チャイナマンスリーレポート

10月号

2011年10月3日 内藤証券中国部

本土市場
日々売買代金の1000億元割れは底値圏を示唆

 9月の本土株式市場は月初から軟調な展開。途中いったん戻りを試す場面もあったが続かず、月末にかけては再び下値模索の動きに。

 8月終盤にかけて弱含みの動きが続いていた上海総合指数だが、9月に入っても基調は変わらず1日から4営業日続落、6日の終値は2470.524ポイントと本年安値を更新。8月の製造業購買担当者指数が、事前予想を下回ったことや、輸出受注が大きく低下したことで景気の先行きに懸念が拡がった。一方で、金融引き締めへの警戒感も依然として燻るなか、中国人民銀行が預金準備の適用対象を拡大したとの観測も引き続き重石となり、売り先行の展開となった。

 その後、7日にはいったん反発し2500ポイント台を回復。8月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前月に比べて低下するとの見方から、利上げ懸念がやや後退、投資家心理の改善につながった。ただ、以降は2400ポイント台での一進一退。9日に発表された8月のCPIは前年同月比で6.2%の上昇と事前予想の範囲内でほとんど材料視されなかった。月末にかけても欧州の債務問題、米国景気の先行き不安など海外環境が混迷の度を増す一方で、中国国内の金融引締め懸念や景気減速に対する警戒感は払拭されず、底値模索が続いた。

 欧州債務問題、米国景気の失速懸念など海外発の悪材料には依然として好転の兆しが見られない。一方、国内では8月のCPI上昇率が前月を下回るなど、物価上昇に歯止めが掛かりつつある。国内景気についても減速気味とはいえ依然堅調だ。株価の下落により割安感も強まっていることから基本的には押し目買いのタイミングだろう。欧州の債務問題がある程度の決着を見るまでは株式市場の本格反転は期待し難いが、日々売買代金の1000億元割れは株価の底値圏到達を示唆することが多く、今はまさにそのタイミング。(9/27 村上)

香港市場
リスク資金の引き揚げが直撃、割安感はさらに強まる

 9月の香港株式市場は月間を通して軟調な動き。途中下げ止まる場面も何度か見られたものの続かず、月末にかけて年初来安値の更新が続くなど、底値模索の展開となった。

 8月下旬にかけて戻り局面にあったハンセン指数だが、9月入りとともに失速。1日こそ前日比50ポイント高と小幅に上昇して引けたものの、翌2日は372ポイント安、そして週明けの5日には596ポイント安の19616.40ポイントと20000ポイントの大台を再度、割り込んだ。前週末に発表された8月の米国雇用統計が市場予想を大きく下回ったことを受け、欧米市場が大幅に下落。東京市場も急落するなど、海外環境の悪化が響いた。また、前週に流れた預金準備の対象拡大観測に伴う資金流動性への影響があらためて懸念された。

 その後、7日には20000ポイントを回復したものの、翌週明けの12日には836ポイント、4.2%の急落となり19000ポイント割れ寸前まで下げた。ギリシャの財政資金が10月までに底をつく見通しが出された一方、国内では市民によるデモが頻発。欧州信用不安に対する投資家の懸念は急速に高まり、株安が世界各国に波及、特に香港市場は影響を大きく受けた。以降も欧州の債務問題、米国景気の先行き不安などに絡んだマイナス材料が出現するたびに大きく売られ、19日には19000ポイント、さらに22日には18000ポイントをそれぞれ割り込むなど下げ足を早めた。

 欧州債務問題、米国景気の失速懸念など海外環境はまさに混迷の度を増すばかりだ。ソブリン・リスクの拡大から欧米銀行の資金回収が本格化、香港など新興国市場からの投資資金引き揚げが加速しているようだ。直近の株価の大幅な下落も手伝って香港市場の割安感は一段と強まっているが、リスクマネーの引き揚げに伴う機械的な売りの圧力には抗しがたい。欧米発の材料で引き続き香港市場も不安定な動きが続く可能性大だが、押し目は買い場と考える。(9/27 村上)

特集
為替市場では緩やかながらも人民元高の動き
10年の為替政策変更時に上昇した銘柄

 9月に入っても中国株式市場は軟調な動きを続けた。世界的な景気減速懸念に加え、国内でもHSBC中国製造業購買担当者指数が7月以降、50ポイントを下回るなど、景気の先行きに対する不透明感が増しているためだ。さらに、物価も依然として高い上昇率が続いており、金融当局は引き締め姿勢を堅持している。ただ一方、為替市場では人民元が対米ドルで緩やかながらも上昇傾向にある。

 そこで今回は、10年の中国人民銀行(中央銀行)による人民元の柔軟性拡大宣言直後(6月21日)に大きく上昇した銘柄を抽出した。加えて、人民元高に大きく振れた10年9月の株価上昇率も参考に載せた。この結果を見ると、比較的上位に空運が並んでいる。機材調達などで外貨建て負債を多く持つ空運各社にとって人民元高は負債の圧縮をもたらすためだ。また、マカオを拠点とするホテル各社も中国本土からの旅行客が増加するとの思惑が働いた。さらに、金融機関や不動産なども人民元高が企業価値の増加に繋がると判断され、政策が発表された翌日には株価が大きく上昇した。ただ、銀行や不動産は金融引き締め策などの影響を受けて株価上昇が短期にとどまっており、下表には出てこなかった。

 現在、海外市場が不安定なだけに中国株も難しい展開が予想されるが、落ち着きを取り戻せば足元の人民元高を再評価して関連銘柄に注目が集まろう。(9/27 有井)

対米ドル人民元為替レート
10年の為替政策変更時に大きく上昇した銘柄

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香港鉄路(MTRコーポレーション)

00066〈N6600〉香港 株価チャート

香港の大手鉄道会社、上期は2桁の増収増益

 地下鉄を主力とする香港の独占鉄道事業者。香港だけでなく、本土の深センや北京のほかロンドン等にも展開。上期の売上高構成比は、香港の鉄道運営39.5%、海外の鉄道関連事業38.2%、駅構内広告・店舗賃貸・その他22.3%。

 11.6期(中間)の業績は前年同期比14.7%増収、営業利益では同27.7%減、純利益で同21.3%増益。乗客数の増加や運賃の引き上げなどが増収に繋がった一方で、今上期は大型の物件販売の計上がなく、不動産開発事業の営業利益は同61.0%の大幅減。このため営業利益では減益だったが、保有物件の投資評価益が同4.0倍の44.1億HKドルに膨らんだため、純利益では2桁の増益を確保した。

本土からの旅客増を背景に、安定成長が続く

 通期業績も順調な見通し。本土からの旅客増で香港の鉄道事業が伸びるうえ、本土の深セン・北京での利用客の増加により海外鉄道収入の拡大が期待できるため。

 深セン地下鉄4号線第2期の開通で、同社の鉄道網は中国本土の深セン市内まで達することになる。つれて1,300万人の人口を抱える深センから香港へのアクセスが大きく向上、本土での鉄道事業の収益に貢献しよう。さらに、同社が経営するショッピングモールの「エレメンツ・モール」は本土からの旅行者の間で人気が高く(売上の40%は本土旅行者向け)、鉄道網の充実と商業施設とが相乗効果を発揮。拡大を続ける中国経済をバックに、今後も安定成長が予想される。

聯想集団(レノボグループ)

00992〈N2950〉香港 株価チャート

国内最大手、世界でも有数のパソコンメーカー

 「Lenovo」、「ThinkPad」を主力ブランドとしてパソコン等の製造販売を手掛ける。また昨年、一時撤退していた携帯電話端末の製造事業に再度参入しており、スマートフォンやタブレット型PCの製造も行う。11.3期の地域別売上比率は中国46.4%、先進国35.7%、新興国(中国を除く、以下同じ)17.9%。

 11.4-6月期は売上高が前年同期比15.0%増、純利益で同98.3%増。パソコン出荷台数が中国で同23.4%増の高い伸びを示しただけでなく、新興国でも積極的な市場開拓によって同46.5%増となった。さらに、先進国市場も法人向け需要が買い替えを中心に堅調だった。これによって、国内パソコン市場のシェアは前年同期に比べ2.3ポイント向上して31.7%、世界全体でも12.2%まで上昇し、台湾のエイサーを抜いて第3位。

市場規模の拡大に伴って高成長を続ける見通し

 米国の調査会社によると、今年4-6月の中国本土全体のパソコン出荷台数は1850万台に上り、四半期ベースで初めて米国を抜いて世界最大の市場となった。ただ、パソコン普及率の低い内陸部を中心に今後も市場規模の拡大が続く見通し。そのため、同社も国内最大手として高い成長を維持しよう。

 また、新興国でも市場シェアの拡大が期待される。実際、足元で7%程度にとどまっている同地域の市場シェアを二桁近くまで引き上げる計画を立てている。強いブランド力を誇る国内市場に加え、新興国市場での事業規模拡大が同社に更なる成長をもたらそう。

中国交通建設(CCグループ)

01800〈N1810〉香港 株価チャート

国有企業を親会社とする大手インフラ建設グループ

 港湾、道路、鉄道をはじめとする交通インフラの建設を中心に、インフラ設計、浚渫、港湾機械の製造販売などを手掛ける。なかでも、港湾分野は圧倒的な市場シェアを誇る。また、国内だけではなく、世界80以上の国および地域で事業を展開。

 11.6期(中間)は純利益が前年同期比51.8%増と、二桁の伸び。特に、主力のインフラ建設が同17.7%増収、粗利益で同27.6%増益と、全体を牽引した。このほか、浚渫も同17.0%増収、同27.7%増益と好調であった。ただ、港湾機械は海外市場の不振などを背景に赤字幅が拡大。しかし、全体の粗利益率は 8.6%、前年同期に比べ0.5ポイント上昇している。

今後も受注は高水準を維持

 中国本土では今年発生した鉄道事故を切っ掛けに鉄道インフラへの投資縮小が懸念される。もっとも、同社は鉄道事業に対する依存度が競合他社に比べ相対的に低い。また一方、政府は港湾や河川輸送網の整備を重視している。さらに、船舶の大型化が進んだ影響で既存港湾の改修需要も大いに期待できる。そのため、港湾分野で高い競争力を誇る同社は今後も安定した受注を維持する見通し。

 加えて、年内を目標に本土株式市場で上場する計画を立てている。株式相場の動向次第では来期以降に延期される可能性もあるが、これが実現すれば、財務体質の強化だけでなく、資金調達方法の多様化にも繋がる。また、潤沢な資金を用いて設備増強を図ることで業界内での地位が一段と高まろう。

銀泰百貨(インタイム・デパート)

01833〈N1833〉香港 株価チャート

浙江省に本拠を置く大手百貨店チェーン

 浙江省を主な地盤とする大手百貨店。98年に杭州市で1号店を開設した比較的若い企業。今上期末時点で浙江省、湖北省、陝西省に合計23店舗を構える。主要顧客を都市部の富裕層としており、中高級品に強みを持つ。

 11.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比42.3%増、純利益で同60.3%増と、大幅な増収増益。主因は既存店の販売が好調だったこと。特に、内陸部の店舗で販売額が大きく伸びている。さらに、非中核事業の売却益、利息収入に加え、昨年末に持分法適用会社となった北京の高級百貨店事業も増益に大きく寄与した。また一方で、経営規模の拡大に伴って人件費等が増加したものの、増収効果によって吸収。富裕層向けに実施したセールスプロモーションも功を奏した。

店舗網の拡大で今後も高成長が続く

 現在、展開している店舗のうち、大部分が07年以降に出店した新しい店舗。一般的に、新規出店した店舗の収支が均衡するには3年程度の期間を要するため、収益に対する寄与が今期辺りから徐々に本格化していく見通し。

 また、向こう3年間で12店舗を出店する計画。本拠を置く浙江省だけでなく、個人消費の拡大が見込まれる内陸部でも積極的に出店する方針である。一方、事業拡大に伴う資金需要に対しては今年7月に10億元の人民元建て社債を香港で発行した。このような積極的な事業規模の拡大を通じて同社は中長期的に高成長を続けよう。

京信通信(コンバ)

02342〈N2342〉香港 株価チャート

無線通信技術を強みとする民営の通信設備メーカー

 アンテナ分野で高い技術力を誇り、設計からアフターサービスまで、一環したソリューションを提供する。また、国内だけでなく、海外でも事業を展開している。11年上期の売上構成比は、通信容量の拡張34.6%、アンテナ・サブシステム32.1%、サービス25.2%、無線アクセス8.1%。

 11.6期(中間)は前年同期比で27.1%増収、同13.7%増益。労務費の上昇等で粗利益率が同2.2ポイント低下して38.0%となったが、同業他社と比較すれば依然として高水準を維持している。一方、事業別では無線アクセス事業が同124.3%増収と大幅な伸び。現時点において同事業の規模は比較的に小さいものの、中期的に高い成長が見込まれる。

データ通信需要の急拡大が追い風に

 現在、中国の移動体通信大手のサービスエリアはほぼ全土に広まった。ただ、月1千万人規模に達する新規加入者への対応を図るため、各社は通信機能の拡充に迫られている。特に、ソーシャルネットワークサービス(SNS)への関心が高い中国では、データ通信機能に優れたスマートフォンが人気を博しており、通信容量の増加に加え、通信速度の向上に対する顧客のニーズも強い。

 実際、移動体通信大手各社による今期の投資計画を見ると、下期には上期以上の設備投資を行う見通し。そのため、アンテナ交換や塔設増幅器の追加設置など、既存基地の通信容量拡充を強みとする同社は今期も高成長を続けよう。

老鳳祥(ラオフォンシャン)

900905〈X4960〉上海 株価チャート

上海市に本拠を置く大手宝飾品会社

 宝飾品事業を手掛ける子会社の上海老鳳祥は、1848年創業の老鳳祥銀楼を前身とする老舗。宝飾品以外に、金取引や筆記具の製造販売を行い、直営店や代理店を通じて全国に約1600店舗の販売網を持つ。今上期の売上構成比は、宝飾品74.7%、金取引14.1%、筆記具1.9%。

 11.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比50.3%増、純利益で同129.7%増。主因は、宝飾品業界の好景気が持続したことや販路の拡大に伴って販売量が大きく伸びたことなど。また、固定資産の売却益計上に加え、金価格の上昇によって金取引業務が堅調だったことも好業績に寄与した。

宝飾品の販売量は一段と増加する見通し

 中国では金製品は祝い事の贈答品として一般的に用いられるなど、日常生活に根ざした身近なものとなっている。そのため、長期的に安定した需要が見込まれる。さらに近年、投資用の需要も拡大傾向にある。

 このような環境の下、同社は販売網の増強によって事業拡大を図る方針。具体的には、東北地方の遼寧省や北京市等で店舗を開設するほか、加盟店を毎年100店舗ずつ増やす計画を立てている。一方、取扱製品に関しては従来の貴金属やダイヤだけでなく、翡翠など、中国の伝統的な宝飾品にも注力。特に、高級工芸品の販売を新たな成長事業として位置付けている。金製品を始めとする宝飾品に対する旺盛な需要を背景に同社は今後も高い成長を維持しよう。

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