チャイナマンスリーレポート

3月号

2013年3月1日 内藤証券中国部

海外資金の流入で再度、上昇トレンドへ

本土市場
海外資金導入に本腰、需給改善で株価押し上げへ

 2月の本土株式市場は中盤まで堅調な動きが続いたが、その後失速、下旬にかけて下値を模索する展開となった。

 1月終盤には上昇基調を強めていた上海総合指数だが、2月に入ってもトレンドは変わらず、1日には約9か月ぶりに2400ポイント台を回復、さらに6日には終値で2434.47ポイントまで上昇。1日発表の1月の製造業購買担当者指数(PMI,物流協会算出)は50.4と前月から低下したものの、HSBC算出のPMIが大幅に改善、景気回復が再確認されたことやRQFII(人民元適格海外機関投資家)の台湾投資家への適用、新規公開の停止観測、など需給改善期待も相場を押し上げた。その後も旧正月の連休を控えて、一部換金売りが出たものの概ね堅調な動きとなった。

 しかし、旧正月の連休が明けると相場は一転して弱含みの展開に。休み中に伝わった「本土不動産市況に一部過熱感が見られるなか、新たな引き締め策への懸念が再浮上」とのニュースが嫌気され、連休明けの18日は10.8ポイント安。翌19日には「早ければ今年4月から当局が新規公開(IPO)の承認を再開」との観測が浮上、需給悪化への懸念も加わり38.6ポイント安と続落。さらに21日には不動産税の適用都市の拡大などを含む不動産引き締め策が発表されたことで、一段と地合いが悪化、71.2ポイント安と急落するなど調整色を強めた。

 1月のQFI(I 適格海外機関投資家)投資認可額は25.4億米ドルと引き続き高水準。RQFIIも予定投資枠700億元を消化し、今後は2000億元の投資枠追加に加え、台湾機関投資家への投資枠付与も検討中など海外機関投資家マネーの導入を一段と積極化。株式需給の改善に向けて本腰が入ってきた。

 昨年12月初めの安値から既に20%を超える上昇となっているだけに、足元は調整気味の動きだが、全人代を経て「都市化」をテーマとするインフラ投資を中心に政策面での新たな展開も期待できることから、上昇トレンドが続こう。(2/25 村上)

香港市場
短期の調整を経て、上昇トレンド復帰へ

 2月の香港株式市場は月初から弱含みで始まり、その後急落。中旬はもみ合いが続いたが、月末にかけては再び下値を探る動きとなった。

 1月終盤まで上昇基調が続いていたハンセン指数だが、2月に入ると頭打ちの動きに。1日が7.7ポイント安、4日が36.8ポイント安と小幅続落の後、5日には536.5ポイント安の急落。スペインのラホイ首相の汚職疑惑が報じられたほか、イタリアでも総選挙を控えてベルルスコーニ前首相支持派の攻勢が伝えられるなど、南欧2カ国の政治リスクが急浮上。これを受け欧米市場が大きく下げたことが背景。その後は旧正月の連休を控えてポジション調整の売りをこなしつつ、一進一退の展開に。

 一方、連休明けの14日は198.1ポイント高と反発。休み中にスペイン、イタリアの政局不安がひとまず落ち着き、欧州リスクがやや緩和。米国でも良好な企業決算、経済指標を追い風にダウ平均が1万4000ドル台に乗せるなど、堅調な外部環境を織り込む形で買いが先行した。ただ、その後は19日の238.0ポイント安、21日の400.7ポイント安などの大幅安を交えつつ下値模索の動きが強まった。米国の量的緩和策の縮小・早期終了観測、中国政府の不動産引き締め策発表、などが嫌気された。

 懸念された米国の“財政の崖”問題も増税については決着し、残るは歳出削減だが、“債務上限”の期限が5月に先延ばしされたこともあり、取り敢えず安心感が出ている。一方で、欧州についてはイタリアの選挙結果を受け、債務問題の再燃リスクが出てきた。この問題が長引く恐れは小さいと思われるが、足元ではリスクオフの動きが強まりそうだ。

 香港市場も昨年安値から既に30%強の上昇となっており、利益確定の売りが出やすい状況にある。したがって、短期的には調整局面が続く可能性もあるが、中国本土経済・企業収益の回復も期待できるだけに、中期的には海外からの資金流入を支えに上昇基調が続く見通し。(2/25 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:全人代後の投資増加などが支援材料に、環境関連に注目

景気回復、全人代後の投資増加などが支援材料に

 2月に入り、中国株に調整色が出てきた。世界経済の根強い不透明感に加え、国内でもインフレ、引き締め政策への警戒感が日増しに拡大。旧正月連休を挟み、政策的な支援材料に乏しかったことも利益確定売りにつながった。一方で経済指標をみると、中国の景気回復は続いており、製造業がいよいよ本格的な増産体制に入る可能性も。また、今月5日に開幕する全国人民代表大会(全人代)を経て新政権への移行が完了すれば、徐々に各種振興策のスピードが速まり、公共投資も伸びていこう。こうしたことから、中国株も早晩、上昇基調に戻る可能性が高い。

環境問題への対応力が安定成長の分かれ目に

 ただし、生産回復、投資増加による環境汚染の悪化リスクが懸念される。この冬北京市等でみられた深刻な大気汚染に限らず、中国は多くの環境問題を抱えており、市民の意識も高まっている。政府は経済の安定成長と環境保護の両立に直面。環境規制の強化と運用厳格化という“鞭”の対策を進める一方、企業へのインセンティブ、関連産業の振興といった“飴”の政策も強めていこう。実際、政府主導で15年までに大気汚染対策として約3500億元が投資される計画。このため、環境対策が進んだ企業や環境関連の産業は今後も安定成長が見込め、株価も堅調に推移するものと考えられる。(2/22 畦田)

環境保護・省エネに関する主な5カ年計画(11~15年)

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中国の主要な環境問題とそれによる影響

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興業太陽能(シンイエス・ソーラー)

00750〈N7500〉香港 株価チャート

太陽光発電工事のリーディング・カンパニー

 太陽光発電(PV)工事とカーテンウォール工事を主力とする民営有力企業。広東省を本拠とし、北京市、海南省などでも事業を展開。建物の外壁や屋根にソーラーパネルの設置工事を手掛ける。特に、一般住宅地域等で小規模のPV機器を多数設置する分散型PV工事に注力。昨年上期の売上構成比はPV関連事業52.7%、カーテンウォールの関連事業47.1%。

12.6期(中間)は大幅な増収増益

 12.6期(中間)の業績は前年同期比29.2%増収、粗利益が同29.8%増、純利益で同24.8%増と大幅な増収益を達成した。国内での環境保護意識が高まる中、省エネやクリーンエネルギー関連の設備に対する需要が旺盛となったためだ。また、同社のPV関連事業は設置工事を中心としており、太陽光パネル業界にみられるような厳しい価格競争には晒されておらず、政府の手厚い支援のもと、安定した受注を確保した。さらに、研究開発や市場開拓を積極的に推し進めたことも業績の伸びを加速させた。

 昨年上期には20件のPVプロジェクトを取扱い、同事業全体の売上高は同43.1%増、粗利益で同36.0%増と好調。一方、カーテンウォール関連事業は公共施設向け工事が落ち込んだものの、商業ビルや工業建物からの受注増を受け、売上高が同16.4%増、粗利益で同18.1%増と二桁の増収益を確保した。

政策支援に恵まれ、昨年の下期は一段と事業規模が拡大

 当局によってPV事業向け支援策として現在進められている「金太陽モデルプロジェクト」では12年度の総発電容量が1709メガワット(MW)に上り、そのうち、同社は約150MW分の工事を受注した。また、昨年半ばには別のPV事業支援策で16MWの工事も獲得している。

 同社は昨年上期に竣工した約40MW分のPV工事に加え、下期にもその倍以上となる100MW分の工事を完成させた模様。こうした受注増と工事規模の拡大によって昨年通期の業績は前年に続き二桁の増収増益となったようだ。

省エネ・環境保護の需要が高まり、今後も好業績が続く

 現在、当局は温室効果ガスの削減等、低炭素経済の実現に向けた取り組みを積極的に推し進めている。さらに、太陽光による目標発電容量を15年までに当初の21ギガワット(GW)から35 GWに引き上げられると一部で報道されるなど、一層強化される可能性が高い。それゆえ、太陽光発電などのクリーンエネルギー関連産業の成長余地は依然として大きい。さらに近年、深刻な大気汚染が北京をはじめ広範囲で発生しており、環境に優しい再生エネルギー産業に対する需要が一段と強まっている。

 同社は電力の地域自給を可能とする独自のマイクログリッド技術(小規模のPV機器をネットワークで繋ぎ、IT技術を生かして電力の消費側と出力側の両方をコントロールすることで電気利用の効率化を図る)を持ち、12年6月末までに国内外で請け負った工事は累計120件、年間発電量にして161.7 GWhに上る。これに伴って節約できた石炭量は5.8万トン、水資源で64.7万キロリットル。二酸化炭素、二酸化硫黄と微粒子状物質の排出削減量はそれぞれ16.1万トン、1908.5トン、4.4万トン。省エネや環境保護のニーズが高まるなか、同社は今後も政府の支援を得ながら高成長を続けよう。(高)

売上構成比 業績推移

北京首都国際機場(ベイジンエアポート)

00694〈N7020〉香港 株価チャート

北京国際空港の運営・管理会社、12.6期は二桁増益

 北京首都国際機場(北京国際空港)を運営する企業。主要事業は、航空系(航空会社への離着陸・旅客サービス施設の提供など)、非航空系(機内食の配送、ターミナルビル内の免税店・店舗・レストランの賃貸、広告など)に区分される。

 12.6期(中間)は売上高が前年同期比8.0%増、純利益が同12.7%増。首都の玄関口という優位性を生かし、航空・非航空事業がいずれも底堅い伸びとなった。部門別では、航空事業の売上高が同6.3%増。利益率の高い国際線などの割合が増え、離着陸料収入が同9.9%増。一方、非航空事業の売上高は同10.3%増。広告・小売業務の売上高はいずれも前年同期に比べて20%台を上回る高い伸びと好調だった。

ビザ緩和策とのシナジー効果に期待

 同社は空港施設機能の強化を図り、一段と競争力を高める計画。こうした方針は当局が先ごろ策定したビザ緩和策とのシナジー効果が期待できる。北京市では今年から45カ国の外国人を対象に、72時間以内の滞在についてトランジットビザの取得を免除。外国籍の短期滞在者の増加が見込まれる。

 また、第3ターミナル・Dゾーンの本格利用や、今後の第2ターミナルの拡張工事の完了に伴って非航空事業は高成長が見込める。加えて、当局は航空系業務の規定料金を改定し、これまで安く抑えられていた本土航空会社の国際線の規定料金を引き上げる方針。こうした新たな料金体系が今年4月から施行されることも、収入増に繋がろう。(佐藤)

北京金隅(BBMG)

02009〈N2009〉香港 株価チャート

北京を本拠地とする地方政府系の大手セメントメーカー

 セメント事業を中心に建築資材の製造販売や不動産の開発ならびに管理、賃貸などを行う。主力のセメント部門は北京、天津、河北省で最大規模の市場シェアを握り、国家的なプロジェクトに多数採用されるなど、高い品質を誇る。一方、建材部門は家具や耐火材等を製造するほか、海外有名ブランド品の販売も手掛ける。また、不動産開発部門は本拠地の北京だけではなく、天津、重慶などでも事業を展開。

 12.12期の業績(速報ベース)は売上高が前年比15.8%増、純利益で同26.5%減。セメントをはじめとする各製品の販売単価の下落が業績の悪化に繋がった。特に第3四半期の落ち込みが大きく、第4四半期に若干改善したものの、大幅な減益となった。

不動産市場の回復とともにセメント需要は拡大へ

 足元では政府による都市化推進のもと、都市部の不動産価格が堅調に推移しており、住宅需要は回復傾向にある。つれて、セメントの消費量も増加する見通し。さらに、都市鉄道網の整備など、インフラ投資の拡大もセメントに対する需要を押し上げよう。逆に供給面では、国内で問題となっている大気汚染から中小セメントメーカーの淘汰が予想され、業界全体として生産能力の削減が見込まれる。それゆえ、需給バランスの改善に伴い販売価格は上昇する可能性が高い。このような環境の中で、北京や天津、河北省で高い市場シェアを占める同社は大きな恩恵を受けよう。(有井)

中国電力国際発展(チャイナパワー)

02380〈N2381〉香港 株価チャート

大手電力会社、前期は大幅な増益を達成したもよう

 山西省、安徽省、江蘇省、河南省などに複数の石炭火力発電所を保有。また、水力発電大手の五凌電力有限公司を傘下に置き、湖南省や貴州省などで事業展開。昨年6月末時点で発電容量(持分ベース)は1万1831メガワット(MW)。うち火力発電が75.4%、水力発電が24.6%。

 12.6期(中間)は売上高が前年同期比11.2%増、純利益が同33.1%増。燃料コストが上昇したものの、火力発電の卸電力価格が平均で同10.0%上昇。総発電量も同4.2%増加し、二桁増収益となった。また、12.12期本決算も水力発電の卸電力量の増加や、火力発電の卸電力価格が上昇したことを受け、大幅増益になるとの見通しを既に発表している。

水力発電などの電力価格制度の改革に期待

 最近、中国では大気汚染問題が深刻化している。水力発電は天候の影響を受けるものの、二酸化炭素等を排出しないクリーンエネルギーとして政府は発展を後押ししている。同社は香港の五大上場発電会社の中で水力発電容量(持分ベース)の割合が最も大きく、更なる政策支援が期待できよう。

 また、水力発電は燃料コストがかからず火力よりも収益性が高い。ただ、卸電力価格は火力発電よりも低く設定されている。そうしたなか先頃、温家宝首相は水力発電等の電力価格制度の改革を実行すると重ねて言明した。この改革の進展に伴い電力価格が引き上げられることで、水力発電の割合が同業他社よりも大きい同社は恩恵を享受しよう。(佐藤)

大連港(ターリエンポート)

02880〈N2881〉香港 株価チャート

渤海湾の入り口に位置する大連で港湾事業を手掛ける

 東北地方最大級の貿易拠点である大連港で石油・液化化学製品やコンテナ向けのターミナルを運営。また曳航、水先案内など、付加価値サービスも手掛ける。大連は中央政府によって国家石油備蓄基地の一つに指定されているほか、自動車(完成車)の輸入が許される数少ない地区。その中で重要な役割を担う同社は、大連港湾全体で取り扱われる輸入原油とコンテナをほぼ独占している。

 12.1-9月期の業績は売上高が前年同期比11.0%増、純利益で同18.9%減。新規プロジェクトに伴う借入金の増加等によって財務費用が大幅に膨らんだことで二桁減益となった。また、取扱量に関してもコンテナは同7.1%増と善戦したものの、石油・液化化学製品が同2.5%減。

石油・液化化学製品業務は今期、回復傾向に

 国内景気の回復を背景に原油の取扱量は増加する見通し。さらに、貯蔵容量60万立方メートルの原油タンクが年内にも新しく稼働する予定。これによって石油・液化化学製品ターミナル事業の収益は大きく改善しよう。

 また、コンテナ取扱量も国内向けが比較的安定しており、今期二桁の成長が見込まれる。実際、昨年第4四半期の取扱量は前年同期比20%以上の高い伸びとなったもよう。欧州の景気動向など、不透明な要因もあるが、今年1月の貿易統計で輸出入ともに伸び率が大きく上振れており、同社の貨物取扱量は昨年の水準を大幅に上回ろう。(有井)

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