チャイナマンスリーレポート

7月号

2009年7月1日 内藤証券中国部

本土市場
潤沢な流動性を背景に一段高の可能性も

 6月の本土株式市場は月初から急伸、中旬にかけては高値圏でのもみ合いとなったが、月後半には再び上昇基調を強める展開となった。

 高値警戒感が強まるなか、米国経済に対する先行き不安の再燃、国内でのIPO再開観測などから5月後半には調整局面入りが意識された上海総合指数だが、月初の1日には前営業日比3.4%高と急伸、終値で2721.2ポイントと昨年8月以来ほぼ10ヵ月ぶりに2700ポイント台を回復。前週末に米国など海外市場が軒並み上昇したことや、原油、非鉄金属、バルチック海運指数など国際商品市況の上昇を背景に関連銘柄が買われた。その後もじり高基調が続き、10日には終値で2816.2ポイントと2800ポイント台に乗せた。ただ、さすがにこのレベルでは高値警戒感が強まり、利益確定の売りも活発化、加えて米国市場にも頭打ち感が出てきたことから上昇の勢いは鈍り、2700ポイント後半でのもみ合いとなった。一方、月後半にかけてはじり高の展開。景気回復に対する根強い期待感や高水準な銀行貸出しの継続観測などが背景。

 昨年末からの上昇率が一時60%強にも達したことに加え、PER、PBRなどのバリュエーション指標を見ても割安感は消えつつあり、高値警戒感が強まっていることは事実だ。ただ、日々の売買代金は引き続き2000億元前後で推移するなど、豊富な流動性を背景に市場への資金流入は高水準が続いている。株価が下押せば押し目買いが入るパターンに変化はなく、依然として買い意欲は強い。物色対象も広がりを見せてきた。現状はまさに金融相場の様相を呈しているが、過熱にまでは至っていない。当面は上海総合指数3000ポイントがメドとなろうが、今後のマクロ経済指標、政策動向、海外市場動向(特に、ニューヨーク市場)等によっては、金融相場には行き過ぎが付き物だけに、さらに一段高も有り得る状況となってきた。(6/24 村上)

香港市場
米国市場中心に外部環境睨みは続くが、基調は強い

 6月の香港株式市場は、月初に急伸したものの、中旬にかけては高値圏でのもみ合い、後半には弱含みに転じた。

 5月下旬にかけ米国市場、本土市場がともに一進一退の動きとなるなか、17000ポイント前後でのもみ合いが続いていたハンセン指数だが、5月末から6月月初にかけて3日連騰となり、6月1日の終値は18888ポイント、前営業日比で717ポイント、3.9%高と急伸、年初来高値を更新した。前週末の米国市場が高く終わっていたことに加え、国際商品市況の上昇で海運、非鉄金属、石油など関連銘柄が買われたことが背景。ただ、その後は米国市場が頭打ちとなるなか、高値警戒感も手伝い利益確定の売りが活発化、9日にはザラ場で18000ポイントを割り込んだ。しかし、翌10日には前日比4.0%高とすかさず反発、さらに12日にはザラ場で19161ポイントの高値を付けた。長期金利の上昇懸念が薄らいだことから不動産、金融などのセクターが買われた。一方、月後半にかけては米国市場が調整色を強めたことから、もみ合いながらもやや弱含みの動きとなった。

 引き続き米国市場を中心とする海外株式市場や中国本土市場の動きなど外部環境に左右される展開が続くものと思われる。ハンセン指数は3月9日の本年安値11344ポイントから、6月12日のザラ場高値19161ポイントまで70%弱の急上昇となっているだけに、利益確定の売りも出やすい水準にある。米国経済の先行きに依然不透明感が残っていることも利益確定を促す要因となろう。ただ、世界の金融市場の安定化を背景とした新興国株式市場へのリスクマネー回帰が一巡したとは考えにくい。米国の投資信託販売状況からも、特に、アジア株ファンドへの資金流入が続いており、こうした投資資金が株価を下支えよう。米国市場は経済指標の動きに一喜一憂する展開が続くと思われ、香港市場もその影響を受けようが基本的には上昇基調が続くと考える。(6/24 村上)

ミスター康(ディンイー)

00322〈N0320〉香港

即席めんのトップメーカー、飲料分野へも展開

 天津市を本拠に、中国本土で即席めん(袋めん、カップめん)、飲料(ペットボトル入りの茶・ジュース等)、焼き菓子(クッキー・ビスケット等)、などの製造・販売を手がける。08年12月期の売上げ構成比は、即席めん48.8%、飲料45.0%、焼き菓子3.5%、その他2.7%。

 90年代に中国即席めん市場の拡大とともに成長してきた食品企業。即席めん市場で51.4%(09年3月末時点、以下同)のトップシェアを持つほか、飲料事業では、茶飲料が45.7%で1位、ミネラルウォーターは17.3%でトップクラス、ジュースは14.3%で3位など各事業分野で高シェアを持つ。

大幅増収益が続く、販売網の拡大と農村部への展開に注力

 08年12月期業績は、売上高42.7億米ドル、前期比32.9%増、純利益2.6億米ドル、同33.7%増と大幅な増収益を達成したが、09年1-3月期も売上高11.8億米ドル、前年同期比21.3%増、純利益0.9億米ドル、同42.5%増と好調を持続。原料パームオイルの価格低下により即席めん事業の粗利益率が高まったことが寄与した。同社はパームオイルの価格が相対的に低い時期に在庫を大きく増やしているため、09年通期でもより高いマージンを維持できると見られる。

 小売販売網の拡大に引き続き注力している。09年3月末時点の直接契約小売業者数は70,688と08年末から1,592増加。直接契約小売業者との取引を強化することで販路の拡大を図っている。また、現在、同社の販売拠点は主に都市部地域にあるが、郊外地域へのカバーも着実に進んでいる。09年から天津や蘭州などの地域において、契約卸売業者と共同出資で運送車を購入し、郊外・農村の小売業者の開拓や輸送ネットワークを拡大する戦略を打ち出している。郊外・農村市場の本格的な開拓は中長期の業績成長のドライバーとしても注目される。

上海実業(シャンハイインダストリアル)

00363〈N3290〉香港

上海市政府系の大手コングロマリット

 医薬品事業、消費財事業(タバコや乳製品等)、不動産事業(不動産開発やホテル経営)、インフラ事業(高速道路や上下水道)などを手掛ける投資持ち株会社。SMIC(00981)や光明乳業(600597)等、複数の上場企業も傘下に収める。08.12期の売上高構成比では医薬品41%、消費財28%、不動産23%、インフラ7%だったが、利益面ではインフラと不動産事業で全体の6割近くを稼いだ。

 08.12期の業績は前年比51.0%増収、純利益で同7.1%増益。昨年発覚したメラミン混入問題で乳製品が販売不振に陥り、消費財事業は減益となったが、他の事業は好調であった。特に、不動産事業は07年に買収した「上海城開(集団)有限公司」が事業規模の拡大に貢献し、08年増収分の6割以上を同事業が占めた。また、インフラ事業は「滬杭高速公路(上海区間)」の買収等によって同事業の売上高を前年比で倍増させ、セグメント利益も同94.4%の増加となった。

中核事業への集中投資で更なる成長へ

 ここ数年、同社は非中核事業を売却すると同時に、不動産などの中核事業に経営資源を集約させている。今年1月にも聯華超市(00980)への出資持分を「百聯集団有限公司」に売却する契約を交わし、6月には光明乳業の発行済み株式数で5%を売却して保有株比率を30.2%まで引き下げた。また、光明乳業に関しては今期中に保有株比率を更に5%程度引き下げる可能性が高い。その一方で、「滬杭高速公路(上海区間)」の一部区間での拡幅工事や、上海万博の会場を眺望できる不動産プロジェクト「尚海湾豪庭」の一部買収を発表した。

 今後もインフラや不動産事業、特に上海での投資を重点的に行うことで、経営の効率化を図り、中長期的に高い成長を続けるものと期待される。また、開幕まで1年を切った上海万博は同社のホテルや高速道路事業に恩恵をもたらすだけでなく、上海地域の経済発展を通じでグループ全体に大きな影響を与えよう。

中国石油化工(シノペック)

00386〈N1980〉香港

08年12月本決算は増収減益

 アジア最大の石油・化学メーカー。「世界500強企業」(「財富」誌2008年)で16位に選ばれる。川上の原油・天然ガスの探査・開発・生産から、川下の石油精製、石油化学製品の製造・販売まで手掛ける

 08年12月期の業績は、売上高こそ前年比21.0%増の1兆4203.2億元と大幅に伸びたものの、純利益は同47.3%減の297.7億元と大幅減益となった。原油・天然ガスの生産量増加と、原油および石油製品価格の上昇が売上の大幅増に寄与した。一方、大幅減益の要因としては、上半期に国際市場で原油価格が急騰していたが、国内の石油製品の価格は当局に統制されているため、原油相場に合わせたコスト転嫁ができず、石油精製事業で多額の損失が発生したことが挙げられる。これに加えて、下半期は製品の価格と需要がともに大幅に減少したことも業績悪化に拍車をかけた。

石油精製事業の回復持続性が09年業績のカギ

 09年1-3月の四半期決算では、売上高は前年同期比31.5%減の2235.6億元となったが、純利益は同85.1%増の112.2億元と急回復した。製品の販売数量は減少したが、新たな燃料油価格決定制度が導入されたことをきっかけに、石油精製事業が一気に黒字に転換し純利益増に大きく寄与した。

 新石油製品価格決定制度では国内の燃料油の出荷価格を「国際価格をベースに、国内平均加工コスト、税金、合理的な利潤を加える」ものとしている。同社の石油精製コストは国内において比較的低いため、新たな価格決定メカニズムの下で、今後、石油精製事業は同社にとって重要な収益源になると期待できる。リスク要因として、原料ナフサの価格上昇、石油製品の需要減などが挙げられるが、中期的には、石油精製事業が新価格決定制度の下で増益基調を維持できれば、業績はさらに改善する余地が大きい。

華潤電力控股(チャイナリソーシズ・パワー)

00836〈N0830〉香港

中国の大手電力会社、収益力の安定感は抜群

 国有企業の中国華潤総公司が、香港登記の華潤(集団)有限公司などを通じて支配している電力会社。炭鉱事業を抱え、燃料となる石炭の産出から発電までを一貫して行う垂直統合の事業体制が強み。中国経済をリードする広東省、江蘇省、浙江省、河北省、北京市などの地域で発電事業を展開している。香港に上場する中国本土の電力会社5 社では、発電容量ベースで第4位。

 08年12月期業績は売上高267.7億HKドル、前年比59.1%増、純利益17.2億HKドル、同46.7%減となった。07年中の発電能力の増強がフルに寄与して大幅増収となったものの、燃料である石炭価格の高騰が利益を圧迫した。ちなみに、石炭コストは前年比37.7%上昇し、1メガワットアワー当たりの燃料コストは238.8元と同39.8%の増加。ただ、他の本土系大手電力会社の多くが赤字計上を余儀なくされたなかで黒字を維持した点は評価できよう。

09年業績は回復へ、設備能力を積極拡大

 09年の業績は回復に向かう見通し。同社の1-5月の正味発電量は前年同期比1.7%減とマイナス基調にあるが、下期にかけては景気の回復を受けて増加基調に転じよう。また、前期の最大の減益要因となった燃料コストも低下が見込まれる。石炭のスポット価格が昨年第3四半期のピーク時から40%以上下落しており、つれて燃料コストも200元程度に低下が予想される。

 発電能力の拡大を積極化している。08年末の持分ベースの発電設備容量は12,981メガワット(MW)だが江蘇投資集団の買収が完了すると見られる09年末には18,000MW、さらにその後も新規プロジェクトが目白押しで10年末には21,000MW、11年末には24,000MWへと08年末比で85%の能力増となる見通し。今後、中国経済が再び高成長軌道に復帰すれば、同社の業績も安定高成長が期待できよう。

中国工商銀行(ICBC)

01398〈N1398〉香港

中国最大の商業銀行

 総資産で中国最大の商業銀行。08年末の総資産残高は9兆7,571億元で07年末比12.4%増加。不良債権比率(融資残高に占める不良債権の割合)は08年末で2.29%と同0.46ポイント低下。また、不良債権に対する引当金の比率は130.2%に達しており、引当金残高が不良債権を大きく上回っている。自己資本比率も13.1%と十分に高い水準といえよう。

 08年末の融資残高は4 兆5,720億元で総資産に占める比率は46.9%。融資の内訳は法人向けが70.7%、個人向けが18.2%、海外向け他が4.0%、手形割引が7.1%であり、法人向け融資が主体。法人向け融資は電力・インフラ関連など安定した融資先のウェイトが高い。個人向けについては住宅ローンが7割強を占める。

融資残高は急ピッチで拡大、利鞘の縮小にも歯止め

 08年12月期の純利益は前期比36.0%増の1,108.4億元と順調な伸び。融資残高の拡大(同11.5%増)を背景に純金利収入が同17.2%増えたほか、純利鞘が2.95%と同0.15ポイント拡大したことが寄与した。

 09年1‐3月期も純利益は351.5億元、前年同期比6.2%増と堅調だった。全般的な金利水準の低下を受け純金利収入は同12.9%減、利鞘も縮小したが、融資残高の伸びと貸倒引当金の減少でカバーした。3月末の融資残高は5兆2084億元、前期末比13.9%増と増加ピッチは加速。一方、不良債権比率は1.97%で同0.32ポイント低下と資産の質は引き続き改善している。なお、1-3月期の新規融資は6,495億元と、当初の年間目標である5,500億元を早くも上回った。09年第2四半期以降については比較的金利の高い預金が満期を迎えることもあり、純利鞘の縮小には歯止めが掛かる見通し。融資残高の増加ペースは鈍化しようが、拡大基調に変化はないものと見られる。つれて、業績は引き続き安定的な推移が見込まれる。

大連港(ターリエンポート)

02880〈N2881〉香港

渤海湾に位置する大連で港湾事業を行う大手企業

 大連で石油・液体化学製品やコンテナ向けターミナルを運営。そのほか、曳航などの付加価値サービスも手掛ける。大連市は渤海湾の入り口に位置し、中国政府によって四大石油備蓄基地の一つに指定された重要な都市。その港湾で最大手の同社は08年の原油取扱量で大連港湾全体のほぼ100%、コンテナ取扱量では同97%を占める。08.12期の売上高構成比は石油・液体化学ターミナル関連事業42%、コンテナターミナル関連事業36%、その他付加価値サービス事業等22%。

 08.12期の業績は売上高で前年比1.0%増の15.9億元、純利益で同27.5%増の7.8億元だった。コンテナターミナルなどの港湾関連施設を売却したことが二ケタ増益の主因ではあるが、コンテナの取扱量も前年比28.3%増と大きく伸びた。

石油の輸入量増加が今後の成長を牽引

 09年に入り、世界的な景気後退の影響を受けて中国の主要港でコンテナの取扱量は減少傾向にある。実際、09年1-5月に上海、深センなどの港では前年同期比2割前後の減少となった。また、大連の港全体でもコンテナ取扱量は前年同期比2.3%減少している。現状では世界経済の早急な回復が見込めないため、各港湾のコンテナ事業は09年下期も厳しい状況が続き、同社のコンテナ事業も苦戦が予想される。一方で、同社では主力の石油ターミナル事業が堅調に推移するものと期待される。中国では近年、政府による石油の戦略備蓄に力を入れており、大連市は主要な備蓄基地。同社も昨年11-12月に12基の石油タンク(それぞれの備蓄能力は10万立方メートル)を新設し、稼動を始めた。また、現在建設中の備蓄タンクが今後稼動する予定で、業績を下支えする要因となろう。

 欧米での景気回復の進捗度合いによってはコンテナ事業の大幅な落ち込みも懸念材料として残るが、主力の石油・液体化学ターミナル関連事業が同社の業績を支え、中長期的に安定した成長が見込めよう。

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