チャイナマンスリーレポート

5月号

2009年5月1日 内藤証券中国部

本土市場
高値警戒感強まるも根強い景気回復期待が下支え

 4月の本土株式市場は高値警戒感もあり、一時は利益確定の売りに押される場面もあったが、前月からの好地合いは崩れず、月後半にかけて再度高値追いの展開となった。

 3月中旬からじり高基調が続いていた上海総合指数だが、月初の1日には終値で2408ポイントと年初来高値を更新。米国市場の反発など外部環境の好転に加え、企業業績の底入れ感が支えとなった。その後、2400ポイント台でのもみ合いが続いたが、8日には前日比で3.8%の急落。前日の米国市場が大幅安となったうえ、それまでの株価上昇で高値警戒感が強まっており、利益確定売りが活発化したようだ。

 ただ、翌9日以降は再び買い気が盛り返し、13日には2500ポイントを突破するなど15日まで5営業日連続の上昇となった。米国市場が落ち着きを取り戻したことに加え、政府による新たな景気刺激策への期待、3月の銀行新規融資額が再び急増したこと、などが背景とみられる。

 一方、月末にかけては2500ポイント台でのもみ合いが続いた。16日に発表された注目の1‐3月期の実質GDP成長率は前年同期比6.1%増と引き続き減速したが、その他の景気指標を含めほぼ事前予想の範囲内で材料視されなかった。

 年初からの株価上昇で高値警戒感が強まっているものの、景気・企業収益に対する回復期待も根強いうえ、銀行融資の急拡大が示すように流動性も潤沢、株価が下押せばすかさず買いが入る状況となっている。08年12月期決算は大幅減益、赤字転落が続出するなど懸念されていた通りの展開となっているが、相場にとってはほぼ織り込み済みのようだ。売買代金の急増が示すように、市場心理は明らかに好転している。上海総合指数で2500ポイントを明確に上抜ければ売り物の薄い「真空地帯」に入ってくる。メインシナリオは引き続き2200-2500ポイントのボックス推移で変わらないが、予想外の高値に進む可能性も十分にある。(4/23 村上)

香港市場
外部環境睨みは続くが、不動産の回復が支えに

 4月の香港株式市場は本土市場同様、途中利益確定売りで足踏みする場面もあったものの、下旬にかけて年初来高値を更新するなど総じて好調な動き。

 3月中旬から上昇基調が続いていたハンセン指数だが、4月に入ってからも好地合いを引き継ぐかたちで上値追いの展開となった。2日には米国市場の続伸を受け前日比1002ポイント、7.4%高と急伸。特に、時価総額で大きなウエイトを占めるHSBCホールディングス(00005)が米国での時価会計見直し観測を背景に同15.3%の大幅高となったことが寄与した。さらに、6日には前営業日比3.1%上昇し、ザラ場で15147ポイントと15000ポイント台を回復した。

 その後、米国市場の下落もあり、いったんは利益確定売りが広がったものの、イースター休暇明けの14日には前営業日比で4.6%高の15580ポイントと今年1月6日以来の15000ポイント台乗せとともに、年初来高値を更新した。

 月後半にかけては米国市場、本土市場がともに一進一退の動きとなるなか、上昇ピッチの速さから高値警戒感も強まり利益確定売りが活発化、15000ポイント台でのもみ合いとなった。

 引き続き米国市場を中心とする海外株式市場や中国本土市場の動きなど外部環境に左右される展開が続くものと思われる。ハンセン指数は4月に入って一時は2200ポイント弱、率にして16%余り(4月20日時点)上昇しただけに、利益確定の売りも出やすい水準にある。米国市場の先行きに依然不透明感が残っていることも利益確定を促す要因となろう。ただ、本土市場が引き続き上昇基調を辿れば、H株中心に本土関連銘柄の一段の水準訂正が期待できよう。また、香港市場独自の材料として不動産市場の底打ち観測が出てきており、不動産関連株に見直し買いの機運が高まりつつあることもプラスだ。(4/23 村上)

江蘇高速道路(ジャンスエクスプレスウェイ)

 00177〈N1010〉香港

中国本土最大の上場道路企業、収益は相対的に安定

 同社は江蘇省を本拠地とする中国本土最大手の上場道路企業。中核資産は上海南京高速道路の江蘇省区間であり、それ以外に312国道の上海南京区間、錫澄高速、広靖高速、寧連道路南京区間、蘇嘉杭高速江蘇区間、江陰長江道路大橋などの、江蘇省における道路使用料の全部あるいは、一部の権益を有している。特に上海南京間高速道路は、上海、蘇州、無錫、常州、鎮江、南京の6つの大・中都市を結んでいる。同社が中国で最も経済的に発達している長江デルタ地域において運営・管理している道路の総延長は700キロを超える。

 同社をはじめ道路セクターの収益は他の運輸関連産業と比較して、相対的に景気との連動性が低い。①道路会社は交通量に応じて減価償却を行っている、②道路維持コストなども交通量に応じて計上する、などが収益の安定化につながっている。

08年12月期は小幅減益、09年業績は回復へ

 08年12月期は前年比0.5%増収、純利益で同3.1%減益に。売上げの76%を占める道路料金収入は同5.2%の減収。これは、景気減速の影響に加え、①08年1月の大雪による交通量の減少、②上海南京高速道路の上海部分の拡張工事による通行止め、③「緑の通路」政策の導入による生鮮食料品積載車輌の料金免除、④ 四川大地震救援物資積載車輌の料金免除、などの一時的要因があったため。ちなみに、同社の主力路線である上海南京高速道路の1日平均交通量は46,315台、前年比で4.3%の減少。

 一方、続く09年12月期業績は回復に向かう見通し。上海南京高速道路の拡張工事は既に完了したことから、09年における同路線の交通量の伸びは5%程度が期待できるため。また、金利水準の低下による支払利息の軽減も寄与しよう。

 なお、08年12月期は0.27元の配当を予定しているが、09年12月期も引き続き安定した配当が期待できよう。

東風汽車集団(ドンフォンモーターグループ)

00489〈N0489〉香港

普通乗用車で業界第3位の大手自動車メーカー

 日産自動車、プジョー・シトロエンやホンダとそれぞれ合弁会社を設立し、乗用車、商用車を製造する。昨年末時点での年間生産能力は乗用車91万台、商用車40万台、エンジン146万台。08年の国内販売シェアは乗用車で10.8%、商用車で12.6%を占めた。

 08.12期は売上高が前年比19.0%増の705.7億元、純利益で同7.2%増の40.4億元となった。配当に関しては0.045元の予定(5月15日権利落ち)。08年の自動車販売台数は乗用車、商用車ともに業界平均を上回った。ただ、商用車は上期に22万1千台の販売を達成したが、下期の販売台数は上期の反動や景気動向に対する不透明感を受けて11万台と大きく落ち込んだ。一方、乗用車は年間を通して好調だった。通期の販売台数が72万7千台と、前年比14.0%増加して業界平均を6.7ポイントも上回った。特に、SUV車の「CR-V」が好調で、販売台数は同75%増の8万台とSUV市場ではトップの販売台数を記録した。また、昨年投入した「c-Elysee」も年間で5万5千台を販売した。

景気対策の後押しを受けて09年は小型車が拡大へ

 昨年下期と同様に、09年も商用車市場は厳しい状況が予想される。1-3月期の業界全体の販売状況を見ても商用車は前年同期比6.1%減少しており、同社も商用車の販売では苦戦を強いられよう。だが一方、業界全体で小型乗用車市場の拡大が見込まれる。年初に政府が自動車産業の振興策を発表し、排気量1.6L以下の乗用車に対する車両取得税の減税や、排気量1.3L以下の小型乗用車購入に対する農民への財政補助が盛り込まれた。この影響等で乗用車の販売台数は回復に転じており、同社も恩恵を大きく受けると考えられる。昨年、乗用車の販売台数で業界平均を上回る高い伸びを示しただけに政府の景気対策による後押しは商用車のマイナス分を補い、更なる成長をもたらすものと期待される。

北京京客隆(ペキンジンクーロン)

00814〈N8245〉香港

北京を本拠に事業を展開する卸・小売チェーン

 「京客隆」ブランドの下で北京とその周辺に計242店舗(08年末)のハイパーマーケット、スーパーマーケット、コンビニエンスストアを直営方式とフランチャイズ方式で経営している小売チェーン。卸売にも進出しており、調達から販売までの一貫した活動の提供をビジネスモデルにしている。

 08.12期業績は、売上高が前年比18.7%増の66.9億元、純利益が25.8%増の1.6億元。小売事業が対外売上高の46.2%、卸売事業が53.7%を占め、それぞれ前年比15.1%、21.9%増収。セグメント利益は小売事業が同73.4%増の1.8億元、卸売事業は同7.9%増の2.0億元。粗利益率は卸売事業で同0.8ポイント上昇し10.3%、小売事業も0.9ポイント上昇の16.7%となった。小売大手の聯華超市(00980)と比べても、収益性や一人当たり売上高・営業利益が高い。

地域集中出店と事業効率化で安定成長へ

 小売・卸売事業が一体となって商談に臨むことで、仕入先に対する交渉力を強めている。大半をメーカーから直接調達し、粗利益率が比較的高いプライベートブランド商品もメーカーとともに開発している。販売時点情報管理(POS)、仕入れ・配送システム、データウエアハウスなどのソフトウエアに積極的な投資を行った。これにより無駄な在庫を圧縮できるほか、小売店で新しい流行を把握し、優良商品の調達も確保できる。

 小売事業用の物流センターに日本のデジタルピッキングシステムを採用するなど、事業の効率化に重点を置いている。生鮮食品の物流センターはISO 9000などの承認を受けており、北京オリンピックの生鮮食品サプライヤーにも選任された。

 今後3~5年引き続き北京周辺に集中して、年間40店舗前後を開店する予定。同社の主力商品は食品などの日常必需品で、景気減速の影響を受けにくいうえ、今までの地域集中型発展・事業効率化戦略で業績は安定的な拡大が見込まれる。

平安保険(ピンアンインシュランス)

02318〈N2318〉 香港

保険事業を中核とする総合金融グループ

 中国の保険大手で、生命、損害、医療、年金など各種保険サービスの提供に加え、傘下に銀行、証券などの子会社を持つ総合金融グループ。匯豊控股有限公司(00005、HSBC)が大株主。08年本決算は売上高が前年比31.1%減の951億9200万元、純利益が同98.6%減の2億6800万元で大幅減益となった。主要収入源の元受保険料収入は同20.0%増の980億1000万元と堅調を維持したものの、市況悪化で投資損益が74億1600万元の赤字に転落し、大幅減益に繋がった。特に海外投資が悪化し、欧州金融大手であるフォルティス・グループへの投資に対する227億9000万元の減損計上が響いた。ただ、同社のソルベンシーマージン(保険金の支払い余力)は目安の200%を上回っており、十分な支払い余力がある。

堅調な保険料収入の伸びが中長期的な魅力に

 懸念材料としてフォルティス・グループを含む海外投資がある。だが、すでに同社への投資元本の9割以上を減損処理済みであり、追加的な損失の発生は限定的だ。国内の運用環境も4月時点では08年より好転。09年に入り同社の保険料収入は順調に伸びており、1-3月の累計保険料収入は前年同期比37.2%増。伸び率は生保最大手の中国人寿保険(02628)の1.8%を大きく上回る。総じて良好な販売力、同社商品への高い評価などを背景に、積極的な営業戦略などが奏功している。

 さらに強みとして、同社のユニバーサル保険(貯蓄・保障両面の性格を持つ自由度の高い保険)があげられる。利下げ基調を背景に銀行預金の魅力が薄らぐなか、資産運用の選択肢として人気を集めている。同社は同分野でのパイオニアであり、同業に比べて支払い余力も優れている。利下げ基調はこの先も続くと思われるが、優れた販売力などを活かして高い保険料収入の伸びを維持し、中長期的に株式市場の反転が見込まれる現状において、投資魅力が広がると思われる。

中国人寿保険(CLIC)

02628〈N2620〉香港

業界シェアで4割を占める中国最大手の生命保険会社

 個人向けや団体向けの生命保険、傷害保険等を取扱う同社は個人向け生命保険に強みを持ち、08年の収入保険料で見た業界シェアは4割に達する。また、中国全土に幅広い営業網を展開し、08年末時点で保険外交員が70万人以上、提携金融機関の店舗数も約9万4千カ所を備える。

 08.12期の純利益は前年比45.3%減の212.8億元、EPSで同45.7%減の0.75元と、大幅な減益になった。投資環境の悪化に伴い08年の総投資利回り(評価損を含む)が07年の10.2%から3.4%に低下するなど、主に運用成績の不振が業績の足を引っ張ったためだ。一方で、保険事業は個人向けを中心に順調な拡大を見 せている。08年の総収入保険料は前年に比べ16.7%増加して1216億元に、総資産も同11.9%増の1兆448億元となった。

市場環境の好転によって09年は業績回復へ

 09年に入り投資環境は好転。昨年後半からの金融緩和の影響で債券市場は底堅く、株式市場も矢継ぎ早に発表される政府の景気対策等を受けて年初から堅調に推移している。そのため、現時点で同社の運用資産に評価益が発生しているものと予想される。また万一、株式市場が軟調な展開になったとしても、運用資産に占める株式の比率を07年末時点の23%から08年末で8%まで低下させており、今期に巨額の損失が発生することはないだろう。

 さらに、ソルベンシー・マージン(保険金等の支払い余力を示す指標)が08年末時点で310%を維持するなど、良好な財務内容も同社の事業拡大に寄与しよう。中小の保険会社は昨年の相場低迷を受けて財務内容の悪化が懸念されており、高い支払い余力や信用力はシェアの拡大をもたらす可能性が高い。社会保障の脆弱な中国で高い成長が期待される生保市場、その中で同社は強いブランド力を背景に高成長を続けよう。

株洲南車(ジュージョウCSR)

03898〈N3898〉香港

鉄道車両用車載電装システムで圧倒的なシェアを誇る

 鉄道車両用車載電装システムのトップ企業。鉄道車両用整流器、補助電源供給・制御システム、列車運行安全装置、大型保線機械の電気制御システムなどが主力。パワー半導体デバイス、センサーなど電気部品分野も手がける。

 国内の鉄道事業は中央政府主導であるため、鉄道設備メーカーにとっては出荷製品の信頼性と安全性が強く求められるほか、大口ユーザーである鉄道事業の監督・管理部門との関係も極めて重要。同社は国策企業として、政府から鉄道関連設備を優先的に受注できるほか、実質筆頭株主である中国南方機車車輌工業集団公司向けの製品供給もほぼ独占的なシェアを持つ。

二ケタ増収益が続く、鉄道インフラ投資拡大によるメリット大

 08年12月期業績は前年比37.5%増収、純利益で同21.6%増益と好調。高速電車用車載電装設備向けに輸入部品の利用が増えたことでコスト増につながり、粗利益率はやや低下したが、売上げの拡大でカバーした。

 09年以降の業績についても、高速列車(時速200~300㎞)向けの車載電装システムの受注増、高出力のAC(交流)機関車市場でのシェア拡大のほか、地下鉄向けの電気けん引・制御システム事業も需要拡大から成長が予想され、引き続き2ケタの増収増益を維持する見通し。ちなみに、09年1-3月期も前年同期比14.8%増収、純利益で同14.4%増益と順調。

 中央政府は第11次5カ年計画(06~10年)期間中に、鉄道網の拡張や高速化を計画しており、鉄道車両についても新車投入、技術改良を積極的に進める考えだ。中国鉄道部は20年までに約4万 の鉄道を新規に建設、投資額で5兆元を超える中長期の鉄道網整備を計画。鉄道車両については、向こう2年間で車両購入に約3000億元を投じるという。こうした鉄道インフラ投資ブームを受け、同社をはじめ鉄道車両関連企業は大きなメリットを受ける見通し。

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