チャイナマンスリーレポート

4月号

2012年4月2日 内藤証券中国部

株価の調整は一時的、金融緩和の継続で再度上昇トレンドへ

本土市場
引締め緩和路線は変わらず、再度上昇局面へ

 3月の本土株式市場は中旬にかけて高値圏でのもみ合いが続いたが、月後半にかけて反落、調整含みの展開となった。

 2月終盤にかけて戻り局面が続いていた上海総合指数だが、3月に入るとともに頭打ちの様相に。2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が堅調だったことを背景に2日には終値で2460.69ポイントまで買われたものの、以降は3日続落、7日には再び2400ポイントを割り込んだ。5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)で温家宝首相が今年の経済成長率見通しを7.5%と8年ぶりに8%を下回る水準に設定したことで景気の先行きに対する懸念が強まり、地合いを悪化させた。

 その後、2月の消費者物価指数が3.2%上昇と20カ月ぶりの低水準だったことや全人代での要人発言を通じて政策期待が高まったこと、などからいったんは反発、13日には終値で2455.79ポイントまで戻したものの、14日には前日比で2.6%の急落。全人代閉幕後の記者会見で、温家宝首相が不動産引き締めを続ける考えを明確に表明。住宅市場は経済全体に与える影響が大きいだけに、国内の景気全体に対する警戒感が広がったためだ。

 一方、中旬以降はじり安の展開。欧州債務問題のぶり返し、米国の景気指標も市場予想を下回るなど海外環境が悪化する中、HSBC 算出の3 月製造業購買担当者指数(速報値)が前月比で低下するなどで国内の景気減速懸念が急速に拡がったため。

 年初を安値として順調に回復してきた上海総合指数だが、3月に入って頭打ちから下落基調に転じている。ただ、今回の下げはトレンド転換ではなく、一時的な調整局面と考える。2月の消費者物価は3%台の上昇に止まっており、ここまでの株価回復を支えてきた金融緩和の継続に障害は無い。足元の景気には引き続き減速感が漂うものの、金融・財政両面での政策対応により底割れを防ぐことは十分可能だ。海外情勢が落ち着きを取り戻せば再度上昇局面に転じよう。(3/26 村上)

香港市場
調整は一時的、海外資金の流入再開へ

 3月の香港株式市場は月初から軟調な展開。途中いったん戻りを試す場面もあったが続かず、月末にかけては再度弱含みの動きとなった。

 2月半ば以降、21000ポイント台前半でのもみ合いが続いていたハンセン指数だが、3月入りとともに軟調な動きに転じ、6日には終値で20806.25ポイントと再び21000ポイント割れに。5日に開幕した全人代で、温家宝首相が今年の経済成長率目標を7.5%に設定すると発表。8年ぶりの下方修正だったこともあり、中国景気に対する先行き不安に加え、海外投資家による株式売却への警戒感も重なり、下げに拍車を掛ける結果となった。

 ただ、その後は中旬にかけて反発、14日には21638.32ポイントまで上昇。米国雇用統計が事前予想を上回ったほか、米連邦公開市場委員会が金融緩和の継続を決定、などからニューヨーク市場が連日の上値追い、香港市場の押し上げ要因となった。

 しかし、月半ば以降は本土市場同様に再度弱含みの動きに。欧州債務問題のぶり返し、米国の低調な住宅関連指標等を背景に欧米の株式・商品市場が弱含むなど世界的にリスクマネーの動きが停滞。中国本土の景気減速懸念も足枷となった。

 欧米情勢の変調に加え、中国の景気減速懸念を背景に世界的に株式・商品市場は停滞局面を迎えている。香港市場も例外ではなく、ハンセン指数は直近高値から5%程度の調整となっている。ただ、ハンセン指数は年初から2月末までで既に2割近く上昇しており、利益確定売りが出るのも無理からぬところだ。

 本土市場同様に香港市場の今回の下げも一時的な調整に止まり、再び上昇トレンドに復帰するものと考えている。金融緩和路線に変化が無いなかで、中国本土の景気減速も想定内に止まろうし、海外情勢もいずれ落ち着きを取り戻すと考えるからだ。バリュエーション面での割安感も再び強まっていることから、海外投資家を中心とする資金流入の再開が期待できよう。(3/26 村上)

特集:全人代レポート“7.5%成長“はソフトランディングにプラス、発展モデルの転換を重視

 3月14日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)では、政府の12年の政策方針・目標値、予算などが採択された。これらは今年の中国経済を見通す上で重要な材料。以下、概略を紹介する。

“7.5%成長”はソフトランディングにプラス

 当局は今年の基本方針として「安定的で比較的速い経済成長の維持」を表明。GDP成長率の目標値をこれまでの8%から7.5%に引き下げたことで、国内景気の減速懸念が高まった。だが、元々5カ年計画で年率7%成長を宣言しており、サプライズではない。そもそも世界2位の経済が二桁成長を続けることは、エネルギー浪費など多くの矛盾を生み出す。安定成長を確保しつつ、発展モデルを「内需・消費・効率型」に切り替える必要性が増すなか、7.5%成長はむしろ当局が望む景気のソフトランディングの可能性を高めよう。

安定成長には、物価抑制、社会保障が重要

 昨年、大きな社会問題となったインフレは、今年に入り鈍化傾向が鮮明になってきた。これを確かにするため、住宅価格の抑制策は続く公算が大きい。仮にインフレ抑制が進めば、金融緩和のハードルが下がり、安定成長にも結びつこう。同時に、政府は今年も社会保障に巨額の予算を計上。これが市民の将来への不安を和らげ、個人消費を底上げする期待も。

比較的速い成長に向け、発展モデルの転換を重視

 一方、当局は発展モデルの転換を通じて国・企業の国際競争力を高め、経済成長に繋げる狙いだ。戦略的新興産業の育成、規制緩和、製品のハイエンド化、海外投資の奨励などが、政策の柱。08年の4兆元に上る景気刺激策が不動産バブルの遠因となった反省から、優良企業への手厚い支援、不振企業の淘汰という硬軟織り交ぜた政策となるだろう。これが業界再編を促し、勝ち組企業の業績・シェア拡大に繋がることも考えられる。(3/28 畦田)

全人代で示されたマクロ経済の主要目標値
全人代で示された今年の政策目標、そのポイントと関連セクター・銘柄

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上海電気(シャンハイエレクトリック)

02727〈N2720〉香港 株価チャート

中国屈指の総合重電メーカー

 上海市を本拠地とし、中核業務は重電設備機械の製造販売。具体的には、ハイエンドの火力発電設備および送配電システムに取り組む高効率・クリーンエネルギー事業、工作機械等を手がける産業設備事業、風力や原子力発電設備等の開発・製造販売に注力する新エネルギー事業に分かれる。また、エンジニアリングサービス等の事業も手がける。昨年の売上高構成比は、高効率・クリーンエネルギー39.1%、産業設備27.8%、新エネルギー9.8%、サービス・その他23.3%。

足元の業績は二桁増益が続く

 11.12期の業績は、前年比7.9%増収、純利益で同17.4%増益。主力である高効率・クリーンエネルギー部門の売上高(内部取引を含む。以下同じ。)が同11.1%増となったほか、新エネルギーやサービス部門もそれぞれ同15.6%、17.8%増収となるなど、各部門とも堅調であった。

 一方、利益率に関しては風力発電用機材の販売単価下落を受けて新エネルギー部門の粗利益率が前年に比べ4.3ポイント低下して9.8%となったものの、全体では17.9%、同1.6ポイント上昇している。特に高効率・クリーンエネルギー部門では、高出力発電設備の売上が大きく伸びたことなどによって粗利益率は21.8%と、同4.5ポイント上昇した。また、ガスタービンの国内需要も旺盛で新規受注額は50億元に達し、前年に比べ約5割増しとなっている。

新エネルギー事業は今後の成長牽引に期待

 現在、当局は低炭素社会を目指し、省エネ・温室ガス排出削減など環境保護の施策を積極的に推進している。第12次5カ年計画では、再生可能エネルギーの普及促進に関して15年までに風力発電容量を1億キロワット(kW)、そのうち海上施設の発電容量を500万kWにするとの目標を掲げている。実際、山東省、浙江省、福建省などの沿海地域では20年までに合計2000万kW強の洋上風力発電機の設置を計画している。このような中、同社は近年、風力発電設備の研究開発に力を入れている。事実、同社はすでに3.6メガワット(MW)級の洋上風力発電装置の製造に成功を収めたほか、5MW級の大型洋上風力発電装置の開発にも取り組んでいる。また、昨年12月には風力発電設備大手の独シーメンス社との間で風力発電設備の製造販売を手掛ける合弁会社を設立すると発表した。今後は同社の持つ強い販売力とシーメンス社の技術力が相乗効果を発揮することで業界内での市場シェアは一気に高まろう。

 また、同社は第3世代の原子力発電設備の開発にも注力。加えて、中国版加圧水型炉CAP1400への本格参入も視野に入れている。最新版の「原子力発電の中長期計画」では20年までに原子力発電容量の目標を8000万kWに設定していると見られ、今後建設される原子力発電所への投資額は1兆2000億元に上る見通し。昨年発生した東日本大震災の影響で滞っていた原子力発電プロジェクトの審査・認可は年内にも再開される可能性が高く、更なる成長へと繋がろう。(高)

事業別売上構成比率(11.12期)
業績推移

ダフニ(ダフニ)

00210〈N2100〉香港 株価チャート

全国規模で婦人靴の小売チェーンを展開

 中低価格帯の婦人靴等を主力とする他、中高級婦人靴の販売網も保有しており、幅広い価格帯の商品を取り扱う。また、製品の調達に関しては自社で製造する以外に、外部も積極的に活用している。一方、近年減少傾向にあるものの、OEMによる他社ブランドの製造も手掛ける。

 11.12期の業績は売上高が前年比29.5%増、純利益で同56.7%増。前年に発生したワラントに絡む評価損がなくなり、大幅な増益となった。ただ、この影響を除いても純利益ベースで同38.7%増の二桁増益を確保している。特に、主力ブランドでは既存店売上高が同21%増加するとともに店舗数を前年末の4902店から5602店まで増やしたことで、売上高が同34.5%増。また平均販売単価が206元と、前年に比べ10.7%上昇しており、利益率の向上に繋がった。

政策の後押しを受け、更なる成長へ

 現在、中国政府は15年までの五カ年計画で最低賃金を各都市において年平均13%以上引き上げる方針を示すなど、個人所得の増加に力を入れている。所得格差の是正に加え、購買力の向上を図るためだ。それゆえ、消費関連企業は大きな恩恵を受けるだろう。中でも、同社は地方中堅都市での販売網を充実させており、高い成長が期待できる。地方都市は沿海部の大都市に比べ同業他社との競争が激しくなく、利益率が比較的高いからだ。さらに、内陸部の経済成長を重視する政策の後押しも今後一段と見込めよう。(有井)

中国光大国際(エバーブライトインター)

00257〈N1790〉香港 株価チャート

国務院直属の中国光大集団が実質支配する環境企業

 主力の環境保護事業では、江蘇省でのゴミ焼却発電、山東省での汚水処理などを展開。多くの環境インフラ施設でBOT(Build Operate Transfer:自己資金を用いて施設の建設・運営を行い、一定期間後、地方自治体等に所有権を移転する)方式による事業を手がけている。11年末時点で、12カ所のごみ焼却発電所を運営し、国内市場シェアは約10%。

 11.12期の業績は売上高が前年比25.1%増、純利益が同30.0%増。ごみ処理発電や太陽光発電などの新エネルギー部門などが好調だったことが主因。また、一部の処理場では処理費の引き上げを実施したことなどで、利益率が向上した。

新規プロジェクトが目白押し、研究・開発も引き続き強化へ

 今後も新たなプロジェクトが目白押しで、一段の業容拡大が見込まれる。主なプロジェクトとしては、①恵東プロジェクト(ごみ処理発電所)、②宿遷プロジェクト(有害産業廃棄物の埋め立て)、③徳州プロジェクト(汚水処理)などがある。

 一方、アジア開発銀行から1億米ドルの融資枠を獲得しており、当面の資金需要には問題がないと予想される。また、当局からも約1300万元の補助金を受け取ったことで今後更に研究開発への資金投入がなされる見通し。既に、1日当りの処理量が250~500トンクラスの設備を自社で100%生産する能力も身に付けており、ごみ処理発電プロジェクトに投入している。こうした技術力の向上によって、収益力が一段と高まることで同社は中長期的に高成長を維持しよう。(佐藤)

北京同仁堂科技(トンレンタンテクノロジーズ)

01666〈N9490〉香港 株価チャート

300年以上の伝統を持つ大手製薬会社

 漢方薬市場で高いブランド力を誇る「北京同仁堂」傘下の製薬会社。その中で同社は伝統的な漢方薬ではなく、顆粒剤、錠剤やソフトカプセルなどの形状に加工した漢方薬を取り扱う。主に一般用医薬品(市販薬)を手掛け、代表的な製品は風邪薬の「感冒清熱顆粒」、滋養強壮剤の「六味地黄丸」等。

 11.12期の業績は前年比22.6%増収、純利益で同28.6%増益。主力製品の販売が堅調だったほか、準主力級の漢方薬も多くが同20%増以上の高い伸び。これによって販売額で1000万元を超える薬品が前年に比べ1つ増え、21品目となった。この主因は医療制度改革に伴う一般用医薬品市場の拡大などが挙げられる。加えて、管理職の給与にインセンティブ制度を導入したことも好業績に繋がったもよう。また、コスト管理を徹底したことで近年低下傾向にあった売上高純利益率は前年に比べ0.6ポイント向上して13.2%となった。

生産規模の拡大で成長力が更に加速

 現在、同社は設備の増強に注力している。中でも、ソフトカプセルなどに使用するゼラチンの生産能力を今下期には現状の2倍以上に引き上げる計画だ。今までゼラチンの生産能力がボトルネックとなることでソフトカプセル錠の生産量が抑えられていただけに、業績への寄与は大きいだろう。さらに、北京では新工場建設も予定されており、各製品の生産能力は大幅に拡大する見通し。国内での旺盛な漢方薬需要を背景に積極的な設備投資を図ることで今後も高成長を続けよう。(有井)

金鷹商貿(ゴールデンイーグル)

03308〈N3308〉香港 株価チャート

江蘇省に本拠を置く大手百貨店、11年は増収増益

 中国でも所得水準の高い江蘇省を拠点とする大手百貨店。各店舗は主な商業地の一等地にあり、国内外の一流ブランド品を取り揃え、中高所得者層を主な顧客としている。昨年の商品総売上高構成比は衣料・アクセサリーが58.6%、宝飾品・時計が17.3%、化粧品が7.1%。

 11.12期は売上高が前年比31.3%増、純利益が同26.4%増と、二ケタの増収増益。既存店売上高も同24.9%増と好調だった。中でも、本店のある南京市の珠江店が同53.9%増、仙林店が同153.7%増だったほか、陝西省西安市の高新店が同37.9%増と、内陸部の店舗も堅調だった。さらに、VIP顧客に対するセールスプロモーションも奏功した。

店舗網の拡大で今後も安定した成長が続こう

 同社は今後3年間に毎年5~8店の新規出店を目指す計画。江蘇省だけでなく、安徽省、陝西省、雲南省など内陸部への出店も強化している。昨年は安徽省や陝西省などに4店を新規出店したほか、2店で売場面積を拡張した。近年内陸部の経済成長率は総じて全国平均を上回り、それに伴う所得向上によって、中間所得者層が急増している。今後も高成長が見込める有望な市場で、新規顧客の獲得は業績向上に繋がろう。また、3月に開催された全国人民代表大会では内需、特に個人消費の拡大を今年の重点課題に設定。新たな消費刺激策も検討されているほか、賃金の引き上げも継続されることから、今後も同社の成長を後押ししよう。(佐藤)

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