チャイナマンスリーレポート

4月号

2013年4月1日 内藤証券中国部

新たな経済指標の発表と政策の後押しで反騰局面へ

本土市場
売られ過ぎの反動局面へ、政策の後押しも

 3月の本土株式市場は月初から乱高下のスタート。その後、中盤は下値模索が続いたが、月末にかけては反発の動きに。

 2月終盤にはいったん反発に向かった上海総合指数だが、3月入りとともに弱含みに転じ、1日の6.0ポイント安に続いて週明けの4日には86.1ポイントの急落となった。住宅譲渡益に対する課税の厳格化など、当局による不動産引き締め策の強化が嫌気された。ただ、翌5日には52.9ポイント高と急反発。6日も続伸し、下げ幅の大半を取り戻した。全国人民代表大会(全人代)が開幕し、政策期待が高まったことが背景。

 しかし、その後は7日から13日まで5営業日連続で下げるなど再び下落基調に転じ、19日にはザラ場で2232.02ポイントまで売られ、今年の安値を更新した。9日に発表された1-2月の主要経済指標が一部で景気腰折れの可能性を示唆するなか、2月の消費者物価指数(CPI)上昇率が10カ月ぶりの高水準だったことで金融引き締め懸念が強まったことが売り材料となった。

 一方、下旬にかけては反転、20日には59.9ポイント、2.7%高と大きく買われ、2300ポイント台を回復。値頃感からの自律反発に加え、3月の製造業購買担当者指数(PMI、HSBC算出)が5カ月連続で景気判断の分かれ目である50を上回ったことで景気の先行き不透明感が後退、買い戻しにつながった。

 2月半ばから始まった調整局面が依然として続いている。1-2月の一部経済指標が景気減速を示唆する一方で、CPI上昇率は3%を上回り、かつ不動産価格も上昇が続くなどで俄かに金融引き締めの可能性が出てきたことが懸念されているようだ。

 ただ、HSBCの3月PMIが示すように、経済指標の落ち込みは旧正月連休に伴う一過性の可能性も強い。高めのCPI上昇率も同様だ。したがって、現状はやや悲観に振れているマーケットだが、今後は揺り戻しによる回復が見込めよう。加えて全人代が終了したことで政策面での後押しも期待できる。(3/26 村上)

香港市場
悪材料を織り込み反発局面へ

 3月の香港株式市場は出足こそ下げて始まったものの、上旬にかけていったん反発。しかし、その後は再度下落に転じ、月後半は下値模索の動きが続いた。

 2月末には下げ止まりの様相を呈していたハンセン指数だが、3月に入ると再度下げに転じ、1日は140.0ポイント安、週明けの4日が342.4ポイントの大幅な下落となり、22000ポイント台半ばまで売られた。中国本土の不動産引き締め策発表で本土市場が急落、香港市場もこれに巻き込まれる形で大幅安となった。

 ただ、翌5日以降はいったん反発、8日には23000ポイントを回復した。5日の全人代開幕を迎えて政策期待が一段と高まったほか、米国市場ではダウ平均が史上最高値を更新、堅調な外部環境を織り込む形で買いが先行した。

 もっとも、その後は13日の333.9ポイント安、18日の449.7ポイント安などの大幅安を交えつつ下値模索の動きが強まった。中央政府や深セン市でのさらなる不動産引き締め、証券当局トップの交代観測などが悪材料視された。さらにユーロ圏各国がキプロス政府に求めた財政再建策が預金者に対して厳しい内容となったことを受け、欧州リスクが再燃。外部環境の急速な悪化を背景に香港ドル安が進んだことも嫌気された。

 景気の先行き不安にインフレ懸念が加わり、本土市場の調整が続いている一方で、キプロス支援を巡る混乱で欧州リスクが再浮上、香港市場からの資金流出が続いているようだ。もともと海外投資家のウエイトが高い同市場だが、欧米市場の好調を尻目に、株価は冴えない動きが続いている。

 ただ、今回の調整は2月初めから既に2カ月近く続いており、足元の悪材料はほぼ織り込んだものと思われる。本土市場も新たな経済指標の発表につれ、売られ過ぎの訂正局面が期待される。一方、欧州情勢も徐々に落ち着きを取り戻すとみられることから資金流出も一巡、香港市場も反発に向かおう。(3/26 村上)

ハンセン指数(日足)上海総合指数(日足)

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特集:全人代レポート…安定成長を目指す新政権、景気先行きは依然として明るい

全人代が閉幕、新政権は7.5%の安定成長を目指す

 3月に入っても、両株式市場はいずれも弱含む展開。不安定な欧州情勢に加え、中国では不動産引き締め、景気先行きの不透明感が重しとなっている。こうしたなか、日本の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が17日に閉幕し、習近平・国家主席、李克強・首相を中心とする新政権が名実ともに発足。今年の政策目標、予算などが承認された。これを見ると所得水準の底上げ、都市化推進を目玉とする積極財政などを通じて、景気腰折れを防ぎつつ、内需主導、7.5%の安定成長を目指す意図が読み取れる。

政策内容を見ると、景気先行きは依然として明るい

 一方、政府はインフレ抑制を重要視しており、住宅バブルを防ぐため、不動産引き締めは継続されよう。環境問題が深刻化するなか、成長モデルの転換も待ったなしであり、対応できない企業の淘汰が加速する可能性も。ただ、短期的に経済全体への悪影響が出ても、中長期的にはむしろポジティブ。これにより物価安定、穏健な金融政策を維持できるほか、環境対応に優れた企業の競争力が高まるからだ。全人代での予算承認を受け、各種プロジェクトが本格始動することも追い風。景気先行きは引き続き明るいものと考える。(3/25 畦田)

全人代で示されたマクロ経済の主要目標

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全人代で示された今年の政策目標、そのポイントを関連セクター・銘柄

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中国光大国際(エバーブライトインター)

00257〈N1790〉香港 株価チャート

環境関連事業を主体とするコングロマリット

 国務院直属の中国光大集団が実質支配する環境関連企業。主力事業の環境保護分野では、江蘇省でのゴミ焼却発電、山東省での汚水処理などを展開。12年末時点で、同社は20カ所のごみ焼却発電所を運営するリーディングカンパニー。12年通年の売上構成比は、ごみ処理発電所・固形廃棄物処理部門が51.1%、汚水処理施設部門が37.2%、新エネルギー部門が11.7%。

12.12期は二桁の増益を達成

 12.12期の業績は売上高が前年比2.2%減、純利益が同40.2%増。全体の建設収入は減少したが、運営サービス収入が大幅に伸びたことで小幅な減収にとどまった。また、好採算の運営サービス収入が伸びたことで、粗利益率は49.4%と前年から8.1ポイント上昇。さらに、非中核事業を売却し、売却益を計上したことで増益率が拡大した。

 部門別では、主力事業のごみ処理発電所・固形廃棄物処理部門が好調。12年4月からごみ焼却発電の卸電力価格が0.65元/kWhに引き上げられる形で統一されたうえ、ごみ焼却による電力販売量も同49.3%増。これ等を受けてEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)が同21.5%増と2ケタの伸びに。

 汚水処理施設部門は建設収入が大幅に増加したことから売上高が同57.5%増。ただ、メンテナンス費用の増加等のコストアップに加え、処理量が微増にとどまり、EBITDAは同0.5%増と伸び悩んだ。また、新エネルギー部門は建設収入が大幅に減少したことから減収だったものの、3カ所の太陽光発電プロジェクトの新規稼動などにより、電力販売量が同2 5 2 . 3%増と急拡大、EBITDAも同107.7%増となった。

事業エリア拡大や政策支援なども成長を後押し

 同社は事業エリアを今後一段と拡大する方針だ。直近では新たに浙江省と海南省へ進出した。こうした戦略は、全国人民代表大会(全人代)で示された環境保護を一層強化するという政策にも沿っており、同社の発展を後押ししよう。ただ、事業拡大には多大な資金投入が必要となる。この点について、12.12期末時点で約28.0億香港ドルのキャッシュを保有。加えて昨年、アジア開発銀行(ADB)から合計3.0億米ドルの融資枠を獲得しており、旺盛な資金需要に対する手当ては十分に確保されている。

 また、国内の研究機関やドイツ企業との提携などを通じて、研究開発を更に強化する方針。昨年の研究開発予算は2000万元以上を計上したほか、当局から設備開発などに対して合計2370万元の補助金も獲得しており、一段と研究開発力が高まる模様。さらに、今後新設するごみ焼却発電所は自社で開発した生産設備の割合を高める方針。そのため生産体制を強化しており、昨年7月には新たな設備製造拠点が稼働した。自社設備の割合が高まることは収益性の向上にも繋がることから、今後も持続的な成長を維持しよう。(佐藤)

企業業績の推移 中国環境整備投資額およびGDP比

中国鉄建(CRCC)

01186〈N1186〉香港 株価チャート

中国の鉄道インフラ建設業界を二分する大手メーカー

 超大型の総合建設企業グループ。中国中鉄(00390)と国内の鉄道インフラ建設市場を二分する。昨年上期の売上構成比は、インフラ建設の工事請負87.9%、その他12.1%。

 12.1-9月期は前年同期比6.5%減収、同2.1%増益。需要回復と採算性の向上などを受け、上期の二桁減収減益から大幅に改善。当局によって一連の景気刺激策が発動されている中、鉄道インフラ建設の発注も秋口を境に再び急増。同時にインフラ建設の主原材料である鋼材やセメントの価格も落ち着いており、下期の業績は大幅な受注増と利益率の改善によって一段と回復した模様。

インフラ建設の回復と都市化の進展が安定成長に貢献

 第12次5カ年計画によると、15年までに2.9万キロの鉄道建設を着工する必要がある。だが、計画の実行が昨年まで低水準にとどまっていたため、今後加速する可能性が高く、13年の投資額は5300億元以上と予想。

 また、足元では中国新指導部による都市化推進策を背景に、地下鉄など都市軌道交通の建設需要は高まっており、その投資規模は向こう3年間、毎年2000億元以上に達する見通し。特に、地下鉄の整備が交通渋滞と大気汚染の解消に繋がるため、昨年は新規建設の認可件数が急増、今年は建設ブームに湧こう。こうした都市化による新規需要の増加は国内で地下鉄建設の市場シェア5割を握る同社にとって業績の安定化に寄与するとともに、今後の成長の原動力となろう。(高)

中国民生銀行(チャイナミンションバンク)

01988〈N1988〉香港 株価チャート

北京市に本拠地を置く中堅の商業銀行

 1996年に民間企業が主体となって設立。国内中小企業向け融資など、コーポレートバンキング業務に強みを持つ一方、個人富裕層からの預金獲得にも積極的に取り組む。11年末時点で全国590カ所に営業拠点を持つ。総資産規模は2兆2291億元で国内10位。

 12.12期の業績(中国会計基準、速報ベース)は、純利益で前年比34.5%増と二桁増益。同期末において国内33都市に702カ所の拠点を構えるなど、事業規模を拡大させたことで総資産は前年末比44%増の3兆2100億元となった。さらに、預金残高が同17%増、貸出総額も同15%増と高い伸び。また、不良債権比率に関しては前年末に比べ0.13ポイント上昇したものの、0.76%と依然として低水準にとどまる。

国内景気の回復に加え、規制緩和が追い風に

 現在、国内景気は共産党新指導部のもと、回復の兆しを見せている。そのため、本土の資金需要は今後更に強まり、銀行の融資額が一段と増加する見通し。特に、同行が得意とする中小企業向けは大幅な伸びが見込まれる。

 一方で、政府当局は銀行の預貸比率(預金残高に占める貸出総額の比率)に対する規制撤廃を検討している模様。現状では預貸比率の上限が75%とされ、各行にとって融資拡大の足枷となっている。同行の場合、上限の75%まではまだ余裕があるが、昨年末時点で70%を超えてきており、この規制緩和は今後、大きな恩恵をもたらそう。(有井)

中国建材(CNBM)

03323〈N3323〉香港 株価チャート

大手総合建材メーカー、足元の業績は改善傾向

 建材業のリーディング・カンパニー。中核であるセメント・コンクリート事業は本土の経済発達地域から内陸部まで生産・販売拠点を展開。また、石膏ボード等の軽量建材や、グラスファイバーなどの生産・販売なども手掛ける。昨年の売上構成比はセメント・コンクリート77.6%、軽量建材・その他22.4%。

 12.12期の業績は、売上高が前年比8.9%増、純利益で同30.4%減。ただ、利益率の改善に伴い、減益率は12.6期(中間)に比べ縮小。主力製品であるセメント・クリンカーの販売量は下期の需要回復に恵まれ、同20.3%増の2.2億トンと、業界平均の増加率を大きく上回った。加えて、燃料となる石炭価格の低下や製品出荷価格の持ち直しもあり、昨年下期からは緩やかながらも業績が改善傾向。

経営環境の好転とともに市場シェアは一段と拡大の見通

 当局による都市化の推進やインフラ投資の増加がセメントをはじめとした建材全体の需要増につながり、経営環境は一段と好転する見通し。また政府は今後、大気汚染を抑えるため、有害物質の排出削減を強化するとともに大型企業をリード役とする業界再編も一層推し進める模様だ。実際、建材業界では老朽化生産施設の廃棄に伴い、中小企業の淘汰が加速。これを契機に、業界全体として従来から重荷となってきた過剰生産能力の解消が期待される。このような環境の下、華東地域等でトップクラスの市場シェアを握る同社にとっては稼働率の改善とともに市場規模拡大の恩恵を享受しよう。(高)

安東油田服務(アンドンオイルフィールド)

03337〈N3337〉香港 株価チャート

国内外で油田開発の技術サービス等を提供

 坑井の掘削や仕上げなどを手掛けるほか、パイプ類の提供、保守等も行う。主要顧客にペトロチャイナやシノペックを抱え、中東や中央アジアなど、海外でも事業を展開。近年はシェールガス等の非在来型事業にも進出しており、高い技術力を誇る。また、油田サービス分野で世界的な企業であるシュルンベルジェからの資本を受け入れるとともに、戦略的提携関係を築いている。

 12.12期の業績は、売上高が前年比59.2%増、純利益で同291.2%増。国内において天然ガス田向けサービスを強化したことに加え、海外でも中国企業の資源開発に絡んで売上高が大きく伸びた。一方、コスト削減に努めたことで粗利益率は45.0%と前年に比べ3.5ポイント上昇。また、西部地区開発企業に対する減税も大幅増益に寄与した。

国内での天然ガス消費量の増加とともに資源開発も活発化

 現在、中国政府は天然ガス田開発を積極的に推し進めている。環境への負担が比較的少ない資源として天然ガスに注目しているだけでなく、シェールガス等の非在来型資源が国内には豊富に存在すると考えられるためだ。また、経済成長に伴うエネルギー消費量の増加を補う上でも天然ガスは重要な資源となっており、その開発が急がれている。

 このような中、同社は昨年9月にシュルンベルジェとの合弁会社設立を発表するなど、事業を積極的に展開。天然ガス田開発の本格化とともに今後も高成長を続けよう。(有井)

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