チャイナマンスリーレポート

2月号

2012年2月1日 内藤証券中国部

海外情勢が落ち着きを示す中、金融緩和の進展を支えに戻りを試す展開に

本土市場
引締め緩和の進展を確認、戻りを試す動きに

 1月の本土株式市場は出足こそもたついたが上旬にかけて急反発。その後、いったん反落場面もあったものの、月後半にかけて再び戻りを試す動きとなった。

 12月終盤にかけて戻り局面が続いていた上海総合指数だが、1月入りとともに反落。年明け最初の取引となった4日は前営業日比30ポイント安、5日も20ポイント安と続落し、終値は2148.45ポイントと昨年来安値を更新した。1日に発表された12月の製造業購買担当者指数(PMI)は前月から1.3ポイント上昇し、景況判断の目安である50を回復、景気に対する先行き不安は後退したものの、1月は大量の売却条件付き流通株の売買が解禁予定など需給悪化への警戒感が強まったことが主因。

 しかし、6日を境に相場は一転、週明けの9日、10日の2日間で122ポイント、5.6%の急反発に。12月の金融機関の貸付残高増加額とマネーサプライの数字が予想以上に強かったことで、人民銀行が金融緩和を着実に進めていることが確認されたうえ、温家宝首相が株式市場を支援する発言をしたことが好感された。その後、いったん弱含みに転じたものの、17日には再び大幅高。同日に発表された11年第4四半期GDPが堅調な数字だったほか、年金資金の流入観測などが相場を押し上げた。以降も春節の連休を間近に控える中、堅調な展開が続いた。

 11月末の預金準備率引下げ発表以来、当局に具体的な動きが見えず金融引締め緩和期待が萎みかけたが、12月の金融統計から着実な引締め緩和の進展が確認された。特に、株価と相関性の高いマネーサプライの伸び率に底打ち感が出てきたことは株式市場にとって大きなプラス材料だ。温家宝首相の株式市場支援発言も今後の政策期待につながる。欧州債務問題もS&Pによる9カ国格下げを乗り越えたことで、取り敢えず小康状態にあるうえ、米国景気にも目先明るさが出てきた。株価は引き続き安値圏にあるだけに、当面は戻りを試す展開が続くものと思われる。(1/26 村上)

香港市場
世界的なリスクオンの流れに乗り、資金流入期待が高まる

 1月の香港株式市場は本土同様に月初めこそ冴えない動きとなったものの、その後は春節の休暇に至るまで順調な上昇局面が続いた。

 12月中旬を底に戻り歩調にあったハンセン指数だが、1月入りとともに頭打ちの展開に。新年最初の取引となった3日こそ連休中に発表された主要国の景況感指数が軒並み上振ぶれしたことから大幅高となったが、その後は欧州債務問題への警戒感や低調な本土市場に足を引っ張られ反落。ただ、9日以降は再度反発に転じ、10日には約1ヵ月ぶりに19000ポイントを回復した。国内的には、12月の金融関連統計が予想外の改善となり、金融緩和期待が拡がったことや温家宝首相の株式市場に対する支援発言などが買い材料となったが、ニューヨーク市場の堅調など海外環境の好転もプラス要因となった。

 その後も中旬に至るまで19000ポイント台前半での高値もみ合いが続いたが、17日には前日比615ポイント高と急伸。同日発表された11年10-12月期の実質GDP成長率が事前予想を上回ったことを好感したほか、年金資金の流入、「国際板」の導入先送りなどの観測を手がかりに本土市場が急伸したことが相場を押し上げた。18日以降も連日で上昇、春節休暇直前の20日には終値で20000ポイントを回復した。

 S&Pによるユーロ9カ国、EFSFの格下げの悪影響が懸念されたが、その後のフランス、スペインの国債入札を順調に消化したことで欧州債務問題は足元で楽観ムード。米国でも景気指標の好転が続く中、25~26日に開催されたFOMCでは金融緩和の一段の長期化が決定されるなどで、世界的にリスクオンの動きが活発化する条件が整ってきた。ハンセン指数は20000ポイント台に乗せるなど既に回復基調にあるが、売買金額を見てもまだ本格的な資金流入には至っていないようだ。バリュエーション面での割安感が引き続き強いことから、海外投資家を中心に今後の資金流入本格化が期待できそうだ。(1/26 村上)

特集:堅調な香港市場の中で、株価の回復が目立つ銘柄群

銀行、不動産、消費関連が反発をリード

 香港株式市場ではハンセン指数が1月20日、昨年11月以来となる2万ポイントを回復し、堅調な株価の動きを見せている。今年1月に行われたイタリア、スペインの国債入札を無難に消化するなど、欧州債務問題が小康状態を保っていることに加え、米国景気に対する信頼感が回復してきたことで、世界的に株価が反発しているためだ。さらに、中国でも昨年末の「中央経済工作会議」で経済成長に一層重点を置いた政策運営へと移行する方針が決定されており、一段の金融緩和が期待されている。また、決算発表シーズン(3~4月)を控え、最近では好業績発表が見込まれる銘柄に先回りした買いが入っているようだ。

 そこで今回は、好業績が予想される企業のうち、足元で株価が大きく反発している銘柄を下表にまとめた。具体的には前期推定、今期予想の2期連続で二桁以上の増益が見込まれ、ハンセン指数で昨年の安値を付けた10月4日を基準に上昇率が大きいものを選んだ。この結果を見ると、金融関連が比較的上位に入っている。昨年前半は金融引き締め策等の影響で株価パフォーマンスが悪かったが、足元の金融緩和観測や好調な企業業績等を評価して株価が上昇しているもよう。また、昨年に引き続き、消費関連銘柄も相対的に好調だ。下表の銘柄が今後も上昇するとは限らないが、これらを参考に決算発表シーズンに向けて好業績銘柄を仕込んでおきたい。(1/26 有井)

実質GDP寄与度

2期連続で2桁以上の増益が予想される企業のうち、足元で株価が大きく反発している銘柄

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中国農業銀行(ノウギョウギンコウ)

01288〈N1288〉香港 株価チャート

四大国有銀行のひとつで農村部に強み

 四大国有商業銀行の最後の上場企業として、10年7月に香港と上海の両証券取引所で株式を公開した。筆頭株主は政府系投資会社の中央匯金であるほか、中国財政部も大株主。本土の農村部に広大な拠点網を持つほか、都市部でも金融事業を積極的に展開している。11.6期(中間)の経常収益構成比は、純金利収入78.4%、手数料・仲介料の純収入20.1%、その他非金利収入1.5%。また、地域別では都市部62.4%、農村部37.6%。

足元の業績は大幅な増収増益が続く

 11.1-9月期の経常収益は2798.7億元、前年同期比33.1%増、純利益は1007.6億元、同43.6%増と大幅増収益が続いている。経営規模の拡大に伴う貸出の伸びと利鞘拡大の相乗効果による金利収入と手数料・仲介料収入の急増が主因。

 同期末の資産総額は10年末比12.1%増の11兆5890.7億元、負債総額は同12.0%増の10兆9685.4億元と、そろって期末ベースで初めて10兆元を突破。貸出残高は同10.2%増の5兆2782.3億元で、預金残高も同9.2%増の9兆7038.3億元といずれも安定的な伸びを見せた。なお、同行は昨年の利上げ局面において貸出金利の上げ幅が預金金利のそれを上回っており、純金利マージンも前年度の2.6%から2.8%まで改善している。

 こうした貸出増と利鞘の拡大を受け、純金利収入は2233.6億元、前年同期比28.4%増となったほか、手数料・仲介料の純収入も、投資銀行業務、決済業務、資産運用商品の好調を受け、同61.1%増と大きく伸びた。また、堅調な業績に伴い貸出資産の内容も改善した。9月末の不良債権残高は10年末比12.4%減少の879.6億元、不良債権比率は1.6%と同0.4ポイント低下した。さらに不良債権に対する引当金の比率も237.9%と、同69.8ポイントの大幅な上昇となった。

農村部向け金融業務の発展余地はまだ大きい

 同行は県以下、すなわち地方・農村部向けの金融サービス(県域金融サービス)で大きな役割を果たす一方、拠点網の維持費用が大きいなど、非効率な点も指摘されてきた。しかし近年、株式会社への転換や上場に向けた経営再編に加え、当局による農村部の発展促進策の強化をきっかけに、同地域での業績改善ペースが速まっている。ちなみに、11年上期の地域別にみた経常収益とセグメント利益は農村部の伸びがいずれも都市部を上回り、特に増益率は78.6%に達し、都市部の37.3%増に比べ倍以上の伸びとなった。

 なお、県域金融サービスの分野では、同行は経済発展が遅れた農村地域で圧倒的な強みを持つ一方、競争が激しい比較的発達した農村部でも、拠点網や顧客資源の確保について先発の優位を維持している。利鞘が比較的大きい農村部で確固たる基盤を持つなかで、政府は引き続き「三農問題」の解決を図るべく農村地域の発展を主要な政策課題のひとつとしていることから、今後も農村部の高成長を支えに同行の中長期的な発展が期待できよう。

実質GDP寄与度
実質GDP寄与度

第一トラクター(ファーストトラクター)

00038〈N5750〉香港 株価チャート

国内トップの農業用大型トラクターメーカー

 河南省洛陽市を本拠とする農業および建設用機械の大手メーカー。主力製品はホイールトラクター、クローラートラクター、収穫機(コンバイン)などで、「東方紅」のブランド名で知られる。昨年上期のホイールトラクターにおける市場シェアは大型が36.3%と国内トップ、中型で17.2%の第2位。

 11.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比20.7%増、純利益が同1.6%増。主力である農業機械の売上高が同25.9%増と堅調だったことで、二ケタの増収を達成。ただ、原材料価格の上昇などが響き、小幅増益に止まった。

農業の機械化推進など、政策支援が追い風に

 中国農業部が昨年秋に発表した「農業機械化発展計画」では、2015年までに耕作・種まき・収穫作業の機械化率を60%以上に引き上げる方針が示されるとともに、初めてトラクターなど農業機械の買い替え支援が盛り込まれた。

 また、その年の政策面での最重要課題を示す「1号文件」には今年も「三農問題」が採り上げられる見通し。特に今年は、農産物の生産効率向上を狙って、機械化の推進など「農業科学技術の発展」が重要なテーマになる見込みだ。

 こうした政府の農業生産の機械化を重視する政策が追い風となるなか、同社のA株上場計画が今年1月に承認された。調達資金はディーゼルエンジンの技術改良や新型トラクターの生産能力拡大などに充てられる方針で、中長期的な成長のための事業基盤の強化に繋がろう。

東風汽車集団(ドンフォンモーターグループ)

00489〈N0489〉香港 株価チャート

湖北省に本拠地を置く大手自動車メーカー

 日産自動車、ホンダやPSA・プジョー・シトロエンなどと、それぞれ合弁会社を設立し、主に乗用車、商用車およびエンジンの製造を手掛ける。昨年上期における国内販売シェアは乗用車で10.9%、商用車で13.2%。なかでもSUV車は18.0%の高い市場シェアを誇る。

 11.6期(中間)の業績は、前年同期比3.0%増収、純利益で同10.2%減益。また、粗利益率も前年同期に比べ2.8ポイント低下して19.9%となった。この要因は、東日本大震災に伴う部品供給の一時的な停止や、外資優遇税制の廃止による合弁企業の収益悪化、更には競争激化の影響で平均販売単価が下落したことなど。ただ、通期では自動車販売台数が前年比11.7%増の217万台と、市場全体の同2.5%増を大きく上回っており、利益率も上期に比べ改善傾向にあるもよう。

新型車投入効果で今期は増収増益に

 昨年1月の日産「逍客(QASHQAI)」のフルモデルチェンジに続き、10月にはホンダも新型「CIVIC」を発売した。さらに今期、「CR-V」など、複数の主力車種で新型車が市場に投入される見通し。これによって、同社の自動車販売台数は新型車を中心に昨年以上の伸びが見込める。

 加えて、足元では所得水準の向上や小型車購入に対する優遇税制の廃止等に伴って排気量の比較的大きい中高級車の需要が拡大傾向にある。そのため、中高級車市場で強い競争力を持つ同社にとっては有利に働こう。

神州数碼(デジタルチャイナ)

00861〈N0870〉香港 株価チャート

中国本土の大手IT企業

 情報技術(IT)関連ビジネスを主力とする投資持ち株会社。中小企業やSOHO向けを中心に、各種パソコン、サーバー、周辺機器など、IT製品の販売を行う。このほか、ソフトウエア開発やシステムインテグレーション等のITサービス事業も手掛ける。11.3期の売上構成比は、IT機器販売47.4%、ネットワーク機器販売24.3%、ITサービス等17.6%。

 11.9期(中間)の業績は売上高が前年同期比23.9%増、純利益が同23.9%増。製品販売部門など、各事業部門の業績がいずれも堅調だったことで、二ケタの増収増益を達成した。

「スマートシティ」関連業務を新たな成長事業に

 同社は昨年、「スマートシティ」関連技術の開発サービス拠点を江蘇省南京市に建設すると発表した。スマートシティとは次世代送電網(スマートグリッド)等の最新技術を活用してエネルギー効率を高めた環境配慮型都市のことであり、その建設にはシステム開発など、IT関連企業が重要な役割を担う。

 中国では現在、このスマートシティの整備に力を入れており、複数のプロジェクトがモデルケースとして進行中だ。また、中央政府が重視する省エネ、環境保護や産業の高度化など、「七大戦略的新興産業」の育成とも繋がり、大きなビジネスチャンスとなっている。実際、同社でも全国62都市と関連業務を展開し、南京市、武漢市、深セン市など、10都市と戦略的提携関係を結んでいる。中国のスマートシティ関連市場は今後も急成長が予想されるだけに、大きな恩恵を同社にもたらそう。

T C L 通訊(TCLコミュニケーション)

02618〈N2610〉香港 株価チャート

大手携帯電話機メーカー

 TCLマルチメディア(01070)の携帯端末部門が分離して設立された企業。05年に仏アルカテルとの合弁会社を完全子会社化しており、国内では「TCL」、海外では「Alcatel」を主力ブランド名として事業を展開している。欧米を始め、アフリカ、東南アジアなど、世界120以上の国および地域で販売網を持ち、11年上期の海外売上比率は90.9%に達する。

 11.1-9月期は売上高が前年同期比33.1%増、純利益で同34.2%増の大幅な増収増益。携帯電話販売台数が同28.3%増加したほか、平均販売単価も同3%程度上昇したためだ。

スマートフォン市場の拡大が追い風に

 同社は昨年後半、経営戦略に関して販売台数を重視するだけではなく、利益幅の大きいスマートフォン関連商品を積極的に展開していく方向へと転換した。実際、昨年通期では販売台数が全体として前年比20.4%増と、伸び率が鈍化したものの、スマートフォンについては同20倍以上の急成長を遂げた。今後、スマートフォン市場の拡大に伴って、その売上構成比が上昇することで同社の収益力は一段と強化されよう。

 また昨年、「Alcatel」ブランドの携帯電話生産についてアルカテル・ルーセントへのライセンス料支払い方法を変更したと発表。この契約ではライセンス料を一括で支払うとともに、対象範囲がタブレット型PCや無線移動体通信装置等まで広がった。これを契機に同社では携帯電話以外の分野に進出する意向を示しており、収益源の多様化に繋がろう。

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