チャイナマンスリーレポート

3月号

2009年3月2日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 2月の本土株式市場は前月の地合いを引き継ぎ中旬まで一貫して上昇基調を継続、その後、いったんは反落したものの、総じて底堅い動きが続いた。

 1月下旬にかけ上値慕いの様相を呈していた上海総合指数だが、旧正月明けとともに一気に買い気が盛り上がり急騰。連休明けの2日から4日まで3日連続で上昇し、同指数は終値で連休前の1990.7ポイントから2107.7ポイントへと5.9%の上昇となった。その後も堅調な地合いは続き、6日には前日比4.0%高の2181.2ポイントと昨年11月の安値以降の反発局面でのザラ場高値2100.8ポイント(12/9)をほぼ2ヵ月ぶりに上回った。続く週明けの9日は同2.0%高、10日は同1.8%高と再び3日連騰となり2200ポイント半ばを回復、さらに16日には2389.4ポイントまで上昇した。しかし、それ以降は上昇ピッチの速さに対する警戒感の高まりもあり、2200~2300ポイントでの値固めの動きとなった。

 今回の株価反発の背景は、①12月の経済指標のなかに一部反転の動きが見られたうえに「旧正月中の小売総額は前年同期を14%上回り予想以上に好調だった。」、「旧正月中の旅行客数が25%増えた。」など足元の消費好調が伝わったことで、景気の早期底入れ期待が高まりつつあること、②政策に対する期待、特に個別産業支援策への期待感が高まってきたこと。重要10大産業に対する政府支援として、既に鉄鋼、自動車、繊維、設備製造、造船、IT、石油化学、軽工業は具体策が発表されたが、残る2業種についても早晩対策が発表されるということで期待感が膨らんでいる、③金融機関の新規貸出がこのところ急増しており(11月の4769億元から12月は7718億元へ急増、さらに1月には1兆6200億元と12月比で倍増)、金融緩和の効果が表面化してきた、などである。

 3月5日から始まる全国人民代表大会の前後まで政策期待が相場の下支え要因となり、しっかりした動きが期待できよう。その後は、1、2月の景気指標とともに今後発表が本格化する08年12月期の決算を睨んでの動きとなろうが、売買金額の増加が示すように投資家心理も好転しつつあることから下値不安は限られよう。業績見通しに安心感の持てる銘柄の選別買いを。(村上)

~香港市場から~

 2月の香港株式市場は中旬にかけて上昇したものの、その後失速、下旬にかけては下値固めの動きとなった。

 1月末にかけて13000ポイントを回復したハンセン指数だが、月初の2日には前営業日比で3.1%の下げとなり再び12000ポイント台へ反落。ただ、その後4日から10日まで休日を挟んで5日連続の上昇を記録し、10日にはザラ場で13976.3ポイントと14000ポイント目前まで回復した。しかし、中旬を過ぎると再び失速、17日の終値は12945.4ポイント、前日比3.8%の下げとなり、再度13000ポイントを割り込んだ。以降は13000ポイントを挟んで一進一退の展開が続いた。

 引き続きニューヨーク市場を中心とする海外市場と中国本土市場を横目で睨みながらの動きとなった。月初の下落は前週末にニューヨーク市場が不良債権の買い取り銀行の設立をめぐり不透明感が広がったことやGDPの落ち込みなどで2日続落したことが主因。また、4日から10日までの上昇はこの間にニューヨーク市場がダウ平均で4%強上昇したことに加え、中国本土市場も景気の早期回復期待、あるいは政策期待を背景に上海総合指数で7.5%の上げとなったことが相場の押し上げ要因となったもの。一方、中旬以降の下落はニューヨーク市場が金融安定化策に対する失望、一部銀行の国有化懸念、欧州金融機関の先行き不安再燃、などから昨年来安値を更新する動きとなったため。

 今後も、香港市場は独自の材料に乏しいことから外部環境に左右される展開が続くことになろう。海外市場が落ち着きを取り戻すまではインデックスの継続的な上昇は難しいが、本土市場の回復が下支えとなり下値も限定的と思われる。中国本土での各種支援策が具体化するにつれ、H株中心に本土関連銘柄に対する見直し買いが続くものと予想される。今後、本格化する決算発表の数字を確認しつつ、本土市場同様に好業績銘柄の選別買いを。(村上)

~再び注目されるAH株価比~

 上海総合指数は2月16日の終値で2389.4ポイントを付け、昨年末比で30%以上も上昇した。昨年秋以降に本格化した世界的な金融危機を受けて殆どの国では株式市場が軟調な展開を続けているが、中国本土市場は堅調な動きを見せており、一昨年までの中国株市場を彷彿させる。だが今回は、米国を始めとする海外株市場の影響を受けて香港株市場の足取りが重い。ハンセン指数は昨年10月の安値を上回ってはいるが、昨年末の水準を2月20日時点で10%以上も下回っている。また、H株指数も戻りが鈍く、AHプレミアムインデックス(AHの価格比を表したもの;100ポイントよりも大きい時はA株が、小さいときはH株が高く買われていることを示す)が足元で上昇している。(2月20日時点で160.4ポイント)。

 AHプレミアムインデックスは昨年1月の208.1ポイントをピークに下落して9月には106.5ポイントまで下げた。その後、リーマン・ショック等の影響で10月に170ポイント台まで上昇する場面もあったが、昨年末にはH株の反発を受けてAHプレミアムは低下した。しかし、今年に入ってからは1月5日の112.6ポイントを底に上昇傾向にある。また、個別銘柄のA/H価格比を見ても、一時は1倍よりも小さい(A株よりH株の方が高く買われている)銘柄がいくつも存在していたが、2月20日時点で1倍を割っている銘柄はない。

 今後、香港株市場では本土株市場の堅調な動きを受けてA/H価格比が株式市場の材料となる可能性が十分にある。ただし、A/H価格比の大きい企業は業績の悪い場合が比較的多い。3-4月には各企業の決算発表が控えているため、個別企業の業績に十分な注意を払う必要はあるが、A/H価格比に注目した銘柄選択の好機ではないだろうか。(有井)

~IMFによる経済見通し~

 1月下旬、国際通貨基金(IMF)は昨年11月に改訂した世界経済見通しを再度修正した。その中で09年の世界経済成長率を第二次世界大戦以降で最悪の前年比0.5%増に落ち込むと予想して昨年11月の見通しを1.7ポイントも引き下げた。特に、米国、日本、ドイツなどの先進国は軒並み景気後退に陥り、先進国・地域全体では同2.0%減と、戦後初めて年ベースでマイナス成長になる見通し。また、貿易量の見通しも世界全体で09年に同2.8%減と11月の見通しと比べて4.8ポイントの大幅な下方修正を行った。

 さらに、10年の世界経済成長率に関しては前年比3.0%増まで改善するとIMFでは見ているが、そのためには信用収縮への対策や積極的な財政金融政策が必要で、見通しは非常に不透明なものだとしている。

 このレポートの中で中国経済も09年の成長率が前年比6.7%増まで低下すると見られており、11月の見通しから1.8ポイント下方修正された。実質GDP成長率で07年第2四半期の前年同期比12.6%増をピークに減速傾向にある中国経済はまさに正念場を迎えたと言えよう。

 だが、IMFでは中国経済の成長率を今年後半にも回復に向かうと考えており、09年第4四半期の見通しを前年同期比7.5%増と予想している。また、2月2日に行われたアジアの見通しと世界経済の発展についての会見の中で、ドミニク・ストロスカーンIMF専務理事は中国政府が目標としている8.0%近くの経済成長を達成することは可能だと述べた。大量に発生している農民工の失業問題や、民間部門における消費拡大への下支えなど、中国には追加的景気拡大策が必要ではあるものの、中国政府が成長の軸足を輸出依存型から内需主導型経済へと徐々に移行する政策を採っており、既に大規模な財政金融刺激策も打ち出しているためだ。さらに、中国政府には追加の景気刺激策を打つ財政的な余地も残されている。

 今回のIMFによる経済見通しの下方修正は広範囲かつ大幅なものであった。それだけ現状の世界経済は厳しい状況にある。その中で、アジアの発展途上国、特に中国は他の地域や国と比較して相対的に高い成長率を予想している。このことは、世界経済の下支えとして中国を始めとするアジアの発展途上国にIMFが期待している証拠でもある。今後、中国が保護主義などに陥ることなく、正しい成長を続ければ、他の国に先駆けて回復基調に転じ、更には世界経済での存在感も高まっていこう。(有井)

山東威高集団医用高分子製品(ウェイガオ・グループ)

―市場の拡大、輸入代替で成長期待大―
(08199 香港GEM、H株 内藤コード N9199 売買単位:4000株)

研究開発を重視する医療機器メーカー

 山東省威海市の医療機器メーカー。筆頭株主は民営企業の威高集団有限公司。米国医療機器メーカーのメドトロニック社も資本参加している。

 主力製品は使い捨ての点滴・輸血器具、注射器、血液パック、透析器具、歯科器材、人工骨材料、血液透析設備、心臓ステントなど。病院、血液センター、卸売会社などに販売するほか、海外にも輸出している。08年1-9月期の売上構成比は、使い捨て医療機器事業78.6%、整形器具事業11.9%、その他9.5%。

 研究開発では中国科学院長春応用化学研究所、中国科学院大連化学物理研究所、中国人民解放軍総医院、第三軍医大学第一附属医院などと連携している。

08年1-9月期は大幅増収益を達成

 同社の08年1-9月期業績は、売上高が前年同期比47.1%増の11.4億元、純利益が同65.0%増の3.3億元(香港会計基準、未監査)。粗利益率が60%以上の高級点滴器具、カテーテル、使い捨て式安全注射器などの高付加価値製品の売上構成が33.8%から44.2%に拡大、売上総利益率は47.1%と3ポイント上昇した。

 主力の使い捨て医療機器事業では売上高が前年同期比47.9%、セグメント損益が同56.4%の伸びと大幅増収益に。熱可塑性エラストマー(TPE)素材を用いた新製品の好調で点滴器具が同42.5%増収と大幅に伸びたほか、注射針も静脈カテーテル用など高付加価値製品を中心に同108.2%増収。また、薬剤入り注射器も同102.0%増収など全般的に高採算製品が伸び、大幅増益につながった。整形器具事業でも売上高が同90.9%増、セグメント損益が同79.0%増と医療機器を上回る好調ぶり。

 両事業部門を通して、利益貢献の高い販売先に経営資源を集中させるなどで、販売コストの抑制に努めた一方、利益率の低い一般製品のウエイトを低下させるなどの施策を実施したことも採算の向上につながった。

研究開発の成果が着々と現れる

 競争力強化を目指して研究開発に注力している。08年1-9月の研究開発費は3840万元、前年同期比3倍増で、同期間に12の特許を新規に取得、また11の特許を申請中だ。ちなみに08年9月現在で保有する特許権は130以上、うち11は発明についてのもの。

 直近の成果では、08年に中国科学院長春応用化学研究所と共同でポリ乳酸を原材料とした新型の使い捨て注射器を開発した。材料コストを減らせるとともに、生物分解可能な材料であるため、従来型製品より地球にも優しい。

 また、同社が特許権を持っている熱可塑性エラストマーを原材料とする点滴器具も製品化した。薬液を吸収しないため安全性が高く、従来のポリ塩化ビニル(PVC)でできた製品を完全に代替できると同社では期待している。

 さらに、中国科学院大連化学物理研究所と共同で開発したポリスルホン膜合成血液透析器具が国家発展改革委員会に「国家高技術産業化示範工程項目」と認定された。政府の強力な支持を受けてのものだが、これまで外国企業に依存していた製品分野なだけに今後の応用が期待される。

米メドトロニック社との連携を強化

去年12月アメリカの大手医療機器メーカー・メドトロニック社が同社の第2位株主となった。整形器具事業での連携を通じて、同社グループの設計・生産能力を高め、グローバル市場での競争力を強化する狙い。

メドトロニック社への新株割当発行により資金力が十分にある同社は、競争相手を買収・合併することで、速やかな発展を目指している。生産能力の増強及び発展の速い県レベル医療機器市場でのシェア拡大を狙う。

政策に影響を受け易い医療機器セクターであるが、高額な輸入品を高品質で安価な国産製品で代替する政策方針を考えれば、同社のポジショニングは今後も有利だろう。海外の主要病院サプライヤーグループとも戦略的提携を狙い、ブランドイメージの向上と輸出拡大に注力する計画だが、先進各国の医療制度がさらされているコスト削減圧力を鑑みると、今後は国内のみならず、海外市場での売上拡大が期待できよう。(ヘフティ)

上海宝信ソフト(ホウシンソフト)

―鉄鋼業向け中心にソフトウエア事業が順調に拡大―
(900926 上海B株 内藤コード X2460 売買単位:100株)

鉄鋼業などの情報化ソリューションスペシャリスト

 大型企業向けを中心とするソフトウエア会社。鉄鋼、非鉄金属、石油化学、都市交通、金融、行政などの分野で、オートメーション化・情報化ソリューションを提供する。中国最大の鉄鋼メーカー・宝鋼集団有限公司(宝鋼集団)が、上海証券取引所に上場する宝山鋼鉄股?有限公司(宝山鋼鉄)を通じて支配している。

 同社は鉄鋼業向けの製造実行システム(MES)、統合基幹業務システム(ERP)、データウエアハウスなどを主力製品とし、調達・生産・販売工程の情報化に体系的なソリューションを提供。計画からソフトウエアの設計・設置、工程を新設システムに合わせる技術サポートなどと総合的な解決案を一つの強みとしている。

業績は好調が続く

 08年6月中間期の業績は、売上高が前年同期比31.0%増の11.1億元、営業利益が同123.4%増の1.5億元、当期純利益が同106.0%増の1.2億元と大幅増収増益を達成した(中国会計基準、未監査)。主力のソフトウエア開発は売上高が前年同期比53.6%増と連結売上高の67.2%を占め、粗利益も同53.5%増と全体の67.9%に上るなど大幅増収益。高度道路交通システム(ITS)事業も同34.9%増収、同61.5%増益と好調で、連結売上高の9.9%、粗利益の9.0%を占めた。一方、低採算のシステムインテグレーション(SI)事業のウエイトを売上の20.5%から11.4%に減らしたことで利益率はむしろ好転、粗利益率は前年同期比1.3ポイント増の26.3%に達した。

 08年1-9月期業績も順調で、売上高が前年同期比23.1%増の16.7億元、営業利益が同80.1%増の1.9億元、純利益が同73.3%増の1.6億元だった。売上原価、販売費の売上高に対する割合がそれぞれ3.1ポイント、1.1ポイント低減し、利益構造も更に改善した。

鉄鋼業の再編を機に顧客ベースの拡大も

 08年6月中間期の宝鋼集団とその傘下企業向け売上は前年同期とほぼ変わらず約5割を占めた。宝山鋼鉄は2008年自動車メーカー向け冷延鋼板で50%を超えるマーケットシェアを誇る。自動車用鋼板は品質に対する要求が高く、同社の技術水準の高さをうかがえるが、宝山鋼鉄も工程・品質管理に上海宝信ソフトのMESなどを利用していることから、同時に上海宝信ソフトの技術力の高さを示すものとも言えよう。

 中国政府の鉄鋼業振興策はインフラ建設などを通じての内需拡大に加え、業界再編を柱とする。主目的の一つは、非効率的な企業の技術水準を上げることにあり、宝鋼集団が業界リーダーとして、再編で重要な役割を果たすだろう。新たな傘下企業の情報化・技術レベルの向上に向け、同社のMES、ERPソフトウエアなどを使えば、グループ内のネットワーク効果やスケールメリットを実現できる。したがって、業界再編は売上を伸ばすチャンスとなりそうだ。

 また、同社は石油化学工業、非鉄金属の冶金などの関連プラント業界、さらにITSや金融関連分野にも進出している。鉄鋼以外への事業拡大を通じて、景気変動の影響を受けやすい鉄鋼業界の好不況による業績変動の軽減を狙ったものだ。加えて、鉄鋼情報化事業の技術を活かし、徐々にシーメンス、ハネウエルなど海外企業が独占・寡占している電器機械産業関連のエンジニアリング請負ビジネスにも進出し始めている。

中国政府から「ハイテク企業」としての認定を受ける

 ITサービスの品質管理に関するISO 20000シリーズと情報技術の安全水準に関するISO 27000シリーズの認証を獲得し、「創新型企業」、「ハイテク企業」と「重点ソフトウエア企業」にも認定された。優遇措置として中国政府から一定の補助金を受領できるうえ、2008年に企業所得税率が10%、2009-10年に15%に引き下げられる。

 ERP、MESなどのソフトウエアはスイッチングコストが高いだけに顧客のロイヤリティも高い。営業の拡大に伴い、ソフトウエア開発で規模の経済も発揮でき、今後の成長に大いに期待できよう。(ヘフティ)

黄山旅行開発(コウザンリョコウカイハツ)

―インフラ整備が完了すれば、観光客は大幅な増加へ―
(900942上海B株 内藤コードX0950 売買単位: 100株)

世界遺産の「黄山」を管理・運営する観光会社

 中国屈指の名山として知られる黄山の観光サービス会社。世界自然遺産、世界文化遺産、世界地質公園に認定されている黄山風景区の管理・運営のほか、ホテル・旅行会社の経営などを手がける。08年6月中間期での売上構成は、入園料収入34.2%、ホテル22.7%、ロープウエー運賃収入21.8%。実質支配者である地元政府から黄山風景区の入園料の徴収について独占的なライセンスを受けていることが強み(代わりに入園料収入の50%を地元政府に納めている)。

足元の業績は堅調

 08年6月中間期は前年同期比で4.8%の増収、純利益で同10.8%の増益となった。入園料収入は前年同期に比べ6.0%減少したが、ロープウエー(同8.9%増)、ホテル(同10.5%増)、旅行会社(同31.9%増)など、他の部門の好調でカバー。特に昨年の料金値上げ効果が現れたロープウエー部門が業績を下支えした。08年1-9月期も前年同期比で11.0%増収、同13.0%増益と、増収増益を維持した。うち7-9月期の増収率は19.2%と前年同期の9.8%を大きく上回った。

 08年は大寒波、四川省大地震をはじめとする自然災害、景気減速などの影響も加わり旅行業界全体の増収率は前年の22.6%から4%前後に大きく落ち込んだもよう。こうしたなか、同社が堅調な業績を維持している主因として、入園者数の増加が挙げられる。08年の入園者数は224万3900人で前年比10.3%増と2年連続で2ケタの伸びを記録。一部入園料金の実質的な値下げ、オフシーズンの需要喚起策、観光施設・交通アクセスの整備などが奏功した。

入園料金値上げの計画が好材料に

 減少基調にある入園料収入だが、09年は増加に転じる可能性が高い。現在、入園料金は1人200元(12-2月のオフシーズンは120元)だが、上半期中に最大15%の値上げを計画している。値上げには政府の認可が必要だが、計画が順調に進み、本格的な観光シーズンの始まりである5月1-3日の連休に間に合えば、1-4月の入園者数は通年の2割強にすぎないため、通年での入園料収入の増加に寄与しよう。また、入園料金の値上げに伴う入園者数へのマイナス影響も軽微にとどまると考えられる。交通インフラの整備により、特に長江デルタ地域から黄山へのアクセスが格段に便利になるからで、中長期的にはこれらが同社の業績を押し上げる可能性が高い。

交通インフラ、有給休暇など旅行環境の整備が追い風

 政府による景気刺激策を追い風に、黄山へアクセスする交通網の整備が急ピッチで進む見通しだ。安徽省の南端に位置する黄山市は浙江省、江西省に隣接するほか、上海市、杭州市など長江デルタ地域とも距離的に近く、地理的な重要性は高い。

 道路、鉄道、航空網の整備が計画されており、特に鉄道網については、複数の大型プロジェクトが09年中に着工に移される見込み。このうち杭州・黄山間の直通専用列車は来年末までに開通する見通しで、これにより杭州からのアクセスは30分程度に、上海からも10時間以上から約2時間に縮まるという。黄山観光客の半分以上が長江デルタ地域からであることから、同鉄道の開通は入園者数の増加に直結するとみられる。

 このほか政府は内需拡大策の一環として旅行業の振興に積極的であることも好材料。08年に有給休暇制度が全国的に整備されたことで、大型連休以外での旅行需要の増加も見込まれるほか、景気後退の影響で「国内、近場、安価、手軽」の旅行が注目されるとみられる。

 これらのプラス要因により、同社は都市部の中間・富裕層からの旅行需要を更に獲得できるとみられ、中長期的にも堅調な業績を維持できると考えられる。(畦田)

湖北沙隆達(フーベイサノンダ)

―農薬業界のリーディングカンパニー、農業重視の政策などが追い風に―
(200553深センB株 内藤コードN8160 売買単位: 100株)

中国農薬業界のリーディングカンパニー

 農薬業界で最初にA株とB株ともに上場を果たしたリーディングカンパニー。有機リン系の農薬、化学工業製品などを製造・販売する。主力製品は除草剤のパラコート、グリホサート、殺虫剤のジクロロホスなどの農薬(08年6月中間期の売上比率73.6%)と、苛性ソーダ、スペルミンなどの化学工業製品(同22.9%)。製品構成は豊富で、国内農薬市場でトップクラスのシェアを持つ。20以上の国・地域に拠点をもち輸出高は業界上位にランクされるほか、独バイエル社とも事業提携している。1958年に設立された国営企業を前身とする老舗で、湖北省を地盤とする。実質支配者は中央企業で国内化学大手の中国化工集団公司。

08年の業績は大幅増益に

 08年6月中間期の売上高は前年同期比で38.7%増、純利益は同405.0%増となった。1-9月期も同451.0%増益。景気後退を背景に08年通年の業績見通しを下方修正する企業が多いなか、同社は当初前年比で50%の増益見通しを公表していたが、1月20日に450~500%の大幅増益に上方修正するなど、08年の業績は好調であったとみられる。

 大幅増益の主因は、輸出拡大と粗利益率の上昇。中間期の輸出売上高は前年同期に比べ76.0%の急増となり、全体の4割を占めた。国内販売も同21.2%増収と堅調。世界的に農薬生産の中国シフトが進むなか、同期は穀物需要の増加・価格上昇が追い風となり、農薬の需要が増加。強固な販売網などを活かし、バイエル社向けの輸出をほぼ倍増させるなど、輸出を伸ばした。

 主要事業の粗利益率は前年同期に比べ+6.7ポイントの22.4%に上昇。製品構成の改善とコスト削減が奏功した。実質支配者の支援を受け、製造ラインの新設・拡張を実施。競合が激しい国内市場で、同社は原薬分野に強いほか、技術・品質面での優位性がプラスに働いた。さらに主要原材料の一部を自社の化学工業製品部門から調達できるほか、主要原材料であるリン鉱石の産地に近く、調達環境が有利であることもコスト削減につながった。

需要不足のマイナス要素も限定的

 景気後退を背景とする国内外の需要不足・供給過剰、これによる価格下落などが懸念材料であるが、マイナス影響も限定的であるとみられる。国内外問わず、生活必需品である農作物の生産に必要な農薬の需要は不景気への抵抗力が強い。さらに生産コストに占める農薬の割合が小さいことなどから農民の買い控えも可能性が低いといえるからだ。

輸出振興、業界再編、農業重視の政策が今後の追い風に

 08年12月に一部の農薬について、政府は輸出税還付率を引き上げた。これは世界最大の生産国である中国の農薬輸出を促進させる効果があろう。さらに遺伝子組み換え作物の普及などで今後も需要拡大が見込まれるグリホサートについて、これまで年産能力5000トンと規模が小さかったが、同社はグループ会社の支援を受けて年産能力を2万トンに引き上げる見込み。さらにグループ会社と共同でのグリホサートの原料生産のほか、生産規模の拡大に合わせコスト削減を見込める発電・熱供給プラントなど、複数のプロジェクトも進行中。これらは同社の国内外での業績拡大に寄与しよう。

 政府主導の農薬業界再編、農業振興策も、業界大手である同社にとって追い風になるといえる。集約度の低さ、過当競争、低品質、環境汚染など、業界が抱える問題を解決するために、政府は参入障壁を引き上げ、環境調和型農薬へのシフト、優良企業への資源集約化、支援などの業界再編を進めている。同社はこれらの恩恵を享受できる環境にあろう。さらに最重要の政策を示す「中央一号文件」で、政府は09年も引き続き農業の振興を掲げた。安定的な収穫、農民所得の引き上げ、農村インフラの整備、農業の集団・現代化などを目指す政府の強い意志は、農業の底上げを通じて、農薬の需要増加につながる。加えて同社は中国有数の稲作地帯である湖北省を地盤とする農薬業界のリーディングカンパニーでもあり、中長期的にも今後の成長余地は大きいと考えられる。(畦田)

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