チャイナマンスリーレポート

5月号

2012年5月1日 内藤証券中国部

海外情勢は不安定だが、金融緩和の継続で上昇トレンドに

本土市場
金融緩和路線は変わらず、戻り局面が続く

 4月の本土株式市場は月初から反発に転じ、その後もじり高基調を持続、さらに月後半にかけては一段高の展開となった。

 3月終盤にかけて下落基調を強めていた上海総合指数だが、4月に入るとともに急反発。清明節連休明けの5日には前営業日比1.7%上昇し、終値で2300ポイント台を回復した。温家宝首相が「早期にマクロ経済政策の微調整を行う」との方針を示したことを受け政策期待が高まったほか、3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が堅調だったことなどが背景だ。

 その後、2300ポイントを挟んでの小動きが続いたが、12日には前日比1.8%高と大幅上昇。3月の貸出残高増加額が市場予想を大幅に上回ったことや、13日発表予定の12年1QのGDP成長率に関して中国の研究機関が8%以上との見通しを公表、などで中国経済のハードランディングへの懸念が後退したためだ。

 一方、中旬以降も堅調な動き。国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率見通しを上方修正、引き続き景気に対する悲観論が後退する中で、中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率の引き下げを含めた流動性の供給を検討していることが伝わり、金融緩和への期待感が高まったことが相場の下支え要因となった。

 第1四半期のGDP成長率は8%台前半に減速したが、想定の範囲内。むしろ、足元で生産、小売、輸出などには持ち直しの兆しもある。銀行貸出も拡大に向かいつつあるなど金融緩和の効果も徐々に表面化している。そうしたなかで近い将来、預金準備率の一段の引下げなど政策面での支援も期待されることから、景気低迷が続く可能性は低い。第2四半期中にも減速に歯止めが掛かり、上向きに転じよう。欧州向け輸出の予想外の落ち込みによる景気の急減速というリスクに対しても、金融・財政両面での政策対応により底割れを防ぐことは十分可能だ。株価は3月の急落を経て回復基調にあるが、バリュエーション面では依然として割安な状態に変わりはないことから、戻り局面が続こう。(4/24 村上)

香港市場
欧州情勢が不安定要因だが、トレンドは上向き

 4月の香港株式市場は上旬こそ下値模索の動きとなったが、中旬以降は一転して回復色を強める展開となった。

 3月半ば以降、下げ基調が続いていたハンセン指数だが、4月に入っても軟調な動きは変わらず、イースター連休を挟んで5日、10日、11日と3営業日連続の下げとなり、11日の終値は20140.67ポイントと20000ポイントに接近した。5日の下げは前日に実施されたスペイン国債の入札が不調に終わり、欧州債務問題への警戒感が再燃、欧米市場が大幅安となったことが背景。休み明けの10、11日は米国雇用統計の下振れ、3月の中国消費者物価指数の上振れなど、連休中に出た悪材料が織り込まれたうえ、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長の発言を通して米国景気の回復期待が後退、などが売り材料となった。

 ただ、その後は中旬にかけて反発、20日には終値で21010.64ポイントまで上昇。深セン市当局が香港との金融関係強化、人民元の国際化に向けた一連の金融改革を推し進めるとの報道が好感されたほか、本土の第1四半期GDPが市場予想を下回ったことで、かえって景気対策への期待感が高まる結果となり、相場にとってはプラス要因として働いた。一方、下旬にかけては欧州債務問題の再燃もあり不安定な動きに。

 3月半ばから約1カ月続いた下げ局面を経て、ようやく反発に転じてきた。前月号で「今回の下げも一時的な調整に止まり、再び上昇トレンドに復帰するものと考えている。」とコメントしたが取り敢えずは想定した動きとなっている。背景として挙げた要因、すなわち、①金融緩和路線が継続、②本土の景気減速も想定内、③海外情勢もいずれ落ち着きを取り戻す、については大きな変化なく推移してきたためだ。ただ、足元で海外情勢、特に欧州情勢が仏大統領選の行方に絡んで再び波乱含みとなってきた点は要注意。本土市場同様に依然として割安感も強いことから、海外情勢が落ち着きを取り戻せば再度上昇局面に転じよう。 (4/24 村上)

特集:11.12期決算の発表が完了、景気減速下でも利益を稼げる“勝ち組企業”に注目

11.12期はセクターごとに明暗が分かれる結果に

 香港上場企業の11.12期決算が出揃った。この中で主要221社の決算をみると、6割強の企業が増益となった。特に銀行、ガス、水道など規制色の強い業界で好業績が目立つ。個人消費の拡大を受け、流通業も増益を確保。このほか、石炭価格の上昇を追い風に石炭会社も利益を拡大。全般的に川上分野に位置する企業が堅調だった。

 一方、燃料コストの負担が嵩み、海運、空運、電力会社などの業績が悪化した。また、燃料価格を含む全般的なインフレは製造・仕入れコストの増加に繋がり、川中・川下の企業では利益を減らすケースもみられた。このほか、株式市場の低迷が響き、保険会社の一角が減益となった。それでも、大手企業を中心にコスト増分を販売価格に転嫁し、増益基調を保った。

二期連続で好業績が見込める“勝ち組企業”に注目

 10.12期は大型の景気対策が奏功し、企業業績は大きく回復した。しかし、足元で国内景気に減速感が漂う中、11.12期、12.12期と二期連続で増益を維持することは容易ではない。ブルームバーグコンセンサス予想によると、今期はインフレ鈍化に伴い川中・川下では企業業績が改善に向かう見通しのほか、公益セクターも総じて好調が見込まれている。一方で海運、空運等は引き続き減益予想の企業が大半など、業種によって様々だ。

 こうした中でも好業績を続ける企業は各業界の“勝ち組”であり、景気減速下でも利益を稼げる能力を持っていると考えられる。今後も二極化の傾向が強まれば、不振企業は淘汰される一方、こうした優良企業は買収などを通じてより競争力を高めていくことも期待できる。(4/23 畦田)

主要銘柄セクター別業績パフォーマンス(香港)、2期連続で増益が見込める主な香港上場銘柄

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香港中華煤気(ホンコン&チャイナガス)

00003〈N0940〉香港 株価チャート

香港の大手ガス会社、11年は増収増益

 1862年に設立された香港で初めての公益事業組織。ガス供給、ガス管網の建設、ガス器具の販売などを手がける。中国本土でも事業を展開。また、近年は事業の多角化を進めており、非在来型天然ガスの開発なども推進している。本土では11.12期時点で四川省、広東省、山東省、遼寧省など21の省・自治区・直轄市で事業を展開。売上構成比は中国本土での都市ガス事業などが52.4%、香港が43.9%、その他が3.7%。

 11.12期の業績は前年比15.8%増収、純利益で同10.1%増益と2ケタ増収益を達成。主因は中国本土での都市ガス事業が好調だったこと。同地域での売上高は同37.1%増の117.5億HKドルと初めて売上構成比で50%を上回った。また、セグメント利益も同36.3%増と大幅な伸びに。ちなみに、中国本土でのガス販売量は供給地域の拡大などを背景に、同20.6%増の103億立方メートル(m3)と、初めて100億m3を突破した。同社は中国本土の19の省・自治区・直轄市で都市ガス事業を展開しているが、11.12期末の供給戸数は同11.1%増の1320万世帯に拡大。中国本土では最大規模の都市ガス企業に成長した。

中国での事業を強化、販売価格の引き上げも追い風に

 11~13年の間に100億HKドルを本土事業に投資する方針を示すなど、同社は中国への事業展開を一層加速させる模様。中国では石油や石炭系燃料に比べ二酸化炭素の発生量が少ない天然ガスの需要拡大が見込まれている。実際、政府は第12次5カ年計画期間中に、一次エネルギーに占める天然ガスの比率を約4%から倍増の8%まで高める計画だ。また、近年は生産地から主な消費地へのパイプライン網の整備が進展するなど、川上部門の資源をこれまで以上に確保できることも、事業拡大を後押ししよう。政府は資源の節約や国産天然ガスの合理的な価格形成を促進するため、一昨年、約2年半ぶりに天然ガスの出荷価格を引き上げた。引き上げ幅は約25%に達したが、販売価格の引上げによってコスト増を十分に吸収できている。

非在来型天然ガスを開発、川上部門の収益力が向上

 同社は事業多角化の一環として、香港で長年培った技術と運用経験を生かし、中国本土での非在来型天然ガス開発を推進。同時に、新エネルギー分野で競争力を高めるため、技術開発センターを設立するなど、研究開発にも注力している。

 昨年、山西省晋城市でコールベッド・メタン(CBM:石炭層に存在する天然ガス)の液化工場の拡張工事が完了し、年間生産能力を3倍増の2.5億m3まで引き上げた。CBMは石炭層の中に含まれるが、主成分はメタンガスであり、液化して輸送することも可能だ。また、石炭資源の豊富な中国では、CBM埋蔵量も多く存在すると予想される。それゆえ、輸入ガスへの過度な依存を回避するためにも、政府は開発強化策を打ち出しており、国内における天然ガス市場は今後も急速な拡大を遂げよう。こうしたエネルギー構造の転換は、川上部門の事業拡大に繋がり、同社の新たな収益源となるだろう。主力である都市ガス事業の発展も期待でき、中長期的に高成長を維持しよう。(佐藤)

中国における天然ガスの生産量と消費量
地域別都市ガス供給世帯の推移

周生生(チョウサンサン)

00116〈N0116〉香港 株価チャート

香港を本拠とする大手宝飾品会社、11年は大幅な増収益

 宝飾品の小売販売を主力とする香港地場系企業。昨年末時点の店舗数は310カ所に上り、うち香港・マカオ56店舗、中国本土232店舗、台湾22店舗。11年の売上構成比は、ジュエリー等の製造・販売73.7%、貴金属の卸売25.3%、ブローカー・その他1.0%。

 11.12期の業績は前年比46.6%増収、同44.4%増益。香港・マカオでの観光客増加や本土の奢侈品市場拡大等が追い風となり、中核のジュエリー事業は売上高で同53.0%増と、大幅な伸び。特に本土での売上高が同64.1%増と他地域の伸びを上回った。また、主力市場である香港・マカオでも小売販売額の5割近くを本土観光客による購入が占め、本土における個人消費拡大の影響を大きく受けた。

積極的な本土市場の開拓は今後の販売拡大に寄与

 同社では本土の奢侈品市場の将来性を見据え、近年、新規出店に力を注いでいる。実際、昨年の店舗純増数は中国本土が51店舗と、香港・マカオの4店舗、台湾の2店舗に比べて大幅な増加となった。事業エリアを見ても、チベット自治区以外の地域をすべてカバーしており、いかに本土市場を重視しているかが窺える。また今年、中国本土で販売拠点の手薄な地域を中心に50店舗増やす計画も立てている。内陸から香港・マカオへの観光客増加や、本土における奢侈品消費の拡大が今後も続くと見られるだけに、同社は中長期的に高成長を続けよう。(高)

中国石油天然気(ペトロチャイナ)

00857〈N5000〉香港 株価チャート

原油や天然ガスの探査、採掘を手掛ける大手石油会社

 国内はもとより、海外でも開発鉱区を持ち、精製や石化製品の生産も行う。また、川下分野ではガソリンスタンドを全国規模で運営し、国内の市場シェアは4割程度。11年末時点の確認埋蔵量は原油111.3億バレル、天然ガス66.7兆立方フィート。

 11.12期の業績は売上高が前年比36.7%増、純利益で同5.0%減。経済規模の拡大を背景に石油や天然ガス等の販売量が増加したことに加え、各製品の平均販売価格も上昇したことで二桁の増収となった。ただ、石油精製事業は営業利益ベースで600.9億元の赤字に陥った。中国では石油などの販売価格が中央政府によって決定されるため、昨年、国際的な原油価格高騰の影響で輸入原油のコストが大きく上昇したものの、販売価格への転嫁が十分に出来なかったからだ。

天然ガス価格の決定方法変更で利益率は改善へ

 昨年末、政府は一部の地域で天然ガス販売価格の決定方法を試験的に変更すると発表した。コストに利益を上乗せする型で決めていた従来の方法を改め、段階的にではあるが、販売価格の自由化を目指す考えだ。これに伴い今回、広東省と広西チワン族自治区での販売価格の上限を、それぞれ千立方メートル当り2740元、2570元に設定。この価格は同社における11年の平均販売単価1082元を大幅に上回る水準となっている。早ければ、来年上期にも新しい価格決定方法が全国規模で導入される可能性があり、国内の天然ガス供給量で約6割を占める同社にとって収益力向上に繋がろう。(有井)

中聯重科(ズームライオン)

01157〈N1157〉香港 株価チャート

湖南省に本拠地を置く地方政府系の建設機械メーカー

 コンクリート関連機械とクレーンを主力製品とする他、ごみ収集車、ロードローラー等の製造も手掛ける。また、08年にイタリアのコンクリート関連機械大手CIFAを傘下に収め、海外でも事業を展開。昨年の売上構成比はコンクリート関連機械45.8%、クレーン33.7%、清掃用機械6.4%、その他14.1%。

 11.12期の業績は売上高が前年比43.9%増、純利益で同72.9%増。コンクリート関連機械とクレーンの売上高が、それぞれ同50.6%増、41.0%増と大幅な伸びを示しただけでなく、他の製品もほとんどが前年に比べ二桁増となった。さらに、利益率に関しても製造コスト削減および増収効果によって売上高営業利益率が20.7%と、同2.8ポイント向上した。

高機能製品の需要増加が追い風に

 業界団体の最新予想によれば、中国の建機市場は今年も二桁の成長となる見通し。特に高性能機種に対する需要が高まっている。このような環境の中、同社は研究開発に注力することでブランド力の強化に努めている。たとえば昨年、特許申請件数が1600件に上り、申請件数として全国で10指に入る。

 また一方、海外市場にも積極的に取り組み始めた。これまではアフリカや東南アジアなどの発展途上国を中心に輸出を伸ばしていたが、昨年9月、日本向けにコンクリートポンプ車30台を輸出する契約を初めて結んだ。今後、日本で生産拠点を建設しアフターサービスの充実も図る方針だ。中長期的には、先進国市場でも確かな存在感を示すようになろう。(高)

中国建材(CNBM)

03323〈N3323〉香港 株価チャート

セメントの製造で国内最大規模を誇る総合建材メーカー

 主力であるセメントを中心に軽量建材、グラスファイバーや繊維強化プラスチック(FRP)などの製造販売を手掛ける。また、FRP素材を用いて風力発電用ブレードの生産も行う。昨年の売上構成比はセメント75.3%、軽量建材7.4%、グラスファイバー関連2.8%、エンジニアリングサービス8.0%。

 11.12期は前年比54.0%増収、純利益で同137.9%増益。風力発電用ブレードの販売単価下落が響いたグラスファイバー関連を除き、各事業とも二桁の増収であった。特に、セメント事業では企業買収や設備増強によって年間生産能力を10年末の2億トンから昨年末時点で2.6億トンまで引き上げたことで、生産量は大幅に増加した。また、堅調なセメント需要が販売単価の上昇に繋がり、セグメント利益は同115.4%増となった。

セメント事業の規模は更に拡大へ

 今年も、中国政府は低所得者向け住宅を700万戸建設する計画を立てるなど、セメントの需要は底堅く推移する見通し。同社でも今期、国内のセメント需要が5~6%伸びると予想しており、販売目標を前年に比べ4割増しの水準に設定した。政府の主導による業界再編の動きが後押しとなることで、この目標は十分達成できるだろう。加えて、中小企業の淘汰が進むことによって業界全体として老朽化施設の廃棄が促され、需給バランスの改善からセメント価格の上昇も見込める。不動産投機への規制継続など、一部には逆風もあるが、同社はセメント事業を中心に今後も高成長を続けよう。(有井)

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