チャイナマンスリーレポート

1月号

2011年1月1日 内藤証券中国部

2011年の中国株式市場見通し
2010年は3年ぶりに二ケタ成長に復帰したもよう

 昨2010年の中国経済は回復基調を一段と鮮明にし、年間の実質GDP 成長率は政府目標の8%を大きく上回り3年ぶりに二ケタ成長を達成したもようだ。08年末から実施されている総額4兆元の内需振興策が引き続き景気の牽引役となったほか、輸出も前年の世界的な金融危機・景気減速による落ち込みから急速な立ち直りを見せたことが背景である。

 四半期ベースの実質GDP成長率をみると2010年第1四半期の前年同期比11.9%増をピークに第2四半期には同10.3%増、さらに第3四半期は同9.6%増と伸び率は徐々に低下している。とはいえ前半の高成長が寄与して1-9月では同10.6%増と二ケタ成長を達成した。続く第4四半期についても9%台半ばの成長が続いたとみられ、年間でも10%を超える成長が確実な情勢だ。

 1-9月の実質GDP成長率の寄与度を見ると、総固定資本形成がプラス6.3%ポイント、最終消費がプラス3.6%ポイントに対して、純輸出はプラス0.7%ポイントで09年に続いて内需、特に投資が中心の成長という構図に大きな変化はない。ただ、純輸出についても09年年間のマイナス3.7%ポイントから大幅に改善しており、成長率の回復に貢献した。

金融政策は引締め方向に転換

 総額4兆元の内需振興策や金融機関の融資残高に対する総量規制の撤廃等、「積極的な財政政策」と「適度に緩和された金融政策」を活用することでV字型の回復に成功した中国経済だが、一方でその副作用ともいえる不動産価格の高騰、消費者物価の上昇などインフレ問題が深刻さを増しつつある。

 全国70都市の不動産価格は一時の2ケタ上昇からは落ち着きを見せつつあるとはいえ直近の11月も+7.7%と依然として上昇傾向が続いている。また、消費者物価指数も7月以降は5カ月連続で政府目標の3%を超え、11月には前年同月比5.1%上昇、なかでも食品価格は同11.7%上昇と一段と加速してきた。

 そのため、中国人民銀行(中央銀行)は11月10日、19日と、一カ月の間に2回も預金準備率の引き上げを発表。さらに、12月10日にも本年6回目となる0.5%の引き上げを発表、同時に当局は大手銀行に対して新規融資の一時停止も要請している模様だ。こうした状況下、12月に開催された中央経済工作会議では、金融政策を「適度な緩和」から「穏健」に切り替えることが決定された。今後は、経済成長以上に物価上昇にも配慮した経済運営に移行することになる。

新5カ年計画のスタートで新たな成長ステージへ

 2011年の中国経済は引き続き順調な拡大が見込まれる。これまで景気の牽引役のひとつとなってきた輸出は今後伸び悩む可能性が大きいものの、個人消費、固定資産投資など内需は新5カ年計画の始動もあり、引き続き順調な推移が予想されるためである。

 輸出については、人民元高や人件費の上昇が輸出競争力の低下に繋がることに加えて、欧米を中心とする先進国景気の拡大持続性に不安が残る。昨年の大幅増が09年の減少に対する反動という側面もあるだけに、本年は伸び悩む可能性が大きいだろう。

 個人消費に関しては、08年に一人当り名目GDP額で3000米ドルを上回ったことからも急速な拡大が予想される。特に、昨年は沿海部の工場で多発したストライキ等を受けて労働者賃金が上昇しており、個人所得の向上が消費拡大に繋がると期待されている。

 また、固定資産投資は「4兆元の内需拡大策」の終了に伴い伸び率が大幅に鈍化するのではとの懸念がある。だが、新5カ年計画に沿って西部地域を中心とする内陸部開発によるインフラ投資の拡大や「戦略的新興産業」に対する新規投資など下支え要因も多い。なにより中央経済工作会議では「積極的な財政政策」の継続が確認されていることからも増加基調に変わりはないだろう。世界の工場として外需や設備投資などによって成長を遂げてきた中国は、現在、世界の市場へ移行しつつある。これまでのように二ケタ成長の継続は難しいが、比較的高く安定した成長を今後も続けよう。11月中旬に発表された経済協力開発機構(OECD)による世界経済見通しの中でも、11年の実質GDPは前年比9.7%増と、一ケタ台ではあるものの高い成長が予想されている。

実質GDP成長率の推移(四半期ベース) 消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)
中国本土株式市場の展望

 昨年の中国本土株式市場は、年間を通して金融引締めが常に懸念材料として相場の圧迫要因となってきた。

 上海総合指数は年初の1月11日に3306.75ポイント(ザラ場、以下断りがない限り同様)の年間高値を付けたが、翌12日の預金準備率引上げをきっかけに下落に転じ、2月3日には2890.02ポイントまで下げた。以降は、反発に転じたものの、一段の金融引締め懸念が払拭されないなか、4月15日の高値3181.66ポイントをピークに7月2日の2319.73ポイントまでほぼ一貫して下落。

 年前半の下げの主因は、不動産を中心とする金融引締め強化に対する懸念の高まり。さらに欧米景気の先行き不安も加わり、中国経済全体が二番底に陥るという悲観シナリオを織り込むかたちで下落基調を強めた。農業銀行の大型IPOに伴う需給悪化懸念も相場下落に拍車をかけた。

 一方、年後半に入ると、7月中旬の温家宝首相の「中国経済は想定どおりの動き」との発言をきっかけに景気に対する悲観論が後退、人民銀行が金融緩和の継続方針を明らかにしたことも加わり、戻り局面を迎えた。特に、10月の国慶節明けには商いを伴って急伸、11月11日には3186.72ポイントまで戻した。ただ、その後は預金準備率の連続引き上げなど金融引締めの強化を嫌気し急落、年末にかけても様子見気分の強い展開となった。

 続く2011年の中国本土株式市場は基本的には堅調な推移を予想する。ただ、物価上昇に伴う金融引き締め懸念は依然として払拭できず、それゆえ短期的には、株式市場は上値の抑えられた展開が続こう。

 しかし、中国の経済状態や企業業績が好調なだけに、株式市場へ資金流入が起き易い状況に変化はない。また中国の場合、金融引き締め策もマイナス面ばかりではない。実際に中国で基準金利が引き上げられれば、米中の金利差から人民元に対する先高期待が大きくなり、中国市場への資金流入を促す要因となる。さらに、資金流入による人民元高を抑えるために当局が為替介入を行えば、人民元の大幅な流通量増加にも繋がる。これらの資金が一部でも株式市場に流入すれば、株価を押し上げよう。

 年初暫くは金融引き締め懸念を背景に上値の重い展開が続くと考えられるが、落ち着きを取り戻せば、早晩、上昇トレンドへと回帰しよう。

香港株式市場の展望

 一方、昨年の香港株式市場だが、年初は本土市場同様に預金準備率引上げを嫌気して下落基調を強め、2月8日には19423.05ポイント(ザラ場、以下断りがない限り同様)まで下げた。その後、4月12日には22388.77ポイントまで戻したものの、5月27日には18971.52ポイントと年間最安値を更新。ただ、その後は時折り調整局面を交えつつも上昇トレンドを継続、11月8日には24988.57ポイントと年初来高値を付けた。一方、年末にかけては反落、下値模索の展開となった。

 5月末にかけての下げは、中国本土での預金準備率引上げ、不動産引き締めの強化など本土要因に加え、一部欧州諸国の信用不安が欧州全体の経済に対する先行き不安にまで拡大、欧米株式市場の下落が続いたことが背景。夏場以降の上昇は本土市場の復調、ニューヨーク市場の上昇に支えられた。特に秋口以降は、人民元の先高感が一段と強まったうえ、米国の追加金融緩和により海外からの資金流入が加速するとの期待が高まったことが株価を押し上げた。ただ、その後は欧州の景気先行き不安が再燃、ドルへの資金回帰を背景に世界的な株価・商品の下落に巻き込まれるかたちで下値模索が続いた。

 これまでのドル安を背景にした株式、商品への資金の流れが逆転、海外投資家中心に資金が流出している。したがって、短期的にはドルの反騰がどこまで続くかがポイントとなろう。しかしながら短期的にはともかく中長期で見れば人民元相場の上昇期待は変わらないことから、投資資金のドルへの回帰が一巡すれば、海外からの資金流入が再開しよう。本土市場、欧米市場の動きに左右される点に変わりはないが、今後も上昇トレンドが続くものと考える。(12/22 村上)

NYダウと中国株の動き

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広州広船国際(グァンズーシップヤード)

00317〈N1160〉香港

華南地区の造船大手、10.1‐9月期は減収増益

 広東省に本拠地を置く造船大手。船舶、鉄骨構造物、エレベーターなどの製造、販売を手掛ける。主力の造船では石油タンカーやケミカルタンカーなどを建造、特にハンディサイズに注力している。RORO船、半潜水船などの分野にも参入。筆頭株主は国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にある中国船舶工業集団公司。09年の売上構成比は、造船及び関連事業87.3%、鉄骨構造物事業7.1%、その他5.7%。製品別では、石油タンカーが約70%、特殊船舶が約15%で、船舶以外が約15%。

 10.1‐9月期業績(中国会計基準)は、売上高が前年同期比10.7%減の45.2億元、純利益が49.2%増の6.0億元と減収増益。減収の背景は、世界金融危機を受け、08‐09年の造船受注が大幅に落ち込んだこと。ちなみに06年、07年の受注はそれぞれ30隻、24隻だったが、08年、09年は各13隻、4隻と大きく落ち込んだ。一方、原料安、費用管理の強化、高付加価値船舶の引き渡し増などが利益率を押し上げたほか、補助金収入が利益を膨らませた。

新造船受注は回復傾向

 10年通期の売上は10‐12月期に持ち直し、前年比ほぼ横ばい、11‐12年には二桁の増収になる可能性が高い。

 世界的に造船業の回復の足取りは重いが、同社の主力製品である石油タンカーについては受注環境が改善している。原油需要が増加している一方、世界的に石油タンカーの輸送能力はあまり増えていない。こうしたなか、同社は11月に中国海運大手の中海発展から8隻の石油タンカーを受注した。11年より建造を開始し、12年から引き渡しの予定である。受注金額は19億元で、同社の10.1‐9期の売上高の42%に相当する。今回の受注を加えると、10年の新造船受注は09年の4隻を大きく上回る13隻となる。また手持ち受注残は推計54隻となり、約3年分の引き渡し量に相当する。鉄鋼業が生産能力過剰の状況にあり、造船用鋼板価格は今後2-3年間大きく上昇する可能性が低いこともあり、当面は安定した業績を確保できそうだ。

華宝国際(ホアバオ・インターナショナル)

00336〈N0336〉香港

大手香料メーカー、10.9期(中期)は二ケタの増収増益

 タバコ用を始めとする食品向けや日用雑貨向け香料を生産する民営の持ち株会社。本土の主要タバコメーカーを顧客に持ち、国内タバコ向け香料市場で高いシェアを誇る。10.9期(中間)の売上構成比は食品向けフレーバー97.1%、日用雑貨向けのフレグランス2.9%。

 10.9期(中間)の業績は売上高が前年同期比18.2%増、純利益で同23.1%増と、二桁の増収増益。主力のフレーバー事業ではタバコ向け香料の販売増加等によって同17.7%の増収と高い伸び。経済発展に伴って贈答用などとして高級タバコの需要が国内で急拡大しており、その恩恵を大きく受けた。また、全体の増収率への貢献度は低いが、フレグランス事業も同35.3%の増収とフレーバー事業を上回る成長を遂げた。さらに、粗利益率も前年同期と同じ75.5%の高水準を維持している。なお、中間決算における配当予案は1株当り0.072香港ドルの現金配当(権利落ち日は2月11日)の予定。

中国タバコ業界の拡大が追い風に

 昨年、国家煙草専売局は「532」計画を打ち出した。今後5年程度を掛けて、年生産能力5百万ケース超のブランドを2つ、同3百万ケース超のブランドを3つ、同2百万ケース超のブランドを5つ育成する目標を掲げている。この計画を実現するため、大手企業は今後積極的な生産設備の拡大に動くものと見られ、タバコ用香料市場で大手の同社に対しても追い風となろう。

 また、昨年11月に同社は「再構成タバコ」メーカーの買収を発表した。再構成タバコとは従来のタバコ製造工程で生じる葉の粉や破片等を再加工することによって作られるタバコの原料。紙巻タバコの添加材として使用することで製造原価の低減等に繋がる。まだ中国では馴染みの少ない再構成タバコだが、タバコ需要の増加に伴って急成長が期待される分野の一つだ。加えて、その生産は政府によって厳しく規制されており、参入障壁も高い。今回の買収対象企業は当局の認可を受けた数少ない再構成タバコの研究及び生産拠点であり、同社の中長期的な成長に大きく寄与する見通し。

中国石油化工(シノペック)

00386〈N1980〉香港

中国の石油化学製品最大手

 中国の3大石油メジャーの一角、石油化学製品では最大手。主要事業は油・ガス田の探査・開発、原油・天然ガスの生産・貿易、石油精製、燃料油、石油化学製品の生産販売。09年の売上構成比は、採掘部門が1.5%、精製部門が7.3%、販売部門が゙59.2%、石化部門が14.6%。10年9月末時点のガソリンスタンド数は30,050軒。

 10.1‐9期の売上高は前年同期比59.8%増の1兆4,276億元、純利益は同11.6%増の564億元と増収増益に。中国経済の順調な拡大が続くなか、原油や天然ガス、石化製品の需要が増加し、原油・天然ガスの価格が上昇したことが寄与した。部門別の営業利益では、採掘部門は前年同期比140.7%増の408億元と好調で、販売部門も同4.2%増の233億元と増益を確保したが、精製部門は同60.6%減の85億元、石化部門は同27.3%減の104億元と苦戦した。採掘部門の好調は、原油と天然ガスの価格上昇に加え、新しいガス田の稼働による天然ガスの産出量増加による。ただ、一方で原油高は採掘部門に好影響を与えたが、精製部門の収益を圧迫した。

販売価格の上昇で精製・石化部門の利益率は改善へ

 原油・天然ガス価格の上昇で10‐12月期の採掘部門は7‐9月期を上回る業績となったもようだ。11‐12年も増産に加え、環境保全の要請や都市化により天然ガスの消費拡大が見込まれることなどにより、採掘部門は好調な業績が続く見通しである。

 精製部門と石化部門も10‐12月期以降、利益率は改善に向かっている。石油・石化製品の需要が引き続き堅調なほか、販売価格が上昇しているためだ。国内ガソリンとディーゼル油は在庫の減少が価格を押し上げている。特に、ディーゼル油は景気回復に伴い需要が急増したことから在庫は5カ月連続の減少となった。こうした状況下、政府は10月26日付でガソリン、ディーゼル油、航空燃油など石油製品の価格を引き上げている。また、天候要因を受け綿花価格が急騰するなか、その代替品である化学繊維の市況も上昇に転じるなど、同社精製部門、石化部門の収益好転の素地が整ってきた。

中国緑色食品控股(チャイナ・グリーン)

00904〈N0900〉香港

中国の農産物・加工野菜・飲料の大手

 農産物の生産から出発し、現在では加工野菜、自社ブランドの飲料・食品に展開する食品会社。福建省、浙江省、湖北省などに栽培基地を持つほか、福建省恵安県などに加工工場を保有している。野菜の生産から手掛ける食品の一貫メーカーで、高い生産技術と食品の安全性を維持するとともに、高い収益力を誇り、10.4期の売上高営業利益率は39.6%に達している。

 農産物の生産から手掛ける食品の一貫メーカーであるため、ここのところ顕著になっている中国の食品インフレは収益力の向上につながり、事業の追い風になる。また、黒豆ジュースなどの豆ジュース、野菜ジュースを主力とする飲料は中国の消費者の健康ブームに乗り、高成長を続けている。「中緑」のブランド認知度も向上中だ。10.4期の売上構成比は加工野菜39.4%、飲料・食品36.3%、生鮮野菜・果物24.3%、国内販売が55.0%で輸出が45.0%となっており、日本向けの売上高が18.7%を占めた。

11.4期業績も好調持続の見通し

 健康ブームの波に乗っている飲料を中心に、加工野菜、加工食品、生鮮野菜・果物が揃って好調で、10.4期業績は、売上高が前年比22.8%増の19.0億元、純利益が同26.6%増の5.8億元を達成した。

 続く11.4期業績も続伸の見通し。食品価格の高騰を主因に、11月の消費者物価上昇率は5%を上回る上昇率となっているが、こうした足下の食品インフレが業績の拡大を後押しすると見られる。ちなみに、11年に出荷する生鮮野菜・果物については、平均販売価格の5%~10%引き上げを打ち出している。加えて、飲料は、健康ブームにも乗って、10.4期に前年比70%を超える増収を達成したが、11.4期も相変わらず好調を維持している模様だ。現在、同社ブランドは野菜系飲料の分野で急速に認知度を高めつつあり、会社側では、販路を急速に拡大し、中国全土に販売チャネルを広げる意向。長期的にみれば、健康志向に合致した野菜系飲料が収益拡大の牽引役に育つ可能性が大きい。

交通銀行(バンクオブコミュニケーション)

03328〈N3328〉香港

資産規模で業界第5位の大手商業銀行

 上海市を本拠に、法人向け業務を主力とする商業銀行。筆頭株主は中央政府の財政部だが、04年にHSBC(00005)を戦略的投資家として受け入れており、資本および人的交流関係を持つ。09年末時点で本土主要都市に2648店舗の営業拠点を構え、全国規模で事業を展開。本店のある中国東部地域を主な営業基盤としている。また、10年6月末で総資産が3兆7093億元と、4大国有銀行に次ぐ規模を誇る。ちなみに、同期末における預金残高は2兆7029億元、貸付残高も2兆706億元に達する。

 10.1‐9月期の業績は純利益で前年同期比28.2%増と、二桁の増益。貸出残高が前期末比18.2%増加するとともに、利鞘も前年同期と比べ0.22ポイント上昇して2.44%となったことで、純金利収入が同30.4%増加した。さらに、財務状況も株主割当増資の実施によって自己資本比率12.5%、中核的自己資本(Tier1)比率9.5%と、大きく改善している。一方、要注意貸付額が前四半期末に比べ42.5%増となった。ただ、これは貸出分類システムを変更して企業査定をより厳格化したことが主因であり、同行のリスクマネージメントがHSBCの影響を受けて向上している現れと言えよう。

リスクマネージメントを重視して質の高い成長へ

 中国政府は本土の銀行に新たな規制を導入する見通し。この規制では各行に貸出残高比で2.5%以上の貸倒引当金を積むように義務付けており、利益を圧迫する要因になると見られている。ただ、同行を始めとする大手行では引当金比率が既に2.5%を超え、大きな負担とはならない模様。さらに今年予想される金融引き締めに関しても、銀行業界全体の成長率を鈍化させるだろうが、各行にリスクマネージメントの強化や収益の多様化を促がそう。このような環境の中、同行はHSBCの支援のもとでリスクやコストの管理を徹底しており、その優位性が今後発揮されよう。加えて、アジアを中心に銀行の買収を検討している。中国の成長だけでなく、新興国の成長を取り込むことで、同行は中長期的に安定した成長を続けていこう。

雅居楽地産(アジャイル・プロパティー)

03383〈N3383〉香港

広東省を本拠とする民営の不動産開発会社

 中高級住宅を中心に不動産の開発や管理を手掛けるほか、ホテル運営なども行う。また近年は、本社を置く広東省の周辺だけではなく西部地域や長江デルタ、更には海南島での開発にも力を入れている。10年6月末時点の保有開発用地は総床面積換算で3115万平方メートル。なお、その地域別構成比(8月20日時点)は珠江デルタ41.6%、広東省東部13.4%、海南島30.9%、中国西部6.1%、長江デルタ4.5%、中国東北部3.6%。

 10.6期(中間)は前年同期比26.2%増収、純利益で同354.9%増益。前年上期が大幅な減益(純利益ベースで84.1%減)だった反動もあるが、不動産投資に絡み30.9億元の評価益を計上したことが大幅増益に繋がった。もっとも、この不動産評価益の影響を除けば純利益ベースで同32.0%増にとどまる。ただ、平均販売単価の上昇、高利益率物件の販売増加や開発コストの低減によって二桁の増益を確保している。また、粗利益率が前年同期に比べ12.6ポイント改善して46.7%に、純利益率(不動産評価益の影響を除く)も同2.5ポイント上昇の15.1%となった。

海南島での好調な不動産販売を受け、更なる成長へ

 現在、中国では不動産投機に対する規制強化の流れに加え、金融政策もインフレ懸念を背景に引き締め方向へと転じている。そのため、不動産市場全体にとって厳しい状況が続いている。

 ただ、都市部における人口増加等を受け、住宅需要は年々拡大傾向にある。政府も不動産投機を規制する一方で、住宅の供給量を増やすべく努力している。このような環境下、同社は実需を中心に販売を伸ばし、昨年1‐11月の不動産販売額(契約ベース、以下同じ)が前年同期比64%増の254億元と、通期目標の250億元を1カ月前倒しで達成した。中でも、海南島のプロジェクトは政府による地域振興策の影響などを受けて販売が好調だ。昨年1‐11月で契約額は70億元を上回り、同社全体の3割程度を占めた模様。このプロジェクトは比較的利鞘も厚く、中期的に大きな収益源となろう。

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