チャイナマンスリーレポート

11月号

2008年11月5日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 10月の中国本土株式市場は月初から急落、月半ばには若干ながら戻す場面があったものの、月末にかけては再び下げ足を早める展開となった。

 9月下旬には下落トレンドに歯止めが掛かったかに見えた上海総合指数だが、10月に入ると再び下げ基調に転じた。国慶節の連休が明けた6日には2173.73ポイントと前営業日比で120ポイント、同5.2%の急落となったが、以降も10日まで連日で下げ続け、この間の下げ幅は173ポイントに達した。10日の終値は2000.57ポイントとかろうじて2000ポイントの大台を維持したものの、15日には約1ヵ月ぶりに2000ポイントを割り込み、さらに16日には1909.94まで下落。その後、2日ほど戻したものの21日からは再度小幅ながらも連日の下落が続き、27日には前営業日比で116ポイント急落し、1723.35まで下げた。

 9月18日に3つの株価支援策が打ち出されたことや米国政府が金融市場安定のための包括的な政策を検討中とのニュースも加わり市場マインドは一気に好転、株価は9月末にかけ急反発に向かったものの、国慶節の連休中に米国での金融安定化法案否決をきっかけに世界中で株式市場が急落、連休明け後の下げにつながった。その後も世界的な金融市場の混乱に伴うリスク資産圧縮の動き、米国や欧州の景気後退観測、さらには新興国経済への波及懸念などから中国経済に対する先行き不安も高まり、株式市場からの資金引き上げの動きが続いた。信用取引の試験導入、金利・預金準備率の引き下げ、不動産市場活性化策なども株価を押し上げるには至らなかった。

 20日に発表された08年第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比9.0%増と事前の予想を下回り、経済の減速感が強まった。世界的にリセッション懸念が高まるなかで下期以降の景気・企業収益に対する不透明感は一段と増している。政策当局は9月以来、①株式購入時の印紙税を免除、②旧三大国有銀行株式の市場からの買い入れ、③中央企業による上場株式の買い増し、④信用取引の試験導入、などの株価支援策を発表してきたが、今後はマクロ経済面での総合的な対策の早期実行が望まれる。既にインフレは峠を越えたと見られ金融政策の裁量余地が拡がっているうえ、財政面での梃入れも可能だ。(村上)

~香港市場から~

 10月の香港株式市場は本土市場同様に上旬に急落、その後若干の反発場面があったが、下旬にかけては連日の年初来安値更新となった。

 9月後半にかけて一旦は落ち着きを取り戻したハンセン指数だが、10月に入ると再度下落トレンドに入った。月初の2日こそ前営業日比1.1%高と小高く始まったものの、翌3日から8日まで3営業日連続の下落、この間の下落幅は2779ポイント、15.3%に達し、8日の終値は15431.73と06年6月以来の16000ポイント割れに。その後、中旬にかけては一時ザラ場で17000ポイント台を回復する場面もあったが、下旬に入ると下げが加速し、22日には前日比774ポイント安の14266.60、23日は同506ポイント安の13760.49、24日は同1142ポイント安の12618.38、さらに27日には同1602ポイント安の11015.84まで下げた。

 9月から続いている米国市場追随の動きが一段と強まったうえ、後半にはリスク資産圧縮の動きが再び活発化したことが株価急落の背景となったようだ。3日から8日までの下げはこの間に(2~7日)ニューヨーク・ダウ平均が9.9%下落したのを受けてのものであり、中旬の戻りは銀行への資本注入などを柱とする各国当局による金融支援策を好感しニューヨーク・ダウ平均が936ドル高と過去最大の上昇を記録したことが背景。一方、下旬にかけての下げは米国市場の下げに加えて、新興国への景気後退の波及懸念とリスク資産圧縮の動きがあいまって、内外の機関投資家の換金売りが強まったものと思われる。

 引き続き香港市場独自の材料に乏しいことから外部環境、なかでも中国本土の政策動向、中国本土株式市場の動き、米国の景気・金融情勢、原油価格動向、等を睨みながらの展開となろう。中国本土での追加株価支援策や金融・財政面での総合対策が発動されれば株式市場の下支え要因となろうが、現在進行中の欧米を中心とした金融市場の混乱やそれに伴うリスク資産圧縮の動きが一巡するまでは引き続き不安定な相場展開を余儀なくされよう。(村上)

~10%を割り込んだ第3四半期GDP成長率~

 10月20日、中国国家統計局は国内総生産(GDP)等の主要な経済統計を発表した。事前のブルームバーグによる市場予想では前年同期比9.7%増と10%割れが予想されていた08年第3四半期の実質GDP成長率は市場予想を下回って同9.0%増にとどまり、05年第4四半期(同9.9%増)以来の一ケタ成長となった。1-9月の成長率でも同9.9%増だった。昨年まで好調を続けていた中国経済は07年第2四半期の同12.6%増をピークに四半期ベースの実質GDP成長率が低下傾向にあり、景気の減速感が鮮明となってきた。

生産面で見るGDP

 GDPを産業別の生産で見た場合、第2次産業の悪化が目に付く。第2次産業は名目で10兆1117億元と1-9月期としては初めて10兆元を突破したものの、実質成長率が前年同期比10.5%増、その伸び率は前年同期と比較して3.0%ポイントの低下となった。この第2次産業の落ち込みはGDPと同時に発表された工業生産指数からも見て取れる。1-9月期の工業生産指数は同15.2%増の高い伸びを示しているが、前年同期と比べ伸び率は3.3%ポイント低下している。9月単月では前年同月比11.4%増、前年同月と比較して7.5%ポイントの大幅な低下となった。国家発展改革委員会が示すように1-6月に6万7千社の中小企業が倒産するなど、今年に入り欧米の金融危機から輸出産業は大きな打撃を受けており、それが影響したものと見られる。また、第3次産業も実質成長率で同10.3%増、前年同期と比べ成長率は2.4%ポイント低下している。

 一方で、第1次産業は名目GDP比で全体に占める割合が1割程度と少なく、伸び率自体も前年同期比4.5%増と低いものの、比較的堅調に推移している。近年の三農問題等に対する政府の取り組みが、ようやく効果をあらわしてきた。

支出面で見るGDP

 次に、支出面からGDPを見る。実際には、支出法による各項目は四半期ベースの数値が公表されない為、同時に発表された貿易統計、固定資産投資や社会消費品小売総額等を見ていく。

 まず、貿易収支を見ると、1-9月の貿易統計では貿易黒字額が1810億米ドルと、昨年同期と比べ47億米ドル減少した。原油など、商品市況の高騰によって輸入額が8931億米ドル、前年同期比29.0%増と大幅に増加する一方で、欧米での個人消費の減速から輸出額が1兆741億米ドル、前年同期比22.3%増の伸びにとどまったためだ。07年実質GDP成長率を1.9%押し上げた純輸出は一転してマイナス要因となった。

 しかし、社会消費品小売総額や固定資産投資は堅調に推移している。1-9月期の社会消費品小売総額は同22.0%増となった。昨年は10%台半ばで推移していたが、08年に入ってからは、中国南部を襲った大雪の影響で落ち込んだ2月を除き、20%以上の高い伸びを続けている。物価上昇の影響はあるものの、比較的底堅い個人消費が窺える。また、固定資産投資も前年同期比27.0%増と、高い伸びを示した。固定資産投資は一部地域での不動産価格の下落や、輸出産業を中心とした企業業績の悪化等から、今後、企業の設備投資意欲の減退と伴に低下する可能性もあるが、昨年同様、経済成長を牽引する最大の要因となろう。

持続可能な経済成長

 今回のGDP統計では10%割れという数字自体に注目が集まり、中国経済の減速感だけが取り上げられた。確かに、減速傾向は否定できない。しかし、10月初旬に、国際通貨基金(IMF)が発表した「世界経済見通し」で中国の08年実質GDP成長率は前年比9.7%増と予想されるなど、依然として9%台の成長が見込まれている。IMFでは09年も9.3%の成長を維持すると見ている。

 中国の場合、実質成長率で8%を切ってくると、雇用問題等から社会不安が起きると考えられている。また、10%を超える長期の経済成長も資源問題等から持続不可能だと見られており、現状の9%台の成長は持続可能、かつ、十分な成長速度と言える。今後、世界的なリセッションの影響を受けて、中国経済が下振れする懸念は残っているものの、堅調な個人消費、更に政府の財政出動等によって、現在の成長力は維持されよう。中国経済の中長期的な展望に変化はないと考えられる。(有井)

中国人寿保険(シーエルアイシー)

―保険事業は順調に拡大、中国本土株式市場の底入れに期待―
(02628 香港ハンセン、H株 内藤コード N2620 売買単位:1000株)

中国最大の生命保険会社

 中国最大の生命保険会社で、国有企業の中国人寿保険公司の再編により、2003年6月に設立された。全国規模の販売ネットワークを持つ。07年の市場シェアは39.7%(中国会計基準)に達する。営業拠点は15,500以上を数えるほか、銀行などの代理店90,000カ所あまりを通じ、保険を販売している。主力商品は個人向け・団体向けの生命保険や事故傷害保険、健康保険、年金保険など。資産の運用は傘下の中国人寿資産管理有限公司が担当している。また、中国人寿養老保険股フン有限公司を通じて企業年金の運用業務を展開する。売上高の88.1%を個人向け保険事業が占めている(2007年12月期)。

08年に入り投資利益が落ち込んだものの、保険料収入の伸びが再び加速

 08年6月中間期の業績は、売上高(経常収益全体から、出再正味保険料、責任準備金等繰入額などを控除したもの)が前年同期比2.1%減の992.8億元、純利益が同32.0%減の158.4億元 (香港会計基準、未監査)となった。これは08年に入り中国株式市場の大幅調整に伴い、有価証券の公正価値の変動が65.0億元の評価損をもたらしたことが主因。ただ、同社は株式相場の下落を受け、すでに株式への投資割合を23.0%(07年12月末)から13.3%(08年6月末)まで減らした。同時に債券などへの投資は52.1%から58.6%まで増えた。一方、1-6月の保険料収入は前年同期比50.1%増の1821億元(中国会計基準、未監査)だったうえ、1-8月は同57.2%増の2252億元ともなり、今年に入って保険料収入の伸びが再び加速していることが明らかになっている。

地方の生命保険市場の成長加速が同社成長を後押し

 今後はシェアの回復が期待される。市場開拓の焦点が沿岸部の大都市から中国人寿保険の強みを持つ地方都市に移るとみられるからだ。沿岸部の大都市は参入している保険会社の数が多い一方、保険の普及率は高く、市場開拓の余地が乏しい。これに対し、地方都市は参入企業が少ないほか、保険の普及率は低く、市場開拓の余地が大きい。ちなみに、生命保険の成長が著しい上位10市場は、天津、四川省、湖南省、河北省などである。一方、北京と上海は06年1月に生命保険市場の17%を占めていたが、08年4月に12%へ低下した。地方の生命保険市場の力強い成長は中国政府の支援を受けて今後も継続する見通しであるが、これは中国政府が社会の安定にとって、生命保険の普及が重要であると考えているからである。

 中国人寿保険は保険料収入の大半を北京・上海以外の地域から得ている数少ない保険会社で、その比率は93%に達し、中国太平洋保険(集団)股フン有限公司が90%、平安保険(02318)が82%でこれに続く。これら3社を除くと多くの保険会社が沿岸部の大都市での保険料収入に依存している。競争激化の影響で中国人寿保険の市場シェアは北京で15.9%、上海で25.9%に低下したが、その他の地域では40~70%のシェアを維持している。したがって、生命保険事業が中国人寿保険の成長をリードする構図は今後も変わらず、同社の中長期的な事業の成長性は引き続き高いといえよう。

中国本土株式市場の底入れを待つ展開

 地方を中心に生命保険市場の成長性は高く、同社事業の成長性の高さに大きな変化はないが、中国株式市場での運用収益が短期的な同社収益の変動を大きく左右する状況に変わりはない。中国本土株は08年上期に50%ほど値下がりしており、この結果、前述したように同社における株式運用への含み損が出ており、これが株価下落の大きな要因となった。運用資産に占める株式の構成比は今後も引き続き低下していくとみられ、中国株のパフォーマンスが同社収益に及ぼす影響は軽減する傾向にある。とはいえ、中国株式市場が底入れすれば、同社株の出直りを後押ししよう。(村上)

中国石油化工(シノペック)

―原油価格の下落で収益底打ちへ―
(00386 香港ハンセン、H株 内藤コードN1980 売買単位: 2000株)

石油化学の最大手

 アジア最大の石油・化学メーカー。「世界500 強企業」(「財富」誌2007年)で17位に選ばれる。事業は、川上の原油・天然ガスの探査・油田開発・生産・貿易から川下の石油精製・燃料油と石油化学製品の生産販売までおこなう。香港、ニューヨーク、ロンドン、上海A 株市場の4市場に上場。2006 年8 月、12 月にはそれぞれH 株、ハンセン指数構成銘柄に採用された。

 08年6月中間期の主要部門の売上げ構成は、石油製品販売53.8%、化学品製造販売16.0%、石油精製9.8%、石油・天然ガス探鉱、採掘1.9%、その他18.5%。

08年6月中間期は大幅減益に

 08年6月中間期の売上高は7224.3億元、前年同期比31.0%増と大幅に伸びたものの、営業利益は72.2億元、同86.5%減、純利益は82.5億元、同77.3%減と大幅減益となった。

 増収の要因は、原油、石油製品、化学製品の価格上昇と販売数量の増加。同社の今中間期の社外への原油販売価格は4,275元/トン、前年同期比52.3%上昇、天然ガスは886元/千?、同11.6%の上昇。ガソリンが07年中間期の5,282元/トンから今中間期には5,976元/トンへ同13.1%の上昇、ディーゼルが4,595元から5,350元へ同16.4%の上昇、などとなっている。また、販売数量(外販分)も原油の同15.2%増をはじめ天然ガス同6.0%増、ガソリン同11.2%増、ディーゼル同11.3%増など主力製品が順調な伸びとなった。

石油精製部門が大幅赤字に

 一方、利益面では原油価格高騰の影響を大きく受けたことが響いた。同社の場合、原油を自社で生産しているが必要量の8割は外部から購入している。今中間期の外部からの原油購入価格は5,326元/トンで前年同期に比べ54.4%値上がりしている。それに対して石油製品(ガソリン、ディーゼル油等)の販売価格は政府の統制価格となっているため、前述の通り10数%しか上昇していない。この影響を一手に受けたのが石油精製部門で、同部門のトン当たりの精製マージンは前年同期の265元の黒字から今中間期には752元の赤字に転落した。つれて同部門の営業利益は460億元の赤字を計上、大幅減益の主因となった。なお、同部門は政府からの補助金279億元を受けており、これを勘案すると実質的には700億元超の赤字であった。

原油価格の下落で採算は改善へ

 原油価格は7月をピークに大きく下落、つれて同社の足枷となっていた石油精製部門の収益改善が期待される。08年1~6月平均の原油価格(北海ブレント)は109米ドル/バレルであったが、7月の140米ドル/バレル超をピークに現在は70米ドル/バレル前後に低下している。同社の精製事業における損益分岐点は95~100米ドル/バレルと推定され、第3四半期(7~9月)についてはまだ平均価格が115米ドル/バレル程度であり依然赤字と見られる。ただ、現状のレベルで原油価格が推移すれば第4四半期以降は大幅な黒字転換が予想される。収益が改善に向かえば政府からの補助金削減・廃止も考えられるが、十分吸収して業績は09年にかけて回復基調を辿ろう(村上)

中国糧油控股(チャイナアグリ)

―08年6月中間期は大幅増収益を達成―
(00606 香港レッドチップ株 内藤コード N0606売買単位:1000株)

中国の大手農産物加工メーカー

 中国本土における農産物の加工・販売および関連業務を手がける。香港上場の中国食品有限公司(00506、旧社名は中国糧油国際有限公司)からスピンオフした。国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある中国糧油食品(集団)有限公司が、中国糧油食品集団(香港)有限公司などを通じて支配している。

 主な事業は、種子油の加工(食用種子油と種粕の生産・販売)、ビール用麦芽の生産・販売、パーボイルド米や白米などの輸出、小麦の加工、小麦粉の販売、バイオ燃料・バイオケミカル製品(燃料エタノール、でん粉、甘味料など)の生産・販売。08年6月中間期の売上げ構成は、種子油加工65%、バイオ事業14%、米9%、小麦8%、ビール原料4%。営業利益の構成比は種子油加工73%、バイオ事業6%、米8%、小麦3%、ビール原料10%。

08年6月中間期は大幅増収益

 08年6月中間期の業績は、売上高が202.7億香港ドル、前年同期比74.7%増、営業利益21.6億香港ドル、同3.3倍、純利益16.9億香港ドル、同2.7倍と大幅増収益を達成。主力の種子油加工部門をはじめバイオ事業、ビール原料事業など全ての事業部門で増収増益となっている。

〔種子油加工〕

 売上高131.3億香港ドル、前年同期比68.5%増、営業利益15.8億香港ドル、同4.2倍と売上げ、利益ともに急伸。主力の食用油、油粕・飼料の販売価格が各々前年同期比51%、70%上昇し、主要原料である大豆価格の上昇によるコストアップを吸収したほか、1.6億香港ドルの為替差益も寄与した。

〔バイオ事業〕

 売上高27.6億香港ドル、前年同期比3.6倍、営業利益1.3億香港ドル、同2.1倍。新工場の稼動開始により燃料用エタノール、コーンスターチ、甘味料等の売上げが急増。つれて利益も大幅増に。

〔ビール原料事業〕

 売上高9.1億香港ドル、前年同期比74.1%増、営業利益2.2億香港ドル、同2.1倍。主要製品である麦芽価格が前年同期比38%上昇したうえ、東南アジア、ロシア向け等の輸出が5.0億香港ドル、同3.1倍と急拡大。原料大麦の価格上昇のマイナスを吸収した。

〔米、小麦事業〕

 売上高34.7億香港ドル、前年同期比37.6%増、営業利益2.5億香港ドル、同86.6%増。米の輸出価格が上昇したほか、小麦粉の販売数量増、高付加価値品へのシフトなどが奏功した。

下半期以降の業績も堅調の見通し

 続く08年12月期下半期の業績も堅調の見通し。国際商品市況はこのところ大きく下落しており、同社の主原料である大豆、トウモロコシ等の穀物価格も急落している。つれて主力の種子油加工事業は販売価格の低下が見込まれ、収益の伸びは鈍化が予想されるが、その他の部門の伸びでカバーしよう。

 バイオ事業では燃料エタノールの価格上昇に加え、新工場に対する政府からの補助金が下期には支給される予定であり、引き続き好調が見込まれる。

 ビール原料事業も内外の需要が拡大するなか、07年には生産能力を36万トンから48万トンに増強、さらに08年中に68万トンへ拡大の見通しで販売数量増が見込めよう。米、小麦事業についても引き続き販売数量の拡大を通じて安定的な業績が予想される。上半期は穀物市況の急騰に伴う販売価格の上昇で収益が急拡大したが、今後は市況の落ち着きで安定成長軌道に復帰する見通し。

中長期的にも成長が続く

 種子油加工事業については、家庭内での肉食の増加や外食の拡大で食用油需要の成長が期待できる。それに合わせて2010年までに生産能力を50%増強する計画。バイオ事業でも政府は2010年までに穀物を使わない燃料エタノールを200万トン増産する予定だが、同社は国内で唯一タピオカを使った年産20万トンの新工場を稼動させている。ビール原料、米、小麦の安定的な成長と合わせ中長期的に収益の拡大が期待できよう。(村上)

中国聯合網絡通信(香港) (チャイナユニコム・ホンコン) 

―激動期を迎えた中国の移動体通信業界―
(00762 香港ハンセン、レッドチップ株 内藤コード N7620 売買単位:2000株)

通信業界の再編

 携帯電話事業を中心に、データ通信・インターネット事業、長距離電話事業を手がける総合通信事業会社。主力の携帯電話事業ではGSMとCDMAの2方式を採用する。しかし、今年5月に当局が発表した通信業界の再編によって中国本土の通信事業会社は3社に集約され、同社はCDMA事業を固定電話最大手の中国電信(チャイナテレコム、00728)に438億元で売却すると同時に、中国網通(香港)を吸収合併することとなった。事業売却、吸収合併ともに、株主総会等の承認を得て10月に完了している。

 また、今回の業界再編後、各通信事業会社に対して第三世代携帯電話(3G)事業の正式ライセンスを当局は交付する予定で、同社には欧米や日本などで広く使用されているW-CDMA方式のライセンスが認められる見込み。今後、3G事業の展開とともに各社の勢力図は大きく塗り替えられる可能性があり、中国の移動体通信業界は激動期を迎えることとなろう。

08年6月中間決算

 同社は、08年6月中間決算において純利益(非継続事業を含む)で44.2億元(前年同期比103.0%増)と大幅な増益を達成した。ただ、前年上期に転換社債の公正価格変更に伴う評価損を16.4億元計上しており、その影響を除けば、同16%程度の増益にとどまる。

 新会社への継承事業であるGSM事業は売上高で前年同期比3.9%増、税引前利益が同8.7%増であった。加入者当りの月間収入(ARPU)は43.6元と同7.8%低下しており、これが増収率等を抑えたと考えられる。しかし、ARPUは07年下期の44.8元から見れば2.7%の低下と、下落幅が縮小している。また、08年6月末時点での同事業の加入者数は1億2760万人、前年同月末比12.1%増と、GSM事業の順調な拡大が窺える。一方で、10月に売却が完了したCDMA事業の税引前利益は前年同期比40.8%増と高い伸びを示した。ただ、同事業の利益増加は携帯端末販売業務でのコスト削減要因が大きく、6月末時点での加入者数は4317万人(前年同月末比8.2%増)、足元7月からは加入者数自体が純減に転じており、事業売却に伴って投資等を抑制したため、一時的に大幅な利益増加へと繋がったに過ぎない。また、継続事業のデータ通信と長距離電話事業では税引前利益で前年同期比40.5%増となったが、08年上期の同利益ベースで全体に占める割合が6%未満と、利益貢献度は小さい。

積極的な設備投資計画

 同社では今回の業界再編を契機に、GSM事業でのネットワーク拡大や音質改善など、設備投資を大幅に増額する計画を立てている。08年の移動体通信事業への投資額を当初計画の187億元から350億元に増加させ、更に09-10年の2年間で合計1000億元の投資を行う予定だ。今上期のGSM事業での設備投資額が45億元、07年通期でも165億元だったことと比べれば、その計画の大きさが分かる。このため、一部投資家の間では今回の設備投資計画が積極的過ぎると、考えられている。確かに、携帯電話業界最大手の中国移動(チャイナモバイル、00941)が同社に対抗して設備投資額を増加させ、サービス向上等に努めれば、業界全体で価格競争が激化する可能性も否定できない。しかし、同社は中国電信へのCDMA事業の売却、中国網通(香港)の吸収合併で潤沢なキャッシュを有しており、合理的な投資計画と言える。

 また、業界全体として3G方式(同社の場合、W-CDMA方式)への設備投資額が今後2、3年の間にピークを迎える可能性が高く、同社でも09年に単年ベースとしては最大の700億元を投資する計画だ。同社にとって第三世代携帯電話事業の進展は第二世代(現行)方式で水を開けられた中国移動との差を縮める最大のチャンスとなろう。さらに、今までのGSMとCDMA、2方式を採用する非効率的な経営から、GSM方式単独へと切り替わったことで経営資源を集中投下できる環境も整い、今後の飛躍的な成長が期待される。(有井)

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