チャイナマンスリーレポート

11月号

2011年11月1日 内藤証券中国部

市場動向:欧州の債務問題に一定の進展、短期的には戻りを試す局面に

本土市場
海外発の悪材料も一巡、底値買いのタイミング

 10月の本土株式市場は中旬に反発する場面もあったが続かず、月後半にかけては再び安値圏での推移となった。

 9月終盤にかけて弱含みの動きが続いていた上海総合指数だが、国慶節連休明け初日の10日も前営業日比14.4ポイント安の2344.78ポイントと4営業日続落、本年安値を更新した。連休中の海外市場が総じて上昇していた割には冴えない動きとなった。もっとも翌11日からは3日続伸し、2400ポイント台を回復した。特に、12日は前日比71.4ポイント、3.0%の上昇と指数の上昇率は今年最大に。10日に中央匯金投資有限責任公司が4大国有銀行に対する株式買い増しを実施。今後も政府による株式市場へのテコ入れが続くという観測が広まり、買い安心感に繋がった。

 しかし、上昇局面は長続きせず18日には前日比56.9ポイント安の2383.48ポイントと再び2400ポイント割れに。以降も21日まで4日間の続落となった。欧州債務問題を巡る先行き楽観論がやや後退、外部環境が悪化するなか、18日に発表された第3四半期の国内総生産(GDP)成長率が市場予想を下回ったことで景気減速懸念が高まり地合いを冷やした。ただ、月末にかけては欧州債務問題の解決に向けて一定の進展が見られたことから買い意欲が復活、反発基調に転じた。

 欧州債務問題、米国景気の失速懸念など海外発の悪材料はとりあえず最悪期をすぎたもよう。短期的には、これまで海外環境の悪化で売り込まれた分の戻りが期待できる局面だろう。国内でも9月のCPI上昇率が前月を下回るなど、物価上昇に歯止めが掛かりつつあるうえ、国内景気についても減速気味とはいえ依然堅調だ。株価の下落により割安感も強まっている。日々売買代金の1000億元割れなど株価の底値圏到達を示唆する事象も数多い。したがって、現在は押し目買い、底値買いには最良に近いタイミングだろう。(10/25 村上)

香港市場
リスク資金の引上げも一巡、短期的には戻り局面

 10月の香港株式市場は月初こそ続落して始まったものの、中旬にかけて反発、その後は一進一退の展開となった。

 9月下旬にかけて調整局面が続いていたハンセン指数だが、10月に入っても基調は変わらず、初日の3日は前日比770ポイント安、4日も同571ポイント安と大幅続落、終値は16250.27ポイントと連日の年初来安値更新となった。ギリシャのデフォルト懸念など欧州の信用不安が拡大、欧米市場が大幅に下落するなか、1日発表の本土の製造業購買担当者指数は前月比でプラスを確保したものの、改善幅はわずかで好材料視されなかった。中国本土が連休中で国内発の買い材料に乏しいなか、外部環境の悪化が直接、売りに繋がった。

 しかし、5日の休日を挟んで6日は前営業日比922ポイント、5.7%高と急伸。欧州各国が資本不足の銀行に対して公的支援を行う可能性が高まり、欧州を起点とした連鎖的な金融不安への警戒感が後退。加えて、米国のISM非製造業景況感指数、ADP雇用統計が上振れしたことも、買い材料となった。その後も、中国政府による景気下支え・株価安定策に対する市場の期待感などを背景に反発基調を強め、17日には18873.99ポイントまで戻した。その後は月末にかけて18000ポイント半ばを中心とする一進一退の展開が続いた。

 欧州債務問題、米国景気の失速懸念など海外環境の悪化はとりあえず峠を越えたようだ。ソブリン・リスクの拡大を背景とする欧米投資家の香港など新興国市場からの投資資金引き上げもいったんは収まった模様である。リスクマネーの引き上げに伴う機械的な売りにより株価が大幅に下落しただけに、短期的には売り込まれた分の戻りが期待できそうだ。足元の業績は好調であり、株価の大幅な下落も手伝って割安感が一段と強まっている。欧米発の材料によっては引き続き不安定な動きも予想されるが、押し目は買い場と考える。(10/25 村上)

特集:高い成長力を誇る中国企業

来期も多くの企業が二桁増益に

 10月18日、中国国家統計局は国内総生産(GDP)などの主な経済指標を発表した。注目された11年第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比9.1%増と、伸び率が前期に比べ0.4ポイント鈍化した。国内での金融引き締め等に加え、外部環境が大きく悪化したためだ。ただ、減速気味とはいえ国内景気は依然として底堅い。実際、多くの調査機関が中国経済における今年の成長率を9%台、来年に関しても8%台と、予想している。これまで10%前後の経済成長を続けていただけに、減速感は否めないが、政府が目標とする水準に落ち着きつつあるだけともいえる。また、個別の企業に関しても収益見通しは良好だ。

 そこで今回は、Bloombergの業績見通しを用いて、前期(実績)、今期、来期と、3期連続で二桁以上の増益(純利益ベース)が見込まれる企業を下表にまとめた。この結果を見ると、特定の分野で高い競争力を誇る民営企業が多く含まれている。今までのように、国有銀行を始めとする大手企業中心の経済発展から変化すると予想されているようだ。また、個人消費の拡大に伴って、小売や食品など、多くの消費関連銘柄も好業績が続く見通し。

 海外市場が不安定な動きを続けているため、現状では中国株も難しい展開が予想されるが、株価下落局面は好業績銘柄に対する押し目買いのチャンスと捉えたい。(10/24 有井)

実質成長率(4半期ベース)
3期連続で2桁以上の増益が予想される企業

拡大上表をクリックすると別枠で大きな表が開きます

恒安国際(ヘンアンインターナショナル)

01044〈N1440〉香港 株価チャート

大手衛生用品メーカー

 中国本土でティッシュペーパー、生理用ナプキン、紙おむつなどの製造・販売を手がける民営企業。11.6期(中間)の売上構成比は、ティッシュペーパー47.9%、生理用ナプキン22.6%、紙おむつ15.0%、菓子・その他14.5%。同社の製品は品質が高く、外資系企業の製品より低価格というブランドイメージを背景に、中国本土で高成長を続けてきた。

 11.6期(中間)の業績は前年同期比27.4%増収、純利益で同1.7%減益。個人所得の増加に伴う消費の高級化、都市化の進展による健康・衛生意識の高まり、などを背景に売上は順調に拡大したが、原材料高や競争激化などから紙おむつ、ティッシュ事業の採算が悪化、小幅ながら減益に。

年後半の業績は改善方向へ

 世界的な商品価格の高騰による原材料価格の上昇も一段落、今後はコスト上昇圧力が徐々に和らぐ可能性が高い。また、下期は利益率の高い高級品の販売を引き続き増やす計画で、収益は改善に向かう見通し。

 紙おむつ事業と生理用ナプキン事業では、需要増を見込んで高級品の販売比率を高めていく方針。すでに3月から中低価格帯の紙おむつのアップグレード版製品を順次発売しており、年後半には高級品を市場に投入する予定。生理用ナプキンについても、同様に新しい高級品シリーズを発売する。販売価格は既存製品より高めに設定されているため、今後、同事業の利益率上昇につながろう。

利福国際(ライフスタイル)

01212〈N1212〉香港 株価チャート

香港地場系の大手百貨店

 香港と中国本土で高級百貨店を経営。香港では「崇光(SOGO)」をブランド名として銅鑼湾にある旗艦店の他、尖沙咀に店舗を構える。本土でも上海市の「上海久光百貨店」や江蘇省蘇州市の「蘇州久光百貨店」などを運営する。今上期の地域別売上比率は香港が79.0%、中国本土が21.0%。

 11.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比20.6%増、純利益で同30.6%増。また、前年上期に計上した一時的な投資収益の影響を除けば、純利益ベースで実質的に同47.0%の大幅な増益であった。主因は既存店の販売状況が好調だったこと。さらに、持分法適用会社の堅調な業績も全体の収益を押し上げた。

好調な香港の消費、本土での事業拡大、更なる成長へ

 今年前半、香港全体での小売売上高は前年同期比24.4%増と好調。中国本土からの観光客の増加などを背景に小売業界が活況を呈したためだ。一方、中国本土ではインフレ圧力の高まりによって小売市場は一時的に伸び悩んだ。ただ、同社の上海久光百貨店は二ケタの販売増を確保している。

 このような環境の下、同社は13年に遼寧省で新店舗の開業を予定するなど、本土での積極的な事業展開を計画している。近年、中国本土では経済成長に伴い、所得水準が向上していることに加え、個人消費の拡大を後押しする政策も目白押しだ。中国経済の発展とともに同社は今後も中長期的に安定した成長を維持しよう。

百麗国際(ベル・インターナショナル)

01880〈N1880〉香港 株価チャート

中国最大手の婦人靴メーカー

 婦人靴の製造販売を主力とする民営大手。全国に専門店ネットワークを構築しており、「百麗(Belle)」など自社ブランドを有するほか、他社ブランドも取り扱う。このほか、中国本土でスポーツウエアなどの小売事業も展開。今上期の売上構成比は、靴63.0%、スポーツウェア・アクセサリー37.0%。

 11.6期(中間)の業績は前年同期比24.6%増収、同29.0%増益。経営規模の拡大に伴い、靴事業とスポーツウエア事業の売上がともに順調な伸びを示した。特に、主力である自社ブランド靴の販売が好調だった。さらに、在庫管理の強化や、仕入れコストの抑制、販売価格の回復などから、各事業ともに利益率が向上している。

11.12期通期も好業績を維持へ

 中国では都市化が進むなか、ライフスタイルや消費嗜好も変容し、デザインとイメージが最重要セールスポイントになりつつある。個人所得の増加に加え、社会保障の充実など、内需拡大を目的とする政策も追い風となり、強いブランド力を持つ同社にとって絶好機ともいえる期間がここ数年間続いている。

 これを背景に、同社は特に成長が期待される内陸部の中小都市への販売網拡大を推進。一方、長年培ってきたデザイン力を活かし、競争が激しい欧州等にも製品を輸出しており、安定した成績を上げている。同社は中国最大手の婦人靴メーカーとして、製品設計から最終販売までの一貫体制を取っており、複数の強力なブランドを武器に、今後も高成長を続けよう。

長城汽車(グレートウォール・モーター)

02333〈N2330〉香港 株価チャート

地場系の有力自動車メーカー

 地場系の有力自動車メーカー。主力車種はSUVの「哈弗」、セダンの「騰翼」、ピックアップトラックの「風駿」など。特にSUV、ピックアップトラックの国内シェアはトップクラス。11.6期(中間)の売上構成比は、SUV37.9%、セダン30.5%、ピックアップトラック23.0%、自動車部品・その他6.8%。

 11.6期(中間)は前年同期比49.8%増収、同109.0%増益と大幅な増収増益を達成。需要が旺盛な地方都市に狙いを定め、充実した製品ラインナップを強みに販売を拡大。販売台数はSUVが同17.7%増、セダンが同120.0%増。部品内製化、コスト削減などを進め、粗利益率は23.2%と前年同期比で1.8ポイント上昇、他社と比べても高い水準を確保した。

自動車販売の拡大、部品の内製化進展で成長持続へ

 中国の自動車業界は今年に入り、成長スピードが鈍っているが、同社の9月までの販売台数は33.1万台と前年同期を4割近く上回るなど好調を持続。今後についても販売台数は順調な増加が見込まれ、つれて業績も拡大基調が続く見通し。

 その背景は、①成長余地の大きい地方都市を主力市場としている、②新車投入、生産能力拡大の効果が見込める、③部品からの一貫生産体制がさらに強化される、など。特に、部品についてはA株上場で調達した資金を、生産拡大、研究開発などに充てる方針。これにより部品の高品質化・内製化が進み、利益率をさらに押し上げるとともに、製品の高付加価値化、ブランド力の向上に結びつく可能性が高い。

中海石油化学(チャイナブルーケミカル)

03983〈N3983〉香港 株価チャート

尿素、メタノールの大手メーカー

 中国の大手肥料メーカー。主力製品は尿素で、国内有数のシェアを持つ。湖北省でリン酸肥料も生産。このほか、メタノールの生産も手がけており、事業規模は国内トップクラス。

 11.6期(中間)は前年同期比61.0%増収、同93.2%増益と大幅な増収増益を達成。全体の粗利益率も前年同期に比べ4.9ポイント上昇し、35.7%と高水準だった。けん引役はメタノールで、生産・販売量は前年同期に比べほぼ倍増。販売価格も高値で推移した。主力製品の肥料も、尿素、リン酸肥料ともに好調。ブランド力に加え、マーケティング強化、サプライチェーン統合などが奏功した。

中長期的に堅調な需要が見込める

 政府は農業問題を重視しており、足元のインフレを抑えるためにも、農作物の安定供給に注力。これは、間接的に肥料需要の増加・安定化に繋がる可能性が高い。さらに、メタノールについても、今後の需要は堅調に推移するとみられる。溶媒として幅広い工業製品に使われるほか、石油の代替燃料としても注目されているためだ。

 また一方で、天然ガス、石炭など、原材料の価格上昇や調達リスクという懸念事項があるものの、同社には天然ガスがグループ内から安定的に供給されるというメリットがある。加えて、価格上昇圧力が比較的小さい石炭分野への投資を強化している。これによって原材料の調達バランスを一層向上させ、中長期的に安定した成長を続けよう。

安徽古井貢酒(アンホイグージン)

200596〈N2190〉深セン 株価チャート

安徽省に本拠を置く大手白酒メーカー

 中国八大名酒の一つに挙げられる「古井貢酒」等の製造販売を手掛ける。主力商品である「古井貢酒」は魏の曹操が漢の献帝に献上した「九ウン春酒」がルーツとも言われ、1800年以上の歴史を有する。11年上半期の地域別売上比率は、華中地域が72.7%、華北地域19.1%、華南地域が8.2%。

 11.6期(中間)は売上高が前年同期比84.9%増、純利益で同168.1%増。中高級品の販売が大幅に増えるなど、製品構成の改善が利益率の向上に繋がった。特に高級白酒が好調で販売額は同140.0%増と急拡大。また、今1-9月期も、売上高が同79.6%増、純利益で同145.4%増と、好調を持続している。

白酒の販売量は一段と増加する見通し

 中国では白酒市場が拡大傾向にあり、過去5年間で白酒生産量は2倍以上となった。その理由の一つとして、経済成長にともなう活発なビジネス活動や社交儀礼を背景に、贈答品として用いられる機会が多くなったためだ。また、これに伴って白酒の高級化も進んでいる。

 このような環境の下、同社は生産拠点や販売網の増強によって事業拡大を図る方針。足元では原材料価格や人件費など、製造コストの上昇といった懸念材料もあるが、今年3月に一部製品の値上げを実施するなど、価格への転嫁が順調に進んでいる。旺盛な白酒需要を背景として今後も中長期的に安定した成長を続けよう。

広告審査済

中国株取引のリスク
株価や為替の変動等により損失が生じるおそれがあります。
中国株取引の手数料について
中国株の手数料は、国内手数料、現地手数料、為替手数料と3種類の手数料があり、このスペースに表示するのが難しいため、詳細は中国株の「手数料とリスクについて」でご確認ください。
中国株は、クーリング・オフの対象にはなりません。
詳しくは手数料とリスクについてをご覧ください。
本サービスを提供するのは金融商品取引業者である内藤証券株式会社
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会)(登録番号:近畿財務局長(金商)第24号)です。