チャイナマンスリーレポート

4月号

2009年4月2日 内藤証券中国部

~本土市場から~

 3月の本土株式市場は前半こそ小幅なボックス圏での値動きが続いたものの、月後半にかけては7日連騰を交えて、じり高歩調を辿った。

 2月下旬にかけ弱含みの動きが続いていた上海総合指数だが、3月4日には前日比6.1%高と急反発、5日も続伸し、終値で2221.1ポイントと2200ポイント台を回復した。ただ、その後は再び軟調気味に推移、中旬まで2100ポイント台前半でのもみ合いとなった。しかし、中旬を過ぎると再び買い気が盛り返し、16日から7営業日連続で上昇し、24日には2338.4ポイントを付けた。なお、7営業日連騰は07年10月に史上最高値を記録して以来、初めてのことである。

 月初の反発は全国人民代表大会の開幕を目前に控えて、新たな大型の景気刺激策が示されるとの観測など、政策期待が一気に強まったことが背景。しかし、5日の温家宝首相の政府活動報告の中には新たな刺激策は含まれておらず、一旦は失望感から売られたものの、8%成長へ向けての強い決意を表明したことから下げ幅は限定的だった。中旬にかけては、1~2月の輸出入統計、小売総額、固定資産投資など重要経済統計が発表された。投資を除いて総じて景気減速を再確認する内容だったが、相場への影響は限られた。一方で、10日には銀行の新規貸出しが1月に続いて2月も1兆元を超えたとの観測が広がり、相場の下支え要因となった。月半ば以降は、新たな景気対策に対する期待感が継続するなか、米国株式市場の反転など海外要因もプラスに働き、じり高基調を辿った。売買代金も上海、深セン両市場合計で連日2000億元超と膨らんだ。

 本土市場は当面、上海総合指数で2200~2500ポイントのボックス圏での動きを予想。世界景気の急減速に伴う外需の落ち込みが続く一方で、内需刺激策の効果本格化には時機早尚。4月にかけては08年本決算の業績悪も表面化。ほぼ、織り込み済みとは言え改めて嫌気される場面もありうる。欧米株式市場の再不安定化も懸念要因として残る。

 ただ、一部の内需関連景気指標にはさらに好転を示すものも現れようし、追加の景気対策、金融緩和に対する期待もある。銀行融資の急拡大が示すように、流動性も潤沢。したがって、上値を買い上がるにはやや材料不足だが、下値も限定的。(村上)

~香港市場から~

 3月の香港株式市場は前半に大きく下落したものの、その後回復、後半にかけてはじり高の展開となった。

 2月中旬以降、調整基調が続いていたハンセン指数だが、月初の2日には前営業日比で3.9%の下げ、3日も同2.3%の下落と2日間で6%強の急落となった。以降も不安定な動きは続き、9日には終値で同4.8%安の11344.6ポイントと昨年10月に記録した安値11015.8ポイントに接近した。ただ、その後は10日から16日まで5営業日連続で上昇するなど反発に転じ、18日には13000ポイント台を回復した。さらに、下旬にかけても上昇基調は続き、24日には終値で13910.3ポイントと14000ポイントに接近した。

 引き続きニューヨーク市場を中心とする海外市場と中国本土市場を横目で睨みながらの動きとなったが、加えてHSBCホールディングス(00005)の動きが相場の攪乱要因となった。月初の下落は前週末にニューヨーク市場が約12年ぶりの安値となったことに加え、HSBCが業績悪化、減配、大規模増資を嫌気され急落したことが響いた。HSBCはさらに9日にも前日比24.1%の大幅安となり全体の下げを主導した。一方、10日から16日までの上昇はこの間にニューヨーク市場がダウ平均で10%強上昇したことに加え、HSBCが反発に転じたことが主因。さらに、下旬にかけてはニューヨーク市場、本土市場ともに上昇基調を継続したことが相場の押し上げ要因となった。

 今後も、香港市場は独自の材料に乏しいことから外部環境に左右される展開が続くことになろう。ニューヨークを初めとする海外市場が落ち着きを取り戻すまではインデックスの継続的な上昇は難しいと思われるが、本土市場の回復が下支えとなり下値も限定的と考える。中国本土での各種支援策が具体化するにつれ、H株中心に本土関連銘柄に対する見直し買いが続くものと予想される。今後、本格化する決算発表の数字を確認しつつ、好業績銘柄の選別買いを。 (村上)

~個人の消費や投資意欲は回復へ~

 中国人民銀行(中央銀行)は、09年第1四半期における都市部の預金保有者に対するアンケート調査を発表した。09年2月中旬から下旬に掛けて全国50都市で実施された今回のアンケート調査(有効回答数2万件)によれば、個人の消費や投資に対する意欲が回復している様子が窺える。

 今回の調査では、現在の預金金利を64.5%の人が「低過ぎる」と考えており、「預金が最も有効」と答えた人は昨年末よりも7.3%ポイント低下の37.5%にとどまった。2月の消費者物価指数が前年同月比1.6%低下するなど、足元では物価下落によって実質金利が上昇傾向にあるものの、個人投資家は実質金利よりも名目金利を重視するため、現在の預金金利を低過ぎると見ているもよう。また、個人預金に占める定期預金の比率からも個人投資家の「預金離れ」の兆候が見て取れる。一昨年までの株価上昇を受けて06年から07年に掛けて低下傾向にあった定期預金の比率は、その後の株式市場の低迷で上昇に転じた。しかし、昨年11月の64.7%をピークに、その比率は再度低下している。預金全体で見れば増加傾向にあるため、完全な型での預金離れは起きていないが、預金の増加は消極的な投資選別によるものだ。それ故、投資家が株式等を有利な投資対象と判断すれば、急激なシフトが起きる可能性を含んでいる。

 さらに、「消費が最も有効」と答えた人は前期より3.5ポイント増加して29.6%に、「投資(国債、株式、保険商品を含む)が最も有効」とした人も32.9%に上り、個人投資家の消費や投資に対する意欲は回復傾向を示している。ただ、同調査の中で2割近い人が将来の収入に対して「減少」、或いは「予測困難」と回答するなど、先行きに対する不安感が強い現状では、消費や投資への本格的な資金シフトが直ちに起きるとは考え難いが、消費や株式投資に資金が向かい易い環境が整いつつあると見てよいだろう。(有井)

比亜迪(BYD)

 ―二次電池の世界大手、エコカーを柱に自動車事業が中長期的な成長源に―
(01211 香港H株 内藤コードN1210 売買単位: 500株)

二次電池で世界トップクラスのシェアを誇る民営企業

 二次電池(充電式電池)、携帯電話用部品・組立サービス、自動車の製造・販売を主力とする広東省深セン市を本拠とした民営企業。実質支配者である王伝福・総裁が95年に創業した。二次電池ではリチウムイオン電池などを製造しており、携帯電話端末機向けでは国内最大、世界でもトップクラスのシェアを誇る。07年にスピンオフ上場させた傘下の比亜迪電子(00285)は、ノキア、モトローラなどの端末メーカーに部品を供給するほか、EMS(電子機器受託生産)、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)なども手がけている。このほか03年に参入した自動車事業は、比亜迪汽車有限公司を通じて「F3」シリーズなどの乗用車を製造・販売する。

優れた事業構成、バフェット氏による投資などでも有名

 国内7都市に主要な製造拠点を設置。08年6月中間期の地域別売上比率は国内69%、欧州8%、米国6%、インド3%など。セグメント別で見ると携帯電話用部品・組立サービスが43%、自動車31%、二次電池26%。同社は02年の上場以来、高成長を続けており、07年までの売上高の複利成長率は年率50%を超える。また、著名投資家のバフェット氏が率いる投資会社が08年9月に資本参加すると発表したことでも有名。このほか電池技術を活かしたエコカー(低公害車)の開発に積極的であり、08年12月に世界に先駆けてプラグインハイブリッド車「F3DM」の量産化に成功した。

足元は増収を維持、ただし利益率の悪化も

 08年6月中間期は売上高が123億9414万元で前年同期に比べ44%増えたものの、純利益は同7%減の5億9566万元にとどまった。粗利益率の低い携帯電話組立サービスが大きく伸びたことのほか、原材料価格の上昇、人民元高なども加わり、全体の粗利益率は同2ポイント減の約19%に低下。小幅減益の主因となった。電池事業全体は同1%増の小幅増収。リチウムイオン電池こそ同27%増収となったものの、電動工具の需要不振でニッケル電池は同15%減収にとどまったことなどが響いた。

 業績全体を下支えしたのは同71%増収の自動車事業。「F6」などの新シリーズを投入したことなどが奏功し、同期の販売台数は同94%増の7万2357台と急増した。

世界経済減速のマイナス影響も限定的

 08年下期から本格化した景気後退にともない、世界的な携帯電話端末の需要も、09年は減少に転じると予想される。電池、携帯電話用部品・組立サービス事業に対する受注減少、価格下落の圧力などは強まっており、業績へのマイナス影響は避けられないだろう。ただし、これも限定的であるとみられる。同社の各事業は垂直統合的な構造となっており、ワンストップサービスが提供できる。自動車も含めて中核部品の内製化も進んでおり、製品管理・コスト削減などが実施しやすい。さらに政府は電子情報産業の振興策で、有力企業の発展を奨励していく方針。二次電池などで有力外資と争う同社は、国内のハイテク企業として政策的な支援も見込めよう。

エコカーを柱とした自動車事業が中長期的な成長源に

 景気減速で拡大スピードが鈍化し、さらに外資との合弁企業が7割以上のシェアを占めている国内自動車市場で、同社の自動車事業は急速に成長している。高いブランド力・技術力を背景に、同社の08年通年の販売台数は前年比で7割増と高い伸びを示したもようだ。同社は将来有望とされるハイブリッド車、電気自動車などの先端分野で、技術的にも有力外資と渡り合える国内メーカーとしての地位を築いているといえよう。このブランド力は主力である低・中価格帯市場で、更なる追い風となる可能性が高い。さらに政府は低排出、低公害車の普及、国産技術の発展などを奨励しており、同社は中長期的にも政策的恩恵を享受できると思われる。

 世界的な環境問題の深刻化を受け、自動車は中長期的にガソリン車からエコカー主体に切り替わると見られる。この本命とされるのが電気自動車。同社は電池事業のノウハウを活かし、来年までに電気自動車を投入する見込みであり、国内外のエコカー市場で一定の地位を占める可能性がある。中長期的にみると自動車事業は同社の成長源になるといえよう。(畦田)

中国中鉄(チャイナレールウェイ)

 ―鉄道インフラの大手、大規模なインフラ開発が追い風に―
(00390 香港H株 内藤コードN0390 売買単位: 1000株)

鉄道インフラを主力とする世界的な総合建設会社

 鉄道インフラ建設を中核とする総合建設会社。主力事業はインフラ建設で、鉄道、道路、都市建設などを幅広くカバー。鉄道分野では中国鉄建(01186)と市場を寡占している。鉄道行政を所管する鉄道部の一部門を前身とする中央企業の中国鉄路工程総公司が実質支配者。2008年版「Fortune Global 500」の建設分野で、国内同業トップの世界4位にランクインしている。08年6月中間期の売上構成比はインフラ建設85.8%、工事設備・部品製造3.5%、調査・設計・コンサルティング2.0%、不動産開発1.6%。一方、セグメント別の利益構成比で見ると、それぞれ68.9%、5.1%、7.5%、15.6%となっている。

主力事業は好調を維持

 08年6月中間期の売上高は前年同期比26.6%増の930億元、純利益も同190.1%増の19億600万元(国際会計基準)と大幅増収増益となった。政府による積極的な投資を追い風に、鉄道インフラ建設の売上高が約5割増と好調だったことが主因。コスト削減効果も表れ、全体の粗利益率は8.0%と前年同期を0.4ポイント上回った。

 下期もインフラ建設事業は好調を維持している。政府は鉄道整備に積極的であるが、11月からは景気下支えの要素も加わり、動きが加速。同社はこの恩恵を享受し、全体での08年通年の新規受注額は概算で4000億元を超え、前年実績を約7割上回る見込み。これは07年通年の売上高の2.3倍に上る。

為替リスクが最大の懸念材料

 懸念材料として、為替リスクの高さが挙げられる。昨年下期から顕在化し、9月末までの累計の為替評価損は19億3900万元に上る。このため同社は08年通年でも50%以上の減益見通しを発表している(これらはすべて中国会計基準)。損失の発生源は07年12月のH株上場で調達した外貨資金。9月末で172億3800万元相当に上るこの資金は当局からの許可が下りないために、人民元に交換することができず、リスクにさらされている。

 このほか同社は効率性の面で競合する中国鉄建によりも見劣りする。08年中間期の粗利益率は8.0%と中国鉄建を0.7ポイント上回っているものの、効率性をみると会社組織の肥大化がみられ、従業員数は中国鉄建の約1.5倍、1人あたり売上高は8割に過ぎない。

大規模なインフラ開発を追い風に、業績拡大が見込める

 懸念材料である為替リスクについて、今年度には改善が見込まれる。元高基調の鈍化などを背景に、同社の保有する外貨資金の人民元への交換を当局が今後認める見通し。これによって、今後は同リスクが限定的なものにとどまると予想される。

 効率性については、同社は事業別経営体制の構築、傘下企業の整理をはじめとする組織再編を継続中。また、本業の収益力については、①08年の新規受注の価格水準は07年よりも高く、年末の価格水準も上期より有利、②主要原料価格の下落基調――などを背景に、今後も利益率の改善が見込まれよう。

 新規受注も、政府による積極的なインフラ投資により、今後も大きく伸びると予想される。08年11月に鉄道部が発表した中長期鉄道網整備計画によると、20年までに約4万kmの鉄道を新規建設し、総投資額は5兆元を超えるという。毎年3000億元以上を支出するとされ、09年は1万kmの新規建設、約6000億元の鉄道建設を予定している。業界大手であり、発注元の鉄道部との関係も深い同社は、この恩恵を直接享受できるといえる。すでに子会社を通じて1月に約250億元、2月は合計で450億元を超える大型受注を落札済み。今後も旺盛なインフラ投資を追い風に、同社の業績は拡大すると考えられる。(畦田)

中興通訊(ZTEコーポレーション)

 ―3Gインフラ投資の本格化で恩恵をフル享受へ―
(00763 香港H株 内藤コードN0763 売買単位: 200株)

 
大手通信設備メーカー

 中国の大手通信設備メーカーとして、携帯通信機器・携帯通信端末を中心に固定通信機器、光通信機器などを手がける。中国が自主開発した3G(第三世代移動通信システム)TD-SCDMAのトップメーカーで、中国政府の支援を受け、携帯電話サービス会社の中国移動通信集団公司(チャイナモバイル)がTD-SCDMA投資を本格化しているなか、最も恩恵を享受できる通信設備の総合メーカーとして注目度が高い。

08年の業績は2ケタ増収増益

 08年度業績は売上高が前年比27.4%増の442.9億元、純利益が同32.6%増の16.6億元。配当金は1株当たり0.3元であるほか、10株につき3株の株式分割(無償交付)も実施予定。

 技術革新と市場シェア拡大を背景に、国内販売が順調に伸びたことに加え、海外の大手通信サービス会社との協力関係強化も売上増加につながっている。具体的には2G(第2世代移動通信システム)のGSM、3G のTD-SCDMAとWCDMA、光通信機器など主力製品の販売拡大が業績の伸びに大きく寄与した。

3G投資の本格化で、09年も高成長を維持へ

 09年も好業績を維持する見通し。今年に入り、携帯電話サービス首位のチャイナモバイル、第2位の中国聯合網絡通信集団有限公司(チャイナユニコム)、固定電話サービス首位の中国電信集団公司(チャイナテレコム)が3Gへのインフラ投資・建設を加速させている。

 チャイナモバイルは1月、09年にTD-SCDMAの基地局を6万局追加し、588億元の設備投資を実施することを明らかにした。同計画によると、目標としてTD-SCDMAネットワークは238都市で8万の基地局を越え、中国の都市部が70%以上カバーされることになる。そして、11年までにTD-SCDMAのネットワークをほぼ中国の全都市に広げる計画もあり、その時点で基地局数は14.5万局に達するという。チャイナモバイルの経営陣は今後3年間におけるTD-SCDMAの投資計画を従来の総額1,000億元から1,500億元に増額修正していることから、10年のTD-SCDMA投資額は総額で約760億元に達すると見込まれている。

 また、チャイナユニコムは09年に3G(WCDMA)事業へ約600億元を投資することを明らかにしているほか、チャイナテレコムも向こう3年間でCDMA通信網のバージョンアップへ約800億元を投じるという。

 特に、中興通訊は中国においてTD-SCDMAだけでなく、CDMA方式もトップクラスのシェアを持つことで、チャイナモバイル、チャイナテレコムによる3Gへのインフラ投資拡大による恩恵を受けよう。

 ちなみに、直近に行われたチャイナテレコムのCDMA方式通信設備の入札で、同社は約30億元の受注を取ったもようだ。また、チャイナモバイルによるTD-SCDMA通信設備の2期目の入札では27%のシェアを確保した。

世界経済の悪化で3Gへの投資強化が追い風になる

 世界経済の落ち込みが厳しくなる中、世界の有力通信サービス会社は4G(第4世代移動通信システム)への投資を抑制する一方、第3世代や第3.5世代移動通信システムへの投資を増額することで、既存ネットワークの稼働率やパフォーマンスを最大限に引き上げる動きを強めている。中興通訊は技術革新を進めているが、その技術の中心は第2世代・第3世代の技術である。

 4Gの技術をリードしている海外大手に一歩遅れていることになるが、厳しい世界経済の環境下で4G の投資が控えられ、同社にとっては3Gの技術に強みを持つことが追い風になっている。

 中興通訊は09年にCDMA方式で約25%、TD-SCDMA方式で約30%のシェアを維持すると予想され、通信サービス会社による3Gのインフラ投資積極化で引き続き恩恵を大きく享受することになろう。(村上)

万科企業(シンセンバンカキギョウ)

 ―潤沢なキャッシュポジションを堅持、増益基調に転換期待―
(200002 深センB株 内藤コードN2150 売買単位: 100株)

沿海主要都市で展開する大手不動産デベロッパー

 同社は中国の珠江デルタ、長江デルタ、環渤海地域を中心に事業展開する大手デベロッパーとして、住宅開発、住宅管理などを手がけている。住宅開発事業が売上高の99%を占めており、地域別の売上高構成比は珠江デルタが37%、長江デルタが31%、環渤海が24%、その他が7%(08年12月期)。国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある中国華潤総公司が、華潤股フン有限公司などを通じて実質筆頭株主となっている。

08年の業績は増収減益

 08年度業績は売上高が409.9億元で前年比15.4%増えたものの、純利益は同16.7%減の40.3億元にとどまった。配当予定案は10株当たり0.5元。08年に中国不動産市場が大きな調整に見舞われたにもかかわらず、同社は堅調な売上増を達成した。

 純利益の減少は、不動産市況の調整に対応し、13の在庫物件について価格下落のための引当金12.3億元を計上したためである。この分を除くと、純利益は前年比微増になる。08年の不動産販売実績では、活況だった07年に比べ、販売面積で9.2%減の557万平方メートル(㎡)、成約金額は同8.6%減の478.7億元となったが、全国住宅市場に占める同社のシェアは、07年末より0.27ポイント増の2.34%に上昇した。

 また、08年末の手元流動性は年初より17.2%増の199.8億元で、資産負債状況が良好で、キャッシュフローも潤沢である。純負債比率は33.1%で、6月末より4.1ポイント低下し、健全な財務状況を維持している。

1-2月の不動産販売は大幅増

 万科企業の不動産販売は09年1-2月に急速な回復を見せている。1-2月の累計販売面積は前年同期比88.3%増の80.2万㎡、累計成約金額は同77.9%増の60.8億元となった。成約金額の前年同月比の増加は08年5月以来である。深セン市を中心に全国の不動産取引が活気を取り戻しつつあることに加え、同社の販促強化や、中低価格住宅の開発戦略が奏功した。ただ販売促進の一環として販売価格が引き下げられたため、1月の平均販売価格は7657元/ ㎡と、前月と前年同期よりそれぞれ422元/ ㎡、386元/ ㎡低下した。

 深セン市の不動産価格は、当面回復が続くと予想されている。足元の販売回復の兆しに伴い、在庫物件の消化が進んでいる。

 加えて、広東省政府は3月初めに不動産市場の刺激策を発表した。廉価賃貸住宅への財政補助の拡大、エコノミー住宅建設の促進、不動産転売に係わる税金の減免、香港・マカオ住民の広東省での住宅購入の内国民待遇の付与などが盛り込まれている。

 一方、同社は昨年の不動産市場の低迷の中、潤沢なキャッシュポジションを維持する方針を堅持し、不動産市場の調整期に短期的な規模拡大を過度に追求しない姿勢を貫いており、経営の健全性と安定性を保った。この姿勢が最近の土地取得にも反映されている。08年10月以降、僅か2つの物件を増やしただけで、土地取得に慎重な姿勢をとった。この結果、土地取得代金の支払い圧力は比較的小さい。

09年は増益の期待

 万科企業は08年に新規取得した土地面積が、持分換算で465万㎡にとどまっており、07年より469万㎡減少した。なお、増分の平均地価が2003元/ ㎡で07年より低下したこともあり、今後はより安いコストでの開発ができると思われる。

 さらに、08年末時点では、先行販売済みでまだ計上されていない販売面積は346.4万㎡、成約金額は273.4億元で、この分が09年の収益に計上される見通し。以上の要因により、同社の09年業績は08年を上回る可能性が大きいと予想される。一方、内外の景気動向に不透明性が残る中、予想外の景気低迷による不動産市況の大幅下落による業績の下振れリスクには留意したい。(高)

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