チャイナマンスリーレポート

6月号

2009年6月1日 内藤証券中国部

本土市場
高値警戒感強まるも潤沢な流動性が下支え

 5月の本土株式市場は月初から急伸、その後も中旬にかけて高値追いの展開が続いたが、月後半には上基調も一服、一進一退の動きとなった。

 高値警戒感の強まりを背景に、4月後半には調整局面入りが意識された上海総合指数だが、メーデー連休明けの4日には前営業日比3.3%高と急伸、終値で2559.9ポイントとほぼ2週間ぶりに2500ポイント台を回復した。前週末に米国市場が直近高値を更新したことや、1日に発表された4月の購買担当者景況感指数が5ヵ月連続の改善となったことを好感した。その後もじり高基調が続き、8日には終値で2625.6ポイントと約9ヵ月ぶりに2600ポイント台に乗せた。ただ、さすがにこのレベルでは再度高値警戒感が強まり、利益確定の売りも活発化、加えて米国市場にも頭打ち感が出てきたことから上昇の勢いは鈍り、高値圏でのもみ合いとなった。さらに、月末にかけても米国経済に対する先行き不安の再燃、国内でのIPO再開観測、などから一進一退の動きとなった。

 昨年末からの上昇率が一時50%弱にも達したことに加え、株価の戻りピッチも急速であったことから高値警戒感は一段と強まっている。PER、PBRなどのバリュエーション指標を見ても割高感はないが、一時の大幅な割安感は株価の回復とともに消失しつつある。ただ、上海、深セン両市場を合わせた売買代金は引き続き2000億元前後で推移するなど、市場への資金流入は高水準が続いている。依然として買い意欲が根強いことの現われといえよう。銀行融資の拡大ピッチは4月に入ってさすがに鈍ってきたが、これまでの累積で流動性が潤沢であることに変わりはない。したがって、株価が下押せば押し目買いが入るパターンに変化はなさそうだ。一方で、この水準から一段の上値を買い上がるにはやや材料不足の感がある。今後の、国内マクロ経済指標の動き、政府の新たな経済対策の有無、世界経済の回復動向、などが当面の注目点となる。(5/25 村上)

香港市場
外部環境睨みは続くが、海外資金の流入が支えに

 5月の香港株式市場は本土市場同様、月初から急伸、中旬にかけて年初来高値を連日更新するなど好調な動きが続いたが、下旬にかけては高値圏でのもみ合いとなった。

 4月下旬にかけ調整気味の展開が続いていたハンセン指数だが、5月月初の4日には前営業日比で860ポイント、5.5%高と急伸、終値で16381ポイントと年初来高値を更新するとともに昨年10月以来の16000ポイント台回復となった。その後も連日高値更新が続き7日には17000ポイントを突破、11日にはザラ場で17685ポイントまで上昇した。米国市場が直近高値を更新したことに加え、中国本土市場も堅調な展開が続いたことで買い安心感が広がった。14日には前日の米国市場が景気の先行き不安再燃を背景に急落したことを受けて前日比5 1 8ポイント、3 . 0%の大幅安となり再び16000ポイント台に反落したが、その後は再び買い気が盛り返し19日には終値で17544ポイントと年初来高値を更新した。一方、月末にかけては米国市場、本土市場がともに一進一退の動きとなるなか、17000ポイント前後でのもみ合いとなった。

 引き続き米国市場を中心とする海外株式市場や中国本土市場の動きなど外部環境に左右される展開が続くものと思われる。ハンセン指数は3月9日の本年安値11344ポイントから、5月19日の17544ポイントまで50%を超える急上昇となっているだけに、利益確定の売りも出やすい水準にある。米国経済の先行きに依然不透明感が残っていることも利益確定を促す要因となろう。ただ、このところ世界の金融市場の安定化を背景に、新興国株式市場へのリスクマネー回帰が言われている。米国の投資信託販売状況からも、特に、アジア市場への資金流入が明らかになっており、こうした投資資金が株価を下支えよう。また、中国本土同様に不動産市場の底打ち観測が強まっており、不動産関連株に見直し買いの機運が高まりつつあることもプラスだ。(5/25 村上)

中国食品(チャイナフーズ)

 00506〈N7100〉香港

政府系企業が筆頭株主の大手食品メーカー

 ワイン、飲料、食用油、菓子の4つの事業を展開する。中でもワインの「長城」ブランドは有名で中国三大ワインの一つ。これ以外にも、食用油の「福臨門」、チョコレートの「金帝」など、有力なブランドを持ち、飲料事業では合弁会社を通じて「コカ・コーラ」ブランドも取扱う。08.12期の売上高構成比は、ワイン事業20%、飲料事業32%、食用油事業46%、菓子事業2%。07年3月に農産物の加工を手掛ける中国糧油控股(00606)を分離上場させるなど、大幅な事業再編を行い、同年4月には社名を中国糧油国際(コフコ・インターナショナル)から現在の社名に変更した。

 08.12期の業績は売上高で前年比46.2%増加したものの、純利益が同38.9%減少した。ただ、大幅な減益となったのは07年に行った事業再編の影響が大きい。この影響を除き、継続している中核事業の利益を比較すれば、純利益ベースで同34%の増益となる。実際、メラミン混入問題等で業績の悪化した菓子事業以外は好調で、各部門のセグメント利益はワイン事業が同28.9%増、飲料事業で同146.7%増、食用油事業も黒字に転換した。

09.12期もワイン、飲料事業を中心に高い成長へ

 昨年、ワイン事業では販売員を07年の三百人超から六百人超の体制にするなど、直販体制を強化した。これにより自社の販売戦略を浸透させ易くなった他、流通段階のコスト削減にも効果を発揮した。品揃えの充実や販売価格の上昇もあってワイン事業の利益率は向上しており、この傾向は今後も続こう。また、飲料事業では米コカコーラ社が中国での事業展開に積極的だ。同事業はワイン事業に次ぐ収益の柱だけに同社に大きな恩恵をもたらそう。食用油事業も収益の改善が予想される。昨年、原材料の高騰や政府による食品価格への干渉を受けて苦戦を強いられたが、年末には価格干渉措置が解除され、原材料の穀物価格も昨年前半と比べて大きく低下している。近年、中国では食への安全意識が芽生えており、同社のように有力ブランドを保有する食品メーカーは高い成長を続けよう。

東方電気(ドンファンエレクトリック)

01072〈N1360〉香港

発電設備メーカーの大手、08年業績は増収減益

 東方電気は、大手国有企業である東方電気集団公司傘下の発電設備メーカー。主力製品は水力タービン発電設備、蒸気タービン発電設備、風力発電設備、発電所用ボイラー、発電所用蒸気タービン、脱硫装置など。08年12月期の売上げ構成比は、火力発電設備74.8%、水力発電設備9.6%、風力発電設備9.6%、その他6.0%。

 08年12月期は売上高272億元、前年比12.8%増、純利益4.8億元、同78.4%減となった。①原材料、特に大型鋳造部品、鉄鋼・非鉄金属部品の価格上昇、②大容量製品の売上構成比が高まり、海外調達比率が上がった、③四川省地震後の生産復旧のため、生産コストが上昇した、④四川省大地震によって合計15.4億元の一時的損失が計上された、などが背景。

09年業績は回復へ、代替エネルギー関連事業が急拡大

 09年1‐3月期も売上高72億元、前年同期比21.2%増、純利益3.2億元、同25.0%減と減益基調が続いた(中国会計基準、未監査)。販売費用、金融費用が増加したほか、四川省地震関連の費用が引き続き計上されたため。ただ、今後は受注の好転に加え、原材料価格の低下も見込めるため業績は回復に向かう見通し。

 代替エネルギー関連事業が拡大している。08年の風力発電設備の売上高は26.2億元、前年比4.7倍、09年1-3月は13.7億元、同165%増と急増ペースが続いている。受注残の状況からみて10年には売上げ構成比で20%に近づく見通し。原子力関連の受注も伸びている。08年の原子力関連設備の売上高は全体の2%程度に過ぎないが、昨年獲得した新規受注700億元のうち原子力関連設備の割合は23.5%にまで拡大している。売上げ計上が見込まれる3-5年後には大きな収益源となってくる見通し。

中国中材(チャイナナショナルマテリアルズ)

01893〈N1893〉香港

中国大手建材メーカー、08年本決算は2ケタ増収増益

 同社は新型乾式セメント生産ラインのEPC(設計、調達、施工)事業を主力としているほか、セメント、ガラス繊維、ハイテク・新素材の生産も手がける。特に、世界最大のセメント製造設備・設置工事メーカーとして、国内市場で大きなシェアを保ちながら、海外市場の開拓にも積極的に取り組んでいる。

 08年通期の業績は売上高が前年比21.8%増の252.4億元、純利益は同16.0%増の5.6億元だった。セメント生産事業を中心に製品価格の引き上げ、省エネルギー、コスト管理強化などが奏功し、粗利益率が16.4%から18.1%に1.7ポイント上昇したことが2ケタ増益の背景。

 同社のセメント生産事業の主要市場は、江蘇省、広東省などの東南部地域および、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区などの西北地域。西北地域は東南部地域に比べ、インフラ整備が遅れているが、最近の景気刺激策の一環として、政府は多くのインフラ整備計画を予定しており、同地域の投資需要およびセメント需要は一層刺激され、同社のセメント生産事業もその恩恵を大きく受けると見られる。

09年度は引き続き好業績の予想

 09年の業績を展望すると、ガラス繊維事業は伸び悩むものの、ほかの事業の好調が補い、2ケタの増収増益が予想される。ガラス繊維事業の収益は08年第4四半期から伸び悩んでおり、この傾向が09年にまで続く可能性が高い。ただ、ガラス繊維以外の事業は引き続き増益基調を維持すると見込まれる。セメント製造設備・設置工事事業は、豊富な受注残のほか、鋼材価格の低下のメリットを受けている。ちなみに、08年末時点で同事業の受注残は約475億元で前年比53.9%増。また、セメント生産事業では、09年末までにセメントの生産能力を最大1億トンに引き上げる目標を立てている。西北地域での旺盛な需要、生産能力の拡大によって、同事業は09年に高成長が望める。

紫金鉱業(ズージン・マイニング)

02899〈N2880〉香港

中国で最大規模の紫金山金鉱を有する大手金鉱会社

 金の探査、採掘、精製、販売を行うほか、銅、亜鉛、鉄やその他のレアメタルも取扱う。08年末時点で保有鉱山の推定埋蔵量は、金701.5トン、銀1700トン、銅964万トン、鉛・亜鉛528万トンなど、各種の鉱 物資源を豊富に保有する。ただ、同社の中心は金関連事業。鉱石からの金生産量は08.12期で28.5トンに達し、国内シェアの12%を占める。同期の売上高構成比を見ても6割以上が金関連事業によるもの。

 08年、世界的な金融危機の影響で商品価格は大幅に下げた。同社でも銅カソードの販売単価が前年比16%、亜鉛地金も同44%下落するなど、大きな影響を受けた。特に08.4Qに亜鉛と銅の価格が大きく崩れたことで、08.12期の粗利益率は36.7%と前年に比べ2.7%ポイントも低下した。しかし一方で、金価格は堅調だった。先進国の景気後退から米ドルやユーロが急落し、金への資金回避の動きが起きたためだ。同社の金の販売単価も1g当り196元と前年比16%上昇。これにより、同期の純利益は前年比20.1%増と、二桁の伸びを確保した。

09.1Qは販売量の増加で増収増益に

 09.1Qも金以外の販売単価は前年同期に比べて大きく落ち込んだ。だが、同社ではその影響を販売量の増加で補った。利益率の悪い金加工品の販売量が伸びたことで09.1Qの粗利益率(中国会計基準、以下同じ)が前年同期に比べ12.8%ポイント低下して28.2%になるなどの副作用もあったが、販売量の増加等によって同期の業績は前年同期比38.4%増収、純利益で同20.6%増益を達成した。今後も販売量の拡大が同社の好調な業績を支えよう。また、商品市況も回復しつつある。実際、銅や亜鉛などの市場価格は09年に入り上昇し、金も高水準を維持している。世界経済の回復が確信できない今、08年前半までのような活況な商品市況は想定しづらいが、中国など一部で景気回復の兆しが見えることから商品市況は底堅い動きを示し、同社にも恩恵をもたらそう。

中国南玻集団(ナンポウガラステクノロジー)

200012〈N0550〉深セン

本土系大手総合ガラスメーカー、09年業績は回復へ

 本土の大手総合ガラスメーカー。本土系企業のなかでも幅広い用途のガラス生産を行い、技術面での優位性も高い。板ガラス分野では、平滑性と透明性で優れたフロートガラス生産ラインを国内でいち早く導入、自動車向けの高級フロートガラスにも対応できる。

 08年12月期に続き、09年1-3月期も、前年同期比11.0%減収、純利益で同68.7%減と減益が続いた。これは、①景気低迷による需要減少、②前年同期に為替差益、投資収益などが計上されていた、などのため。なお、会社側では09年上半期業績も同56%減益の予想を発表している。しかし、年後半から業績は回復に転じる可能性が高い。①主力のフロートガラスは業界の在庫状況も4ヶ月連続で改善し、価格も下げ止まり感が強まっている、②建築用ガラス事業は09年前半の受注実績から安定した利益の増加が見込まれる、などが背景。

太陽光発電事業が新しい成長のドライバーに

 08年から太陽光発電分野に参入している。宜昌市の多結晶シリコンプロジェクト、東莞の太陽光発電用超クリアガラスプロジェクト、東莞太陽電池プロジェクトが足元で進行中である。東莞太陽電池事業は不況の影響で稼動初年度の08年に赤字となったが、軌道に乗った東莞の超クリアガラス工場の運営は順調で、09年中に2つ目のラインが稼動し始めると見られる。宜昌プロジェクトは08年末に試運転に成功し、足元は本格生産に向けたシステム調整を行っている。現在は世界的な景気減速と資源価格の下落で、多結晶シリコンなど太陽光発電関連製品への需要も軟調。しかし、中長期的には石油資源の枯渇、中国政府による太陽光発電産業の促進政策、技術革新によるコスト圧縮などが、太陽光発電市場の拡大を支えよう。同事業は今後中長期的に同社の業績拡大の牽引役として期待される。

長安汽車(チョウアンオートモービル)

200625〈N0850〉深セン

中国大手自動車メーカー、08年は大幅減益に

 同社は中国大手自動車メーカーで、「長安之星」シリーズのバン、長安ブランドの小型トラックなどが主な製品。子会社には、フォード、マツダとの合弁会社「長安福特馬自達汽車有限公司」(長安フォ ードマツダ)、スズキとの小型車の合弁会社「重慶長安鈴木汽車有限公司」(長安鈴木)などがある。深セン証券取引所に上場する江鈴汽車股フン有限公司にも間接出資している。

 08年12月期の売上高は133.8億元、前年比2.5%減、純利益は2438万元、同96.3%減と大幅減益。08年グループ全体の生産・販売台数は、それぞれ前年比2.8%減の83.1万台、0.2%減の83.5万台。ただ、販売台数は引き続き国内の上位4位を占めている。原料・エネルギー価格の上昇、世界金融危機による実体経済への打撃などで、自動車の需要が低下し、競争が激化しているなか、販売台数の落ち込み、製品構成の変化などが減益の主因となった。

減税と「汽車下郷」の寄与で09年業績は回復へ

 09年に入り、同社の自動車販売は好転している。1-4月の販売台数(本社と子会社5社、速報値)は前年同期比22.3%増の41.6万台で、うち本社の自動車販売台数は44.5%増の12.2万台、長安フォードマツダは1.8%増の8.3万台。一方、長安鈴木は11.1%減の4.5万台となった。

 09年通期の業績を展望すると、小型車に対する自動車購入税の引き下げおよび、政府の「汽車下郷」政策(農村部での自動車普及策)が業績回復の追い風になると思われる。同社の製品は約7割がこれらの支援策の恩恵を享受すると見られるほか、新型車投入の計画もあり、09年の収益は改善する可能性が高い。

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