チャイナマンスリーレポート

2月号

2009年2月2日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 1月の本土株式市場は前半こそ小幅なボックス圏での値動きが続いたものの、月後半にかけてはじり高歩調を辿った。

 12月下旬にかけ再び下値模索の様相を呈していた上海総合指数だが、新年最初の取引となった1月5日には前営業日比3.3%高の1880.7ポイントと急反発。翌6日も前日比3.0%高と続伸し、終値は1937.1ポイントと約2週間ぶりに1900ポイント台を回復した。以降は中旬にかけて1900ポイントを中心に一進一退の動きが続いたが、16日には同1.8%高の1954.4ポイント、週末を挟んで19日には1.6%高の1986.7ポイントと続伸、さらに22日には2005.0ポイントと終値ベースで約1ヵ月ぶりに2000ポイントの大台を回復した。旧正月連休を控え最後の取引となった23日こそ小反落で終えたものの、一ヵ月を通してみれば比較的堅調な値動きが続いた。

 月初の急反発は本土市場の連休中にニューヨークをはじめ周辺市場が上昇していたことに加え、中央政府による更なる内需拡大策への期待が高まったこと、国際商品価格が反発したこと、など。一方、中旬にかけては政府による10大重要産業支援策への期待などプラス材料があったものの、ニューヨーク市場が金融不安の再燃や景気悪化観測から再度下げに転じたうえ、通信関連株に対する利益確定の売り等で結局、一進一退。ただ、下旬にかけてはニューヨーク市場の下げ止まり、政府による個別産業支援策の具体案公表などが好感されじり高に。22日には10-12月期の実質GDPなど主要統計が発表され、景気の悪化が確認されたが、相場への影響は限定的だった。

 1月20日前後から主要企業の08年12月期決算のプレアナウンスメントが本格化しつつあるが、昨年と違って業績悪化見通しが多くなっている。また、経済統計に関しても景気の急速な悪化を裏付けるデータが続々と報告されている。いよいよ、懸念されていた景気・企業収益の実体悪が表面化しつつある。ただ、一方でこれに歯止めをかけるべく、金融緩和、財政出動、個別産業支援など成長維持に向けた政策が総動員されている。今後は両者の綱引きの行方を見守る段階に入ってくるが、政策効果が現れるのは4-6月期以降となろう。従って、それまでは好悪材料相半ばし、指数的には方向感にかける展開となりそうだ。業績見通しに安心感のもてる銘柄の選別買いを。(村上)

~香港市場から~

 1月の香港株式市場は月初こそ強含みで始まったものの、その後失速、下旬にかけて再び下値を模索する動きとなるなど、本土市場とは対照的な動きとなった。

 12月下旬にかけ弱含みに転じていたハンセン指数だが、年明けの2日、さらに週明けの5日と2日連続で大幅上昇、5日の終値は15563.3ポイントと昨年末比で8.2%の急騰となった。しかし、上昇基調は長続きせず、翌6日から13日まで6日連続で下落。13日の終値は13668.1ポイント、この間の下落率は12.2%に達した。その後も不安定な動きは続き、15日には前日比3.4%安、20日には同2.9%安、そして21日には同2.9%の下げとなった。

 月初の上昇は連動性の比較的高いニューヨーク市場が、この間(12/31,1/2)に自動車産業への支援や景気回復への期待感で4%強上昇したことや3G(第三世代移動通信)事業者免許の早期交付を手掛かりに通信関連株が買われたことが背景。6日以降の下げは、3G事業者免許が7日に交付されたことから通信関連株が材料出尽くしで売られたほか、本土系銀行株が欧米戦略投資家の売却懸念で下落、加えてニューヨーク市場が半導体大手インテルの下方修正、雇用統計の悪化、バンカメ、シティグループなど銀行の経営不安再燃、などから7日から14日まで6日連続で下落した、などのため。また、20日には英国ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの巨額損失が明るみに出たことからHSBC(00005)が連想売りを浴びたことも響いた。

 今後も、香港市場は独自の材料に乏しいことから外部環境を睨みながらの展開が続くことになろうが、中国本土での景気支援策が具体化するにつれ、徐々に本土関連銘柄を中心に見直しの動きが出てくるものと思われる。ニューヨーク市場を中心とする海外市場が落ち着きを取り戻せば市場のセンチメントが改善、つれて株価の水準訂正が期待できよう。本土市場同様に、今後本格化する08年12月期本決算のプレアナウンスメントを確認しつつ、好業績銘柄の選別買いを。(村上)

~大きく落ち込んだ第4四半期GDP~
08年第4四半期の成長率は6.8%に鈍化

 1月22日に国内総生産(GDP)などの主要な経済指標が中国国家統計局から発表された。その中で、中国の08年第4四半期実質GDP成長率は前年同期比6.8%増にとどまり、01年第4四半期の同6.6%増以来の低い伸びとなった。07年第2四半期で記録した同12.6%増と比較すれば、2年足らずで6ポイント近くも落ち込み、中国経済が足元で大きく減速している様子が窺える。また、通期でも07年の前年比13.0%増から4.0ポイント低下し、実質GDP成長率は同9.0%増と、6年ぶりの一桁成長になった。ただ、08年名目GDP額は初めて30兆元を突破し、米国、日本に次いで世界第3位の経済規模を維持した模様だ。

個人消費は堅調なものの、外需が悪化

 今回発表された経済指標では、社会消費品小売総額が比較的堅調だった。12月は前年同月比19.0%増と、伸び率が前月比で1.8ポイント低下しているが、物価の落ち着きを考えれば実質ベースでは高い伸びといえる。しかし、今後は景気減速による失業率の増加や賃金上昇の抑制等が懸念され、個人消費の動向に注意を払う必要がある。

 一方で、輸出の悪化が鮮明となった。08年通期では前年比17.2%増加したが、11月には前年同月比でマイナスに転じ、12月も同2.8%減と輸出の悪化が続いている。輸入も12月に同21.3%減と前月に引き続き、大きく落ち込んだ。中国の場合、加工貿易の比率が比較的高いため、輸出企業の業績悪化が原材料や部品の輸入減少に繋がっており、輸入は輸出の先行指標と見ることができる。欧米での早急な景気回復が見込めない以上、当面は輸出、輸入ともに減少傾向が続こう。また、輸出企業の業績悪化や不動産価格の下落によって都市部の固定資産投資額も低下傾向にある。08年6月の前年同月比29.5%増をピークに鈍化を始め、12月は同22.3%増にとどまった。

一部の経済指標には明るい兆しも

 この様に中国経済の現状は厳しさを増しているが、一部の経済指標の中には、昨年後半からの金融緩和や景気刺激策の効果を窺わせるものも出ている。工業生産は11月の前年同月比5.4%増から12月には同5.7%増へと若干改善した。08年前半の10%半ばの水準と比べれば低いが、悪化傾向は収まりつつあるように見える。また、銀行の融資残高も12月に大きく増加した。07年は政府の銀行に対する貸出総量規制など、金融引き締めを受けて銀行融資は年末にかけて伸び率を低下させていったが、08年は総量規制の撤廃、利下げや四兆元の内需拡大策など、一連の金融緩和、景気対策の影響で融資残高が12月に大きく増加し、同月のマネーサプライ(M2)も前年同月比17.8%増の高い伸びとなった。さらに、12月の製造業購買担当者指数(PMI)も41.2ポイントと、景気判断の分れ目となる50ポイントを下回ってはいるが、11月の過去最低(38.8ポイント)からは持ち直した。ただ、PMIの雇用に関しては悪化傾向が続いており、政府の主眼とする雇用の創出にはまだ効果が現れていない。

今後も続く金融緩和、景気刺激策で高い成長性を維持

 中国政府は8%前後の実質GDP成長率を目標としている。国民に安定した雇用を提供するには8%前後の経済成長が必要とされているためだ。政府は失業率の上昇によって社会が不安定化し、それが天安門事件のような民主化運動へと発展することを最も恐れている。それ故に雇用が改善するまでは次々と金融緩和や財政投資などの景気刺激策が打たれるだろう。また、現在の中国にはその余裕もある。昨年前半まで中国経済はインフレに苦しめられたが、12月の消費者物価指数が前年同月比1.2%上昇にとどまり、金融政策は自由度を増している。実際、昨年9月以降の利下げにも関わらず、インフレ沈静化の影響で実質金利は上昇傾向にある。そのため、今後数回にわたって利下げを行うものと予想される。さらに、財政面でも08年6月末時点の国債発行残高が5兆2386億元と、08年名目GDP額の2割程度にとどまり、財政投資に伴う財源確保を国債発行で賄うことも可能だ。

欧米を中心に世界経済は混迷を深めており、09年も中国経済にとって厳しい状況が続こう。しかし、昨年からの金融緩和や景気対策を受けて年後半からは高い成長速度を取り戻すものと期待している。(有井)

上海実業(シャンハイインダストリアル)

―不動産市場の底入れに期待―
(00363 香港レッドチップ株 内藤コードN3290 売買単位: 1000株)

上海市政府系のコングロマリット

 上海市政府系のコングロマリット。タバコ、印刷、乳製品、スーパーマーケットといった消費財事業、高速道路・上下水道のインフラ事業、医薬品事業、不動産事業の4事業を主に展開し、08年6月中間期で純利益の部門別構成比は消費財事業32.2%、インフラ事業14.4%、医薬品事業10.4%(以上のディフェンシブな3事業が純利益の57.0%を占める)、不動産事業21.2%である。

業績が景気動向に左右されにくい、ディフェンシブな性格の企業であるが、足元では不動産事業の寄与本格化が収益を大きく押し上げている。

不動産事業の寄与本格化が足元の業績を牽引

 08年6月中間期業績は、売上高が前年同期比61%増の62.9億香港ドル、純利益が同29%増の12.0億香港ドルとなり、好調であった。07年に買収した不動産事業が08年から収益に寄与、上半期には営業利益段階で利益増加額の78%を占め、収益を大きく押し上げた。高速道路、医薬品、消費財事業などの主力事業も概ね順調な伸びを達成した。

 08年通期業績も続伸基調を維持したもようだ。同社が手がける上海の不動産プロジェクト「萬源城E街坊逸郡」(アーバン・クレイドル)の第2期分譲は11月22日に開始されると1週間もたたないうちにタウンハウスの6割、ビラの2割を販売して約6億元の売上高を計上し、上海市で08年の販売ランキングでトップクラスの不動産プロジェクトとなった。不動産市況の冷え込みにもかかわらず、上海市の中心部まで車で15分という立地の良さが強みとなったかたちだ。なお、高速道路、タバコ、その他の事業についても、順調に推移しているもようだ。

09年12月期も高水準維持へ

 09年12月期業績も高水準を維持する見通しだ。堅調な業績が予想される背景は3つある。第1に、昨年買収した高速道路「滬杭高速公路・上海段」とホテル「上海四季酒店」(フォーシーズンズホテル・シャンハイ)が09年12月期の収益を大きく押し上げる見通しであること、第2に、医薬品事業と消費財事業のタバコ、印刷が安定した成長を維持できるとみられること、第3に、不動産事業の収益寄与が08年12月期ほど大きな押上げ要因とはならないものの引き続き見込まれること、などである。

 ちなみに、前述の「アーバン・クレイドル」プロジェクトで第3期分譲の予約販売が12月第1週から開始されてお り、好調なスタートを切った。200戸の予約販売に対し、わずか1週間で既に62戸が売約済みとなり、1.3億元の販売を達成した。このところ悪化する不動産市況をてこ入れするため、上海市も相次いで不動産対策を実施しており、これが奏功して上海の不動産市場が底入れすれば、同社の09年12月期以降の業績を大きく押し上げる可能性が出てくる。

低収益事業の売却で収益力は向上へ

 同社は不動産、医薬品、有料道路を中核事業と位置付けている。このため、収益性の低い非中核事業は売却される可能性が高く、これによって、同社は中長期的な収益力の向上を目指している。

 非中核事業としては、半導体の中芯国際集成電路製造(SMIC、00981)(08年6月末時点で出資比率10%)、小売の聯華超市(00980)(同21%)、乳製品メーカーの光明乳業股フン有限公司(光明乳業、同35%)が挙げられる。とくに、光明乳業は中国で8月下旬に粉ミルクに有害物質のメラミンが混入するという事件に巻き込まれ、08年12月期と09年12月期に赤字計上の可能性が高い。ただ、光明乳業と半導体のSMICは株価が低迷しているため、同社は1月21日、株価面で打撃の少ない聯華超市への出資持分を「百聯集団有限公司」に売却すると発表した。取引が完了すれば、非中核業務の売却で経営資源を主力事業に集約させ、投資ポートフォリオの一層の改善が見込まれる。(村上)

一致薬業(イッチヤクギョウ)

―業績好調、医療改革でメリット―
(200028 深センB株 内藤コードN8090 売買単位:100株)

製造、販売を手がける総合医薬会社

 広東省深セン市を本拠とする医薬品会社。薬品の研究開発・生産、漢方薬・漢方原薬・バイオ薬品・健康品・医療器械の卸売販売などを手がける。製薬事業は子会社「深セン致君製薬有限公司」などによって展開されており、主力製品は咳止め内服液「聯邦止咳露」、セフェム系抗生物質、小児用解熱・咳止め内服液「健児清解液」、など。

 同社は筆頭株主「国薬控股股フン有限公司」の中国南部における医薬品販売と製造の重要な担い手である。08年6月中間期の売上構成は、医薬品卸売り85%、同製造9%、同小売5%。

小売事業として、深セン市を中心に薬局「一致薬店」をチェーン展開していたが、昨年12月末に同事業の売却を決定、経営資源を製薬事業、卸売り事業に集中し競争力を高める方針。

医療改革で恩恵を受ける見込み

 国家発展改革委員会は08年10月14日に「医薬衛生体制改革の促進に関する意見(公聴案)」(以下「意見」)を発表した。「意見」から見る限り、中国政府は今後医薬品の生産、流通、販売のコントロールを強めていく方向にあると思われる。

 「意見」では、中央政府が「国家基本薬品リスト」を策定し、政府が入札を通じて基本薬品の生産者を指定する、あるいは、基本薬品を集中生産または購買し、直接配送することで、中間段階を削減する。生産段階のコストを配慮する上で、政府が基本薬品リストで統一した販売価格を合理的に策定し、生産供給を管理し、国民の基本薬品の利用を保障する。

 医療改革は医薬品業界を取り巻く環境を大きく変貌させると見られる。公的医療機関を中心に基本薬品の投与・処方の割合に対する規制や、基本薬品リストに採用される薬品への保険全適用、高還付率制度の導入も、基本薬品によって代替可能な高価格薬品の需要を減少させることになろう。

 医薬品の流通でも、直接配送などで中間段階を削減する方針であり、薬品の流通配送インフラを整備している地域の大手企業によって地域市場が独占されていく可能性大。同社の売上げの85%を占める医薬卸売り事業では、政府の各種政策が大企業に傾斜しているため、卸売り大手の同社にとってむしろメリットが大きいものと見られる。

08年1-9月期は2ケタ増収増益

 08年1-9月期の業績は、売上高が前年同期比19.5%増の60.9億元、純利益は同17.2%増の1.2億元と2ケタの増収増益となった(中国会計基準、未監査)。業績好調の要因は、製薬事業と販売事業が共に2ケタ増収となり、特に製薬事業で抗生物質製品の売上げが約4割増に達したこと。

 抗生物質製品の原材料価格の上昇、粗利益の低い製品の割合の上昇などから1-9月期の粗利益率は8.9%と、前年同期より1.2ポイント低下したものの、広東省・広西省での販売事業の再編により、この二地域における在庫管理の効率が改善され、販売費率が同1.2ポイント低下、粗利益率の低下を下支えした。

 加えて、営業外収入の増加と税率の低下も増益に寄与した。1-9月期の営業外収入は政府補助金975万元、不動産売却益502万元などにより、同384.0%増の1,534万元を計上。また、法人税率の低下により、1-9月期の実効税率は18.75%と、前年同期より6.6ポイント低下した。

 一方、09年以降も同社の製薬事業と販売事業は引き続き好調に推移する見通し。製薬事業では、抗生物質の粗利益率は8.8%(08年6月末)と過去最低水準にあるが、今後は医療改革の進行に伴う需要回復に伴い、採算改善が期待できる。また、今後は医療改革による医薬品の供給は、指定生産あるいは政府集中購買の形になる見通しで、いずれも同社のような医薬品の製造、販売を手がける地域大手にもっとも有利になると思われる。(村上)

中海石油化学(チャイナブルーケミカル)

―買収効果、政策の後押しによる中長期的な安定成長に期待―
(03983 香港H株 内藤コードN3983 売買単位: 2000株)

窒素肥料の大手メーカー

 中国最大規模の窒素肥料メーカーの一つ。主力製品の尿素は「富島」ブランドで有名であり、国内トップレベルのシェアを持つ。このほかメタノールの生産・販売も行う。08年6月中間期の売上構成は肥料(尿素)64.3%、メタノール32.0%、その他3.7%。国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある中国海洋石油総公司の傘下で、香港上場の中国海洋石油(00883)とは兄弟会社の関係。海南省の生産拠点では原料の天然ガスを同社から安定的に調達。

08年6月中間期は2ケタ増収増益に

 08年6月中間期は前年同期比22.5%の増収、純利益で同16.9%の増益となった。主因は尿素、メタノールの価格上昇。原料・生産要素の価格上昇にともなう生産コスト増加、国際価格の高騰などを背景に、同期の国内尿素小売価格は概算で2085元/トンとなり、前年同期比で14%上昇した。メタノールの卸売価格も同16%上昇。これにともない同社製品の販売価格も概算で尿素が同12%、メタノールが同36%、それぞれ上昇した。販売量の増加も後押しし、製品別の売上高は肥料(尿素)が前年同期比12.8%増、メタノールが同49.6%増。天然ガスの約8割を兄弟会社である中国海洋石油から調達するなど、安定的な原料調達が奏功し、粗利益率も同3.3ポイント改善し、46.4%に上昇した。

価格下落が懸念材料だが、買収効果でカバー

 尿素の国内価格は昨年9月から下落基調に転じ、12月の尿素価格は約2030元/トンと、昨年3月の水準に戻った。需要の減少に加え、輸出難などによる国内供給の過剰感などが主な要因。09年の業績へのマイナス影響は避けられない見通しだが、買収による事業規模の拡大でカバーが可能とみられる。

 同社は安定的なキャッシュフローを背景に、積極的な買収・設備投資を事業拡大の柱に据えており、08年に親会社からリン酸肥料メーカー、リン鉱石採掘会社を買収。これにより、親会社から肥料関連資産の大半を引き継いだほか、従来の窒素に加え、リン酸肥料についても、原材料調達から加工まで一貫して担う安定した事業展開が可能となった。買収した2社の07年の純利益は単純合計で約7840万元。業績への貢献は09年3月からとなる見通しで、価格下落のマイナス影響をほぼカバーできると考えられる。

 加えて、来年にかけて続々稼働する新規プロジェクトが、業績拡大に寄与する見込み。メタノール・プロジェクト、ポリアセタール・プロジェクトは、予定通り来年10-12月期に生産開始の予定で、製品構成の改善にも繋がる見込み。

政策の強力な後押しがポジティブ要因に

 中央政府は経済成長維持のために、矢継ぎ早に大規模な内需拡大策を打ち出しているが、なかでも農村部の振興は喫緊の課題。農村インフラ整備、農業への補助金拡大、流通網の整備、「家電下郷」(農民による家電購入の促進策)の推進など、種類は豊富であり、いずれも農民の生活水準を高め、生産意欲の向上につながるものである。したがってこれらの政策は同社の規模拡大の裏打ちとなる肥料需要の回復・拡大に、大きく寄与する可能性が高い。さらに政府は肥料業界の振興策をすでに明らかにしており、これには、安定的な肥料供給の確保、販売価格の規制緩和・市場化の促進、輸出抑制措置の緩和――などが盛り込まれている。

 同社は業界のリーディングカンパニーとして、これらの政策からも恩恵を享受できる可能性が高い。安定した価格での原材料調達が可能な同社にとって、柔軟な販売価格の設定は、収益力の向上に繋がる。尿素輸出関税率の引き下げなど輸出環境の改善は、輸出を広く手がける同社にとって追い風になる。このほか同社の主力製品である「富島」は経済・利便性などで優秀といわれるBB肥料(2種類以上の粒状原料を物理的に配合したもの)に分類されており、ブランド力も加わり、製品の競争力は高いといえる。買収・設備投資による規模・製品構成の拡大、政策の後押し、価格・需要の回復期待などを背景に、同社は中長期的にも堅調な業績を維持する見通し。(畦田)

中国海外発展 (チャイナオーバーシーズランド)

―09年不動産市場は緩やかな回復へ―
(00688 香港ハンセン、レッドチップ株 内藤コード N5450 売買単位:2000株)

全国展開する中国トップクラスの不動産会社

 環渤海地区、長江デルタ、珠江デルタ、四川省など、都市部で事業展開する不動産開発企業。同社は主要都市の都心部や都市近郊の好立地物件を中心に住宅開発を手掛けているため、不動産価格の下落に対して比較的高い抵抗力を持つ。また、08 年6 月末時点で自己資本比率が39.3%、流動比率も250.5%と、財務内容も良好だ。

 昨年、江西省南昌市で有料橋「南昌大橋」を運営する合弁会社の出資持分や、本土で港湾の運営と物流事業を展開する子会社「中国海外港口投資有限公司」の全出資持分を売却するなど、不動産開発以外の非主力事業を段階的に売却しており、今後更に不動産事業へ注力する予定。

08 年通期でも比較的好調な業績を確保する模様

 08 年に入ってから中国の不動産市場は調整色を強めているが、同社は通期でも増益を確保した可能性が高い。08 年1-11 月の予約販売状況を見ると、珠江デルタ、長江デルタ地区でそれぞれ販売面積が前年同期比2.4%増、同2.8%減と苦戦しているが、他地域での販売は好調だ。特に環渤海・北部地域で予約販売面積が同133.3%増と高い伸びを示し、全体(香港、マカオを含む)でも同30.2%増となり、当初計画していた08年通期での予約販売目標270万㎡を達成した模様だ。また、金額ベースでも1-11 月の予約販売額は250.8億香港ドル(同34.3%増)と堅調に推移している。

 ただ、08 年上期の予約販売状況が金額ベースで前年同期比84.9%増、販売面積でも同58.3%増だったことを考えれば、下期に販売が落ち込んでいる様子が窺える。7-11月の予約販売は金額で同3.6%増、面積で同8.5%減となった。また、一足先に下落を始めた珠江デルタ地域を除いて7-11月の予約販売の平均単価は上期よりも低下しており、今後の販売状況や不動産価格の動向に注意する必要がある。

積極的な利下げと景気刺激策で09 年の住宅市場は安定へ

 現在、中国政府は積極的な金融緩和策を実施している。昨年9 月から5 回にも及ぶ利下げを行い、11 月には銀行の貸出総量規制も撤廃した。市場では一段の利下げ観測も出ている。また、昨年12 月には国務院常務会議で不動産市場の健全な発展を促すための政策が決定され、住宅保障を目的とした住宅建設の加速、普通住宅の購入奨励や不動産開発企業への支援などが発表された。一連の金融緩和や不動産市場に対する支援策を受けて、09 年には中国の不動産市場は緩やかな回復へと向かおう。その中で、同社も安定した業績を維持するものと期待される。

中長期的に安定した成長を維持

 政府は昨年発表した不動産市場対策の中で業界の合併や再編を後押しする方針を示している。そのため、今後、不動産業界ではM&Aが活発化する可能性が高い。特に中小の開発業者は不動産市場の急激な悪化や景気の減速を受けて資金繰りに窮している企業も多く、大手が中小の不動産業者を吸収する形で業界再編が進もう。このような環境下で、同社は昨年末に株主割当増資計画を発表し、09年に約25億香港ドルの現金を取得する予定だ。その上、実質的な親会社が国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある「中国建築工程総公司」のため、M&A等では比較的優位な立場にいるといえる。財務内容も良好な同社だけに、今後は業界再編の中心的な存在になっていくと予想される。

 また、中国政府が推し進めようとしている中低所得者向け住宅開発はコスト面等の問題で都心から離れた郊外型物件が中心になると考えられる。それゆえに、郊外型の低価格物件を中心に手掛ける不動産会社は価格競争に巻き込まれる可能性が大きい。これに対し、同社は都心の一等地の物件や都市近郊の物件を中心に事業展開しているため、政府が開発する物件との競合が少なく、価格競争に巻き込まれる可能性は小さい。

 昨年12月の全国70都市における不動産販売価格が前年同月比0.4%低下するなど、逆風下にある中国不動産業界だが、同社は財務面の強化を図る一方、都心部の好立地物件を中心に開発することで、比較的安定した成長を今後も続けよう。(有井)

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。