チャイナマンスリーレポート

2月号

2013年2月1日 内藤証券中国部

本土景気は底入れ、海外資金を先導役に上昇基調が続く

本土市場
景気の底入れを確認、株価も回復が続く

 1月の本土株式市場は中旬まで小幅なボックス圏での推移。後半にかけては下値を切り上げつつ高値圏でのもみ合いに。

 12月終盤まで上昇基調が続いていた上海総合指数だが、1月に入ってもトレンドは変わらず、7日には終値で2285.36ポイントまで買われた。1日に発表された12月の製造業購買担当者指数(PMI,物流協会算出)が50.6と3カ月連続で景況判断の分かれ目となる50を上回ったことから、景気減速に対する警戒感が後退。さらに米国で“財政の崖”問題に関する妥協案が成立、世界的な株高となったことも相場を押し上げた。

 もっとも、その後はいったん弱含みに転じ、11日には2242.99ポイントまで売られた。主要指標の発表を控えて利益確定の売りが出たほか、消費者物価指数の予想以上の上昇が嫌気された。ただ、14日には中国証券監督管理委員会(CSRC)の郭主席がQFI(I 適格海外機関投資家)とRQFI(I 人民元適格海外機関投資家)の投資規模拡大を示唆したことで、本土市場への資金流入期待が高まり大幅高、一気に2300ポイント台を回復。

 月後半にかけては、高値警戒感が燻る一方で、18日に発表された第4四半期の実質GDP成長率が事前予想を上回り、景気の先行きに対する安心感が広がったほか、万科企業B株のH株転換計画発表などでB株市場に対する改革期待も加わり、堅調な展開が続いた。

 第4Qの実質GDP成長率は前年同期比7.9%増と第3Qの7.4%から加速に転じ、景気の底入れが改めて確認された。3月の全人代以降は、「都市化」をテーマとするインフラ投資も本格的に動き出し、景気回復を後押ししよう。インフレも低水準に止まっており、金融緩和は当面続こう。また、企業業績にも底打ち感が出てくるなど、株式市場を取り巻く環境は確実に好転している。

 一方で、株式需給の面でもQFII、RQFIIの認可加速や規制緩和など、当局は改善に向けて本腰を入れ始めた。これら海外機関投資家マネーを先導役に株価は今後も上昇基調が続こう。(1/28 村上)

香港市場
世界的なリスクオンの動きを背景に資金流入が継続

 1月の香港株式市場は月初に急騰の後、いったんは反落。ただ、その後は月間を通してじり高の動きとなった。

 12月終盤には頭打ちの様相を呈していたハンセン指数だが、年明け初日の2日には前日比655ポイント、2.9%高と急騰し、終値は23311.98ポイントと11年6月以来の23000ポイント台回復。米議会が「財政の崖」を回避する法案を可決、米景気失速懸念が取り敢えず後退したことから、世界的な株高となり香港市場にも資金が流入した。また、1日発表の12月の中国本土PMIが堅調だったことも支援材料となった。

 その後、中旬にかけては23000ポイント台前半でのもみ合いが続いた。足元の相場の過熱感から利益確定売りが活発化する一方で、12月の貿易統計が予想を上回って好調、米アルコア社の好業績発表で米国企業業績への警戒感が後退、などが下支えた。中国人民銀行がQDII2(適格国内個人投資家)のモデル実施に向けた準備作業を進める方針を示したと伝わったこともプラス要因に。

 月後半にかけても利益確定売りをこなしつつ下値を切り上げる展開となった。18日に発表された本土の実質GDP成長率だけでなく他の経済指標も概ね予想を上回る結果となり、買い安心感につながった。加えて、米国株式市場の高値更新も香港市場の押し上げ要因となった。

 米国の“財政の崖”問題は2月末に先送り、“債務上限”も期限が5月に先延ばしされた。一方で、欧州債務問題も今後に懸念は残るものの、足元は引き続き小康状態が続いている。当面、世界的なリスクオンの流れに変化はなさそうで、香港市場への資金流入も続いているもよう。香港ドルが対米ドルで引き続き高値近辺にあることがその証左だ。

 ただ、ハンセン指数は昨年6月初めを底として既に30%以上の上昇となっており、短期的にはスピード調整も有り得よう。とはいえ中国本土経済・企業収益の回復も期待できるだけに、中期的には上昇基調が続く見通し。(1/28 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:上期は景気回復から堅調な相場展開が見込まれるも、海外・物価の動向には注意が必要

投資・消費を牽引役に、上期は景気回復継続へ

 12年4Qの実質GDP成長率は前年同期比7.9%増と3Qの同7.4%増を上回るなど、景気は足元で回復に転じてきた。そうしたなか上期の主要イベントを展望すると、3月の全人代・二中全会を経て「都市化」をテーマとする公共投資の拡大が見込まれるほか、旧正月など複数の大型連休で個人消費の盛り上がりも期待できる。したがって、投資、消費に牽引された景気回復局面が当面、続く見通し。連れて大企業を中心に業績改善が予想され、株価の支援材料となろう。また、マクロ経済の好転は、金融・為替改革の推進にもプラスだ。

欧米の財政問題、物価動向が懸念材料になる可能性も

 一方で、上期は欧米の財政問題に係わるイベントが多く、折に触れて株価の調整要因となろう。当面の危機を脱した米債務上限問題に関しても5月には再度、表面化する可能性がある。また、世界的な金融緩和の先行きにも留意する必要がありそうだ。基本は緩和継続とみられるが、投機マネーの流入による商品市況の上昇などからインフレ懸念が高まれば、政策の転換を迫られる可能性も残る。上期は国内景気・企業業績の回復を受け、株式市場は基本堅調に推移する可能性が高いが、海外及び物価の動向には注意が必要だろう。(1/25 畦田)

2013年上期の主要スケジュール

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2013年上期の主要テーマ

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中国旺旺(ワンワンチャイナ)

00151〈N0151〉香港 株価チャート

台湾系の大手食品企業

 「旺旺」ブランドの食品や飲料を生産販売する台湾系の大手食品会社。森永乳業やジャスダック市場に上場している岩塚製菓などと提携関係にある。主力製品は飲料(乳飲料、缶コーヒー、炭酸飲料、茶飲料、粉ミルクなど)、スナック菓子(キャンディー、ゼリー、ボーロなど)、米菓(せんべいなど)など。1992年に中国本土での製品販売を開始。台湾、香港、シンガポール、日本などでも事業展開する。11年末時点で中国全土に34カ所の生産拠点と、346の営業所を持つ。

12.6期は二桁の増収益を達成

 12.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比19.4%増、純利益が同38.2%増。原材料価格の低下や2011年の値上げ効果で、利益率が改善。全体の粗利益率は37.1%と、前年同期から4.1ポイント上昇した。

 事業別では飲料事業が堅調だ。主力製品の乳飲料「旺仔牛乳(Hot-Kid milk)」の売上高が同32.8%増と大幅に伸びたことを受け、飲料事業全体で売上高は同27.7%増、セグメント利益も同48.1%増。国内乳飲料(フレーバーミルク)市場における同社のシェアは約4割を占め、国内トップ。さらに、スナック菓子事業も好調であった。マーケティング戦略が奏功したことに加え、原材料価格の下落などを背景に売上高が同21.9%増、セグメント利益で同62.0%増。ただ、米菓事業は昨年の旧正月の時期が例年より早かったことなど、暦の影響を受けたことで小幅ながら減収減益だった。もっとも、国内の米菓市場では依然として約7割の圧倒的なシェアを誇る。

生産ラインの自動化や提携強化により、更なる成長へ

 同社は今後も主力製品の生産ライン自動化を積極的に推進する計画だ。昨年上期には、主力製品の生産設備等に多額の資金を投じた。これらによって人件費などのコスト上昇圧力を軽減できるほか、生産性の向上や品質の安定化にも繋がることから、競争力やブランド力は一層強化されよう。

 さらに、同社は森永乳業との業務提携を一段と強化する方針。牛乳、ヨーグルト、チルド乳製品の製造販売に関する森永乳業の経験と技術の提供を受ける。そのため、最新の設備を導入した生産拠点を江蘇省南京市に建設中だ。第一期プロジェクトは既に完了しており、今年6月に操業を開始する見通し。森永乳業との共同出資によるチルド乳製品の製造などを含む第二期プロジェクトも、今年10月には完了する見込み。これらのプロジェクトが本格的に始動すれば、牛乳・乳製品の生産技術力は大幅に向上しよう。

 また、中国では所得水準の向上や食品嗜好の多様化などを背景として牛乳・乳製品の需要は今後も大幅に伸びると予想されている。ただ、牛乳・乳製品の「品質問題」が近年相次いで発生し、大きな社会問題となったことで、消費者の健康や安全への意識も非常に高い。それゆえ、森永乳業の技術を生かした高品質で安全性の高い製品を市場に供給することで、一段のシェア拡大へと繋がろう。(佐藤)

業績推移 事業別売上構成比の推移

華潤セメント(チャイナリソーシズセメント)

01313〈N1313〉香港 株価チャート

華南地域のセメント最大手、12年下期に入り業績回復へ

 実質筆頭株主は政府系の中国華潤総公司。福建省、広東省、海南省など、華南地域を中心に生産拠点を持ち、同地域では最大手。近年は山西省、内モンゴル自治区、陝西省など内陸部にも進出。昨年上期の売上構成比は、セメント・クリンカーが80.2%、コンクリートが19.8%。

 12.6期(中間)は、景気減速と不動産引締めに伴う需給の悪化を背景に在庫処分を急いだ結果、前年同期比9.8%増収となったものの、製品価格の下落とコスト上昇に晒されて純利益は同68.9%減。しかし、昨年後半には政府による一連の景気対策がセメント需要を押し上げており、通期の業績は大幅な減益ながら、下期は上期に比べ幾分改善した模様。

都市化の推進等を受け、セメント需要は拡大へ

 今年3月に始動する習近平政権は、これまでの「穏健な金融政策」と「積極的な財政政策」の路線を堅持する方針を立てている。それゆえ、当局による都市化の推進やインフラ投資の増加が追い風となり、セメント需要は拡大する見通し。

 また現在、政府はセメント業界の再編を促している。窒素酸化物の排出量削減が今後強化されることで、大手を中心とした企業の統廃合が進もう。このような環境のもと、同社は華南地域のセメント最大手として中心的な役割を果たす可能性が高い。市場規模の拡大に加え、国内セメント業界内での慢性的な過剰設備が解消へと向かうことで同社は今期大幅な増益となろう。(高)

碧桂園(カントリーガーデン)

02007〈N2007〉香港 株価チャート

広東省を本拠地とする大手不動産デベロッパー

 主に都市郊外での不動産開発を手掛ける。広東省を中心に中国北部や中部でも事業を展開。また、不動産の管理やホテル運営、建築、内装工事なども行う。12年6月末時点で110件の開発プロジェクトを抱え、保有開発用地(総延べ床面積ベース、以下同じ)は5480万㎡に上る。

 12.1-9月期の業績は売上高が前年同期比22.3%増、純利益で同34.4%増。主力の不動産開発部門が好調であった。販売面積は同5.8%減となったが、平均販売単価が同29.9%上昇し、部門別営業利益で同55.5%増。また、足元の成約状況も堅調だ。通期での契約額は前年比1割増の476億元と、年間目標の430億元を上回った。面積も764万㎡に達し、同11%増加した。

都市化の進展に伴い、不動産に対する需要は増加

 中国新指導部は昨年12月に開催された中央経済工作会議のなかで都市化の推進を基本政策の一つとして掲げた。実際、全人口に占める都市部住民の割合は5割程度にとどまっており、近年、都市化が急速に進んでいるとは言え、先進国に比べ2割以上も低い。そのため、今後も都市への人口流入に伴って住宅需要は増加する見通し。また、足元では国内景気の底打ち感等を背景に不動産価格も回復の兆しを見せている。不動産税の導入など、当局による投機抑制策の厳格化がリスク要因としてあるものの、都市郊外の優良物件を多く手掛ける同社は大きな恩恵を受けよう。(有井)

イ柴動力(ウェイチャイ・パワー)

02338〈N2338〉香港 株価チャート

国内大手ディーゼルエンジンメーカー

 主に、大型トラックや建設機械向け等の高出力エンジンを製造する。昨年上期の大型トラック向けディーゼルエンジンの販売台数は12.6万台。積載重量14t以上のトラック用エンジンに限れば、市場シェアで34%を占める。また、同5t級の大型ホイールローダー用では62%に達し、業界最大手。07年にはM&A等によってトラック製造事業にも参入。さらに、子会社を通じて変速機の生産も手掛ける。

 12.6期(中間)の業績は売上高が前年同期比26.1%減、純利益で同45.8%減。不動産開発等の減少に伴って建設機械の需要が落ち込んだためだ。特に、主力のエンジン部門が不振だったことで利益率は大幅な悪化。また、1-9月期も同23.1%減収、純利益で同47.4%減益と、引き続き苦戦。

不動産開発の増加とともに建設機械の需要は拡大傾向に

 現在、国内では不動産開発等への投資が回復傾向にある。これに伴い建機需要の拡大が見込まれる。加えて排ガス規制の強化も予想されることから買い替え需要も期待できよう。

 さらに同社は昨年、欧州の工業用トラックメーカーが実施した第3者割当増資を引き受けるとともに、その傘下の油圧システム会社を買収。今後は油圧駆動装置等の共同開発を通じてパワーショベルなどの分野にも進出する模様。今までの大型トラック関連に集中した事業構造から脱却し、総合建設機械メーカーに変化していくことで事業の多角化を図り、収益構造の安定化を目指す。(有井)

金山軟件(キングソフト)

03888〈N3888〉香港 株価チャート

民営系の有力IT企業、足元の業績は大幅な伸び

 オンラインゲームとアプリケーションに関するソフトの開発・販売並びにインターネットサービスの提供を手掛ける。オンラインゲーム事業では多人数同時参加型オンライン・ロール・プレイング・ゲームが好評。アプリケーション事業はセキュリティソフトやオフィスソフト等の分野で高い市場シェアを誇る。

 12.6期(中間)は前年同期比24.4%増収、同16.8%増益。また、12.7-9月期は売上高が同50.5%増の3.7億元と四半期ベースで過去最高を記録。純利益も同44.3%増と大幅な増益。従来のソフトウエア偏重から多種類のネットサービスを提供できる経営モデルに転換した結果、採算性の高いアプリケーション事業が12.1-9月期で同57.1%増収を達成し、売上構成比も37.7%に拡大。これに伴い全体の利益率も向上した。

移動通信の発展に伴いモバイル対応への取組みを積極化

 モバイル・アプリの需要がスマホの普及に伴って急拡大している中、同社はその対応を急いでいる。モバイル版のオフィスソフトはすでに46種の言語に対応し、226の国や地域で高い人気を誇っている。さらに、中国国内での電信、放送、インターネット網の一体化政策の下、高成長を遂げるクラウド・コンピューティング(CC)サービス分野でも快進撃が続く。スマートフォンの大手メーカーと資本提携関係を結んだほか、CC分野でクラウド・ストレージ・サービス(顧客のデータをサーバーに保存するサービス)の提供にも注力。今後、豊富なモバイル・アプリとCCサービスの相乗効果で一段の成長を遂げよう。(高)

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