チャイナマンスリーレポート

1月号

2009年1月1日 内藤証券中国部

新年のご挨拶 代表取締役社長 内藤誠二郎

 米国のサブプライム問題に端を発した未曾有の世界的な金融・経済危機は高成長を続けてきた中国経済にも大きな打撃を与えました。先進国経済とのデカップリング(非連動)が期待されていた中国経済も、昨年9月にリーマン・ブラザーズを経営破綻させた予想を上回る高波に飲み込まれた形です。世界恐慌以来の世界的な危機との認識の下で、各国の金融当局は迅速な対応を図っていますが、依然として出口の見えない状況が続いています。

 国際通貨基金(IMF)によれば、09年の米欧日の経済成長率はマイナス成長(米国:-0.7%、EU:-0.5%、日本:-0.2%)と予想されており、中国も大幅な成長率の低下が見込まれています。減速傾向が鮮明となった中国の輸出は新年には一段と低迷し、設備投資や不動産投資などの固定資産投資も現状では大幅な低下が避けられない見通しです。これに対して中国政府は昨年9月以降、金融・財政面での大規模な景気対策を矢継ぎ早に発表・実施しています。まず金融面では、昨年9月に6年ぶりの利下げへと舵を切り、その後、継続的な利下げ、銀行融資における総量規制の撤廃等を行ってきました。一方、財政面では減税に加え、11月初旬には10年末までに総額4兆元を投資する大規模な内需拡大策が発表されました。世界第1位の外貨準備高を誇り、07年には財政黒字に転じた中国政府は、欧米日を遥かに凌ぐ、財政的な余裕があるといえます。また、これらの景気対策は輸出等に依存した外需主導型経済から個人消費等による内需主導型経済へと構造転換を図るものであると同時に、胡錦濤政権が掲げる科学的発展観に基づく「和諧社会」の建設という大きなテーマに沿ったものとも言えます。

 一連の景気対策が発表されて以降、中国株式は波乱含みながらも比較的堅調に推移しています。ただ、新年の中国景気が、世界各国同様、年前半には一段の悪化が避け難く、旧非流通株の売却解禁による需給悪化懸念も加わり、急速な回復は望みにくい状況です。しかし、前述のごとく中国政府の経済対策はその規模及び速さに於いて群を抜いています。そのため、長期的な中国株のパフォーマンスには大きな期待を持っており、短期的にも底値を固めていくものと考えています。

 本年も弊社は中国株のパイオニアとしてお客様のお役に立てる質の高い情報提供を心がけ、より一層のサービス向上に努めてまいります。

 引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。



~2009年の中国株式市場見通し~

転機を迎えた中国経済

 2007年までの5年間にわたって二ケタの経済成長を続けてきた中国経済だが、昨2008年には大きな転機を迎えることとなった。四半期ベースの実質GDP成長率をみると2007年第2四半期の前年同期比12.6%増をピークに期を追うごとに減速、2008年第3四半期には同9.0%増と2005年第4四半期(同9.9%増)以来の一ケタ成長となった。二ケタ成長が当然のように考えられてきた中国経済だけにさすがにこれは予想以上の景気鈍化と言える。

 需要項目別の中味について同時に発表された経済統計から推測すると、景気減速の主因はこれまでの高成長を支えてきた外需の悪化と考えられる。第3四半期の輸出は前年同期比23.1%増と順調に伸びてはいるが、伸び率自体は前年同期を3.1ポイント下回っている。世界的な金融危機・景気減速の影響を受けたほか、人民元高もマイナス要因となったようだ。一方で、固定資産投資、消費といった内需についてはこれまでのところ比較的順調で景気の下支え役となっている。

金融緩和が本格化

 ただ、今後、輸出関連産業の業績不振が固定資産投資や個人消費に悪影響を及ぼす可能性が強いことから、場合によっては景気がさらに下振れる懸念も残る。もっとも、そうした事態を防ぐため政策当局は既に手を打ちつつある。

 金融政策面では、昨年9月以降、4回にわたって金融緩和が実施された。貸出基準金利は9 月16 日、10 月9日、10 月30 日、11月27日と計4 回引き下げられ、合計の引き下げ幅は1年物で1.89%(7.47%⇒5.58%)となった。特に、11月27日には貸出基準金利が1.08%引き下げられたが、この引き下げ幅は通常ペースの0.27%からすれば異例とも言える大幅なもの。さらに、量的な面でも3回にわたる預金準備率の引き下げ、貸出総量規制の撤廃など本格緩和に動いている。政策当局の景気失速回避に向けての断固たる決意が伝わってくる。

大型景気対策が始動

 金融政策と車の両輪とも言える財政政策も大きく動き出した。中国政府は昨年11月9日に2010年末までに約4兆元を投資する10項目の内需拡大策を公表した。うち2008年第4四半期については中央財政からの投資を1000億元追加するほか、2009年分の災害復興基金から200億元を前倒しで投入し、地方や民間などの投資を呼び起こすことで、全体的な規模は4000億元に達する見込み。短期的な景気テコ入れにも配慮したかたちだ。

 今回の決定は中国の財政政策が「安定的」から「積極的」に転換したことを意味するものと考えられる。詳細な対策内容や財源、資金配分については今後次第に明らかになろうが、 積極的な財政政策と適度に緩和された金融政策を実施することで、さらなる内需拡大を図り、安定的で比較的スピーディーな経済成長を促進するという方針を明確に示したものだ。

 加えて、地方政府も次々と大規模投資計画を明らかにしている。これまでに24省・直轄市が総額18兆元(約256兆円)のプロジェクトを発表。ただ、これらの実施は国家発展改革委員会の許認可次第であり、すべてが承認されるわけではない。しかしながら、これらプロジェクトの例え一部でも実行に移されれば内需の振興に寄与することは間違いない。

2009年後半には回復軌道に

 2009年の中国経済の最大のポイントは世界経済の大幅減速に伴う外需の減少を如何に内需の拡大でカバーするかという点に尽きる。その意味で今回の内需拡大策にかかる期待は大きい。ただ、世界経済の同時減速が今後、本格化するなかで、金融緩和にしろ、内需拡大策にしろ、効果が現れるまでには一定のタイムラグがあるため、年前半の景気は引き続き調整局面が予想される。

 一方、年後半には一連の景気刺激策の効果が表面化してくるほか、海外景気の持ち直しも期待できることから緩やかな回復が見込まれ、年間で8%程度の成長は可能であろう。仮に8%を下回る可能性が出てきた場合でも追加の政策を打つ余裕がある。中国の場合、実質成長率で8%を下回ってくると、雇用問題等から社会不安が起きるといわれている。また、10%を超える長期の経済成長も資源問題等から持続不可能だと見られている。したがって、8%程度の成長が実現されれば、持続可能かつ十分な成長速度といえる。

中国本土株式市場の展望

 昨年の中国本土株式市場は、ほぼ一直線で下落を続けてきた。代表的な上海総合指数でみると年初の5272ポイントから11月初旬には1700ポイントレベルまで約70%の下げとなった。その後、2000ポイント台を回復したものの依然として安値圏での推移が続いている。インフレの加速に伴う金融の引き締め、非流通株改革、IPO等に伴いロックアップされていた大量の株式が売買解禁のピークを迎えるなど需給に対する不安、加えて年後半にかけては輸出産業の不振や不動産価格の下落懸念、企業収益に対する先行き不透明感、さらには世界的な金融市場の混乱、米国経済の急減速、などがマイナス材料となった。

 上海総合指数のPER(実績ベース)は12月18日現在、16倍程度と過去の平均に比べ割安感が強まっている。株価水準的にも既に一昨年の高値から「半値八掛け二割引」の水準をいったんは大きく割り込んだことから値幅調整は既に最終局面に来ていると思われる。要は投資家の間にある漠然とした先行きに対する不安感をある程度払拭できれば株価は底打ちから反発に向かうことになろう。

 政策当局は9月以来、①株式購入時の印紙税を免除、②旧三大国有銀行株式の市場からの買い入れ、③中央企業による上場株式の買い増し、④信用取引の試験導入、などの株価支援策を発表してきた。しかし、世界的にリセッション懸念が高まるなかで先行きの景気・企業収益に対する不透明感が一段と増大、市場心理の本格回復には至らなかった。

 そうした状況下で今回、大型の景気支援策が打ち出されたことで冷え込んでいた投資家心理は改善方向に向かうものと思われる。したがって、昨年のような一方的な下げ局面はほぼ終了したものと考える。とはいえ、年前半については海外景気の早急な立ち直りが見込めないうえ、金融緩和あるいは景気対策の効果が現れるのは早くても4~6月頃と予想されるため、それまでは景気・企業業績の実体悪が表面化することとなろう。株価の本格回復は期待し難く、基本的には底値を固める展開が続こう。ただ、年後半にかけては景気・企業収益の底打ち、回復が見込まれることから上昇基調に転じよう。

香港株式市場の展望

 一方、香港株式市場も本土市場同様に回復基調にあるものの、引き続き安値圏で推移している。

 香港市場の特徴として、①外国人投資家のウエイトが高く、その投資行動に大きな影響を受ける、②つれて、海外株式市場、特に米国市場の影響を受けやすい、③中国本土の経済情勢、株式市場の動向を敏感に反映する、といった点が挙げられる。昨年の株価下落はまさにこれらの要素がマイナスに働いたものだ。米国市場が下げるとそれに引っ張られて下げ、米国市場が落ち着いても中国本土市場が下げるとそちらに引っ張られるというかたちで下げてきたわけだ。

 今後も、香港市場独自の材料に乏しいことから外部環境を睨みながらの展開が続くことになろうが、中国本土での景気支援策が具体化するにつれ、徐々に本土関連銘柄を中心に見直しの動きが出てくるものと思われる。米国市場が落ち着きを取り戻し、本土市場に底割れの恐れがなくなれば、市場のセンチメントが改善、つれて株価の水準訂正が期待できよう。

年前半はディフェンシブ、インフラ・環境関連、後半にかけては景気敏感業種に注目

 以上のように一昨年10月を高値に1年を超える下落局面が続いてきた中国株式市場だが、ようやく相場の転換点が近づいてきたと思われる。もちろん、米国を中心に世界の株式市場が再度、混乱状態に陥る可能性も少なからず残っており、手放しの楽観は禁物であることは言うまでもない。ただ、この嵐が過ぎ去った後を考えると、アジア圏の株式市場は結果的に世界でも有利な投資先として見直されるのではないか。アメリカはもとよりヨーロッパも今回のダメージは大きく、一時の日本のように回復には時間が掛かることになろう。その点、アジア圏諸国は金融システムの問題でそれほど痛んでいない。特に中国はほとんど直接的なダメージを受けていない。そうした意味でも多少戻ったとは言え、まだまだ安値圏にある中国株式市場、特に中国本土をマーケットとしている企業がいずれ見直される可能性が強いと考えている。

 ただ、株式市場が反発に向かうとしても、以前のように中国株であれば全て上昇するという相場展開は期待し難い。業種あるいは銘柄の選別がより重要となってこよう。年前半については食品、生活必需品などのディフェンシブ業種や実需の拡大が期待できるインフラ関連、環境関連業種、一方、年後半にかけては景気回復で恩恵を受ける鉄鋼、非鉄、不動産、銀行、証券等のセクターが注目される。(村上)

中国南車(CSR)

―鉄道インフラの投資ブームに恵まれ、高成長の見通し―
(01766 香港H株 内藤コードN1766 売買単位: 1000株)

鉄道車両の大手メーカー

 同社製品は「南車」(CSR)の商標で知られる。主な製品は機関車、客車、貨車、動力分散方式の鉄道車両(マルチプル・ユニット)、高速鉄道車両、地下鉄用車両。主な顧客は中国鉄道部とその下の地方鉄路局(鉄道事業の監督・管理部門)。このほか海外にも輸出している。筆頭株主は国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある中国南方機車車輌工業集団公司(南車集団)。香港メインボードに上場する株洲南車(03898)も傘下に置く。

中国北車と市場シェアを二分

 中国の鉄道事業は中央政府主導であるため、鉄道設備メーカーにとって出荷製品の安全性と信頼性が強く求められている。また、大口ユーザーである鉄道事業の監督・管理部門との関係も極めて重要である。このため、同市場への参入障壁は高く、今は南車集団と中国北方機車車輌工業集団公司(中国北車)との2社が寡占企業として大きな存在感を持つ。また、南車集団は再編を通して、軌道輸送設備の製造事業・資産のすべてを傘下の上場企業に注入したことで、中国南車はディーゼル機関車と電気機関車で比較的大きな国内シェアを持ち、特に、ハイパワーの電気機関車、マルチプル・ユニットでの抜群の技術力に定評がある。07年12月末までの3年間、機関車とマルチプル・ユニットの国内シェアはそれぞれ51.1%、80.0%(生産量ベース)。

鉄道インフラの投資ブームに恵まれる

 中国の交通インフラ整備については、地方政府主導の高速道路整備の進捗に比べ、国家プロジェクトに位置づけられた鉄道網整備は立ち遅れの感がある。このため、中央政府は第11次5カ年計画(06~10年)期間中に、鉄道網の拡張や高速化を計画しており、鉄道車両についても新車投入、技術改良を積極的に進める考えだ。

 ここ3カ月近くにわたって世界的な経済・金融危機が深刻化しているため、中国政府は昨年11月、10年末まで続く総額4兆元の内需拡大策を発表しており、その中で鉄道などインフラ建設の加速も重点項目として挙げている。その後、中国鉄道部は20年までに約4万㌔の鉄道を新規建設し、投資額で5兆元を超える中長期の鉄道網整備計画が正式に承認されたと発表。同計画では毎年3000億元以上が使われる見込み。09年は総延長1万㌔の鉄道の新規建設が計画され、インフラ建設に約6000億元を投下するほか、機械設備・固定資産は約1000億元。向こう2年間は車両購入に約3000億元を投じるという。こうした鉄道インフラ投資ブームを受け、同社のような鉄道車両の大型企業は、もっとも恩恵を受けると思われる。

足元の業績は好調

 08年上半期の業績は、売上高が前年同期比17.5%増の146.7億元、純利益は同148.8%増の8.1億元(国際会計基準、未監査)。うち機関車事業は売上が同48.2%の伸びを達成し、2ケタ増収に大きく寄与した。ハイエンド製品の部品国産化率の引き上げにより、原材料価格上昇に伴うコスト増加分を吸収したことおよび、電気機関車をはじめ高付加価値製品の出荷割合が増加したことなどが、大幅増益につながった。そして、08年1-9月期も業績好調が続き、売上高は244.8億元、純利益は10.6億元(中国会計基準、未監査)と発表された。08年8月の上場で前年同期の比較対象となるデータが開示されていないため、07年通期の業績データ(中国会計基準)と比べると、売上高と純利益の進捗率はそれぞれ89.3%、131.4%となっている。なお、第4四半期についても、主要原材料の鉄鋼価格が足元で下落していることから、利益率は1-9月期より一層改善へ向かうと予想される。

豊富な受注残から高成長が続く見通し

 08年6月末時点での受注残高は901億元に上り、07年の売上高から推定して約3年分の受注残を抱えている。うち機関車が全体の約50%を占める448億元。このほか、マルチプル・ユニット、地下鉄電車、貨車の受注残がそれぞれ、161億元、150億元、106億元である。なお、今後も好調な新規受注が続く見通しで、持続的な成長が期待される。12月7日には、時速200-250キロメートルの動力分散型寝台車両を約30億元で新規受注、受注額は前年売上の1割強に相当する。(高)

騰訊控股 (テンセント)

―景気後退の中、注目を集めるネット産業―
(00700 香港ハンセン株 内藤コード N0702売買単位:200株)

中国ネット大手

 「QQ」ブランドで知られる同社はインスタント・メッセンジャー(IM)での高いシェアを通じて、オンライン広告、インターネット・携帯電話向けの付加価値サービスを手掛ける。情報コンテンツ、オンラインゲーム、メール等の多彩なサービスを提供し、08年9月末時点でIMサービスの登録ユーザー数は8億5620万人、アクティブユーザー(過去30日間に少なくとも1回はネットワークに接続した顧客)数でも3億5000万人を上回る。Alexa.comの調査によれば、08年12月時点でポータルサイト「QQ.com」のトラフィック数(閲覧数)は中国第2位、世界でも第16位を誇る。08年1-9月期の売上高構成比はインターネット付加価値サービス68%、携帯電話付加価値サービス20%、オンライン広告で12%。また、04年に香港市場への上場を果した同社は、昨年6月にハンセン指数構成銘柄となった。

08年第3四半期は大幅な増収増益

 同社の08年第3四半期決算は、売上高で前年同期比91.4%増の20億24百万元、営業利益で同72.3%増の8億11百万元、純利益で同72.9%増の7億37百万元と大幅な増収増益を達成した。事業別の粗利益を見ても、主力のインターネット向けの付加価値サービス事業で同78.5%増、携帯電話向けサービス事業で同97.7%増、オンライン広告事業で同74.7%増と、3つの事業ともに大きく収益を伸ばした。

 この背景として、まず昨年8月に行われた北京オリンピックの効果が挙げられる。ライブ映像、中国人金メダリストのインタビューや10万件を超えるニュース配信によって、同期間中における「QQ.com」のトラフィック数は1日当り11億ページに達し、広告収入の増加等に繋がった。08年第3四半期中にオリンピック関連での経費が約56百万元掛かったが、同社のブランドイメージ確立、宣伝効果なども考えれば、大成功だったといえる。また、オンラインゲームサービスの拡充も業績拡大に寄与した。学生の夏季休暇期間中という季節要因も大きいが、昨年公開したオンラインゲームが好調だった。特に、多人数参加型のオンラインゲーム「地下城と勇士」は9月末時点でユーザー数が70万人に上り、昨年公開された中国のオンラインゲームの中で最も成功したゲームといえよう。これ以外にも、同社は多数のオンラインゲームを運営しており、会員数の増加などに繋がっている。

景気後退は同社にとって追い風

 現在、中国経済は成長率鈍化が懸念されており、同社も少なからず影響を受けるだろう。特に、オンライン広告事業の減速が心配される。企業の広告宣伝費の抑制、更にはオリンピック効果の反動もあり、広告事業の不透明感が強まっている。しかし、同事業は売上高構成比で1割強に過ぎず、全体に対する影響は軽微と見られる。

 一方で、インターネットや携帯電話向けの付加価値サービス事業は好調を維持すると考えられる。景気減速を受けて娯楽に対する高額な出費は抑制されるだろうが、逆に同社が展開しているオンラインゲームなどの安価なネット娯楽は消費者の支持を受ける可能性が高い。様々な娯楽コンテンツを提供するインターネットや携帯電話向けの付加価値サービス事業を中心に、同社は中長期的に高い成長を続けていくと期待される。(有井)

恒安国際 (ヘンアンインターナショナル)

―景気減速傾向の中でも急成長を続ける衛生用品市場―
(01044 香港メインボード 内藤コード N1440 売買単位:1000株)

大手衛生用品メーカー

 中国本土で衛生用品の製造販売を手掛ける民営企業。ティッシュペーパー、生理用ナプキン、紙おむつなどを取り扱い、08 年上期での売上高構成比はティッシュペーパー48%、生理用ナプキン25%、紙おむつ24%、その他スキンケア用品等3%。同社製品は国内他社よりも高品質で、外資系企業よりも低価格という特徴を持つ。この特徴を活かして良好なブランドイメージを確立した同社は高い成長を続けてきた。

 また、近年の個人所得の向上や都市部での生活様式の多様化に伴い、中国本土では紙需要が拡大傾向にある。その中でも特に、同社が取り扱う衛生用品の需要は急速に高まっている。経済全体としては減速気味の中国ではあるが、衛生用品市場の拡大とともに同社の成長は今後も続くと期待される。

原料価格の下落によって、収益率は向上へ

 08 年6 月中間期は、売上高で前年同期比36.9%増の37 億56 百万香港ドル、純利益で同33.4%増の6 億28 百万香港ドルとなった。広告宣伝費、人件費の増加によって販売管理費が同63.3%増に膨らんだが、高付加価値商品へのシフト、生産性の向上などで大幅な増益を達成した。

 事業別に見ると、主力のティッシュペーパー事業では売上高が前年同期比45.4%増の高い伸びを示したものの、パルプの価格上昇を受けて、同事業の粗利益率は07 年上期の31.4%から29.6%に若干悪化した。ただ、原材料価格が足元で下落していることから、今後、利益率は改善に向うと予想される。さらに、急拡大を続けているティッシュペーパーの市場規模に合わせて、昨年4 月には福建省の工場で設備増強を行った。12 月には湖南省の工場でも生産能力を高め、年間の生産能力は約36 万トンに増加した模様。これによって原価率の低下も期待される。

 また、同社の生理用ナプキン事業は売上高で前年同期比22.9%増にとどまり、伸び率では他の2 つの事業よりも低いが、粗利益率は58.7%(07 年上期で54.2%)と一番高い。主力商品である「七度空間」や「安爾楽」などの中高級品に注力したことが功を奏し、原油価格の上昇による利益率の悪化を回避した。市場全体では生理用ナプキンの普及率が6割を超えており、急速な成長は見込めないが、同事業は中高級品に特化することで高い利益率並びに安定した成長を続けよう。

 一方で、紙おむつ事業は拡大を続けている。中国造紙協会によれば、07 年中国本土の乳幼児用紙おむつの普及率は17%程度にとどまり、先進国より遥かに低い水準となっている。しかし、中国本土では沿岸部を中心に所得水準が向上しており、生活スタイルも欧米化してきた。そのため、手軽さから紙おむつ市場は拡大しており、この傾向は継続すると見られている。同社でも08 年上期の紙おむつ事業は前年同期比43.5%増の高い伸びを示し、粗利益率も07 年上期の31.6%から35.7%に上昇した。今後も、同事業は売上高で40%前後の成長を続ける可能性が高く、事業規模の拡大に伴って利益率は一段と向上していこう。

財務内容も良好

 同社は財務内容も良好だ。08 年6 月末時点で、短期銀行借入は2 億香港ドルに過ぎず、長期を含めても3 億香港ドルにも満たない。一方で、現金(同等資産を含む)が20 億香港ドル以上と、豊富な資金を保有しており、短期の支払い能力を表す流動比率は300%を超える。さらに、負債比率52.4%、自己資本比率65.4%と、財務内容から見た安全性は高い。ただ、資産の有効活用が課題とも言える。昨年11月に、同社は菓子の製造販売を行う「親親食品集団有限公司」を買収したが、今後更に企業買収や設備増強を通じて資産の有効活用を行う必要があろう。しかし、景気減速気味の現状において現金資産は強力な武器だ。拡大する中国の衛生用品市場の中で、同社は高い安全性とブランドイメージを積極的に活用し、高成長を続けよう。(有井)

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