チャイナマンスリーレポート

10月号

2009年10月2日 内藤証券中国部

本土市場
神経質な展開が続くが、上昇トレンドは不変

 9月の本土株式市場は月初をボトムに反発、中旬にかけて順調な戻りとなったが、その後は弱含みに転じた。

 8月末にかけて再度下落基調を強めた上海総合指数だが、9月1日にはザラ場で2639.7ポイントと8月以降の下げ局面での最安値をつけたものの、終値では前日比0.60%高と反発。以降、9日まで7営業日連騰となり、9日の終値は2946.2ポイントに。8月の購買担当者指数(PMI)が引き続き好調だったことや、8月の4大国有銀行の新規貸出額が予想を上回るとの観測、さらには中国証券監督管理委員会が株式市場安定化に向けた施策を発表、などを好感した。その後、11日に公表された8月の主要経済統計が総じて事前の市場予想を上回り、景気拡大の持続を示唆する内容だったことから、市場は一段高、14日には終値で3026.7ポイントと3000ポイントの大台を回復、17日には3060.2ポイントまで戻した。一方、下旬にかけては上昇局面も取り敢えず一巡、18日には3000ポイント、22日には2900ポイントをそれぞれ割り込むなど弱含みの動きとなった。

 8月の大幅な調整は、①金融政策の方向転換に対する懸念、②マクロ経済に対する期待感の後退、③政策当局によるバブル潰し政策の本格化に対する不安感、などが背景と思われるが、温家宝首相や中国人民銀行が「適度に緩和された金融政策の維持」を繰り返し強調したこと、8月の新規貸出が前月を上回ったこと、8月の主要経済指標が景気回復持続を示唆する内容だったこと、などが明らかになるにつれて落ち着きを取り戻した格好だ。前回も述べたように今回の下げは上昇局面のなかでの「スピード調整」との認識は変わっていない。最大の懸念材料である金融政策の方向転換は当分あり得ないと考えているためだ。引き続き「調整局面を交えながらも上海総合指数は4000ポイントレベルを目指す動き」という見方に変更はない。(9/25 村上)

香港市場
米国景気の回復期待が押し上げ要因に

 9月の香港株式市場は、出足こそもたついたものの、中旬にかけて反発、月後半には高値圏でのもみ合いとなった。

 本土市場同様に8月末にかけて下落基調を強めていたハンセン指数だが、9月2日のザラ場安値19425.8ポイントを底に急回復。4日には終値で20318.6ポイントと20000ポイントの大台を回復、8日には21069.8ポイントと約1ヵ月ぶりに21000ポイント台に復帰、11日には21161.4ポイントと年初来高値を更新した。この間、本土市場が堅調に推移したことに加え、米国株式市場も景気回復への期待感を背景に3日から10日まで5営業日連続で上昇したことなどが相場の押し上げ要因となった。その後も米国市場の高値更新を支えに16、17日と連日で最高値を更新、17日には終値で21768.5ポイントまで上昇した。一方、下旬にかけては本土市場が不安定な動きを続けたこともあり、21000ポイントを挟んでのもみ合いが続いた。

 引き続き米国市場を中心とする海外株式市場や中国本土市場の動きなど外部環境に左右される展開が続くものと思われる。ハンセン指数は3月9日の本年安値11344.5ポイントから、8月4日のザラ場高値21196.7ポイントまで90%近い急上昇の後、9月2日のザラ場安値19425.8ポイントまで8%の下落と調整したが、既に下落分を埋めて年初来高値を更新するなど本土市場に比べて堅調な動きとなっている

 米国市場を中心とした世界の金融市場安定化を背景に新興国株式市場へのリスクマネー回帰が続いており、こうした投資資金が株価を下支えているようだ。このところ、欧米先進国景気の底打ち期待も強まっており、これまで物色の圏外にあった輸出関連企業に対する見直し買いも入りつつある。米国市場の回復継続も期待できることから本土市場の調整が一巡すれば、再度、上昇局面入りが予想される。(9/25 村上)

09.6期(中間)決算を受けて、各調査機関は業績予想の修正へ
09.6期(中間)決算がほぼ出揃う

 多くの香港上場企業は6月に中間決算を迎える。そして、決算内容をメインボード市場の銘柄で9月末までに、GEM市場の銘柄で8月15日までに発表する。今回も多くの企業が09.6期(中間)の決算内容を公表した。全体的に各企業の決算を見ると、金融業界が比較的苦戦を強いられた一方、不動産業界は堅調であった。銀行は融資残高を大幅に伸ばしたものの、金利低下による利鞘縮小が響き、逆に不動産企業は昨年後半からの金融緩和を大きな追い風とした。これら以外にも、各企業で09.6期(中間)の業績は明暗の分かれた内容となった。

 そこで今回は、中間決算の発表を受けて各調査機関が業績予想をどのように変化させたかを調べた。9月23日以前に09.6期(中間)決算の内容を公表した弊社取り扱い香港銘柄を対象として、調査機関による平均で今通期の予想EPSが上方修正されている銘柄を表にまとめた。各企業の業績予想に関してはBloomberg予想を用いて市場コンセンサスを測り、修正率は4週間前と9月24日時点を比較した。今後、各企業の業績予想は下方修正される可能性もあるが、中間決算が各調査機関に与えた印象を推し量ることができ、上方修正率の大きな銘柄は機関投資家の注目も集めよう。

 なお今回、一日当りの売買代金(20日移動平均)で5百万香港ドル以上、09.6期(中間)の純利益で黒字、及び、予想サンプル(予想提供社)が3社以上の銘柄に絞った。また、予想データの関係上、09年7月以降に上場した銘柄は対象から外した。(9/25 有井)

直近で09.12期のアナリスト予想が上方修正された銘柄群

瀋機集団昆明機床(クンミンマシーンツール)

00300〈N2160〉香港

中国大手工作機械メーカー、業績は2Qから回復方向に

 工作機械、精密測量機器、精密センサーなどの設計・開発、製造、販売を手掛ける中国本土の大手工作機械メーカー。主力製品は横中ぐり盤と床上形横中ぐり盤、横型マシニングセンターなどで、その品質は国内のトップクラスにあり、自動車メーカー、航空宇宙工業などに納入している。09.6期(中間)の売上構成比は、工作機械86.5%、省エネターボ圧縮機12.8%、その他0.7%。

 09.6期(中間)の売上高は6.42億元、前年同期比18.7%減、純利益は1.16億元、同21.5%減と大幅な減収減益に。世界金融危機に伴う国内外の工作機械需要の減退が主因。ただ、四半期ベースでは第2四半期(2Q)に入って大きく好転。2Qの工作機械の生産台数は161台、前四半期に比べ63%増加した。6月末の横中ぐり盤の在庫台数は100台と、昨年12月末の280台から大幅に減少し、通常時の在庫台数に近づきつつある。新規受注も増え始めた。2Qの新規受注額は3.11億元、前四半期に比べ33%の大幅増となった。

大型・高付加価値製品への傾斜で中長期の成長を目指す

 工作機械は機械工業の川上部門で、工事機械、自動車、鉄道建設など川下部門は大型景気対策を受け回復しており、その効果も川上部門に徐々に波及してきている。中でも大型工作機械、数値制御などの中高級工作機械に対する需要が強まっている。

 このため、同社は新製品の開発に積極的に取り組んでおり、今年4月に1台目の大型床上形横中ぐり盤(TK6926)が納品され、いよいよ量産体制に移る見込み。また、5月にはXK2425型数値制御のCNC横中ぐり盤も開発した。こうした大型製品・高付加価値製品の開発能力を高める一方で、生産規模の拡大にも注力しており、現在は土地の購入や新工場の建設などを検討中。今後は経営規模の拡大により、大型・高付加価値製品の割合がさらに高まり、中長期的な成長が見込まれる。

騰訊控股(テンセント)

00700〈N0702〉香港

中国ネット大手、2Qも大幅増収益を達成

 インスタント・メッセンジャー(IM)、オンライン広告、インターネット・携帯電話向けの付加価値サービスを手掛ける中国ネット大手。情報コンテンツ、オンラインゲーム、メール等の多彩なサービスを提供する。09.6期(中間)の売上構成比は、インターネット付加価値サービス76%、携帯電話付加価値サービス17%、オンライン広告7%。

 09年第2四半期は、売上高が前年同期比79.9%増の28.78億元、純利益が同85.2%増の11.92億元と、引き続き高収益を維持した。事業別には、インターネット付加価値サービスがオンラインゲーム事業の好調により同107.9%増の21.56億元、携帯電話付加価値サービスもIMサービスと携帯ゲームの好調を受け同38.9%増の4.70億元と拡大。オンライン広告は同9.1%増の2.43億元と1ケタの増収にとどまったが、前四半期比では65.8%増と急回復。企業による広告宣伝費抑制の動きがあり、同事業の先行きは依然不透明だが、同事業は売上高構成比で1割に満たず、全体に対する影響は軽微と見られる。

インターネット人口の拡大を背景に、高成長が続く見通し

 09年後半も好業績が続く見通し。第3四半期は夏休みのため、オンラインゲーム事業は一段と売上げを伸ばしたもよう。加えて、年内に3つ、来年前半に6つの新しい多人数参加型オンラインゲームの公開も期待される。景気減速を背景に高額な娯楽に対する出費は抑制されるが、同社のオンラインゲームなどの安価なネット娯楽は消費者の支持を受ける可能性が高く、これら新ゲームの公開は売上増につながるだろう。

 09年6月末の中国本土のインターネット人口は3億3800万人で、普及率は25.5%と08年末の22.6%から上昇したが、先進国に比べれば依然低水準。したがって、今後も中国のインターネット人口は持続的拡大が予想される。つれて同社は中国ネット大手として中長期的にも高成長が期待される。

中国南車(CSR)

01766〈N1766〉香港

中国の鉄道車両業界を二分する大手メーカー

 中国の二大鉄道車両メーカーのひとつ。主な製品は機関車、客車、貨車、マルチプル・ユニット(動力分散方式の鉄道車両)など。09.6期(中間)の売上構成比は、機関車23.3%、マルチプル・ユニット22.3%、貨車11.1%、都市鉄道・地下鉄6.6%、旅客車15.4%、その他21.3%。

 09.6期(中間)の業績は、売上高182.35億元、前年同期比24.3%増、純利益6.26億元、同22.6%減の増収減益。減益の要因は、①貨車事業が前年同期比57.5%の大幅減収、②機関車事業の売上も同0.01%の微減と不調、③研究開発費用の増加、など。しかし、四半期別(中国会計基準)でみると、第2四半期の純利益は4.3億元と、第1四半期の1.9億元から大きく改善している。

貨車・機関車事業の復調で業績は回復へ

 貨車事業は、金融危機による鉄道貨物輸送の需要減を受け、鉄道部の貨車買付け入札が6月に延期され、上半期の貨車の納入が急減した。機関車事業は、新型の大出力機関車が実験段階にあり、上半期の機関車の受渡しが少なかった。一方、マルチプル・ユニット、旅客列車、都市鉄道地下鉄車両については、いずれの事業も好調。マルチプル・ユニットの売上げは41億元、同207%増、客車と都市鉄道車両もそれぞれ同100%、34%の増収となった。政府の内需拡大政策により、鉄道部からの受注が増えたことが背景。

 続く下半期業績は回復に向かう見通し。延期された鉄道部の貨車買付け入札は6月に行われ、一回目入札の貨車が7-8月に受渡し、二回目の入札も9月に行われたもよう。このため、下半期の貨車事業の収益は大幅な増加となろう。また、新型の大出力機関車は今年後半に量産体制に入るため、下半期の機関車事業への収益貢献が期待される。その他の部門は引き続き好調を維持する見通し。下半期の業績回復により、上半期の増収減益を補い、通年では増収増益を確保する可能性が高い。

李寧(リーニン)

02331〈N2331〉香港

大手スポーツ用品メーカー

 「李寧(LI-NING)」ブランドで知られる民営のスポーツ用品メーカー。李寧主席はロス五輪で活躍した有名な元体操選手。北京五輪の最終聖火ランナーも務めた彼は今なお国民の人気が高く、同ブランドも国内メーカーの中で高いシェアを誇る。また、同社は「李寧」以外にも「AIGLE」、「紅双喜」、「Lotto」等、複数のブランドを展開し、中国本土に幅広い販売網を持つ。

 09年上期は店舗数増加等を受け、前年同期比32.4%の増収を確保した。同期に店舗数(フランチャイズを含む)が「李寧」で564店舗、その他で69店舗増加し、09年6月末時点ではそれぞれ6809店舗、741店舗となった。また、近年の複数ブランド戦略も功を奏した。「李寧」の売上高が前年同期比24.5%増にとどまった一方で、その他ブランドは前年同期の5835万元から3億1498万元へと、大幅に増加している。ただ、その他ブランドの売上高構成比が08年上期の1.9%から7.8%に拡大したため、粗利益率は同48.4%から47.8%に若干低下した。「李寧」の粗利益率は48.7%あるが、「紅双喜」、「Lotto」では40%台前半にとどまるためだ。しかしながら、コスト管理の徹底等によって、純利益は前年同期比41.6%増を達成した。

コスト管理によって利益水準は現状を維持

 今後も、複数ブランド戦略を推し進めることで、粗利益率の低下が予想される。だが、今上期において純利益が増収率を上回る伸びを示したように、純利益ベースではコスト管理の強化等によって現状の利益率を維持すると考える。

 さらに、中国本土のスポーツ用品市場は09-13年に掛けて年平均20%強の成長が期待されている。その中で同社は「李寧」ブランドの店舗数を09年末に7100、13年には1万店舗まで増やす計画だ。高いブランド力を背景に販売網の拡充を図る。広州でのアジア競技大会を来年に控え、同社は国内スポーツ用品市場とともに成長を続けよう。

上海電気(シャンハイエレクトリック)

02727〈N2720〉香港

中国で最大級の重電機メーカー

 上海市を本拠地とする大型重工業企業。中国有数の重電メーカーとしての強い存在感がある。中核業務は重電設備機械の製造で、具体的には発電設備、メカトロニクス、重機械、輸送設備、環境保護システムなど。09.6期(中間)の売上構成比は、発電設備62.5%、メカトロニクス22.1%、重機械9.6%、環境保護システム3.8%、輸送設備0.9%、その他1.1%。

 09.6期(中間)の業績は、売上高277.98億元、前年同期比2.9%減、純利益13.7億元、同11.5%減。減収の主因はディーゼル・エンジン部門の売却で実質的には4.9%の増収。特に、主力の発電設備は173.85億元、同12.7%増と順調な伸び。発電用ボイラーや風力発電設備が大きく伸びた。また、重機械部門も原子力発電関連機器の拡大で26.67億元、同23.0%増収と好調。ただ、利益面では鉄鋼製品を中心とする原材料コストの上昇や低採算の発電設備の納入増が響き減益に。

受注残高は豊富、下半期から利益率は改善へ

 09.6期(中間)末の発電設備部門の受注残高は1750.61億元(08.12期末比9.0%増)で年間売上げの約5年分を確保。また、重機械部門も191億元(同12.3%増)と08年売上げの4倍弱の規模。特に、同部門の受注残高内訳を見ると原子力発電関連機器が約6割を占めており同機器の今後の売上げ拡大が見込まれる。ちなみに同機器の08.12期の売上げは10億元だが3~5年後には50~60億元への拡大が予想される。

 上半期は減益を余儀なくされたが、下半期以降は利益率の改善が期待できる。理由は、①原材料価格の低下、②発電設備を中心に受注単価が上昇、③上半期に納入が集中した低採算案件の一巡、など。上半期の全社ベースの粗利益率は15.0%と前年同期の18.3%から3.3ポイントの悪化となったが、下半期の採算改善により09.12期通期の粗利益率は16%台へ回復の見通し。

紫金鉱業(ズージン・マイニング)

02899〈N2880〉香港

中国最大規模の紫金山金鉱を有する大手金鉱会社

 金の探査、採掘、精製、販売を行うほか、銅、亜鉛、鉄やその他レアメタルも取扱う。09年6月末時点において43カ所、約120平方kmで採掘権を持ち、保有鉱山の推定埋蔵量は金704.3トン、銀1702トン、銅967万トン、鉛・亜鉛527万トン、鉄鉱石1億3500万トン等、豊富な鉱物資源を有する。

 09年上期は加工金の販売量が前年同期に比べ約7割増加し、売上高は前年同期比14.2%増となった。ただ、加工金の粗利益率が1.3%と低いため、全体の粗利益率は前年同期よりも8.5%ポイント低下して32.0%にとどまった。また、コスト削減効果によって単位当りの製品原価が亜鉛地金で前年同期比43.2%低下するなど、多くの製品で下がったものの、亜鉛、銅や鉄精鉱等の販売単価が大きく落ち込み、粗利益は同9.8%減少した。一方で純利益は同10.9%増と、二桁の伸びを示した。傘下企業への積極的な追加投資などによって少数株主持分が前年同期の4.7億元から1.9億元に減少したためだ。

商品価格の上昇を受け、利益率は改善へ

 09年に入ってからも金価格は底堅く、足元で1トロイオンス当り1000米ドルを超えた。この背景には不安定な米ドルの動きがある。米国経済が回復の兆しを見せつつあるとは言え、早急な回復が望めず、金は“代替通貨”として注目を集めている。さらに、中国政府が外貨準備の運用先多様化として4月に金準備を積み増したことも、需給関係のプラス要因。最近では金以外にも銀や銅などの価格も上昇傾向だ。中国経済の回復や世界経済の底打ち観測も出ており、商品市況には追い風となっている。

 短期的には投機資金の動向次第で商品価格の乱高下も予想されるが、中長期的に商品市況は新興市場での需要増加を受けて堅調に推移するものと見られる。そのため、同社でも今上期に低下した利益率が改善へと向かい、中長期的に安定した成長路線を歩もう。

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