チャイナマンスリーレポート

12月号

2008年12月2日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 11月の本土株式市場は月初に終値ベースで年初来安値を更新したものの、中旬にかけて反発、その後はボックス圏でのもみ合いが続いた。

 10月終盤から下値模索が続いていた上海総合指数だが、11月に入っても基調は変わらず、4日には終値で1706.70ポイントと本年最安値を更新、その後も1700ポイント台での底這いが続いた。しかし、9日に大型の内需拡大策が発表されたことで10日には1874.80ポイント、前営業日比7.3%高と急騰。以降もじり高の動きとなり、17日には2030.48ポイントと約1ヵ月ぶりに2000ポイント台を回復した。ただ、2000ポイントを上回る水準では戻り待ちの売りも活発化、米国を中心とする海外株式市場の安値更新もあり、その後は1900ポイント前後でのもみ合いとなった。

 9月18日に発表された株価支援策により株価は9月末にかけて急反発した。しかし、その後は世界景気の急激な減速に伴う輸出環境の悪化や不動産市況の低迷などにより国内景気の腰折れ懸念が急速に高まり、景気支援策の早期発動を促すいわば催促相場の様相を呈しつつ下落基調を辿った。そうしたなかで9日に総額4兆元に及ぶ10項目からなる大型内需拡大策が発表され、株価の反発につながった。ただ、政策の具体的な内容が明らかとなっていないことに加え、下旬にかけては米国の実体経済の落ち込みが明らかになったことや金融市場の再不安定化を背景に米国株式市場が安値を更新したこと、などから上値の重い展開となった。

 政策当局は9月以来、①株式購入時の印紙税を免除、②旧三大国有銀行株式の市場からの買い入れ、③中央企業による上場株式の買い増し、④信用取引の試験導入、などの株価支援策を発表してきた。しかし、世界的にリセッション懸念が高まるなかで下期以降の景気・企業収益に対する不透明感が一段と増しており、市場心理の本格回復には至らなかった。そうした状況下で今回、大型の景気支援策が打ち出されたことで冷え込んでいた投資家心理は改善方向に向かうものと思われる。具体的な政策内容についての詳細は不明だが、公表された10項目を見る限りインフラ関連を中心とした内需関連セクターへの恩恵が大きそうだ。(村上)

~香港市場から~

 11月の香港株式市場は中旬にかけ戻り歩調を辿ったもののその後失速、下旬にかけては方向感に乏しい動きが続いた。

 10月下旬にかけて急落、10月27日には終値で11015.84ポイントと年初来安値を更新したハンセン指数だが、11月に入ると戻り歩調に転じ5日にはザラ場で15000ポイント台を回復した。ただ、翌6日には13790.04ポイント、前日比1050ポイント、7.1%の急落、その後10日には再びザラ場で15000ポイントに乗せたものの、以降はもみ合いながらもじり安の展開となり、20日には12298.56ポイントまで下げた。10月のような急激な下げ局面は一巡したものの、総じて方向感に欠ける展開となった。

 引き続き米国株式市場と本土株式市場の動向を睨みながらの動きとなった。米国市場はニューヨーク・ダウ平均で10月27日の8175.77ドルから11月4日には9625.28ドルまで戻しており、香港市場の回復を後押しした。ただ、その後5日、6日の2日間で930ドル弱の下げとなり6日の香港市場の急落につながった。一方、10日には中国政府の大型景気刺激策の発表で本土株式市場が急騰したことに加えて、本土系企業の業績改善期待もありハンセン指数も一旦は上昇。しかし、以降は米国景気の不振や米国自動車メーカーの危機深刻化、金融市場の再不安定化などでニューヨーク・ダウ平均が下落に転じたことから香港市場も弱含みの動きとなった。全体としては方向感に欠ける展開ではあるが10月のようなパニック的な売りは収まったもようで、機関投資家の換金売りも一巡したものとみられる。

 引き続き香港市場独自の材料に乏しいことから外部環境、なかでも中国本土の政策動向、中国本土株式市場の動き、米国の景気・金融情勢、原油価格動向、等を睨みながらの展開が続こう。今回発表された中国本土での景気支援策が具体化するにつれ、徐々に本土関連銘柄を中心に見直しの動きが出てくるものと思われる。米国市場が落ち着きを取り戻し、本土市場の株価水準訂正の動きが持続すれば、市場のセンチメントが改善、つれて株価の水準訂正が期待できよう。中国本土系の内需関連企業が注目される。(村上)

中国光大国際(エバーブライトインター)

―環境保護事業の拡大で高成長が続く―
(00257 香港レッドチップ株 内藤コード N1790 売買単位:1000株)

環境関連事業が主体のコングロマリット

 香港登記の投資持ち株会社。国務院直属の中国光大集団が、香港の窓口企業である中国光大集団有限公司を通じて支配している。傘下企業の主要事業は、固形廃棄物処理・発電(江蘇省)や汚水処理(山東省、江蘇省)の環境保護事業、インフラ事業(福州青洲大橋の経営)、不動産事業(深セン中山花園など)など。通常の発電事業も手がけていたが、設備の老朽化や電力需給の緩和などを理由に、2006年8月に深セン媽湾電力有限公司の出資持分15%を売却し撤退、政府による環境関連事業への支援強化を追い風に環境保護事業の拡充に注力。

 08年6月中間期の売上構成は、環境保護事業92%(固形廃棄物処理・発電47%、汚水処理45%)、インフラ事業7%、不動産事業1%。なお、同社は11月11日に保有する広東省深セン市の商業物件(深セン中山花園)を筆頭株主傘下の「光大置業有限公司」に売却することで、契約したと発表。今回の取引を通じ、非中核事業である不動産事業への投資を現金化し、主力の環境保護関連事業に経営資源を集約させる狙い。

環境保護事業が順調に拡大

 08年6月中間期の業績は、売上高7億8871万香港ドル、前年同期比52%増、営業利益は2億7181万香港ドル、同32%増、純利益1億3421万ドル、同20%減。前年同期は営業利益に有価証券売却益、不動産評価益合わせて3735万香港ドルが計上されており、実質ベースでは同61%の営業増益だったことになる。純利益が減益となったのは税法改正による税率の上昇と新規に導入された配当源泉課税により税負担が増加したためで実体ベースの業績はすこぶる好調であったと言える。

 好業績の背景は主力の環境保護事業の急拡大。上半期中の固形廃棄物処理量は39.9万トン、前年同期比90%増、廃棄物焼却による発電・売電量は8686万kWh、同56%増、汚水処理量は1億7072万トン、同31%増と大幅に伸びたことから、売上高も固形廃棄物処理・発電3億6941万香港ドル、同41%増、汚水処理3億5528万香港ドル、同72%増と急拡大。固形廃棄物処理・発電については宣興、江陰の両プロジェクトが新たに商業運転を開始、汚水処理についても博興、シ博、江陰の3プロジェクトが新規に稼動するなど処理能力の拡大が寄与したもの。なお、インフラ事業の福州青洲大橋は交通量の増加(同15%増)を背景に順調に収益を伸ばした。

新規プロジェクトが目白押し

 08年6月末現在で同社は年間150万トンの固形廃棄物処理能力、同4億kWhの発電量、日量150万トンの汚水処理能力を有するが、今後も新たなプロジェクトが目白押しで一段の業容拡大が見込まれる。

 今下半期以降に新たに稼動が計画されている主なプロジェクトとしては、①常州プロジェクト(固形廃棄物処理・発電、処理量800トン/日、発電量7700万kWh、08年10月試験稼動開始)、②済南プロジェクト(汚水処理1号プラント、2号プラントの能力拡張、処理能力は42万トン/日→50万トン/日、09年6月完了予定)、③済南プロジェクト(汚水処理3号プラント新設、処理能力は10万トン/日、09年3月稼動開始予定)、④蘇州プロジェクト2期(固形廃棄物処理・発電、処理量1000トン/日、発電量1億kWh、09年5月稼動開始予定)、などがあるが、この他にも設備の更新、能力拡張が数多く計画されている。

 2010年末までに約4兆元を投資する10項目の内需拡大策が、今月5日に国務院常務会議で決定されたが、そのうちの1項目に環境整備の強化が挙げられている。既に政府は第11 次5 カ年計画(2006―2010 年)で環境保護政策に注力する方針を掲げており、総額1 兆4000 億元の資金を投資する計画。今回の内需拡大策でどの程度予算が上積みされるかは不明だが、環境対策が政府の重要施策であることが改めて確認された。同社にとってまさに追い風といえる。新規プロジェクトの進捗により中期的にも高成長が期待できよう。(村上)

大唐国際発電(ダータンパワー)

―2009年の業績回復が期待される―
(00991 香港H株 内藤コードN3250 売買単位: 2000株)

中国北部を中心に事業展開する大手電力会社

 北京、天津、河北省など中国北部を中心に火力発電所を保有するほか、内モンゴル自治区での風力発電、雲南省や四川省での水力発電事業なども手がけている。同社は全額出資の火力発電所4カ所を保有するほか、子会社を含む38カ所の発電所の運営管理も担当し、グループの総発電容量は20,135メガワット(商業運転ベース、2007年12月期)に達している。

2008年1-9月期業績は石炭価格の高騰で赤字転落

 2008年1-9月期決算は、売上高が前年同期比15.0%増の274億4,921万元だったのに対し、純利益は1,394万元の赤字を計上した(中国会計基準、未監査)。発電ユニットの新規稼働にともない、発電能力が拡大したことが増収につながった。発電量(連結ベース)は前年同期比11.3%増の963億8,090万キロワット時(kWh)、卸電力量は11.2%増の906億3,910万kWhに上った。

 一方、今年第3四半期の純利益は4億3,286万元の赤字で、第1四半期の4億3,783万元の黒字と、第2四半期の1,890万元の赤字から大きく悪化した。これは火力発電に必要な燃料となる石炭のコストが急増したことが主因。上半期の燃料コストは前年同期比38.3%増の27億4,800万元で、上昇率が同期の増収率を大きく上回っている。下半期に入り7月と8月に合計2回の電力料金の引き上げが実施されたものの、燃料コストの増加分を相殺するにはまだ不十分だったと見られる。

外部の経営環境が好転する見通し
  1. 石炭価格の落ち着きでコスト増は一巡へ。同社は燃料となる石炭を長期契約とスポット契約で購入している。2009年の世界経済は停滞を続けると予想されるため、原油安が続き石炭のスポット価格も軟調に推移するとみられる。今後、スポット価格の上昇の勢いが衰え下落トレンドになれば、スポット価格より低く抑えられている長期契約価格にも値下げ圧力がかかりやすいだろう。
  2. 利下げを追い風に利払い負担が大幅減へ。同社にとって金利の低下は収益押し上げの大きな要因になる。中国経済の減速懸念が強まる中で、中央銀行の中国人民銀行が追加的な金利の引き下げを実施すれば、2009年の利払い負担は大幅に減少する可能性が高い。
  3. 予想される電力料金の引き上げ。燃料コストが落ち着く一方で、電力料金の引き上げが、業績改善につながる見通しだ。当局は電力会社の経営難を緩和、中長期的な電力需要を賄うための電力供給を保障することを目的とし、電力会社の収益回復を図る電力料金の値上げペースを維持する可能性が高まっている。
2009年の業績回復に期待

 会社側は今年10月下旬、2008年通期の純利益が前年比85%減少するとの大幅減益見通しを発表した。しかし、会社側の予想が実現するためには、10-12月期に5億2500万元の黒字を確保しなければならず、現状では困難とみる業界関係者もおり、2008年12月期は通期で赤字に転落する可能性がある。

 一方、同社は大手電力会社として炭鉱事業から非火力発電、石炭化学プロジェクトまで、主力の火力発電事業との垂直統合に取り組んでいる。2008年11月、原子力発電プラントの建設・運営を手がける傘下企業「福建寧徳核電有限公司」に対し20億4,600万元の追加出資を実施すると発表。福建省では火力発電の燃料となる石炭資源が少なく、電力需要の増加にともない供給が追いつかない状態。同省で原子力発電プラントを建設することは当局の政策に合致しており、発電燃料の供給不足を緩和できるメリットがある。同発電所の運営により、大唐国際発電の収益力向上が見込まれる。また、筆頭株主と共同で石炭化学工業を主力事業とする合弁会社を設立する計画も明らかにした。内モンゴルを拠点に石炭を原料とするアルケンの生産プロジェクトを建設する予定で、大唐国際発電が38億8,000万元を拠出、出資比率の60%を占める。

 総じて、前述した電力業界にとって外部経営環境が好転していく3要因を踏まえ、大唐国際発電は今後、石炭価格に左右される企業体質を大きく改善させれば、2009年の業績回復、2010年から安定成長軌道に復帰することが期待される。(高)

華潤電力控股(チャイナリソーシズパワー)

―発電所と炭鉱の垂直統合に取り組み、今後の安定成長に期待―
(00836 香港レッドチップ株 内藤コード N0830売買単位:2000株)

電力業界の大手企業

 大手電力会社として、主に中国経済をリードする地域で石炭火力発電事業を展開しているほか、風力発電などクリーンエネルギー事業にも乗り出している。同社の強みは、炭鉱事業を抱え、燃料となる石炭の産出から発電までを一貫して行う垂直統合の事業体制を整えていること。

2008年6月中間決算は増収減益

 2008年上半期業績は、売上高が前年同期比83.2%増の121億4376万HKドル、純利益は同28.7%減の10億589万HKドル。発電容量と電力需要の持続的な増加が大幅増収につながった。同期末現在、同社は28の発電所を保有し、持分ベースでの発電容量は前年末に比べ3.4%増の12,930メガワットで、地域別構成比は東部34.0%、南部23.9%、中部23.2%、北東部11.7%、北部7.2%。また、1-6月期の中国の電力消費は前年同期比11.7%増となるなか、同社の卸電力販売量は同49.0%増と大幅に伸びている。

 一方、減益の主因は石炭価格の高止まり。同上半期では、冶金や化学事業など高エネルギー消費の工業セクターによる石炭の需要増や、安全生産のため中小炭鉱の閉鎖、加えて今年に入って起こった記録的な雪害と四川大地震による石炭生産・輸送へのマイナス影響から、石炭価格が急騰。そのため、同社における燃料コストは前年同期比で24.0%上昇し、収益を大きく圧迫した。

下半期は電力消費が減速を続けるが、利下げが先行きの追い風に

 2008年下半期に入り中国の電力消費は減速を続けており、前年同月と比べた月次ベースでの伸び率は、3月の14.4%をピークに8月は5.4%に低下した。この結果、1-8月期の電力消費量は累計で前年同期比10.2%増となったものの、1-7月期と比べ依然0.72ポイント低下。そして、1-9月期は10%を割り込み、9.7%にとどまっている。これは中国経済の減速で電力消費の76%(2008年1-9月期)を占める第2次産業向けが振るわないことが主因。固定資産投資が実質ベースで過去数カ月、減速傾向を辿っており、これが中国の輸出基地となっている沿岸部を中心に電力需要の低下につながっているとみられている。とはいえ、中国人民銀行(中央銀行)は預金と貸出の基準金利を10月30日付で引き下げると発表した。これまで、当局が2カ月で3回の金利引き下げを実施するのは極めて異例であり、景気を下支えする狙いがあると思われる。市場では早くも年内の追加利下げを予想する声が強まっている。中央銀行が利下げと預金準備率の引き下げに踏み切り、今後、本格的な金融緩和に向かう可能性が高まったことで、電力消費は先行き盛り返すことが期待される。固定資産投資が再び伸び率を高めれば、09年半ば頃から電力消費の回復が期待できよう。

業界不況のなか資産買収を加速させる方向

 中国政府は今年7月と8月の2度にわたって卸電力価格を引き上げたものの、電力会社が燃料価格の高騰によるコスト増を完全に吸収することはまだ困難だとみられている。とりわけ、銀行借り入れの増加で財務体質が悪化し、営業キャッシュフローも低下していることで、中小電力会社にとって中長期的な電力需要に応える設備投資への資金不足が深刻になっている。このため、大手電力会社が主導する業界再編が再び加速するだろう。燃料コスト増の苦境に陥る電力業界には以前より低い代価で優良資産を買収する機会が増えていると同社の経営陣は明言した。そのほか、石炭価格の上昇への抵抗力を強くするため、石炭企業への買収にも引き続き注力する戦略も明らかにしている。

向こう2年間、電力料金が引き上げられる見通し

 今年下半期に入り、食品価格と資源価格の落ち着きでインフレ率が低下していることは、電力料金の引き上げを実施しやすい環境をつくっている。さらに、09年から10年にかけ、電力料金の値上げペースを維持する可能性が高まっており、市場では10%を上回る値上げを期待している。総じて中長期的には、マクロ経営環境の改善に伴い、同社のような発電所と炭鉱の垂直統合・運営に実力が発揮できる大手電力企業は安定成長を維持するだろう。(高)

中国鉄建 (CRCC)

―加速する中国鉄道建設業界―
(01186 香港H株 内藤コード N1186 売買単位:500株)

中国を代表するインフラ建設大手

 同社はインフラ建設大手。鉄道建設を中心に高速道路、橋梁、地下鉄などのインフラ建設を手掛けるほか、測量・設計・コンサルタント、建設機械の製造販売等も行う。08年上期の売上高構成比は、建設事業で93.3%、測量・設計・コンサルタント事業で2.3%、機械製造事業で1.2%、その他が3.2%となっている。

 過去には国内で青蔵鉄道(青海~チベット)を手掛けるなど、多くの大型プロジェクトを成功させた実績を持ち、今年上期に「京滬高速鉄路」(北京~上海)プロジェクトの40.3%を受注した。また、海外事業にも積極的で、アフリカ、中東などで事業を展開。08年上期での海外事業の売上高は57.3億元と前年同期比156.2%増加し、全体に占める割合も前年同期の3.2%から7.2%に拡大している。

好調な新規受注が続く08年1-9月決算

 08年1-9月決算(中国会計基準、未監査)で同社は、売上高を1353.3億元、純利益が23.9億元と、発表した。今年3月に香港株式市場上場で前年同期の比較対象となるデータがないため、07年通期の業績データ(中国会計基準)と比較すると、売上高、純利益ともに進捗率は76%程度にとどまる。しかし、今年前半に起きた南部の雪害や四川大震災、更には鉄鋼製品をはじめとする商品市況等の高騰を考えれば、同社の業績は比較的堅調だった。また、9月末時点で189億元程度の外貨資産を保有しているため、直近の人民元高を受けて上期に4.56億元、第3四半期にも3.2億元の為替差損を計上したが、この損失も埋めたことになる。ただ、粗利益率を見ると、08年上期の7.1%から第3四半期は6.2%に若干低下しており、今後更なるコスト削減や財務体質の強化など、課題も多いと言える。

 一方で、新規受注は好調を維持している。第3四半期の新規受注額は784.7億元に達し、1-9月の累計でも2160.9億元と前年同期比22.7%増の高い伸びを示した。世界的な金融危機による信用収縮や原油価格暴落の影響で海外部門は足元の第3四半期に極端な落ち込みを見せているものの、今年同社が計画していた年間の新規受注目標2500億元に対して9月末時点で進捗率が86%となり、当初の計画を上回るのは確実と見られる。ちなみに、国内建設事業の新規受注(1-9月累計)では鉄道建設が1256.8億元、高速道路建設が280.6億元、都市交通網の建設は98.5億元、水利事業設備の建設で32.6億元など、となっている。

豊富な受注残

 この好調な新規受注を受けて、豊富な受注残高を誇る。9月末時点での受注残高は4千億元を上回り、直近の売上高から判断して2年分以上の工事を抱える。特に、建設事業の受注残高は9月末で3974.9億元と、前年末比27.4%の大幅な増加になった。地域別では国内が2634.8億元、海外で1340.1億元。また、国内建設事業は鉄道建設1789.3億元、高速道路建設458.2億元、都市交通網建設146.0億元、水利事業設備の建設47.6億元などの受注残を有する。

 しかし一方で、現在進行中のナイジェリア鉄道現代化プロジェクトが、同国交通省の指示で一時休止となっている。同プロジェクトは契約総額83億米ドル(1USD=6.8RMBと換算して約560億元)、9月末時点の受注残高で約14%を占める大型案件だが、現在の作業は初期段階にあり、前払い金も受け取っていることから、同社では工事費回収のリスクや08年本決算に与える影響はないとしている。このプロジェクトの一時休止は最近の原油価格下落等を受けた動きと見られ、今後、中東などの産油国での工事延期や中止が心配されるが、同社は国内で豊富な受注残を抱えているため、他の案件で同様の事態が発生しても現状では業績に与える影響は軽微と考えられる。また、中国政府は2010年末まで続く総額4兆元の景気刺激策を発表しており、その中で鉄道、道路などのインフラ建設の加速も重点項目として挙げている。そのため、同社は海外事業の減速分を旺盛な国内需要で補い、高い成長を続けるものと予想される。(有井)

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