の拡大傾向は続くだろう。(有井)

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。