チャイナマンスリーレポート

8月号

2009年8月3日 内藤証券中国部

本土市場
上昇トレンドは不変だが、目先スピード調整も

 7月の本土株式市場は月初から上昇、中旬にかけては高値圏でのもみ合いとなったが、月後半には再び上昇基調を強める展開となった。

 6月後半にかけてじり高基調が続いていた上海総合指数だが、7月に入っても好地合は崩れず月初の1日には終値で3008.1ポイントと昨年6月以来の3000ポイント大台を回復。その後、6日まで4営業日連騰となり、6日の終値は3124.6ポイントに。月初に発表された6月の購買担当者指数(PMI)が53.2と引き続き景気拡大を示唆する内容となったほか、銀行の新規貸出が再び1兆元乗せとの観測が強まったことなどが背景。ただ、さすがにこのレベルでは利益確定の売りも活発化、3100ポイント台でのもみ合いとなった。一方、月後半にかけては再びじり高の展開。米国市場の反発に加え、4‐6月期の実質GDP成長率が前年同期比7.9%増と景気回復を裏付ける内容となったことなどが買い安心感につながった。

 豊富な流動性を背景に市場への資金流入は高水準が続いている。株価が下押せば押し目買いが入るパターンに変化はない。循環物色が効いており、物色対象も一段と広がりを見せている。現状はまさに金融相場の様相を色濃くしているが、当面、この流れが大きく変わる可能性は小さそうだ。なぜならば、景気は回復軌道にあるものの本格回復には程遠く、金融政策も微調整はあっても従来の緩和路線が引締めに転換される可能性は小さいと考えられるためである。とはいえ、このところ日々の売買代金が3000億元を上回る、あるいは上昇率が1%を超える日が散見されるなど、やや過熱気味であり、スピード調整が必要な局面といえる。ただ、上昇トレンドに変化はないと見られ、調整局面を交えながらも上海総合指数は07年10月の最高値(6092.0ポイント)からの下落幅に対して半値戻しの4000ポイントレベルを目指した動きとなりそうだ。( 7/27 村上)

香港市場
米国市場中心に外部環境睨みは続くが、基調は強い

 7月の香港株式市場は、中旬にかけて弱含みの動きが続いたものの、月後半にかけては上値追いの展開となった。

 6月下旬には一旦、反発基調にあったハンセン指数だが、6月29日から7月2日まで3営業日続落、1日おいて6日から8日まで再び3日続落、8日の終値は17721.0ポイントとこの間に4.7%の下落となった。米国市場が調整色を強めたことに加え、新疆ウイグル自治区ウルムチ市での騒乱が拡大し、死傷者が多数に上ったと報道されたことも市場心理を冷え込ませた。さらに、13日には前営業日比2.6%安と急落。前週末に発表された米国の消費者態度指数が市場予想を下回るなど、景気回復への期待感が後退したほか、中国本土の主要統計の発表を週内に控え、手控えムードが広がったため。ただ、その後は14日から20日まで5営業日連騰となり20日の終値は19502.3ポイントと約10ヵ月ぶりに19000ポイント台を回復した。この間、米国市場が企業業績の回復期待を支えに13日から17日まで5日連騰となるなど外部環境の好転が寄与した。さらに24日にはザラ場で20000ポイントの大台を回復した。

 引き続き米国市場を中心とする海外株式市場や中国本土市場の動きなど外部環境に左右される展開が続くものと思われる。ハンセン指数は3月9日の本年安値11344.5ポイントから、7月24日のザラ場高値20063.9ポイントまで77%の急上昇となっているだけに、利益確定の売りも出やすい水準にある。ただ、米国市場を筆頭に世界の金融市場の安定化を背景とした新興国株式市場へのリスクマネー回帰が再び勢いを強める可能性が高い。米国の投資信託販売状況からも、特に、アジア株ファンドへの資金流入が続いており、こうした投資資金が株価を下支えよう。米国市場は業績回復期待が強まっており当面、強い動きが予想され、つれて香港市場も上昇基調が続くと考える。( 7/27 村上)

莎莎国際(ササインターナショナル)

00178〈N3040〉香港

化粧品小売チェーンの大手

 香港、マカオ、中国本土、マレーシアなどで化粧品等の小売、卸売チェーンを展開。09.3期の地域別売上高構成比では香港・マカオ・本土地域で8割以上を占めたが、本土は初期投資の段階にあり、香港・マカオが事業の中心地域。同期末時点の店舗・販売カウンターは150カ所に上り、うち香港・マカオ64カ所、本土33カ所、マレーシア26カ所、その他27カ所。

 09.3期の業績は、売上高が前期比12.0%増加したが、純利益で同9.3%減となった。この要因としては08年に売却したフィットネスクラブの影響が大きい。08.3期に非継続事業からの利益が7196万香港ドル計上されており、これを除いた継続事業ベースで09.3期の純利益は同14.4%増と、二桁の伸び。特に、香港・マカオでの小売販売が堅調。同地域では、世界的な景気後退の影響で下期に小売販売が伸び悩んだものの、通期で小売事業の売上高は同10.0%増の伸びを確保した。なお、期末配当は0.17香港ドル(うち特別配当0.12香港ドル、権利落ち日8月20日)の予定。

本土での新規出店を加速

 近年、同社は本土での新規出店に重点を置いている。08年3月末時点で16カ所だった本土の販売網を倍増させ、09年3月末に33カ所まで増加させた。同期間での販売拠点が全体で26カ所の増加にとどまっていることから判断して、いかに本土に注力しているかが分かる。また今後も、本土での積極的な投資を続ける見込み。今期中にも本土の販売拠点を54カ所に増やし、11年3月末には115カ所にする計画。

 現在、本土市場は利益貢献できていない状況だが、本土市場で販売網や物流網がある程度整備されれば、香港への旅行経験者を中心に知名度のある同社だけに急速な成長が期待できる。また足元で、香港への中国本土からの旅行者数は年々増加傾向にあり、彼らの購買力が下支えとなって同社は安定した業績を維持しよう。

中国高速伝動(チャイナトランスミッション)

00658〈N0658〉香港

トランスミッションの製造を行う大手民営企業

 風力発電、船舶、建設機械、鉄道向けなど、幅広い用途の工業用トランスミッション(変速機、ギア)を開発、設計、製造する大手民営企業。風力発電向けでは国内最大手。高い技術力が評価され、国内メーカーだけではなく、GEエナジー(米)、REパワー(独)や富士重工業などの海外企業にも風力発電用ギアの供給を行う。08.12期の売上高構成比は風力発電向け52%、建設機械向け13%、船舶向け12%、その他23%。

 08.12期は売上高で前年比80.6%増、純利益で同125.8%増と、大幅な増収増益を達成。特に、風力発電と船舶用ギアの販売が好調だった。風力発電向けの売上高は前年比で2.5倍に、船舶向けも海外での販売増によって同3倍となった。また、価格転嫁や製造の効率化が進んだことで各製品の粗利益率は向上。比較的利益率の低い船舶向けの売り上げが伸びたにも関わらず、全体としての粗利益率は前期並みの28.8%を維持した。

風力発電向けギアが引き続き好調

 同社では、世界的な環境意識の高まりや中国政府の再生エネルギー政策を受けて、今後も風力発電用ギア事業に注力する方針だ。08年末時点で発電設備容量ベースにして3500MWだった風力発電用ギアの生産能力を09年末に6000MW、10年には9000MWまで引上げる計画。また現在、同社の主力製品は1.0‐1.5MW向けだが、GE等の技術協力を受けて2.5MWや3MW対応の製品開発も進めており、今後商品化される見通し。

さらに、高速鉄道や都市型鉄道向けギアの研究開発にも力を入れている。07年に仏アルストムと鉄道関連製品の開発で技術提携し、08年4月には同社の製品がアルストムの厳しい品質基準をクリアした。中国では都市化の進展に伴い高速鉄道や都市鉄道網の需要が急速に高まると見られ、欧州でも大都市を繋ぐ高速鉄道網の拡大が予想される。このような環境下で鉄道用ギアは将来的に同社にとって大きな収益源となろう。

世茂房地産(シーマオプロパティー)

00813〈N0813〉香港

中国の大手不動産会社、上半期の成約金額は急増

 中国の大手不動産会社。09年上半期(1~6月)の販売成約金額で、上位5社の一角を占めたもよう。北京、上海といった大都市での大規模分譲マンション、商業ビルの開発に強みを持ち、近年は中堅都市への進出を積極化。上海、北京、揚子江デルタ地域、渤海湾地域、武漢・福州・ハルビンといった地方の中核都市に35以上の不動産開発プロジェクトを展開している。

 09年上半期の販売成約金額は前年同期比200%増の132億元、販売成約面積は同236%増の146万平方メートルとなり、すこぶる好調な成約実績を記録した。会社側の09年成約金額目標は170億元であり、上半期の6カ月間で目標の77%を達成したことになる。

09年業績は急回復へ、豊富な開発用不動産保有が強み

 マンション販売の復調を映し、09年12月期業績は大幅増収増益の予想。上半期にはマンション在庫の一掃を急がなければならなかったため、ほとんどの開発プロジェクトで若干の値上げしか実現できなかったようだ。しかし、在庫が一掃されたことで、09年下半期には多くの物件で5~10%の値上げを計画している。新規物件の供給不足に陥っている多くの不動産開発会社と異なり、同社は現在でも大量の新規物件の供給が可能だ。値上げと大量の新規物件供給で、下半期業績は拡大に一段と弾みがつく可能性が高い。

 09年6月末現在、約2,500万平方メートルの総延べ面積という豊富な開発用不動産を保有しているとみられ、中国本土の不動産会社のなかでも開発用不動産の多さでトップを競っている。しかも、これらの不動産の多くは主要都市や新興の中堅都市に位置している。こうした一等地の不動産は不動産市況の下降局面では値下がりに強く、上昇局面では大きく値上がりしやすい。したがって、今後、不動産市況が本格的な上昇局面に入れば、その恩恵をフルに享受しよう。

中国建設銀行(コンストラクションバンク)

00939〈N0939〉香港

総資産で中国第3位の商業銀行

 4大国有商業銀行の中では初の上場企業。前身は1954年設立の中国人民建設銀行で、04年9月の再編で誕生した。住宅ローンやインフラ建設向け融資などで、大きなシェアを占める。08年末の総資産残高は7兆5,555億元で07年末比14.5%増加。不良債権比率(融資残高に占める不良債権の割合)は08年末で2.21%と同0.39ポイント低下。また、不良債権に対する引当金の比率は131.6%に達しており、引当金残高が不良債権を大きく上回っている。

 08年末の融資残高は3兆7,939億元で総資産に占める比率は49.5%。融資の内訳は法人向けが70.9%、個人向けが21.7%、海外向けが3.1%、手形割引が4.3%であり、法人向け融資が主力。法人向け融資は製造業(17.5%)、電力・ガス・水道(11.9%)、運輸・倉庫等(11.3%)、不動産(8.7%)などが主体。個人向けについては住宅ローンが7割強を占める。

融資残高の拡大が続く、年後半には利鞘も改善方向へ

 08年12月期の純利益は前年比34.1%増の926.0億元と順調な伸び。融資残高の増加(同12.1%増)に加えて、純利鞘が3.24%と同0.06ポイント拡大したことから純金利収入が同16.7%増と増えたほか、手数料収入も同22.8%増と好調に伸びたことが寄与した。

 一方、09年1‐3月期の純利益は262.6億元、前年同期比18.3%の減益となった。融資残高は伸びたが、全般的な金利水準の低下を受け利鞘が縮小、純金利収入は同6.6%減少した。加えて貸倒引当金が同5.8倍と急増したことが響いた。3月末の融資残高は4兆2043億元、前年末比14.1%増と増加ピッチは加速。一方、不良債権比率は1.90%で同0.31ポイント低下と資産の質は引き続き改善している。09年第2四半期についても利鞘の縮小が続いたもようだが、第3四半期以降については比較的金利の高い預金が満期を迎えることもあり、純利鞘の縮小には歯止めが掛かる見通し。つれて、業績は上向きに転じよう。

聯華超市(リャンファ・スーパーマーケット)

00980〈N0970〉香港

中国最大級のスーパーマーケット

 上海を中心に全国各地に大型スーパーマーケットを出店する大手小売企業。大型総合スーパーマーケット(ハイパーマーケット)「世紀聯華」、スーパーマーケット(スーパー)「聯華超市」、コンビニエンスストア(コンビニ)「快客便利店」など3種類の小売店をチェーン展開する。08年12月期の売上構成比はハイパーマーケット57.5%、スーパー34.0%、コンビニ7.7%、他0.8%。

 08年12月末現在、店舗数は3,872店舗(フランチャイズを含む)で、そのうちハイパーマーケットが127店舗、スーパーが1,788店舗、コンビニが1,957店舗である。08年の出店数はハイパーマーケットが17店(閉鎖は1店)、スーパーが192店(同135店)、コンビニが255店(同178店)で計150店の純増。店舗の84%は華東地域に集中している。

華聯超市の買収効果も加わり、09年業績も続伸へ

 08年12月期の業績は、売上高207.0億元、前年比14.5%増、営業利益3.6億元、同13.9%減、純利益3.9億元、同44.7%増。営業利益は表面上減益だが、これは前年に4.4億元の投資収益が計上されていたなどのためで、これらの一時的要因を除けば実質的には80%弱の大幅増益。既存店売上高の順調な伸びに加え、粗利益率の改善が寄与した。

  同社は、6月に本土でスーパーマーケットの「華聯超市」を経営する「華聯超市股フン有限公司」の出資持分100%を、関係企業の「百聯集団有限公司」から買収すると発表した。華聯超市を買収することで、①長江デルタ地域、特に上海市での市場シェアを大幅に向上できる、②スケールメリットの拡大によりサプライヤーとの仕入れ交渉でより有利になる、③フランチャイズ経営を強化できる、などのプラス効果が見込める。

 買収効果に加え、景気の底打ちから消費全般の持ち直しも期待できることから、09年12月期の業績も続伸が予想される。

華電国際電力(フアデンパワーインター)

01071〈N1340〉香港

山東省を拠点とする大手電力会社

  中国五大発電グループの一つ中国華電集団公司を筆頭株主とする大手電力会社。山東省を始め、四川省、安徽省、河南省や寧夏回族自治区などで事業を展開。同社は石炭火力による発電事業を中心とするが、近年、水力発電、風力発電やバイオマス発電等の事業にも参入している。08年末時点で3カ所の発電所、及び24社の電力会社に出資しており、持分ベースでの総発電能力は1万8473MWに達する。

 08.12期は売上高で前年比47.5%増となったものの、純利益で25.6億元の赤字に転落した。発電設備の増強を受けて08年の発電量は前年比37.4%増の9654万MW時まで拡大したが、世界的な石炭価格の高騰で石炭燃料の消費額が同96.0%増と増収率を大幅に上回ったため、営業利益は6.1億元の赤字に陥った。また、借入金の増加等によって財務コストが前年に比べ倍増したことも、赤字幅の拡大に繋がった。

 ただ、09.1Qの業績(中国会計基準)は前年同期比13.9%増収、純利益で同3.2倍の1.9億元と黒字を確保した。

炭鉱会社を買収し、垂直統合型の経営形態に

 同社は7月に山西省にある2つの炭鉱会社、朔州万通と東易忠厚の出資持分70%ずつを買収すると発表した。朔州万通は石炭埋蔵量で1億52百万t、うち採掘可能な埋蔵量7285万tを保有し、承認済み年間生産能力が90万t。10年上半期には生産を開始する見込み。東易忠厚も石炭埋蔵量で1億28百万t、うち採掘可能埋蔵量6028万t、承認済み年間生産能力が45万t。09年末頃に生産を始める予定。この買収で同社は石炭の生産から発電まで行う垂直統合型の経営へと変化し、燃料価格の安定化が図られる。もっとも、この2つの石炭会社だけでは同社の石炭需要を賄うことは出来ず、今後更に石炭会社への出資を進める必要があろう。しかし、垂直統合型の経営形態に移行したことは同社に大きな成長の機会を与えよう。

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