チャイナマンスリーレポート

9月号

2008年9月2日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 8月の中国本土株式市場は北京オリンピック開幕とともに急落、年初来安値を再度更新するなど下値模索の動きが続いた。

 7月月初に年初来安値を更新した後、安値圏でのもみ合いを続けていた上海総合指数だが、北京オリンピックが開幕した8月8日には前日比4.5%の大幅安、終値は2605ポイントと終値ベースで本年最安値を再び更新した。さらに、週明けの11日には下げ幅を拡大、同5.2%の続急落となり終値で2470ポイントと約20ヵ月ぶりに2500ポイントを割り込んだ。その後、薄商いのなか2400ポイント台で方向感のない動きとなったが、18日には再度前日比で5.3%の大幅下落、終値は2319ポイントと06年12月以来の安値水準、翌19日にはザラ場で2284ポイントまで下げた。20日には同7.6%の急反発となり2500ポイント台を回復したものの、以降は2400ポイント台で気迷い商状が続いた。

 8日、11日の2日間で9.4%もの大幅下落となった要因として指摘できるのは、①オリンピック後に株価が急落するとの思惑が投資家の間に広まっていた、②投機資金に対する取り締まり強化の動きから、これら投機資金が株式売却に動いた可能性、③オリンピック期間中は政策当局の動き(株価対策など)が期待できないことから見切売りが出た、④11日発表の7月の工業製品出荷価格が前年同月比で10.0%の大幅上昇となり、インフレ、企業収益に対する懸念が強まった、など。また、その後、大量の元非流通株の売却解禁期日の到来、政府による石炭、アルミの輸出税率引き上げ、なども市場心理を一段と悪化させた。

 20日の急反発の背景は、米系投資銀行の「政府が最大4000億元の景気刺激策を検討中」とのレポートや、信用取引がオリンピック後に導入される、元非流通株の売却を証券会社を通じた売り出し方式とする、印紙税を引き下げる、等々の観測が市場に流れたこと。オリンピックの閉幕が近づいたことで、政策期待が膨らんだものと思われる。このところの株価急落で割安感が強まっているだけに、市場はいわば「枯野」状態。すなわち株価材料という「火」があればいつ燃え上がってもおかしくない状況にあることを裏付けた。その意味でも、何らかの株価支援策の実現が待たれるところだ。ただ、短期的にはともかく、株価が本格回復に向かうためには、インフレのピークアウトに伴う石油・石化、電力企業等の業績改善が必要条件となろう。(村上)

~香港市場から~

 8月の香港株式市場は月初を高値としてほぼ一本調子で下落、中旬から下旬にかけては本年の最安値を連日更新するなど冴えない展開となった。

 7月後半には戻り歩調にあったハンセン指数だが、8月に入ると1日の22862ポイントを高値に再び下落基調に転じた。週明けの4日、5日と2日間続落、この間の下げ幅は912ポイント、4.0%で5日には7月18日以来の22000ポイント割れとなった。その後は日々の変動率は小幅ながらじり安の動きが続き、18日には前日比229ポイント安の20930ポイントと年初来安値を更新するとともに、1年ぶりに21000ポイントを割り込んだ。以降は薄商いのなか一進一退の乱高下が続いたものの方向感を見出すには至らなかった。

 これまで香港株式市場に大きな影響を与えてきた米国株式市場だが、ニューヨーク・ダウ平均で見ると8月は1日の11326ドルに対して直近の22日には11628ドルと2.7%の小幅上昇。日々の上げ下げはあったが総じて横這いの状況で香港市場に与えた影響はほぼ中立と考えられる。そうしたなかで下落基調を脱せないのはひとえに中国本土市場の不振とその背景となっている中国経済・企業収益に対する先行き不透明感の高まりと考えられる。ちなみに、8月に入って21日までの株価騰落率を見るとハンセン指数-10.3%、H株指数-12.7%、レッドチップ指数-12.7%と中国本土関連企業で構成されているH株指数やレッドチップ指数の下落率が大きいことからもそれは明らかだ。

 引き続き香港市場独自の材料に乏しいことから外部環境、なかでも中国本土の政策動向、中国本土株式市場の動き、米国の景気・金融情勢、原油価格動向、等を睨みながらの展開となろう。堅調な企業業績、割高感の消えた株価水準、マイナスの実質金利などのプラス材料があるだけに、これらの外部環境が好転に向かえば市場のセンチメントが改善、つれて反発局面入りが期待されよう。

 折から香港市場上場企業は08年6月中間期の決算発表シーズンに入っており、足元の業績を再確認するには絶好のタイミング。好業績かつ割安な銘柄への選別投資を実行すべき時期に入ってきたと考える。(村上)

~景気支援策の発表間近か?~

 8月20日、中国本土株は大幅な上昇となった。北京オリンピック開幕当日からの下落によって株価に割安感が出てきた以上に、株式市場で広がった中国政府による景気支援策への期待感が相場を押し上げた。実際に切っ掛けとなったのは米投資銀行JPモルガン・チェースが19日に発表したレポートの中で「政府は少なくとも2000億から4000億人民元規模の景気刺激策を検討中」との見解を示したことだった。複数の地元紙が20日付でこのレポートを報じ、内容は市場全体に広まった。また、19日に中国国家発展改革委員会が卸電力価格を引き上げると発表していたことも、追加的な景気支援策に対する期待感を大きくした。

 外需低迷による輸出産業の業績悪化、一部地域での不動産価格の下落、さらに株式市場でも一向に回復しない株価や売却制限付A株(旧非流通株)の流通化など、多くの問題から市場マインドは悪化した。この市場マインドを好転させるには、政策の後押しが必要な状況で、政府も十分に認識していた。そのため、政府はインフレと景気過熱の抑制に重点を置いた経済政策から「安定した高めの経済発展維持と、速すぎる物価上昇抑制」へと修正を行い、中国人民銀行(中央銀行)も08年第2四半期「貨幣政策執行報告」の中で「緊縮的な金融政策の堅持」という表現を削除した。ただし、このような修正は投資家に分り難く、市場マインドを好転させるに至っていない。だが、政府や人民銀行は政策発動の素地を整えつつあると見てよいだろう。

 そこで期待される政策として消費者物価指数(CPI)目標値の引き上げがある。現在、中国のCPIは2月の前年同月比8.7%上昇から7月の同6.3%上昇と落着きつつある。実際には7月の生産者物価指数が前年同月比プラス10.0%になるなど、物価上昇が収まったわけではないが、天安門事件発生当時(89年)のCPI上昇率が前年比18%だったことと比較すれば、現在の物価上昇は十分に政府のマクロコントロールが効いているといえる。

 しかし現在、政府は08年のCPI目標値をプラス4.8%前後としているため、思い切った金融政策を採れず、株式市場のマインドを悪化させる要因ともなっている。もしも、この目標値を改めて7%程度まで引き上げれば、人民銀行の金融政策は選択肢が拡がり、景気減速時に金融緩和もありうると投資家が連想することで、市場マインドを好転させる転機となろう。政府系シンクタンク「中国信息中心」(国家情報センター)もCPI目標値の引き上げを行うべきとの見解を示しており、今後実施される可能性は高い。

 また、政府による価格統制の緩和も期待される。世界的にインフレ圧力が強まっている中、中国での物価抑制を目標とした価格統制は関連企業の収益力を悪化させる原因となっている。特に、電力やガソリン価格の統制によって電力会社や石油会社は採算が悪化しており、省エネなど効率化の妨げにもなっている。価格統制の廃止に関しては政府高官の慎重な発言もあり、今すぐの実施は難しいだろうが、更なる統制価格の引き上げは十分に可能性がある。

 北京オリンピックの華々しい祭典も終わり、次は中国政府の経済面での手腕に本土投資家をはじめ世界の注目が集まる。発表間近と考えられる景気支援策ではあるが、市場マインド好転のためにも早い段階での発表が期待される。さらに、個人消費による内需拡大のために老後や失業に対する社会保障等の整備も急がれる。ただ、安易な景気や株価対策では一時的に株価が上昇しても市場マインドの好転は持続しないため、注意する必要がある。  (有井)

聯華超市(リャンファ・スーパーマーケット)

―ハイパーマーケットの回復で好業績持続―
(00980 香港メインボード 内藤コード N0970 売買単位:1000株)

中国最大級のスーパーマーケット

 上海を中心に全国各地に大型スーパーマーケットを出店する大手小売企業。1991年に上海に設立され、2003年に香港取引所に上場、同取引所に最初に上場した中国本土の小売チェーン。大型総合スーパーマーケット(ハイパーマーケット)「世紀聯華」、スーパーマーケット(スーパー)「聯華超市」、コンビニエンスストア(コンビニ)「快客便利店」など3種類の小売店をチェーン展開する。08年6月中間期の売上構成比はハイパーマーケット57.2%、スーパー34.6%、コンビニ7.3%、他0.9%。国有企業の上海友誼(集団)有限公司が、上海B株市場に上場する上海友誼集団(900923)を通じて支配している。このほか、香港上場の上海実業(00363)、日本の三菱商事も大株主として出資している。

華東地域が主地盤

 全国20の省・直轄市で展開しており、08年6月末現在、店舗数は3,848店舗(フランチャイズを含む)で、そのうちハイパーマーケットが121店舗、スーパーが1,768店舗、コンビニが1,959店舗である。今上期の出店数はハイパーマーケットが11店(閉鎖は1店)、スーパーが94店(同57店)、コンビニが151店(同72店)で計126店の純増。店舗の84%は華東地域に集中しているが、特に長江デルタ地域での事業に注力(同地域に82%の店舗が集中)。直営からフランチャイズへの切り替えを進めており、フランチャイズ店舗が全体の58%(07年12月期末は56%)に上っている。

 また、仏カルフール社との合弁で大型総合スーパーマーケット「上海聯家」を共同経営しており、同社は45%の株式を保有している。「上海聯家」は本土内で12店舗を展開し、07年通期での同社に対する利益は1.2億元だった。

08年6月中間期は大幅増収益を達成

 08年6月中間期の業績は、売上高107.4億元、前年同期比19.8%増、営業利益2.2億元、同1.0%減、純利益2.3億元、同61.8%増。営業利益は表面上減益だが、これは前年同期に1.3億元の投資収益が計上されていたためで、これを除くと約2倍の大幅増益。この要因は、①既存店売上高の好調な伸び(全体で前年同期比13.0%増、うちハイパーマーケット同12.0%増、スーパー同15.2%増、コンビニ同11.4%増)、②粗利益率の改善(07年6月中間期の12.7%から08年6月中間期では13.4%へと0.7%ポイント改善)、③不採算店の閉店費用一巡やその他経費の抑制による販管比率の低下、など。

ハイパーマーケット部門の好転が寄与

 特に、大型店「世紀聯華」を運営するハイパーマーケット部門の業績好転が著しい。同部門の売上高は前年同期比26.4%増の61.4億元、営業利益は前年同期の700万元の赤字から8000万元の黒字に転換。まだ、利益水準自体は低いものの着実に利益率は改善している。ちなみに粗利益率は前年同期の10.8%から08年6月中間期には12.0%へ1.2%ポイントの上昇となっており、他の2部門を上回る改善幅となっている。これは、近年進めてきた不採算店舗の廃止(07年は6店を廃止)、長江デルタ地域への新店舗の集中出店、などの策が奏功したためだ。

下期以降の業績も堅調な推移を予想

 中国経済は08年下期に向けて減速傾向にあり、実質GDP成長率が10%を割り込む可能性も高い。つれて個人消費もスローダウンを余儀なくされると思われるが、食品、生活必需品が中心の同社のような業態には影響は限定的と考えられる。そうしたなか下期も上期同様に、①スーパー部門では店舗の改装を積極的に進め集客の向上を図る、②ハイパーマーケット部門では「デパート型ハイパーマーケット」の試験導入、③コンビニでは高付加価値サービスの拡充、④自動在庫補充システムの導入による在庫管理の徹底、などの施策により安定的な業績が見込めよう。(村上)

上海宝信ソフト(ホウシンソフト)

―安定成長が続く―
(900926 上海B株 内藤コードX2460 売買単位: 100株)

鉄鋼関連が主体のソフトウェア開発企業

 鉄鋼、都市交通、電力、石油化学、非銀行系金融機関、医療、行政などの分野で、オートメーション化・情報化ソリューションを提供する企業。国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある宝鋼集団有限公司(宝鋼集団)が、上海A株市場に上場する宝山鋼鉄股フン有限公司を通じて実質的に支配している。

 同社の主力事業は鉄鋼会社向けのソフトウェア開発であり、同事業は安定性が高いことが特徴。まず、同事業は顧客基盤が安定している。鉄鋼業界のソフトウェアは操作が複雑であり、いったんシステムが導入されれば、他社製品に切り替える場合のスイッチングコストが大きく、品質が保証される状況では、顧客のロイヤリティも高い。

 また、鉄鋼会社向けソフトウェア業界は参入障壁も高い。同社の場合、実質筆頭株主が中国鉄鋼最大手の宝鋼集団であるため、その関係で同社は中国の鉄鋼及び関連産業向けのソフトウェア開発市場で圧倒的なシェアを誇る。08年6月中間期において、売上高の43.2%が宝鋼集団傘下の企業向け。具体的には、ソフトウェア開発事業の44.2%、サービス下請け業務の73.6%、システムインテグレーション業務の44.2%、エンジニアリング設計業務の76.0%の売上がそれらの系列企業向けであった。宝鋼集団のような大手鉄鋼会社を実質的な親会社とするIT企業は極めて少数であり、同社の競争力は比較的高い。

08年6月中間期は大幅増収益

 08年6月中間期の業績は、売上高が前年同期比31.0%増の11.1億元、営業利益が同123.4%増の1.5億元、当期純利益が同106.0%増の1.2億元と大幅増収増益を達成した。業績成長のドライバーは主力事業のソフトウェア開発事業であり、同事業の売上高は同53.6%増の7.5億元に達し、売上高に占める割合も前年同期に比べ10%ほど上昇して67.2%になった。

 中国経済の高成長を背景に鉄鋼需要も拡大基調が続いている。中国経済は輸出の伸び率鈍化などを背景に08年以降若干の減速が見込まれるが、仮に経済成長率が低下しても、製造工程の情報化が進むことや、主力顧客である宝鋼集団が主導する鉄鋼業界の再編が進むことにより、全産業を上回るペースでの事業拡大が期待される。08年上半期は大型プロジェクトの売上げが計上され、利益の急増に結びついたもようだが、09-10年にかけても純利益で20~30%程度の伸びが予想される。

ITS事業のマージンが向上

 08年上期において、同社のITS(Intelligent Transport Systems)事業は売上高で前年同期比34.9%増の1.1億元(売上高構成比9.9%)となり、粗利率も3.9%ポイント上昇して23.8%になった。社内のソフトウェア開発プラットフォームの整備によって、開発コストの圧縮が図られ粗利益率の向上に有利に働いた。中国は今、主要都市の地下鉄建設ラッシュが始まったばかりで、交通における情報化の投資拡大に大きな余地が残されている。今後も、同事業の安定的な成長が見込まれる。

鉄鋼以外への事業拡大に注力

 宝鋼集団の業界におけるリーダー的な地位を生かし、同社は既に中国鉄鋼業界の情報化事業のトップメーカーになっている。同時に同社は石油化学工業、非鉄金属の冶金などの関連プラント業界、更に前述のITSや金融関連分野にも進出しており、鉄鋼以外への事業拡大を通じて、景気変動の影響を受けやすい鉄鋼業界の好不況による業績変動の軽減を図っている。また、鉄鋼情報化事業の技術を生かし、同社は徐々にシーメンス、ハネウェルなど海外企業が独占・寡占している電気機械産業関連のエンジニアリング請負ビジネスにも進出し始めている。これらの関連産業への多角化は同社の技術水準の向上を反映している。(村上)

中興通訊(ZTEコーポレーション)

―通信業界再編を通じて最も有利な受益者のひとつ―
(00763 香港H株 内藤コード N0763 売買単位:200株)

通信設備のリーディング・カンパニー

 通信設備総合メーカーとして、中国本土の通信大手と長期的な提携関係を構築する一方、発展途上国を中心に海外市場への進出にも注力している。主力事業の移動通信設備と携帯端末では、GSMのほか、TD-SCDMAやWCDMAなど3G(第三世代移動通信)方式も手がける。そのほか、光通信・データ通信設備、固定電話通信設備や、通信ソフトシステムの開発とそのサービス業務なども提供。

海外市場への販売拡大で安定収益を確保

 04年から07年までの販売実績では、国内での収入がピークの166億元(04年12月期)から147億元(07年12月期)までに低下したのに対し、海外での収入は当初の46億元(04年12月期)から201億元(07年12月期)まで急増しており、利益面でも大きく貢献した。同社は05年から積極的に海外市場を開拓し、近年、海外需要の堅調さに恵まれている。発展途上国を中心に通信設備の輸出や、2Gネットワーク工事の受注などで活躍しながら、欧米など先進国向けへの進出戦略も成果を収めた。携帯端末製品は7割ほどを海外へ輸出し、60以上の国・地域で販売されている。

通信業界の再編が追い風に

 中国の関連当局は今年5月、通信業界改革の推進に関する通告を発表した。同通告によると、中国電信集団公司(チャイナテレコム)が中国聯合通信有限公司(チャイナユニコム)のCDMAネットワーク(資産と顧客)を買収。チャイナユニコムと中国網通通信集団公司(チャイナネットコム)は合併。中国鉄通集団有限公司が中国移動通信集団公司(チャイナモバイル)に編入される。なお、政府は電気通信業界の再編を実施した後に、3つの3G事業者免許を交付する方針も固めた。上記の通告を発表してから約3カ月経った現在、各通信大手はそれぞれ再編後の経営戦略や投資計画を明らかにしている。

 チャイナテレコムの上場子会社である中国電信(00728)は7月、CDMA業務をチャイナユニコムの上場子会社である中国聯通(00762)から買収する件について、正式契約を交わしたと発表。そして向こう3年間でCDMA業務のユーザー数を1億件、市場シェアを15%までに引き上げる目標を立て、同業務への総投資額を800億元と試算していることも明らかにしている。一方、中国聯通はCDMA業務の売却代金を、主にGSMネットワークの拡張やサービスの向上、3G事業者免許を取得した後の3G技術と関連業務に投入すると表明。こうした通信業界再編に伴う急激な国内の投資増加は、抜群の技術力と定評がある通信設備大手の同社にとって、高成長への追い風になるだろう。

3Gネットワーク構築の加速化がプラスに

 チャイナモバイルの上場子会社である中国移動(00941)による2期目のTD-SCDMAネットワークの構築計画は7月下旬ごろ、工業・信息化部に承認されたと一部の現地メディアは報道した。消息筋によると、ネットワーク構築の対象地区は28都市となり、2.8万~3万カ所の基地局を設置するという。総投資額はまだ確定されていないが、価格下落や1期目投資額を踏まえて、2期目の総投資額は約250億元と推定される。現在まで、中興通訊は中国移動の総発注額に対する受注割合が6%前後にとどまっているものの、TD-SCDMA事業に対する割合は50%近くに迫っている。中国移動による3Gネットワーク構築の加速化は、今後2年間にわたり中興通訊の業績成長を大きくけん引するだろう。

2008年、2009年は高成長が続く見通し

 08年6月中間決算は前年同期比29.5%増収を達成したものの、純利益が5.6億元にとどまり、市場予想を下回っている。これは国内収入が前年同期比2.8%減少したことが主因。ただ、下期に入り通信業界再編が定着したため、各通信キャリアによる通信設備や携帯端末などの入札が再び活発になり、北京五輪の開催で一時中断していた大規模な通信網の構築・整備なども今年第4四半期と来年度に集中すると見込まれる。そのため、08年と09年の国内収入はともに2ケタの伸び率を維持すると見ている。(高)

山東晨鳴紙業’H’(チェンミンペーパーH)

―香港市場上場を果たし、更なる成長へ―
(01812 香港H株 内藤コード N1812 売買単位:500株)

中国大手の製紙会社

 同社はアート紙、コート紙、新聞用紙、板紙など、中・高級紙を幅広く手掛ける。国内では華東、華南、華北地区を中心に販売する一方、米国や日本をはじめとして30以上の国・地域に輸出も行う。07年売上高ベースでの輸出比率は約15%。また、08年3月末時点で年間生産能力が300万トン強と、国内第4位の生産能力を誇る。今年6月には、香港市場に上場したことで、深センA、B市場(200488)、香港市場の3市場に重複上場を果たした最初の企業となった。

好調を続ける中国製紙業界

 世界の紙需要は95年の2.80億トンから06年に3.82億トンへと拡大している。その中で中国の紙需要は27百万トンから66百万トンと急速に増加しており、世界の増加分の約4割を占める。今や中国は米国に次ぐ、世界第2位の紙消費国へと成長した。だが、国民1人当りの年間消費量(06年)を比べると、中国は50kg程度に過ぎず、世界平均の60㎏を下回り、米国の310kgや日本の245kgに遠く及ばない。そのため、中国の製紙業界は今後も高い成長を続けると期待される。さらに、国民所得の向上とともにファッション誌やパンフレット等の増加で、高級紙の需要も急激に高まると見込まれている。

 また、中国市場における紙製品の価格は07年以降、上昇に転じた。業界の平均販売価格は07年に前年比7%程度、08年上期も前年同期比10%以上上昇した。国内外の需要増加、原料コストの製品価格への転嫁や大手製紙会社の価格交渉力の強化などが、その要因となっている。特に、大手製紙会社の価格交渉力強化による影響が顕著だ。現在、政府は環境保護に力を入れているため、中小の製紙工場を閉鎖させる一方で、大手にはM&Aを通じた規模の拡大を奨励している。これにより、製紙業界では寡占化が進み、大手製紙会社の発言力は強化された。今後もこの傾向が継続され、紙製品の平均販売価格は08年通期でも前年比10%以上、更に高級紙ではそれ以上の上昇となろう。

H株上場で更なる展開へ

 このような環境下で、同社は広東省での植林・製紙の一貫生産プロジェクトへの投資を行うためにH株上場を果たした。同プロジェクトでのパルプ工場は年間70万トン生産する計画を立てており、工場完成後には同社のパルプ自給率が現在の70%からほぼ100%になる。これによって同社のパルプコストは10%程度低下する見通し。さらに自家消費分を超えた部分は国内他社に販売する予定で、新たな収益源と期待される。もっとも、工場完成は10年後半になる計画で、収益への貢献もそれ以後となる。

08年中間決算見通し

 8月4日、同社は08年6月中間決算(中国会計基準、未監査)で純利益が前年同期比100~150%増加する見込みと発表した。今年4月に中間決算で50~100%の増益見通しを発表していたが、今回、それを上方修正した。年産18万トンの微塗工紙プロジェクトなど4つのプロジェクトが稼働したことに加え、4-6月期の販売量が拡大し、主力製品の価格も上昇したためで、同社の好調な経営環境が見て取れる。

成長性と安定性

 同社にはリスク要因として、原油をはじめとする原材料価格等の上昇がある。だが、7月中旬以降、原油価格は調整色を強めており、他の商品市況でも峠を越えた感が出てきた。もっとも、新興国の経済発展に伴う需要増加で原油価格などの大幅な下落は考え難く、当面は高止まりが予想される。それでも、世界的な景気減速感を背景に商品市場から投機資金が一部流出しており、今年前半までのような原油価格等の急騰が起きる可能性は小さくなった。また、同社は現状でもパルプ自給率が高く、原料価格上昇に対する抵抗力は他社よりも強い。さらに、幅広い製品を取り扱うことで、製品間での生産能力を機動的に調整する体制も整えている。そのため、一部製品で需要拡大や過剰供給等によって需給関係が問題となっても比較的スムーズに対応できる。

 このような状況から判断して、同社は急拡大する紙パルプ市場の影響を大きく受けながら今後も安定した成長を続けよう。(有井)

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