チャイナマンスリーレポート

3月号

2012年3月1日 内藤証券中国部

リスクオンの動きが継続する中、金融緩和の進展再確認で資金流入期待が高まる

本土市場
引締め緩和の進展を再確認、引き続き戻りを試す動きに

 2月の本土株式市場は上旬こそややもたついた動きとなったものの、中旬以降はじり高基調を持続、月後半にかけて高値追いの展開となった。

 旧正月の連休に向け堅調な戻りが続いていた上海総合指数だが、休み明けとともに反落。2月に入っても初日は前日比24.5ポイント安の2268.08ポイントまで売られるなど低調なスタートとなったが、翌2日には同44.5ポイント高と急反発。さらに3日、週明けの6日と続伸し、同日の終値は2300ポイント台を回復した。1月の製造業購買担当者指数(PMI)が前月から0.2ポイント上昇し、引き続き50を上回ったこと、ほぼ同時に発表されたユーロ圏PMI、米国のISM指数がいずれも良好だったこと、など国内外の景況感の回復を好感する買いが入った。

 その後、7日にはIMFの中国経済に対する悲観シナリオを嫌気していったん反落、再び2300ポイントを割り込んだものの、8日にはすかさず急反発。小企業に対する財政支援の強化、西部開発に関する振興策の発表見通しなど、政策期待の高まりが背景。

 一方、中旬以降は基本的にはじり高の展開。1月の消費者物価指数が予想を上回るなど、一部の経済指標はネガティブ材料となったものの、預金準備率の再引き下げ、欧州債務問題に対する懸念の後退、米国景気の回復期待などによる世界的な株価の回復、などに支えられた。

 11月末に続いて2月18日には預金準備率引下げが発表されるなど、引締め緩和の進展が再確認された。年初の温家宝首相の株式市場支援発言を皮切りにQFIIの認可スピード加速、年金資金の株式投資解禁の流れなどこのところ株式市場に対する支援策も目立ってきた。足元の景気には引き続き減速感が漂うものの、3月の全人代を控えて政策期待も強まっている。海外株式市場も、世界的なリスクオンの動きを背景に堅調な動きが続いている。引き続き戻りを試す展開が期待できそうだ。(2/23 村上)

香港市場
世界的なリスクオンの流れに乗り、資金流入が続く

 2月の香港株式市場は途中小幅な調整を交えながらも、月間 を通して堅調な上昇局面が続いた。

 旧正月の連休明け後も順調な上昇が続いていたハンセン指数だが、2月に入っても基調は変わらず2日には前日比406ポイント高、さらに8日は同319ポイント高となり同日の終値は21018.46ポイントと約半年振りに21000ポイント台を回復した。2日の大幅高は、1日午前に発表された市場予想を上回る中国のPMIに続き、大引け後に明らかとなったユーロ圏PMI、米国のISM製造業景況感指数も良好な内容、欧州問題についても、ギリシャ政府と民間債権者との交渉妥結の可能性が強まり、買い安心感を高めたこと、などが要因。8日は政策期待の高まりを背景とする本土市場の急伸に牽引された。

 その後は中旬にかけて21000ポイントを天井に頭打ちの様相を呈したが、15日には前日比447ポイント高と急伸、終値は21365.23ポイントまで上昇。前日に発表された日本の追加金融緩和などを背景に、世界的にリスクマネーの動きが活発化。香港市場にも資金が流入し、幅広い銘柄が買われた。16日以降も米国景気の回復期待や欧州債務問題の落ち着きを背景に、利益確定売りをこなしつつ堅調な値動きとなった。

 欧州連合がギリシャに対する第2次金融支援で合意し、欧州債務問題への懸念が後退、米国でも景気指標の好転が続くなどで、世界的にリスクオンの動きが継続。中国本土の引き締め緩和もスローペースながら着実に進んでおり、市場を取り巻く環境は好転している。

 ハンセン指数は21000ポイント台を回復するなど、直近安値の18000ポイントレベルから既に2割近く上昇しており、利益確定売りの活発化も想定される。ただ、引き続きバリュエーション面での割安感も強いことから、海外投資家を中心とする資金流入の継続が期待できそうだ。(2/23 村上)

特集:「リスクオン」の流れの中で、中国株は更なる上昇へ

株価指数に対する感応度が高い銘柄に注目

 2月に入っても中国株式市場は堅調な展開を続けている。本土での更なる金融緩和に対する期待感に加え、ギリシャの財政問題に進展が見られるなど、欧州での信用不安が後退したためだ。さらに、欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和路線の拡大を受けて資金供給量が大幅に増加しており、投資家のスタンスが「リスクオフ」から「リスクオン」へと変わりつつあることも大きな要因 となっている。

 実際、「リスクオン」の動きを背景に中国株市場では欧米からの資金流入が再開しているようだ。為替市場を見た場合、今年に入ってから対米ドルの人民元相場でNDF(ノンデリバラブル・フォワード)先物がスポット(現物)よりも人民元高の水準となっている。一時はNDF先物とスポットレートの関係で逆転現象が起きるなど、欧州資金の本国回帰や信用収縮による資金逃避の動きが鮮明となっていたが、その流れもようやく収まり、再度、資金が「中国市場」に集まり始めている。当面、世界的な「カネ余り」現象が続くと予想されるだけに、中国株は一段の上昇へと向う可能性が大きい。

 そこで今回は、好業績が予想される企業のうち、株価指数に対する感応度が高い銘柄を下表にまとめた。具体的には前期(推定、実績)と今期(予想)の2期連続で二桁以上の増益が見込まれる銘柄の中から、ハンセン指数に対する修正β値が高いものを選んだ。β値とは個別証券と市場の連動性を表す指標であり、仮にβ値が「1.5」の銘柄であれば、ベンチマーク(今回の場合はハンセン指数)が10%上昇するときに15%上昇する。もっとも、過去の株価変動を元に計算しているため、将来にわたっても必ずこのような動きになるとは言い切れない。さらに、中国企業の多くは前期の決算発表を控えており、決算内容等によってはβ値と反対の動きをするものも出てこよう。しかしながら、個別株には一定の規則性を持つ銘柄が多く、特に、このβ値は株価上昇時において有効な投資判断材料となろう。(2/24 有井)

2期連続で2桁増益予想かつハンセン指数に対する感応度が高い銘柄

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中煤能源(チャイナコールエナジー)

01898〈N1898〉香港 株価チャート

国内第2位の炭鉱会社

 華東地区、華北地区、西北地区などの炭田に、坑内掘りと露天掘りの炭坑を保有する大手石炭会社。うち平朔鉱区の安太堡露天砿と安家嶺露天砿は、中国屈指の露天掘り炭坑として知られる。石灰の生産、販売、輸出やコークスの生産を手がける。また、石灰採掘関連設備の製造では国内最大手。

 10年末時点の石炭埋蔵量は185億トン。前年上期の売上構成比は石炭81.1%、石炭関連設備7.9%、コークス6.6%。11年通年の石炭生産量は前年比8.9%増の1.0億トン、石炭販売量は同13.8%増の1.3億トンに上った。

11.1-9月期は増収増益、11年通期も好業績を持続

 11.1-9月期の業績(中国会計基準)は売上高が前年同期比26.1%増の662.9億元、純利益が同26.1%増の76.5億元。石炭販売量の拡大と販売価格の上昇などにより、二ケタの増収増益を達成した。生産石炭の販売量は同9.8%増の7509万トン。特に、長期契約に比べて販売単価が高いスポット市場での販売量が同79.8%増の3260万トンと急増した。これに伴い、全体の平均販売単価も1トンあたり494元と同8.8%上昇した。売上高が前年比24.5%増の887.1億元、純利益(少数株主損益を含む)が36.1%増の103億元になる、11.12期の業績速報(中国会計基準、未監査)を既に発表している。

生産量の拡大や業界再編などが追い風に

 今年から来年にかけて、同社では幾つかの炭鉱が本格的に操業を開始する見込み。これに伴い、同社の生産量は一段と拡大が見込め、成長を押し上げる要因となろう。なかでも、露天掘りの「東露天砿」は既に部分的に操業を始めており、今年の年産量は1000万トンに上る見込み。来年には2000万トンまで生産能力を高める予定。また、「王家嶺砿」は昨年の浸水事故の影響を受けて開発が一時的にストップしたが、既に開発を再開している。来年に操業入りの予定で、年産量は600万トンに上る見込み。さらに「禾草溝砿」は今年の9月に操業入りの予定で、年産量は400万トンと見込まれている。

 同社の場合、元来は販売単価の低い長期契約を中心としてきたが、今後はより単価の高いスポット価格での販売比率を高める方針。国家発展改革委員会はインフレ抑制策の一環として、今年からスポット価格の上限(800元)を設定したことで、今後はスポット市場での石炭価格の大幅な上昇は見込み難い。それでも、中国の発電設備は石炭火力の比率が依然として高く、石炭需要も旺盛であることから、スポット価格の高止まりは今後も続こう。仮に価格が低下しても、現状では長期よりも高いため、全体的には販売単価の上昇が見込まれる。

 また、中国政府は環境保護を重視しており、石炭業界への規制も強化される方向にある。ただ、規制対象は主に非効率な経営を続ける中小石炭企業であり、これらの淘汰が進むとことで、販売面で大手に有利に働くだろう。そのため、今後も安定的な成長が見込めよう。

自社開発石炭の国内販売量
石炭販売量の推移(月次ベース)

中国食品(チャイナフーズ)

00506〈N7100〉香港 株価チャート

各製品で高いシェアを誇る総合食品メーカー

 国内最大の食品コングロマリット「中糧集団」傘下の総合食品メーカー。主力製品は「福臨門」ブランドの食用油、「コカ・コーラ」ブランドの飲料(合弁生産)、「長城」ブランドのドライ赤ワインなど。11年上期で、食用油は国内2位、炭酸・果汁飲料、ワインは同1位のシェアを誇る。

 11.6期(中間)は前年同期比で59.7%増収、同76.5%増益と急回復した。食用油は製品構成の見直しなどが奏功。飲料は低めの気温が続いた前年の反動から販売量が増えたほか、ワインも中高級品の販売が増加した。下期に入ると物価上昇率の鈍化に伴い一部の原材料価格が下落。通年でも好業績を達成したもよう。

製品の高付加価値化が進む

 12.12期に入っても、インフレは概ね落ち着いており、昨年と比べれば製造コストの増加圧力は低下していよう。原材料価格などの上昇リスクは残るが、製品の高付加価値化、川上から川下まで網羅する中糧グループの総合力などを勘案すれば、コスト高を十分に吸収できるとみられる。

 同社は成長余地が大きいワイン事業について、海外の醸造所の買収による技術・ブランド力の向上、流通体制の改革などを一層強化。高級品の販売比率を更に引き上げる計画で、足元では結果も残している。食用油についても親会社が原料となる大豆などの取扱高で国内トップにあり、原料の調達環境で優位にあるといえよう。同社は今後も総合食品メーカーとして、安定成長を続けていくと考えられる。

北京首都国際機場(ベイジンエアポート)

00694〈N7020〉香港 株価チャート

首都の玄関口を運営する企業

 北京国際空港の運営・管理会社。主要事業は、◇航空系(航空会社への離着陸・旅客サービス施設の提供、安全点検、保安サービスなど)、◇非航空系(機内食の配送、ターミナルビル内の店舗・レストランの賃貸、広告、駐車場など)に区分される。ナショナルフラッグキャリアである中国国際航空(00753)がハブ空港にしている。

 11.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比13.3%増、純利益が同157.8%増。航空事業の売上高は同7.9%増、非航空事業は同21.9%増。旅客・貨物輸送量の増加に加え、コスト削減も奏功。為替差益を得たことも、大幅増益に寄与した。

改修・拡張工事により旅客取扱能力を拡大

 同社は旅客取扱能力を一段と拡大させる方針だ。そのために、第2ターミナルの改修工事と親会社が保有するT3-Dターミナルの買収で、取扱能力の拡大を計画。T3-Dの年間旅客取扱能力は700万~800万人で、投資額は25億~30億元になる見込み。買収直後は、同社のコストを一時的に押し上げることになるが、今後も中国では旅客需要の拡大が見込まれるため、中長期的には同社の収益の増加に繋がろう。また、空港事業税の一部を同社収入とする政策は2015年末まで延長され、この面でのリスクは当面避けられそうだ。足元では、経済成長を背景に所得水準が向上した中間層・富裕層が増加。今後も旅行者の増加が予想されることから、同社は安定した事業の拡大が期待できよう。

茂業国際(マオイエ・インターナショナル)

00848〈N0848〉香港 株価チャート

経済発展地域で成長が続く大手百貨店チェーン

 広東省、江蘇省、四川省などを中心に中国の南部・南西部で主力の百貨店事業を展開するほか、商業不動産事業なども手掛ける。11年6月末時点、国内17都市で37店舗を展開し、全店舗の総床面積は108.4万平方メートルに達している。

 11.6期(中間)の業績は、売上高17.1億元、前年同期比86.3%増、営業利益6.1億元、同45.9%増と好調だったが、純利益は同5.2%増と伸び悩んだ。個人消費の回復に伴い物品販売による収入が伸びたほか、テナント料の増加や不動産売却も大幅増収に寄与。一方、財務費用が同161.3%増の1.0億元に膨らんだことに加え、実効税率が急上昇するなど、特殊要因も重なり、純利益は小幅増にとどまった。

質を重視する経営戦略で今期は大幅増益へ

 同社は経営戦略をこれまでの量的成長から質的成長を重視する方針へと転換しつつある。まず、昨年下期に入り、これまでの積極的な出店が一巡したことで売上高の伸びは若干鈍った模様だが、新規店舗に関わる財務費用の圧縮や赤字店舗の黒字化、既存店の収益力増強などが、経営体質の改善をもたらし、通期では増益基調を維持したと見られる。また、新規出店を既に進出している地域に集中させたことで既存店舗との相乗効果も発揮できたようだ。現在、中国では最低賃金の引き上げ方針が示されるなど、消費能力は更に向上すると予想されており、利益重視の立場に転身している同社は今期、大幅な増益が見込めよう。

金沙中国(サンズ・チャイナ)

01928〈N1928〉香港 株価チャート

米カジノ大手のマカオ子会社、足元は好業績

 ラスベガスを本拠に世界各国でカジノ事業を展開するラスベガス・サンズの子会社。04年にマカオで最初のラスベガス式カジノ「サンズ・マカオ」を開業。その後も次々と大型の総合カジノリゾートをオープンしてきた。10年のマカオでのカジノシェアは第2位の19%。

 経済成長で購買力を増した中国富裕層を取り込む等、マカオのカジノ業界は成長トレンドを持続。同社も11.1-9月期で前年同期比82.5%増益と好業績を記録した。一般客向けカジノ事業を重点的に強化。レストランなど非カジノ施設の拡充策も利益を押し上げた。10-12月期も好業績が続いたもよう。

「サンズ・コタイ・セントラル」オープンが起爆剤に

 同社はマカオ・コタイ地区で総合カジノリゾート「サンズ・コタイ・セントラル」の開発を進めている。同リゾートは高級ホテル、レストラン、会議場などを備えている、同社にとってもこれまでで最大のプロジェクト。まず第1期が今年春頃にオープンする見込みで、14年末までに順次、開業していく見通しだ。

 コタイ地区は新興埋立地で開発余地が大きく、近年開業したカジノが多いエリア。将来的にマカオのカジノの中心地となっていく可能性が高い。ただ、今後数年は他に営業開始に至る計画が少ないと見られ、同プロジェクトは、同社のシェアを一層高めることに繋がろう。首位を走る澳門博彩控股(00880)との差を縮める起爆剤として期待される。

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