チャイナマンスリーレポート

11月号

2012年11月1日 内藤証券中国部

景気指標の改善、海外からの資金流入で株価の戻りが続く

本土市場
景気指標が一部改善、株価も回復方向へ

 10月の本土株式市場は出足こそ堅調だったものの、中旬にかけて反落。ただ、月後半にかけては一進一退ながらも高値圏を維持した。

 9月最終の2日間で4%強の急反発となった上海総合指数だが、国慶節連休明け初日の8日こそ小幅に下げたものの、翌日には9月中旬以来の2100ポイント台回復。連休中に発表された9月の製造業購買担当者指数(PMI)が前月を上回り、景気減速に対する警戒感が後退。さらに中央匯金投資有限責任公司が中国工商銀行の持ち株を増やすなど、銀行株の買い増しに動いたことなどが好感された。

 ただ、その後はいったん反落、15日には再び2100ポイントを割り込んだ。足元の株価上昇で利益確定の売りが出やすい状況のなかで、9月の生産者物価指数(PPI)が予想を上回る落ち込みとなり、国内景気の減速懸念が高まったほか、企業業績の悪化懸念も相場の重石となった。

 もっとも下落局面は長続きせず、再度上値を試す展開に。18日に発表された第3四半期の国内総生産(GDP)成長率は7.4%と事前の予想通りだったものの、9月の輸出入、工業生産、小売総額、固定資産投資がいずれも上振れしたほか、温家宝首相が今年の経済成長の目標達成に自信を示しているとの報道もあり、景気減速懸念が後退したことが背景。その後、月末にかけても引き続き高値圏でのもみ合いが続いた。

 前月号で「実際の景気指標に改善の兆しが現われるまで株価の本格反転は難しそうだ」と指摘したが、9月の指標に一部「兆し」が現われてきた。それを評価して株価にも底入れ機運が出てきた。また、為替も人民元高が進むなど、海外への資金流出が一巡した模様で、つれて株式市場への売り圧力も減ってきたようだ。国内的な悪材料も企業業績の悪化でほぼ出尽くしたものと思われ、株価は緩やかながらも上昇トレンドに。(10/25 村上)

香港市場
世界的な金融緩和で資金流入が始まる

 10月の香港株式市場は上旬こそもみ合いの動きとなったが、中旬以降は上昇基調に転じ、月末に至るまで堅調な展開が続いた。

 9月中旬以降もみ合いが続いていたハンセン指数だが、10月に入ってもレンジこそ切り上がったものの引き続きボックス圏での動きに。国慶節連休で本土市場が休場となり材料不足の中、中国本土の9月のPMIが前月から改善したことで景気底入れへの期待感が広がったほか、米国の9月ADP雇用統計、ISM非製造業景況感指数が上振れしたこと、などが下支えた。

 しかし、本土の連休明けの8日には187ポイント安と反落。世界銀行が2012年の中国のGDP成長予測値を下方修正したことから、あらためて景気減速を警戒する売りが出たことや、欧州の景気下振れ懸念も引き続き根強く、相場の重石となった。

もっとも、翌9日には112ポイント高と反発。その後も10日に17ポイント安と小幅に下げた以外は11日から25日まで10営業日連騰と上昇基調が続き、25日の終値は21810.23ポイントと今年の高値を更新した。欧米情勢が総じて落ち着いた動きとなってきていることから世界的にリスクテークの機運が出てきており、そうしたリスクマネーの一部が香港市場にも流入、相場を押し上げているもよう。一方で、本土市場が景気底入れ期待を背景に堅調な動きとなっていることも相場の下支え要因に。

 ECBによる南欧国債の無制限買入れ合意、米国のQE3実施、などを契機として世界的にリスクオンの動きが活発化。海外からの資金流入を背景に香港ドル高が進んでおり、香港政府は約3年ぶりとなる香港ドル売り・米ドル買いを連日で実施。過去の香港ドル高の局面では香港市場のパフォーマンスが良好だったことから、今回も同様な動きが期待される。本土市場にも底入れの気配が出てきていることもプラスだ。当面は海外資金の流入が株価を押し上げる展開が予想される。

(10/25 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:二番底回避に向けた党大会後の政策対応に期待

景気底入れのシグナルを受け、株価は戻り基調

 中国経済に底入れの兆しが出てきた。9月の主要統計を振り返ると、消費、投資、貿易、生産の各項目が前月比ベースで底堅い伸びを示した。また、7-9月期のGDP成長率は前四半期比2.2%増と伸び率が拡大。さらに24日に発表された10月の製造業購買担当者指数(HSBC算出、速報値)も49.1と、前月比で1.2ポイント改善した。

 これまでの金融緩和による効果が徐々に表れてきたほか、中国政府による景気対策も具体化。これを受け、本土・香港市場ともに株価は戻り歩調の展開となっている。ただ、7-9月期のGDP成長率が前年同期比で7.4%増と09年1-3月期以来の低水準に沈むなど、数値自体は弱さも目立つ。景気先行きは楽観できず、一層の政策対応が必要といえよう。

党大会後の政策加速に期待、景気敏感株などに注目

 こうしたなか、今月8日から中国共産党全国代表大会が開かれ、今後の政策方針を決定、習近平氏を中核とする新指導部が発足する見通しだ。これまで後手に回りがちと批判されてきた景気対策だが、新たな党の方針・人事に基づき政府内の体制固めが進めば、年末にかけて政策スピードが加速する期待も。労働分配率の向上で消費の伸びを維持し、戦略的新興産業への支援、輸出振興策の強化を通じて生産・輸出へのてこ入れを図る可能性が高い。また、投資プロジェクトが実行段階に移り、実体経済を支えるための金融緩和も続こう。

 こうした施策が景気の二番底を防ぎ、回復局面まで押し上げることができれば、景気敏感株や政策関連銘柄への押し目買いも広がると期待される。(10/24 畦田)

QE1(08/11/25~10/3/31) QE2(10/11/3~11/6/30)

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中国共産党全国代表大会とは

 5年に一度開かれる党の最高議決機関で、意思決定を担う中央委員を選任する。今回は最高指導者層も交代する予定で、習近平-李克強ラインを中心とする新指導部が発足する見通し。

 中国では中央委員が中央機関や重要地方の要職を独占。このため、政府幹部の実質的な交代にも繋がる。中国株は政策要因による影響が大きいだけに、新体制下での動向が注目される。

年末までの政策見通しと関連セクター銘柄

中国聯合網絡通信 香港(チャイナユニコム・ホンコン)

00762〈N7620〉香港 株価チャート

国内総合通信キャリア

 中国大手通信事業会社の一角。第3世代(3G)規格の「W-CDMA」方式と第2世代(2G)規格の「GSM」方式による移動体通信事業を手掛けるほか、固定電話やブロードバンドサービス等の固定通信事業も行う。中国本土では米アップルの高機能携帯電話「iPhone」を最初に導入。今上期の売上構成比は、移動体通信65.5%、固定通信34.1%、その他0.4%。

今上期は大幅な増収増益

 12.6期(中間)の業績は前年同期比20.0%増収、純利益で同31.1%増益。特に、主力の移動体通信事業が同32.9%増収と全体の増収率を大きく上回った。携帯電話による通話料が同14.1%増となったほか、付加価値サービス収入も同40.1%増。この主因は携帯電話の利用者数が増加したためだ。今上期の純増数は1958.9万人、同38.1%増となった。なかでも、収益性の高い3G規格の加入数が1751.1万人の純増となっており、全体の約9割を占めた。これに伴って1契約当り平均月間収入(ARPU)は48.1元、同2.8%増加した。

 一方、固定通信事業は同1.5%の増収。固定電話の通話料収入が同16.0%減となったものの、ブロードバンドサービス等による収入が289.5億元、同11.5%増と二桁の増収を維持した。特に、ブロードバンド部門では、加入総数が同15.7%増の6052.7万件に上った。

 さらに、足元に関しても利用者数は3G規格の移動体通信やブロードバンドサービスを中心に比較的堅調な伸び。直近9月の携帯電話加入者数はGSM方式が24.2万人の純増(9月末時点の加入総数、1億6262.4万人)にとどまったが、W-CDMA方式は317.7万人の純増(同6686.3万人)と、4カ月連続で月間300万人を上回るペースで増加している。また固定通信事業では、固定電話加入件数が21.0万件の純増に転じたほか、ブロードバンドサービスの新規加入件数も66.9万件の純増、9月末時点における加入総数は6265.1万件に達した。

3G規格の競争優位性は今後の成長要因に

 同社のW-CDMA方式は、ライバルの中国移動(00941)と中国電信(00728)がそれぞれ導入している3G規格のTD-SCDMA方式、CDMA2000方式に比べ通信設備に関する汎用性等の面で競争力に優れている。さらに、W-CDMA方式は第2世代のGSM方式との互換性が高いため、旧方式利用者からの切り替え需要も比較的上手く吸収できている模様。また将来、3G規格から4G規格への切り替えを想定した場合もW-CDMA方式は比較的優位に立つと考えられる。

 ただ今後、業界最大手の中国移動が現在開発しているTD-LTE方式が同社にとって大きな脅威となろう。この規格はその内容から「3.9G」とも呼ばれ、通信速度等が飛躍的に向上する。しかし、多くの市場関係者は同規格の商業化時期を早くても14年以降になると見ている。従って同社は向こう2年間、W-CDMA方式での豊富なノウハウとサプライチェーンを最大限に活用することができる。それゆえ、国内における移動体通信事業の中で先導的な役割を果たし、市場シェアを一段と拡大させるとともに、その後の展開を優位に進めよう。(高)

業績推移

3Gサービス収入

和記電訊香港(ハチソン・テレコム・ホンコン)

00215〈N0215〉香港 株価チャート

香港の大手電気通信事業者

 香港とマカオで「3」ブランドの携帯電話サービスを提供するほか、ブロードバンド(BB)など固定通信事業も手がける。米アップル社などと提携。今年5月に4Gサービスを開始した。

 12.6期(中間)は売上高が前年同期比11.8%増、純利益が同15.0%増。移動体通信事業ではスマートフォンの販売が好調で売上高が同15.1%増。また、モバイル契約件数が同8.6%増、うち3G、4Gユーザー数も合計で同21.4%増。これらにより、ARPU(1契約当り平均月間収入)が同7.6%増加したことで、セグメント利益も同25.7%増となった。一方、固定通信事業では売上高が同4.4%増となったものの、価格競争の激化によってセグメント利益は同8.1%減少した。

通信ネットワークの拡充により、更なる事業拡大へ

 同社はネットワーク容量の拡大や周波数の獲得を一層推進する方針。移動体通信事業に通年で5億~6億香港ドルを投じる予定。実際、今年2月に2300MHz帯の周波数を1.5億香港ドルで取得。保有周波数帯では香港最大となった。また、既にサービスを始めている1800MHz帯と2600MHz帯を含めれば、3つの4G LTEに対応する周波数帯を保有している。

 ただ、香港では4G対応機種のラインナップが不足しており、ユーザー数も限定的。しかし、同社は今下期から4G対応の新機種を相次いで投入する予定。これにより、端末の買い替え需要が期待できるほか、4Gユーザー数増加によるARPUの伸びが見込め、今後も安定した成長が続こう。(佐藤)

海爾電器(ハイアール・エレクトロニクス)

01169〈N1690〉香港 株価チャート

世界最大の洗濯機メーカー

 世界トップクラスの白物家電メーカー「海爾集団公司」の香港上場旗艦企業。山東省青島市に本拠を置き、洗濯機や給湯器の製造・販売を手がける。親会社を含むグループ企業から調達した家電等の販売及び関連サービスにも従事。

 12.6期(中間)は売上高が前年同期比8.4%増、純利益が同21.1%増と堅調。家電販売事業は地方都市でのマーケティングが奏功し、売上高が同8.4%増、セグメント利益で同15.2%増。また、洗濯機事業と給湯器事業の売上高はそれぞれ同7.1%増、同10.5%増、セグメント利益で同23.5%増、同43.5%増。国内の市場シェアは販路拡大などが奏功し、洗濯機で前年同期に比べ5.9ポイント上昇して31.3%に、給湯器も20.5%と、いずれも首位の座を維持した。

研究開発力の強化や販売ネットワークの拡大に注力

 中国では所得水準の向上に伴い家電分野でも高機能製品への関心が高まっている。こうした消費者ニーズに対応するため、同社はハイエンド製品の設計と生産を一層強化する方針だ。買収した旧三洋電機の技術を生かし、性能の向上に取り組んでいる。

 また、同社製品の特約店は既に全国各地で約3万5000店舗に達する。今後も地方都市や農村部で強力なネットワークを持つ傘下企業と協力して、販売関連事業を積極的に拡大する計画。さらに、政府が新たに始めた省エネ家電の購入支援策も追い風となろう。(佐藤)

華潤燃気(チャイナリソーシズガス)

01193〈N1110〉香港 株価チャート

国内でガス事業を展開する中央政府系の投資持ち株会社

 天然ガス等の販売を行うほか、ガス管敷設事業も手掛ける。以前は半導体やコンクリートなどの製造事業に投資していたが、08年に親会社から都市ガス事業を買収。これを契機に社名を現在のものに改め、経営主体を本土でのガス事業に集中させた。昨年のガス販売量は約72億立法メートル。また、今6月末時点で80件のガス供給プロジェクトを展開しており、住宅向けガス管敷設件数は1137万世帯に上る。

 12.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比28.0%増、純利益で同27.7%増。特に売上構成比で8割以上を占めるガス販売部門が好調であった。販売量が既存事業で同16.3 %増となっただけでなく、M&A等の効果も加わったことで全体として同26.3%増加した。さらに、ガス管敷設件数も前年同期末に比べ2割以上増加しており、拡大基調が続く。

国内における天然ガス需要の増加を背景にM&Aを加速

 現在、中国政府は環境保護に向けて天然ガスの普及に注力している。加えて、内陸部におけるシェールガス等の開発も今後本格化する見通し。それゆえ、15年には国内消費量が2600億立法メートルと、足元の水準に比べて倍増すると見られる。

 このような中、同社はM&A等を通じて事業規模の拡大を急ぐ構え。実際、7月に国内28カ所で都市ガス事業を展開するAEIチャイナ・ガスを買収。さらに年内には親会社からもガス事業を買い取る予定だ。同社では15年までにガス販売量を年間200億立法メートルに引き上げる計画を立てている。(有井)

中国南車(CSR)

01766〈N1766〉香港 株価チャート

中国北車と国内市場を二分する大手鉄道車両メーカー

 「南車(CSR)」の商標で機関車、マルチプル・ユニット(動力分散方式の鉄道車両)、高速鉄道用車両等を製造するほか、近年は風力発電設備などの生産も手掛ける。また、海外での事業展開にも積極的に取り組む。

 12.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比5.8%増、純利益で同6.2%減。マルチプル・ユニット部門が同37.7%増収となったものの、機関車部門は同43.3%の減収であった。鉄道部高官による汚職事件や高速鉄道の衝突脱線事故等を受け、鉄道部による入札が昨年後半以降、一時滞ったためだ。ただ、粗利益率はコスト削減等に努めたことで、前年同期に比べ1.0ポイント向上、18.9%となった。

鉄道インフラに対する投資が再び拡大

 中国国家発展改革委員会は7~9月に総額5兆元超の公共事業プロジェクトを承認した。特に今回は、長期的な視点のもとで重要性の高い事業案件を優先しているため、将来の経済活動に大きな影響を及ぼす鉄道網の整備が重要なテーマの一つとなっている。事実、9月5日には内陸都市の地下鉄を含む多数の鉄道建設プロジェクトが認可され、その投資額は総額で約8000億元に上る。これらのプロジェクトに対しては資金調達の面で懐疑的な見方も一部にはあるが、今の中国では債券発行などを通じて十分に調達可能であろう。それゆえ、鉄道事業への投資が活発化することで同社をはじめとする鉄道関連企業は大きな恩恵を受けよう。(有井)

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